夢を目指すことは罪ではない
「大決戦! 超ウルトラ8兄弟」を見てきました。これで今年の映画鑑賞数は4、俺的新記録でございます。
前作を「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」とするならば、前作はアクションとしての特撮映画、対して今作はドラマとしての特撮映画だと思います。
前作のウルトラ兄弟はウルトラマンメビウスという作品の世界観の延長線上にあるので、フラグやアイテムがある程度出揃っており、ドラマ部分を描かなくても直ぐにウルトラマンVS凶悪宇宙人連合の戦いにもっていけたワケで。
今作の8兄弟は、ウルトラマンは居ないが近しい世界=新たな世界なので、1からアイテムやフラグを構築するようなんですよね。つまり、世界観を確立させ映画としての基本骨子を成立させるには、ドラマ部分の描写がどうしても必要となり、アクションシーンよりドラマ部分へ時間を多くさかにゃアカンのですよ。
どっちが良いとかそういう話ではなく、前作と今作は別物と考えた方がいいんじゃねえかなと。特撮ファンには前作、世間一般向けには今作ですかね。
劇場特典で入場時に貰えるカードの怪獣がラスボスだったんでズコー!
ちょ、おま、事前の情報カットしていざ映画に望んで、入場10秒前にネタバレとかありえん。最もいまの世の中で完全に情報をシャットアウトするのは難しいが。
情報の秘匿という意味では、ゴジラファイナルウォーズが凄まじかった。第一形態のモンスターXを新怪獣だと公表し、モンスターXの真の正体であるカイザーギドラに関してはひた隠しに。モンスターXはラスボスにしては線が細すぎるよとか、なんで怪獣大戦争なのにキングギドラが居ないんだよとか、散々言われながらもひた隠す! いろいろ問題のある映画だったが、そこだけは評価すべきだ。最も、俺はファイナルウォーズが大好きだけどな!
というわけで、続きを読むにネタバレ感想。さらば電王とアイアンマンもそのうち見に行きたい。
影が無ければ光は栄えない。でも、光が無くても影は栄える。
怪獣が街で暴れまわっても、ウルトラマンどころか防衛組織も無い世界では全く対抗することができない。メビウス大活躍の序盤~ウルトラマンが集う終盤までの、怪獣が我が物顔で暴れまわる中盤の絶望感がハンパなかった。怖くて泣いている子供も見受けられたしね。
ヒッポリト星人は分かる。当時のウルトラ兄弟を一人で壊滅させ、なおかつ初登場のウルトラの父も追い詰めた、屈指の強豪宇宙人だ。
シルバルゴン&ゴルドラスも分かる。時空と空間を操る彼らは、今回の平行世界という題材にピッタリの怪獣だ。最初は舞台の世界自体が、この二匹で作り上げたまやかしの世界だと思っていた。
パンドンも分かる。セブンの体調が悪かったとは言え、彼を追い詰めた実績は評価してもいい筈。いやでも待てよ、光線も出せないくらいに不調だったセブンを倒せなかった時点でダメなんじゃないか? まあでも一応最終回の怪獣だしな。
で、何ゆえゲスラ? チョコレート好きの怪獣以外の記憶がねえ。もっとほら、アントラーとかテレスドンとか居るじゃん。マックスにもメビウスにも出ていない怪獣ならネロンガとかザンボラーとか、同じ水棲怪獣でドリルが特徴的なグビラとか。でもまあ、ギガキマイラ合体時のパーツとしてはそれなりに馴染んでいるんだよな。
映画に出てきた全ての怪獣をパーツにばらして組み上げた、究極怪獣ギガキマイラ。いやータイラントってよくできた怪獣だったんだなと再確認。数匹もの怪獣を使って作ったのに、素晴らしいバランスですよ。EXやⅡみたいなバリエーションが多く生まれるワケだ。でも、動いているのを見るとギガキマイラもそんなに悪くなかった。細かい動きとUキラーザウルスをも凌駕する巨体のインパクトのせいかね。
結局黒幕らしき黒装束の連中はなんだったのだろう、響鬼の序盤に良く似た人が出てたなあ。一応公式サイトやパンフでは邪心王という名が付けられており、正体は人間の悪意や憎悪の集合体だとか。だとするとあの世界はそこら中に悪意が増殖していて、逆に希望の象徴らしき少女は消滅しかけているのか。こう考えると現実って救いが無いな。
メビウスの放置プレイについて小一時間語りたい。序盤はキーキャラクターとして登場し、なおかつゲスラとパンドンを単身撃破するという大活躍。でも、コールタール漬けにされてからは忘却の彼方ですよ。正直、四兄弟にメビウスが助けられるまで、みんな彼の存在を忘れていたんじゃないか。少なくとも俺は忘れていたぜ。あとミライのあまりの暴走っぷりに、この人はウルトラの星で一般生活がおくれるのだろうかと管理者が真面目に心配していた。
平成の3ウルトラマンの夢の競演。でもかつてのガイアの映画で3人揃った事があるので、初の競演とならないのがポイント。中の人が揃ったのは初めてだがね。個人的には、もうちょっと3人の差別化と平成名物フォームチェンジをやって欲しかった気が。ヒッポリトVSティガの空中戦でこっそりスカイフォームにチェンジしているとか。
ちなみにガイアの映画なんですが、この作品自体が今作の下敷きなのではと個人的に思っております。現実世界(怪獣の居ない世界)にウルトラマンが来訪するストーリーや謎の少女の登場に夢の競演と似た箇所が結構ある上に、脚本家は同じ人。当時色々都合でできなかった事を叶えたのが8兄弟なんじゃないかなと。TVでの番宣向けの映画にピッタリなんですが、多分地上波では無理、放映できない。ゲストで田代まさしが出てなけりゃあなあ……。
昭和の四兄弟は彼らが夢見た人としての生活がココに。特に郷に関しては、もはや出来ない生活なのが泣ける。アンヌやフジはまだ存命しているが、アキに関しては兄妹共々ナックル星人に惨殺されてしまったから。で、郷さん、アキさんが死んだ後のヒロインのルミ子さんは(ry
んで、賛否両論のラストシーンなワケで。俺としては新聞記事のとこで終わっといた方がスッキリしたかな、でも希望の未来に進んでいくような描写は好きだ。こういう賛否両論のシーンを残しておいてくれた方が、後々語るにはありがたい。ファンサービスも多く最後にふさわしい映画だったから余計に。
ウルトラシリーズに次があるならウェルカムですが。ただし、ゴジラみたいに最終作の後にパチンコの演出で復活するのだけは止めて下さい。もうウルトラマン自体はパチンコになってしまっているから、言うのが遅いのかもしれないが、それでも……。