なんでマーベルでミュータントって差別されるん?~前編~

「人間は違う誰かを中々認められない。そういう生き物だ。だがアキラ、お前は大人になっても、今のその気持を絶対に忘れるな」

ふじい(以下F)「アベンジャーズのヒーロー達とは違って、X-MENのミュータントは何故差別されるのか。子供の疑問に対しての、アイアンマンの大人としての正しい対応です」

サイレン(以下S)「大人は疑問に対して何らかの答えを出して生きていくしか無いからな。仕方がない、しょうがない。理不尽への常套句だ」

F「おとなになるって、かなしいことなの……」

S「それはやめい」

F「でもこの疑問は、当然のことだよな。なんでアベンジャーズはOKで、X-MENはNOなのか。あくまで私見ですが、もしかしてここのせいじゃないかなーというポイントを挙げてみようかと。もしかしたら今後ディスクウォーズで答えが出るかもしれないし、その答えは自分が出した答えとは違うかもしれない。何より、他の作品で既に出ていることかもしれない。でもおそらく、一度触れておいたほうがいいことだからな……」

S「昔の地上波アニメでも最近の映画でも、触れられなかったり、そもそもアベンジャーズとX-MENが同じ世界に居ない作品も多いからねえ」

F「ディスクウォーズで取り上げられた今が一つのタイミングってことだな」

 

F「ミュータントが何故迫害を受けるのか。コレはある意味もう答えが出ているな」

S「前者は、自分と違う誰かを認められない~からのトニーの言だな」

F「もう少し進むとしたら、少し別のアプローチから考えてみればいい。逆に考えてみるんだ」

S「……アベンジャーズは、何故迫害されないか?」

F「それだ。人と違うから差別されるというなら、何故アベンジャーズは人とみなされているのか。個人的なキーワードは理屈だと思うのよね」

S「理屈?」

F「例えばディスクウォーズのレギュラーメンバーだと、キャプテン・アメリカは何故老化が遅いのか」

S「超人血清を摂取しているからだろ」

F「ワスプってなんで小さくなれるんだ?」

S「そりゃピム粒子の力よ」

F「少し視点を変えて、ファンタスティック・フォーの四人はなんで超人化したのか」

S「宇宙線を浴びたせいだよな」

F「じゃあウルヴァリンはなんで不死身で手から爪が出るんだ?」

S「そりゃミュータントだからだろ。……なるほど」

F「アベンジャーズのメンバーってさ、ほぼ全員超人になった理屈があるのよ。超人血清やピム粒子や宇宙線、不思議科学ではあるけど、その不思議科学が理屈としてあり、人が超人に変貌した理由となっているわけで。つまり、だから彼らは超人なんだ!という理屈があって、差別意識が緩和される。片やミュータントには、その理屈がない。理屈がないまま、人からミュータントになって、人間とは違う存在になってしまう。ミュータントにも放射能や宇宙的存在フェニックスフォースのような外的要因の存在は示唆されているけど、どれも断定できるまでの物じゃないし、これはこれで新たな問題が生まれてくるからな……」

S「人間は違う誰かを中々認められない。アベンジャーズには、違うことへの理屈があって、それが認める材料になるわけだ。そもそもみんな後天的能力者だからなあ、彼ら」

F「宇宙線を浴びるとかピム粒子を使うとか、現在もう一つの超人となる手段として確立されて、その方法で超常的能力を手に入れたゴリラとかマンドリルとかいるしねえ。手段として確立されるのは、デカいよ」

S「いや別に人も超人になってますよね!?」

F「生まれながらの超人ってことならマイティ・ソーがいるけど、ありゃ神様だからな。最初から人とは違う……そもそも神様がいるって感覚がよう分からんけど。異星人みたいな感じなんじゃないか? おそらく、最初から種としてのカテゴリーが違って、人種差別の対象にはならないと。超人種族インヒューマンズはミュータントに立場が似ているけど、彼らには異星人による先祖の改造という理由があるし、何より元来、人間と距離をおいている」

S「存在や居場所からして、人とは違うと区別されているわけか。あとさ……ミュータントよりマシな扱いだけど、ハルクって差別されてるよね?」

F「まあねー。ディスクウォーズのレギュラーメンバー中、一番風当たりが強いのはハルクだろうねえ。あと、ファンタスティック・フォーなら、明らかに人とは違う外見になってしまったシングも相当言われている。実のところ、理屈も完全に差別を払拭する材料じゃないからね。アベンジャーズも差別されにくいだけで、超人というだけで辛辣に接する層もいないわけじゃない。市民から見たミュータントやヒーローへの距離感や辛辣さを描いた作品と言えばマーベルズ。性質上、そういうのを見たい方は是非!と言えない暗部だけれどね。まあハルクやミュータントのもっと現実的な問題を語ることにして、とりあえず長くなったし、ここは」

S「後編に続くってか」

F「そうそう。ああ、あと、アベンジャーズのメインメンバーの中に、ミュータントとしての差別虐待を受けた非ミュータントのキャラが居るぞ。無能力時代、紛れも無く只の人だった頃に。つまり、ミュータント差別の経験者」

S「え? マジで!?」

F「結局のところ、ミュータントと比べたらアベンジャーズは……と、ミュータントがアベンジャーズの盾になっているふしもあるんだよな。なんとも、重いし辛い」