怪傑ディスティニー

――その爆発は全てを一瞬で奪った。
父母に妹。共に生きてきた時間は幾年にも及ぶのに奪うのは一瞬とは、なんと不公平な話か。そして、死神の略奪から自分だけが生き残ったという事実を少年が理解するのには数瞬の時がかかった。そしてそれを理解した瞬間、
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
ただ絶叫した。親愛なる父母を失い、愛する妹も失った。肉親がいつ果てるともわからない戦時中とはいえ、それは所詮理屈での話であり感情は納得など到底できない。

 

そして少年は叫ぶ、愛しき妹の名を。
「飛鳥ーーッ!!」

 

(何故に名字を? しかも漢字で?)
背後でそれを聞いたトダカが心の中でツッコんだ。

 

more