日々雑談~2227~

 ふと、とあるジャンルの初心者向けを全面に押し出している本があったので、ちと買って読んでみたら、わりと専門的というか、むしろこれはそのジャンルに精通した人間が喜ぶタイプの本だったので、ぐわーと。中身が想定していたものと、違いすぎる。

 看板に偽りありだぜ、コイツは……と一瞬思ってしまったものの、考える事しばし。なるほどおそらくこれは、自分の考えている初心者向けと、この本の初心者向けの方針が違っただけなんだなという結論に。

 あくまでパターンの一例ですが、自分の考える初心者向け、つまりジャンルや分野の入門となる文章に求められる要素は、ある程度の派手さと万人に通ずる面白さ。まず多くの人に読んでもらわないと話にならないし、読んだ人に“これは面白いものなんじゃないか”と思わることが肝心要。どんなに懇切丁寧に1から10まで全部面倒見る気でいても、当人のやる気がなければどうしょうもないで。読んだ人にそのジャンルへのやる気や興味を宿らせるのが、自分の考える初心者向けテキストに関する理想の一つです。

 ただ、これはあくまで自分の思う初心者向けであり、一つの形にすぎないんですよね。いきなり高度な専門的な知識をぶつけることで知識欲を刺激する前述の本のやり方も、決して間違いではない。あえて比較するならば、門に惹きつけることを主とするのが自分のやり方で、門に入った人を先に進ませるのが件の本のやり方といったところでしょうか。
 これはどちらが正しいと言うとかそういうのではなく、視点や得意分野が違うだけです。

 同じ初心者向けと言えども、その方針や考え方には違いがあるもの。無理に揃えるよりも、むしろ雑多にあることで、ふわりとした初心者向けという概念を支えていく。この方が、現実的だと思うのですよ。多彩は強さです。