ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その35~
ディスクウォーズ:アベンジャーズ第35話。
久々のスパイダーマン登場! だが、しかし……?
アメリカを離れたアベンジャーズに代わり、ニューヨークを守護していたスパイダーマン。多くのヴィランがディスク化したとはいえ、多くのヒーローがディスク化してしまった以上、負担が軽くなることはなく。ハーレムを守るファルコンや、スパイダーマン並みの知名度と抑止力を持つアイアン・フィストとパワーマンが居ないのは、痛いよなあ。ヴィラン以外の、ただの人間たる犯罪者も居るわけで。対ロキや対レッド・スカルのような激戦に参加することはありませんでしたが、スパイダーマン、きっと相当苦労してきたと思います。
天才にして変人なハンク・ピムの協力という、心強い筈なのにアレ?なんか不安だぞな光明の裏にある黒。NYを震撼させる黒いスパイダーマンの大暴れ。ちくしょう! やっぱりジェイムソンとデイリービューグルは正しかったんだな! ……いやまあ、あくまで原作の話ですが、今日のトニーのコメントのように「あそこの編集長は、スパイダーマンを悪く書くことが趣味」というのは、既に一種の共通認識として市民の間にあります。ただ、ニューヨークが巨大都市である以上、その認識を全員が得ているというわけではなく。スパイダーマンを嫌っている人もいれば、好きな人もいる。多くの人間が住む都市としては、普通の光景です。
よくマーベルの市民はヒドい呼ばわりされる事がありますが、感情が移ろいやすい面もヒーローに石を投げることも、手のひら返しで賞賛することも、ヒドいとか外道ではなく、多種多様な都市であれば当たり前の、現実的な光景なんじゃないかと。
話がズレましたが、凶暴化した黒いスパイダーマンを止めるため、次々彼と戦いを繰り広げるヒーロー達。キャプテン・アメリカ、ソー、ブラックウィドウ……軽快なスパイダーマンが相手なだけあって、今回みんな動きが際立ってますね! ブラックウィドウに関しては、初登場回に変なのがいたせいで、初戦闘シーンですし! しかし、ヒーローの中でも最も高潔に近い、キャプテン・アメリカとスパイダーマンの戦い。親愛なる隣人を未だに信じ続けていたNY市民にとって、これほど辛い光景も無かっただろうなあ……。
戦いとスパイダーマンの逡巡とブラックウィドウの情報の結果もたらされた結論は、共生体ヴェノムによる寄生。細かいことを言ってしまうと、共生体はシンビオートであり、シンビオートが寄生した結果誕生したキャラがヴェノムというのが原作における正式な認識であり。でもこの辺りは、あくまで個人的な感覚ですが、ヴェノムへの一本化でいいんじゃないかと。
シンビオートやヴェノムといった単語の知名度の問題や、話をシンプルにする都合や大人の事情、あくまで推論でしかありませんが、様々な要素を天秤にかけた上での決断だと思います。原書でも共生体を呼ぶ際、ヴェノム・シンビオートやDWと同じようにヴェノムとか、そこまで名称に拘って無い時がありますしね。この天秤は、難しくあり。
というわけで、今日の紹介はスパイダーマンです。おいおい、たまには俺も、メジャーなヒーローの紹介するんだぜ! ただし、テーマはブラックコスチューム&他のコスチューム。スパイダーマンについて本気で語ったら、コラム35回分あっても足りないからな!
スパイダーマン(ブラック・コスチュームorエイリアン・コスチューム)
ニューヨークにて、謎の落下物を調査していた筈のスパイダーマンは、気づけば見慣れぬ場所……どころか、地球ではない別の惑星に居た。しかも周りには、他の地球のヒーローやヴィランも集まっている。後にシークレットウォーズと称される、この事件。全能に限りなく近い存在である宇宙人ビヨンダーにより惑星闘技場バトルワールドに召喚された彼らは、強制的に戦わせられることとなる。
そして激戦により、スパイダーマンは何時もの赤青ベースのコスチュームを大きく破損。どうしたものかと悩むピーター・パーカーは、謎のマシーンを発見作動させたところ、マシーンは従来のコスチュームによく似た黒いスパイダーマンスーツをピーターに纏わせる。黒いスパイダーマンコスチューム、ブラック・コスチュームはこうして登場した。
シークレットウォーズはやがて終戦。スパイダーマンは地球に帰還するが、黒いスーツも代用品兼記念品として持ち帰っていた。だが、スパイダーマンは何時ものコスチュームに着替えること無く、ブラック・コスチュームを着続けることを選択する。なにせこのコスチューム、異星文明の賜物か、まず着ただけで身体能力が拡大、更にはウェブシューターを使わずとも自力でしかも無限にウェブの生成が可能、たとえコスチュームを所持していなくても考えただけで手元に、しかも装着したいと考えただけで自動装着し普段着への瞬時の擬態も可能と、素晴らしい物であった。
黒いスパイダーマンとして活躍し続けるピーター、しかし性能向上によりスパイダーマンとしての活動は若干楽になったはずなのに、やけに毎日、疲労と倦怠感に襲われていた。限界を迎えたピーターは、シークレットウォーズの事情を知り、優れた頭脳と設備を持つファンタスティック・フォーに助けを求める。ファンタスティック・フォーのリーダーである天才科学者ミスター・ファンタスティック(リード・リチャーズ)による実験と調査の結果、疲労感の原因とコスチュームの正体が明らかになる。
ブラック・コスチュームの正体はブラック・エイリアン・コスチューム、異星の科学により作られた布製コスチュームではなく、コスチューム自体が知性と生命を持つ生物シンビオート(共生体)だったのだ。生物と共に生きる生命体であるシンビオートは、スパイダーマンに能力を与える代わりに、毎晩寝ているピーターの身体からエネルギー源となるアドレナリンを採取していた。疲労感の原因は、これである。共生体は既にピーターの指示を聞かぬ程に一体化していたが、リードはこの共生体が高い周波数の音波に弱いことを発見。音波を使うことで、ピーターは共生体より開放された……かに見えたが、リードの研究室から共生体は脱走。油断していたピーターに再度取り憑く。窮地に陥ったピーターであったが、近くにあった教会の鐘楼堂に登り、鐘の音を使って共生体との分離を試みる。生き残るのはピーターか共生体、どちらか一人。最高の宿主を救うため、共生体はピーターから離れていった。
その後しばらく、共生体は教会に潜んでいたが、やがて訪れたスパイダーマンへの怒りを抱える男を、新たな宿主に選ぶこととなる――。
なお、共生体と離れた後も、ピーターはブラック・コスチュームを着ていた。ただし、今度のコスチュームは、怪盗ブラックキャットから贈られたただの布製コスチュームである。いつもの赤青のコスチュームに戻ってからも、何度か着用しているが、どうにも精神的に不安定な時、怒りに燃えている際に包む機会が多い。アドレナリンを喰らうための刺激、心中共にずっと在る。元のブラック・エイリアン・コスチュームにも感情を不安定にさせる効果が見られたが、この呪いはイメージとして布製コスチュームにも付き纏っている。映画スパイダーマン3では、共生体に寄生され己を見失っていくピーターの姿がありありと描かれた。
印象的なコスチュームとしてゲームにもよく登場しているが、ゲームにおけるブラックコスチュームは主にパワー型。攻撃重視の能力値や荒々しいファイトスタイルで敵を追い詰め、ゲームによっては一時的なブーストであるレイジ(怒り)モードを搭載している。このスーツに関する総論は、スーツの由来も知らず関係も知らない別次元のピーター・パーカーが初めてこの黒いスーツを見た時のコメントに集約されている。
「僕にダークサイドがあったら、きっとこんなスーツを纏ってソイツを表すだろうね」
ここからは完全に余談だが、敵や状況に対応してのスーツ制作といえばまずアイアンマンのイメージが強いが、優れた知性と応用性を持つスパイダーマンも負けじと開発を続けている。ピーターが自作したものとしては、例えばこんなスーツがある。
かつてマブカプにも登場したアーマード・コスチューム。大学の研究室で作り上げた擬似鋼鉄を使用しており、スピードが落ちているものの、防御力が格段に向上している。
ホーネット、プロディジー、ダスク、リコシェ。殺人犯に仕立てあげられたため、満足な活動が出来なくなったスパイダーマンに代わり、ピーター・パーカーが代わりに着た四つのコスチュームとアイデンティティ。様々な技術や友人親族からの協力を得た結果、四つともそれぞれ独自の特殊能力をもっている。
超感覚スパイダーセンスを一時失ったピーターが開発した、バレットプルーフ・コスチューム。銃撃を避けるのが難しくなったため、防弾性能に優れたスーツを開発する必要があった。
ステルス・スーツ。音と光の伝達を阻害することで、透明化出来る隠密用スーツ。前述のバレットプルーフとこのステルスは、当時ピーターが務めていた研究所、ホライゾン・ラボが持つ超技術を使用している。
このピーターが作ったスーツ以外にも、多の天才より贈られたスーツが多々ある。
アイアン・スパイダー。魂ロワイヤルにも参戦が決まった、トニー・スターク制作のハイテクスーツ。思いつく限りの能力に加え、強力なロボットアームも独自装備と、スパイダーマンのスーツの中でも頭一つ抜けた性能を持つスーツ。なお、しばらく後、量産型スーツも作られている。
ファンタスティック・フォーユニフォーム。一時死亡扱いであった、ヒューマン・トーチの代理として加入した際に着用したスーツ。リード・リチャーズの発見した不安定分子が使われており、ピーターの思うとおりに色や姿形を変えることが出来る。この白と黒という色合い、これは当時のファンタスティック・フォーのイメージカラーなのだが、某キャラクターに似てしまうため、実はあまりピーターは気に入っていない。でも、大人としてそれは、心中に秘めている。
今までのスーツはまともな代物だったが、たまに都合や偶然やその場しのぎで、変なスーツを着るハメになることがある。
ファンタスティック・フォーのお陰でブラック・エイリアン・コスチュームとの縁が切れる。それはつまり、着る物がなくなるという事だった。しょうがねえなと、自分の旧コスチュームを持って来てくれたヒューマン・トーチ。ただ仕様上マスクが無いため、とりあえず紙袋を被ってみた。帰り道、この格好で人助けをしてしまったため、「ファンタスティック・フォーのニューメンバー! アメイジング・バックマン現る!」とニュースになってしまう。トーチがイタズラで背中に「キック・ミー」と書いた紙を貼っていたため、アメイジング・バックマンの謎は更に深まったとか。こんなどうしょうもないコスチュームだが、初めてトーチの代役としてファンタスティック・フォーの元に訪れた際、スパイダーマンはこのコスチュームでやって来た。流石に、マスクはちゃんと被っていたが。
上記のコスチュームは、自作、他作、おもしろ含め全部、スパイダーマンのコスチュームの一端にすぎない。これらを見て、スパイダーマンの多彩さや可能性に気付いて貰えれば、幸いである。最近増えている別次元のスパイダーマンまで入れてしまうと、これ即ち本当にキリが無くなる。例えば日本で有名な彼もその一人なわけで。