日々雑談~5901~

 キン肉マンの新アニメで改めてVS無量大数軍編を追ってるけど、このタイミングで肉は勢いを取り戻したと当時も今も語られるだけあってキレッキレねえ。どの試合も見どころとサプライズポイントがしっかりしてるので、見てて飽きないし、まあとにかく観客席という名のSNSが盛り上がる。連載時に盛り上がって、アニメでまた同じ層が新規層と共に盛り上がる。盛り上がりの二段構えってのは、なかなかやろうと思ってできるもんじゃないですよ。

 現在アニメは、キン肉マンVSピークア・ブー戦まで到達。せっかくなので、ピークア・ブーについて考えてみる。なお、完恐ピークア・ブーのプロフィールは以下のリンク先と引用を参考にしてもらえれば。

ピークア・ブー
完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)の一人で、「完恐」の称号を持つ。「急成長超人」という珍しい種の超人で、見た目こそ大人だが精神は赤ちゃんのように無垢のままで試合に臨む。そして試合の中で高度な技や闘い方を学んで急成長し、敵を超える強さを持つようになっていく。「急成長」が最大の武器であるため、試合が終わるたび何も知らない赤ちゃんの状態に強制的にリセットされる。(公式サイトより引用)

 実際、キン肉マンがピークア・ブーに48の殺人技を盗まれて、滅茶苦茶追い詰められているわけですが……。その一方で、もしキン肉マン以外の悪魔超人と当たってたら、ピークア・ブー詰んでたんじゃね? ってのも。ブラックホールの四次元殺法にカーメンのエジプト呪術にアトランティスの水芸にスプリングマンのバネ殺法と、悪魔超人は自身の特殊能力や特異体質を試合に取り入れているので、大半がラーニング不可ということに。比較的真似しやすいバッファローマンや魔雲天ですら、頭の角や体格のような違いがあるので、そのまま技を盗んで使うのは難しい。唯一行けそうというか、上手くすれば超人大全集経由で数十人の超人の技を盗める大当たり枠としてステカセキングがいるものの、ネプチューンマンの鋲付きジャケットやマンモスマンのノーズフェンシングのようなステカセの変身能力あってこそのコピーで攻めて来られると、厳しい展開になることは間違いない。というか、ラーニングとコピーで若干違うものの、他人の技を盗む能力に関しては、ステカセが強すぎる。

 こう考えると、ピークア・ブーは対悪魔超人がちょっとしんどいわけですが、ただ本来の予定通り、対アイドル超人だったらこの点問題なかったんですよね。参戦メンバー全員が特殊能力ではなく技で戦うタイプ、しかもちゃんと人型と、ピークア・ブーがラーニング出来る条件が全部揃っているので。ただ、まあそう都合よく行くのかと言うと……。

ブロッケンJr. クソッ! 技を盗むだなんて、なんて野郎だ!と見本みたいなキレ方をして勝手に追い詰められる。でも、ラーメンマンやアタル兄さんのような信頼できる人間が「落ち着け」と言えば一気にクールダウンするし、なんならその場で急成長すると、ピークア・ブーの天敵。

テリーマン スタートダッシュが上手いと言うか、試合開始時に奇襲してくるタイプなので、学習する前にやられる可能性がある。ピークア・ブーの天敵。

ラーメンマン お前は心まではコピーできなかったんだー! くらえ、猛虎百歩拳ー! とかめっちゃ闘将でやりそう。そうでなくても、だいたいキン肉マンと同じ形でまとめそうなので、ピークア・ブーの天敵。

ロビンマスク 技がコピーできても、コピーされたとロビンが気づいた瞬間、何をするかわからない。たぶん、最終的になんかブチ切れるのは間違いない。心が強いと言うより、心がヤバいタイプなので、全超人の天敵。

 なんだか、ピークア・ブーがちゃんとラーニングできそうなの、スロースターターのキン肉マンと、比較的穏健なウォーズマンくらいしか居ない気がしてきた……。でもウォーズマンには、ピークア・ブーが持ってないベアークローで攻めればいいんじゃね? と抜け道があるので、結局キン肉マンがベストな相手だったのかもしれない。そりゃあ武道も、ほぼ強制な形でピークア・ブーをキン肉マンに当てますわ。

K.N.ジャスティスマンは塩なのか?

 新シリーズ超神編が現在連載中のキン肉マン。旧作キャラが活躍する中、ザ・マンやサイコマンといった新キャラも負けない魅力を放っているのが今のキン肉マン。その中で、強烈な強さを持ちつつも、レスラーとしての評価に疑念を持たれている超人、その名はジャスティスマン。ネットではしょっぱいと言われている彼ではあるものの、果たして彼は本当にそうなのか。未だ完結はしていない作品ではあるものの、現在ある情報で分析してみようというのがこの新年一発目の記事。なお、タイトルのK.N.の意味は、KIN.NIKUです。タイトルを最終鬼畜始祖ジャスティスマンにしようかどうか、ちょっと悩んでました。なんで東方、しかも妹様を使ったのかは、新年の魔力(ヒント:お屠蘇)でちょっと覚えてないですね。

 まずはジャスティスマンの概要を下に書いておきます。知ってる人は飛ばして、これだけではまだという人はググってくださいというか、キン肉マンの単行本を買ってください。

 

 ジャスティスマン。キン肉マンの新シリーズ『完璧超人始祖編』に登場した『完璧・陸式(シックス)』の座に就く完璧超人始祖。旧シリーズ『黄金のマスク編』に登場した裁きの神ジャスティスと同一人物であり、ゴールドマンやシルバーマンと並び読者にとって既知であった数少ない始祖の一人。

 完璧超人始祖編では魔界の王族であるアシュラマンと、ジャスティスマンがあえて選んだアシュラマンのホームグラウンドである魔界で対決。悪魔超人のエースに相応しい実力を持つアシュラマンの必殺技や得意技、亡き悪魔超人の総力による一撃すら受け止め、真正面より叩き潰す。

 次戦となった許されざる世界樹での決戦では、アシュラマンの好敵手であり彼の仇討に燃えるテリーマンと対戦。長年の熟慮、アシュラマン戦の体験、直前に起こった仲間の敗北やクソ力の発動。心には若干の迷いが生じており、自身に勝てば考えを改めても良いとテリーに告げる。だが、その宣言にはわかりあうことへの暖かさ以上の、テリーマンを殺す気で戦うとの非情さも付け加えられた。宣言通りの猛攻、希望すら微塵も残さないためにあえてテリーマンの弱点である義足を狙わない完璧な勝利を目指すものの、義足を自ら破壊することで生き延び、戦闘不能となっても戦意を捨てないテリーマンの姿と彼が集めている憧憬により、正義超人たちが始祖とは違う形の永遠を持っていたことを知る。ジャスティスマンは、自身の所有物である神器、光のダンベルをテリーマンに渡し、敗北を認める。始祖全員が持ち、全て揃えれば始祖が消滅してしまうダンベルを渡す。それは、自身の消滅も認めることでもあった。

 試合放棄後、完璧超人始祖の長である超人閻魔と決別。ついにダンベルが揃ってしまうものの、サイコマンの犠牲により生き延びる。自らの正義、生き延びた意味を求め試合会場より離脱。以後、完璧超人始祖編からジャスティスマンは姿を消す。

 次のシリーズである『オメガ・ケンタウリの六鎗客編』ではキン肉マンを密かに支援したものの、基本的には事態を静観するスタンスを取る。新世代の超人たちの争いに関わる気は無かったものの、旧世代最低の代物であり、今回の一件の黒幕であったサタンの顕現が彼をリングに呼び戻す。サタンは自らの恵体を活かしたパワーファイトを見せるが、ジャスティスマンはすべて受け止めた上で、サタン以上の苛烈な攻めにより、文字通りサタンを粉砕。サタンの生命を奪うまではいかなかったものの、しばらくは表に出てこれないほどのダメージを与える。

 サタンを撃破したジャスティスマンは、この事件に関わっていた正義超人や六鉾客ら新世代の超人に、本来ならば自分たち始祖が戦うべきであった真の黒幕の存在を告げ、真相を伝えるために超人墓場へ彼らを導く。超人墓場にて、厳格なる超人閻魔から脱却し、かつての慈悲や柔軟さを取り戻していたザ・マンと和解。最大の敵『超神』の存在を明らかにする。

 ファイトスタイルはとにかくシンプル。特殊能力はほぼ使用せず、打撃、投げ、関節技、どの技にも外連味は無い。だが、数億年の間、真摯に鍛え上げられた肉体には恐ろしい破壊力が秘められており、相手を両断する勢いの打撃、受け身も取れない強烈な投げ、一瞬で相手を破壊する関節技と、どれも殺人級の威力を持つ。ジャッジメント・ペナルティやジャッジメントクラッシュやジャッジメントアヴァランチャーといった一連の裁きの技は「相手の肉体を破壊し、徐々に相手の力を削いでいく」ザ・マンの教えを感じさせる技であり、悪魔将軍(ゴールドマン)の地獄の九所封じに通じる構成となっている。鍛え上げられた肉体は防御面でも効果を発揮し、肉体自体の硬さと思いもよらぬ柔軟性は、アシュラマンやテリーマンやサタンの必殺技をなんなくしのいでみせた。

 すでにミラージュマンやアビスマンを撃破し、始祖の中でも頭一つ抜けている強さを見せた悪魔将軍にすら「かつてのザ・マンに近い」「倒すには少々骨が折れる」とまで言わせた実力を持ち、正統派ゆえアシュラマンやテリーマンの奇策に一撃を食らうシーンはあったものの、持ち前の防御力でダメージを最小限に抑えてみせると、今の所作中で目に見えた弱点はなく、大きな怪我も負っていない。

 ただし、冷静沈着で淡々としたファイトと会話、作中で「地味なファイト」と称されることもあわせ、ファンの間では相手に合わせる気のない、しょっぱいレスラーや塩試合製造機のような評価も受けている。

 

 そもそも、格闘技におけるしょっぱいとはどういう意味か。元々、しょっぱいとは相撲における用語の一つであり、塩のまかれた土俵に這いつくばっているような弱い力士を指す言葉でした。日本のプロレスは始祖である力道山が相撲出身であることもあり、チャンコやかわいがりのような風習とともに、しょっぱいという表現もプロレスに輸入されることとなりました。しかし、プロレスラーの勝負の相手は観客ということもあり、しょっぱいの意味は観客を盛り上げられないレスラー、要はつまらないレスラーを指す言葉へと変じていったわけです。芸能界で素っ気ない対応を塩対応と呼んだり、格闘技の膠着状態を塩漬けと呼んだりと、むしろ今は、相撲の弱いという意味より、プロレスのつまらないという意味のほうが一般的ですね。

 まず、つまらない試合の点から考えていくと……そもそもジャスティスマンの試合って、ネットの感触や感想を観る限り盛り上がってるんですよね。どんな形で盛り上がったのかの話は後に回すとして、少なくとも盛り上がってる以上、しょっぱいの範囲からは外れています。これはプロレスだけでなくどんな創作やスポーツも一緒なんですが、つまらない試合はそもそも無風です。感想もなく、歓声もない。無です、無。実際、虚無のつまらない試合は、自分も何度もプロレス会場で観てますが、あの冷え切った空気はなんとも言えない虚しさがあります。実際、ジャスティスマン関連の試合が無だったら、合計数カ月間ほど虚無となるわけで、いくらなんでも連載がピンチです。

 ならば、ジャスティスマン自身がしょっぱいのか。俗に試合運びが単調なレスラー、パフォーマンス控えめのレスラー、技が地味なレスラーなどがそう呼ばれる傾向にあります。これらのレスラーをしょっぱいレスラーと定義した場合、ジャスティスマンはこの三つのすべてに該当してしまいます。なんだよ、結局しょっぱいんじゃねえか。こう思わざるを得ない流れですが、実のところ自分は、この定義自体はしょっぱいレスラーの傾向として正しいものの、それがイコールしょっぱいレスラーになるとは思っていません。

 

 無法なパワーファイターとして受け身上手な全日本のレスラーに全力を発揮していた、人気外国人レスラーであるスタン・ハンセンとスティーブ・ウィリアムス。そんな無骨な二人の攻めっけが噛み合わない対決を観たジャイアント馬場は解説席でこう言いました。僕は、この人達が何をしたいのか全然わかりません。

 レスラーにとって大事なのは、自分自身が何物であるか、試合のテーマは何か、試合を通してわからせる。この点にあると思います。この見る側にどう理解してもらうかというテーマは、創作に通ずるものがあります。たとえば正義の日本人レスラー対悪逆の外国人レスラー、この試合で師匠超えを果たそうとする若手レスラー、俺はお前の噛ませ犬じゃない!と格の違いに挑むレスラー、路上にて創意工夫を武器に戦うレスラーたち、このような個性や構図がある試合や興行は観客の思い入れや熱狂を招き、時には伝説、時には団体の大きな成長のきっかけとなってきたわけです。

 そして視点としてあるのが、試合、複数の試合による興行、興行が並ぶシリーズ、この三つの視点。もっと先の団体運営やジャンルの全体図までいれるとキリがなくなるので、この辺にしておきます。キン肉マンで例えると、ジャスティスマンVSアシュラマン(試合)、完璧超人始祖VS悪魔六騎士(興行)、完璧超人始祖編(シリーズ)といった感じです。この三つの視点で見ると、例えば悪役レスラーの乱入で試合がめちゃくちゃになり低評価だった一方、この乱入が伏線となり興行やシリーズの軸となっていった。対抗戦メインの興行は盛り上がったものの、そこで熱くなりすぎてしまい、シリーズ全体で見たら盛り上がりに欠けた。このように大局的な分析をすることも可能になります。このような視点は、連載や連続ドラマのような続きがあるメディアには形は違えども必ずあるものですね。

 では、ジャスティスマンの三つの試合にはそれぞれどのようなテーマや視点があり、ジャスティスマンには何が求められていたのか。分析してみましょう。

 

VSアシュラマン
 ジャスティスマンの作中デビュー戦となったこの試合。完璧超人始祖対悪魔六騎士の戦いとして見ると、完璧超人始祖視点では五戦を経て二勝三敗と負け越しを避けるため落とせない一戦であり、シングマンとカラスマンがサンシャインとザ・ニンジャに喫した二連敗を三連敗にしないための重要な一戦だった。ここで三連敗となると、完璧超人始祖が悪魔六騎士相手に負け越しとなり、勢力全体のイメージ、完璧超人始祖編を引っ張っていくだけの格も疑われる事態もありえた。

 アシュラマンは悪魔六騎士だけでなく悪魔超人のエース格であり、状況的には三連敗の可能性も0ではなかったものの、この暗雲は裁きの神ジャスティスの登場で一気に振り払われた。強豪であるアシュラマン相手に実力を示しつつ、裁きの神ジャスティスの格も保たなければならない。このハードルを、ジャスティスマンは必要以上に超えてみせた。この試合でもっとも必要だったのは、完璧超人始祖はやはり強い! と思わせ信頼を取り戻せるくらいの無法なまでの強さだったので、冷徹な強さによる圧倒はこの条件に合致していた。

 

VSテリーマン
 全日本プロレスにてブッチャー&シークの極悪コンビを相手に、血まみれになりつつ溢れるガッツで戦っていたアイドルレスラーことテリー・ファンク。後にテリー・ファンクは一度の引退後、ハードコアの始祖とも呼ばれるなんでもありのテキサン親父になっていくものの、テリーマンはアイドルとしてのテリーをモデルに生まれ、そのまま成長しやがて引退となった、テリー・ファンクのリリィにして一種のオルタである。話がそれたので戻すと、テリーマンの魅力は凶悪や強大さに挑むガッツにあり、ザ・魔雲天やキング・ザ・100トン戦で見せた巨漢ハンターぶりに、アシュラマンやヘル・ミッショネルズといったボスクラスに挑む姿と、相手が大きく格上であればあるほど、光る物を見せてくれる。この点において、ジャスティスマンは過去最大の格上であり、試合結果も含めテリーマンしか挑めぬ敵だった。KO無し、消化不良の決着とも言えるが、後の展開や先のシリーズのことも考えると、これで良かったとも思える。

 強大なジャスティスマンに対し、テリーマンは正攻法や奇策を交え挑むものの、最終的にその身体を削ることは出来なかった。だが、自身の義足(実質現役レスラーとしての引退)を賭けて戦う姿は、多くの観客、さらにジャスティスマンにもテリーマンの真骨頂とともに現代の正義超人の覚悟と有り様を伝えることになり、それがジャスティスマンの試合放棄へと繋がった。この試合を動かしたのはテリーマンだったが、既に強豪であるテリーマン相手に最強の壁として立ちはだかり、衰えを見せぬままテリーの全てをさらけ出させてみせたジャスティスマンも十分に評価できる。実際、上に噛み付くこと、抗うことでのし上がってきたレスラーは、自身が大物化し上に立つことでアイデンティティを失う例もある。Ⅱ世の究極の超人タッグ編におけるキン肉マンやテリーマンも伝説超人として万太郎たち新世代超人の壁になることを期待されていたフシもあるが、壁としては上手く回らなかった。ある意味、ジャスティスマンはⅡ世で出来なかったことへの再挑戦にも思える。

 全盛期のレスラー相手に壁となるのは、想像以上に大変なのだ。

 

VSサタン

 上記のアシュラマンやテリーマンは対抗戦でありつつ若手レスラーを試す面もあったが、今度の相手は対抗戦かつここで叩き潰さなければならないゴミ屑である。最初、サタンは黒幕でありラスボスと思われていたため、少なくない人間がジャスティスマンが噛ませ犬になることを危惧していたものの、一週間経つ度に「ジャスティスマンは噛ませではない」「むしろサタンが危ない」「頑張れー! サタンー!」と状況が反転していった。これぞまさに、リアルタイムならではの旨味。いわば、新日本VS∪インターの対抗戦や、たけしプロレス軍団の新日登場と観客の暴徒化といった、歴史のターニングポイントに居合わせたかのような体験。このタイプの面白さは、十年経っても語れるネタである。

 相手の実力を自分の身で図りつつ、倍以上のカウンターで叩き伏せる。ジャスティスマンのこの戦法をラスボス相手にやったらシリーズごと評価が落ちる、もし団体対抗戦で行った場合、相手団体のレスラーが実力人気ともに大ダメージを負いすぎて立ち上がれない事案である。いろいろな意味でやってはいけないやり方なものの、困ったことにサタンは実は真の黒幕にたどり着くまでの前座であり、勢力下にあるはずの悪魔超人から離れたフリーでもあったのだ。そして更に潰すべき汚点。ジャスティスマンが全力と無慈悲さをここまで出せる相手もそうそういない。サタンが多弁で感情的であるところも、必要以上の喋りも感情も見せないジャスティスマンと噛み合っていた。感情的な点はアシュラマンもテリーマンも同じな点を見るに、ジャスティスマンの戦う相手が感情的なのはカード編成の基本路線なのだろう。

 後に明らかになることだが、真の黒幕は調和の神が率いる超神であり、完璧超人始祖は彼らと戦うために鍛え上げられた集団だった。サタンが超神の走狗であった以上、格下であるサタンにジャスティスマンがもし苦戦していたら、今頃は走狗と同レベルの超神もしくは格下に苦戦する始祖と、どちらかの勢力が風評被害を被っていただろう。ジャスティスマンが強さを発揮することで、始祖と仮想敵の超神は価値を落とすことなく、またこんなに強いジャスティスマンに挑んでいたアシュラマンとテリーマンの格も上がった。ついでに、ジャスティスマンを吐血させたことで、フィジカルには見るべきところがあったと、サタンの格もちょっとだけ回復している。最終戦でありつつ、次シリーズの前座試合でもあると、非常に珍しい状況のカードでもあった。

 

 以上の分析を踏まえて、自分としての結論は……。

 ジャスティスマン、与えられた仕事やテーマはきちんとこなしているし、しょっぱくはないのでは。

 だいたい、ここに収まります。もちろん積極的に動いたテリーマンやサタンが試合を動かさなければ駄目だったのでは? という見方もありますが、気合が入りすぎて駄目になる試合もプロレスには結構あるんですよね。片方だけが頑張っても、上手く行かないことはある。入れ込みすぎた結果、すれ違って噛み合わない。片方が暴走状態に陥って、観客が観たいものが見れない。頑張りは尊いものの、大事なのは成果。残酷な現実であり、だからこそ成功した場合は、気合を受け止める側の器量も評価されるわけです。

 もし現実のレスラーでジャスティスマンに似たタイプを上げるとしたら、三沢や小橋の壁となっていた頃のジャンボ鶴田かなと。全盛期を迎えようとしている三沢たちを相手に、高い壁として立ちはだかったジャンボ鶴田。この頃の鶴田はとにかく全力で、とにかく無慈悲。三沢が勝つことがあっても、その勝利のイメージは辛勝。一人で壁として立ちはだかったからこそ、この時期の鶴田のニックネームは名実ともに「最強」だったわけです。ジャンボ鶴田の相手を殺さぬよう務めていると公言する価値観、ジャパンプロレス勢や新日本ドーム大会での外敵への強さや上手さ、一歩抜きん出た才能を持ちつつも創始者やリーダーにはならなかった点と、この点も独自の価値観を持ち、外敵であるサタン戦で強さを発揮し、ゴールドマンやシルバーマンのような創始者にならなかったジャスティスマンと被るところがあるかと。

 あと、シンプルな話、三つの試合が盛り上がった上に、おそらくジャスティスマンの四戦目があったら、とんでもなく盛り上がるのは確定事項なので。客を呼べる時点で、レスラーとしては優秀なのです。相手の技を受けても表情を崩さないというのも、個性の一つ。レスラーは技を受けなければならない、表情で痛みを伝えなければならないというイメージがありますが、ザ・タイガー(佐山サトル)がロープに振られてそのまま止まったことで「この団体はお決まりが破れるんだ!」とのメッセージを観客に伝えたり、相手の世界観においそれと乗らないことを個性として発揮している鈴木みのると、受けないことや乗らないことでも個性やメッセージを発信できるのがプロレスです。

 そもそも、伝説級のプロレスラー、今でも社会的な知名度が在るプロレスラーでも、人によって評価が変わるのがプロレス業界。有名でありつつ立派な成果を残しているものの、一部からの評価がボロクソな大仁田厚は評価がまちまちな例の一人でしょう。それに、力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木の三人だけでも、それぞれがレスラーとして重きを置くポイントは違いますしね。この記事も、あくまで自分の見方であり、その見方だとイメージで思われているほど、ジャスティスマンはプロレスラーとしての適性は低くはないとの結論になりました。こうやって多角的に見れるだけの個性がある時点で、まずキャラクターとして完成度が高いってのは間違いないでしょう。

日々雑談~5748~

 試合結果はジャンクマンもプリズマンも今後につながる金星だったものの、受け止める側であるペインマンとバイコーンの器量の差が出た結果、前者は始祖の格を落とさぬまま次戦に、後者は超神自体への不安を生じさせてしまった。キン肉マンにおけるプリズマンVSバイコーンはそんな試合だったんじゃないかと。プリズマンというか王位争奪戦の超人が能力の過積載気味ってのもあるけど、バイコーンが神としてのスペックと角しか無かったのがなー……ガンマンのエルクホルンに、インパクトで勝ってるとはちょっと言えないしな。

 技に対してリアクションを見せないことでジャスティスマンがしょっぱい呼ばわりされてるけど、別にあれはあれでジャスティスマンのキャラ立ちに成功しているのでいいんじゃないか派。VSテリーマンやVSアシュラマンにおける姿は、若くてイキの良かった三沢や川田の前に壁として立ちはだかったジャンボ鶴田のごとき最強そのもの。鶴田は独特のオーバーなリアクションが重みを失わせていた面があったし、ジャスティスマンの鉄面皮自体はイメージ的に悪くないでしょ。

 そもそも今、相手においそれと乗らない鈴木みのるが第一線にいる時点で、無条件に相手の技も世界観も受けることがレスラーならではってのも、もう古い発想だとは思うんだけどね。もともとこれ、強いレスラーのイメージを作り出していた∪系の格闘技プロレスがガチの格闘技とは違うと分かってきた辺りで、その代わりに創作上で誕生したプロレスラーの美学にして呪いじゃないかと。ここらへん、腰を据えて一度分析してみたいな。
 

日々雑談~5657~

 ようし! キン肉マン感想だ!

 実のところ、ニュースにもなったゆでたまご先生直々の画像キャプチャの禁止の報せだけでなく、その後、いろいろな方が直接意見を持っていった結果、感想はできれば三日後、タグの使用不使用などのローカルルールが出来そうな状況になってまして……正直、何をどうしたらいいか分からんので、とりあえず以下ネタバレの看板を掲げつつ、自サイトにバーっと感想を書いておこうかと。自サイト、ネタバレ注意、続きを読む。これだけセーフティネットをかけておけば、大丈夫だとは思いたい。ふせったーを使うのもアリだとは思うのですが、どうせ書くことそれなりに多いし、こうして自サイトもありますしね。

 ぶっちゃけ、3日後とかにツイッターに直に書いてもいいのですが、それだと自分の熱量がたぶん落ちるので。
 これも駄目なら、公開日時を三日後にするしかないなあ……。

 というわけで、以下ネタバレ注意です。

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日々雑談~5651~

 新章第1試合のカード
 無量大数軍戦 テリーマンVSマックス・ラジアル
 完璧始祖戦  悪魔将軍VSミラージュマン
 六鎗客戦   ティーパックマンVSヘイルマン
 超神戦    レオパルドンVSランペイジマン

 まあなんだ、レオパルドンだけが無茶ってわけじゃないね(紅茶をすすりながら
 しかしまあ、キャノンボーラーにペンチマンにゴーレムマンが三人一緒に切り込み隊長役の先鋒になったことで、構図としても次鋒レオパルドンになっているのが美しい。この三人だってあまりいい戦績ではなかったのに、ここであえて譲ってみせたのは、チームメイトの絆が為せる技でしょう。強力チーム結成秘話、何処かのタイミングで出来ないものか。

 次回、瞬殺ルートもそれはそれで美学だし、健闘しても面白い。どう分岐してもいい構図を作った時点で、おそらくもう読者対レオパルドンはレオパルドンの勝ちでしょう。あとは「何だコイツ」で思いっきり冷めているランペイジマンがどうなるかですね。今週の熱き絆のビッグボディ&レオパルドンとの温度差は、感情の機敏がわからぬ超神たちという演出だったんじゃないかとも思うんですが……でも、何処の誰がランペイジマンの立場になっても、いきなり知らん人が出てきたら困るか。