日々雑談~1730~

先週「ディスクウォーズ、アベンジャーズにデッドプール出るよ! ハート柄のトランクスにも注目だよ!」

「流石はディスクウォーズのスタッフ。デッドプールが基本トランクス派なのも見抜いてたか……。そういや今日の深夜、Deadpool誌の配信だな。電子書籍、マジ便利」

前門のロボ、後門の全裸

デッドプール ブリーフ純情派

 おま、お前……このタイミングで転向かよ!? ブリーフ? それともピタパンなサポーター!? このタイミングであえての履き替え、これはデッドプールによるディスクウォーズ潰しなんじゃないだろうか……(疑念 あと、一応なんとなく脱いでみたのではなく、襲撃してきた巨大メカを撃破するための高度な戦略による脱衣であることは主張しておきたいのです。「キャー! 巨大メカが! ギャー! 全裸がー!」前門のロボ、後門のパン一に追い詰められた眼鏡さんには、謝るしかありませぬが。つーか、なんで定期的に街中でパン一で暴れるおっさんを見せつけられねばならんのか。デッドプール誌とは、修羅道なのか!

 なお、「ブリーフだからディスクウォーズは間違ってやがるぜ! だいたいディスクウォーズのデッドプールは肌ぷりっぷりだったし!」みたいな感じで糾弾する気持ちは全くありませぬ。そりゃあ、原作に沿っていた方が良い!という気持ちは分かりますが、そもそも夕方6時半の番組ですからね。そして、展開するのは本国ではなくまず日本。土壌に合わせたローカライズやカスタマイズは必要でしょう。古今東西、例え直輸入の本場物と言われている商品でも、この国で流行る物は日本に合わせてのローカライズはされてますからね。むしろ、頑迷にアメリカ直輸入! 狙い所は既存のマニア層!という空気アリアリの作品だったとしたら、多分自分は距離をおいてたんじゃないかと思います。深夜や固定層が既にある邦訳ならともかく、夕方6時半の地上波でそれは、アカンよ。

 まああと一つ、根本的な問題として……アメコミって確かにそのヒーローを長く持たせる為に、色々な工夫を施して入るのですが……根にあるのは、エンタメ精神であり、ぶっちゃけてしまうと「こまけえことはいいんだよ!」で。
 確かにライターは、ある程度設定の順守を求められますが、あくまである程度、余程根本的な、例えばアンパンマンの顔が濡れるとヤバいだのサザエさん一家の家族構成だの、このレベルになれば流石に止められるでしょうが細かな設定に関しては基本自由裁量です。それに、重大な設定だったとしても、会社との相談やライター自体の権力により、ある程度いじれますしね。サザエさん一家へのノリスケ居候から離脱みたいなのも可能。そしてもし本当に道を誤ったとしても……多くのライターが使える汎用兵器であるパラレル、平行世界、別バースといった前提に、最終手段「無かったことに!」もあるので、そこまでガッチガチに数十年前の物を守り続けてきたわけではないのですよ。むしろ時勢に合わせて改変したからこそ、今を維持できているのでしょう。

 様々な当代一流のライターの作品を見て、個人的に感じたことは「設定は尊重するが、設定に縛り上げられるのはナンセンス」。この縛る強さはライターによって違うでしょうが、おそらく大抵のライターは、この主義の元、自分の実力をある程度限られた世界の中で発揮しています。一本の木の美しさを尊重するのではなく、剪定や伐採を経た上で森としての形を整える。細かなことを言い出すと、キャプテン・アメリカの本名やアイアンマンの始まりとなる戦争やスパイダーマンの自動車免許の有無と、キリがない上に一歩も進めなくなるんですよね……。一本の木を愛で続けたり、昔の森の形を尊重する。設定の軽視は決して望んでいないし、自分にも過去や設定を愛でる気持はあります。むしろ、そういう木の紹介は好きですし、得意です。しかし変わったことや変えてることを材料に、それ以外の作品や別のメディアでの展開を叩くのはちと違うかなと。そもそも、単に叩くことで良い方向に動くことって、余程タイミングが一致しない限りは無いですからね。

 木は設定であり、森は作品。公式が、ライターや、作者が自由にやっている以上、ファンも過剰に縛られることもなし。一種の鷹揚さは、前のめりの狂信やヘイトの貯金箱になるのを防ぐため、アメコミに限らずどんな創作とでも持つべき安全弁かと。