仮面ライダーSPIRITS連載再開記念

 それは、系譜の始まりの物語――
 サソリ男、カマキリ男、人食いサラセニアン、蜂女、ゲバコンドル……一人の英雄の戦いの裏の物語。
 後に因果応報に組み込まれる死神の喜びの物語。
 ショッカーに大事な物を奪われた人々の物語。
 そして、“人間”一文字隼人の怒りの物語。
 正義の系譜はここより紡がれる。

 と言うわけで連載再開した仮面ライダーSPIRITS、展開されていたZXの物語はいったん置いておいて、物語は2号ライダー誕生寸前まで巻き戻されました。
 正直、村枝先生にこの辺りの話はすっげー書いてもらいたかった。
 元より2号誕生自体がハプニング的なものだったので、特撮の仮面ライダーではこの辺り凄くシンプルです。1号がいきなり消えて、唐突に2号が登場。いやホント、いきなり現れた一文字には「お前誰だよ!?」以外のツッコミできませんよ。
 多分、仮面ライダーの外伝を書くのに2号ライダー誕生以上に美味しいネタは無い。これに比肩するネタを他作品で上げろと言われたら、ZZの頃のアムロの話や事故直後のテンカワ=アキトの物語ぐらいしか思い浮かばない。そんぐらいにオイシクて、公式で一切語られていないミッシングリンク。

 以下、続きを読むからネタバレ込みの感想。
 前編後編でまとめるのか、それとも一巻分くらい書くのか。

 ゲバコンドル時の滝の結婚式は本編でも描かれた物です。一応偽装結婚だったらしいけど、本編で一切語られてないから、既婚者扱いされてもおかしくないよね、滝。
 なお、滝がFBI捜査官であるのが判明するのは、もう少し先です。この頃は、本郷の個人的な友人。改造前からの縁だから、ホントここだけは偶然以外の解釈が出来ないな。

 緑川ルリ子。彼女の決着を村枝先生はどうするつもりなのか。
 彼女は、1号を改造し脱走させた本郷の恩師である緑川博士の娘です。前々から本郷の知り合いでもあり、ショッカーとの因縁も出来てしまった彼女。まあ、メインヒロインになるのは当然ッスよね。
 でも彼女、2号登場後にヨーロッパに向かった本郷を追って以降、行方不明なんですよ。なお彼女の行方不明後、仮面ライダーからメインヒロインは消ええました。V3の珠純子まで、それらしき存在は殆ど無し。
 彼女を書く上でのポイントは二つ。
・彼女は何故日本に帰ってこなかったのか。
・彼女は結局本郷猛=仮面ライダーである事を知ったのか。
 一応小説版でこの答えが用意されてますけど、村枝先生、素直に使うかなあ? 小説準拠にしそうでもあるし、ZX編にルリ子を出せるような答えを用意するかもしれんし、なんとも言えんよね。

 まさかの死神博士の早期登場。こいつはデンジャラスだぜ。
 大幹部は数々居れども、怪人製造の名手と呼ばれるのは死神博士ぐらい。博士枠なら幽霊博士、ライバル枠も兼ねたガテゾーンなんて言うのも居るけど、やっぱ死神博士だよなー。彼なら仮面ライダー改造の裏に居て納得、むしろ居ないほうが不思議なレベル。
 いやー、撹乱作戦を得意とするゾル大佐、そそっかしい確固たる忠誠心を持つ地獄大使、二重三重の緻密な作戦を組み立てられるブラック将軍、死神博士も含めて四人、仮面ライダーの幹部は実に見事にキャラ分けされてるな。まあ、ZX編だと中の人がそそっかしい人の親戚なので、なんとも。ブラック将軍は既に撃破されたしねー。
 ところで管理者が「死神博士だけ意識戻ってるよ」説をずっと唱えてて、いい加減うとおしくなってきたんスけど。夏の映画で我慢しろよ。

 弱者による強者に逆らう為の組織、アンチショッカー同盟ができるのはずっと先の話。そして再生怪人軍団が姿を現すのは二話ほど先の話。最強怪人ゲバコンドル→間抜けヅラヤモゲラス→トカゲロン&再生怪人軍団って流れですね。んでこの後の魔人サボテグロン戦で2号にバトンタッチ。2号の誕生は既に秒読み段階か……。
 様々な怪人の長所を合わせた最強怪人に、再生怪人軍団。後のお約束がこの時点で確立してたってのもスゴいな。

 ペンは剣よりも強し。しかしペンでは人は切れぬし、今、目の前で泣いている人間は救えない。これから一文字隼人はどうなるのか、これが起で、日本でのショッカーとの戦いが転で、先輩ライダーのしての未来が結。起承転結、仮面ライダー2号の承は未だ闇の中に。