仮面ライダーX 第○○話 大決戦!! 再生サーヴァント軍団!?
というわけでコ○ックマーケットでのコピ本出版の際に書き足した、コレの続きです。うん、しかしヒデエ。原作のメインヒロインが「がおー」としかセリフがないSSがかつてあっただろうか。
バーサーカーが倒れ、遂に残るサーヴァントはセイバーとライダーのみとなった。GODの神話怪人軍団も既に壊滅状態となり、冬木市の戦いはXライダーとライダーの活躍により終結しようとしていた。
平和と言う二文字が近い今、遂にGODの最終作戦が発動する――
神啓介は冬木市を一人パトロールしていた。おやっさんへの定時連絡を終え一息つく。
おやっさんの話によれば、冬木以外でGODが関与していそうな事件は起こっていないらしい。その分不気味だと、おやっさんは語っていた。
こう一箇所で複数怪人が出現する時は何か大掛かりな作戦の前触れだ。GX装置事件、富士山秘密基地へのスーパー破壊光線輸送計画、四国サタニウム発掘計画、ついこの間東京カラカラ計画という渇水作戦もあったな。とにかく警戒しろと言っておやっさんは電話を切った。
とりあえず神話軍団新怪人魔女メディアと強化された怪人ヘラクレスは撃破したが、GODの作戦のさの字も出てこない。ヘラクレスに人質にされていた少女に聞いてみようと思ったら、謎のメイドさんに襲われた。でっかいハーバルドで襲われた時は本気で死ぬかと思った。
「セイバー! くそ、待て……!」
バイクで街を流していると、少年の声と人の争う音が突如聞こえてきた。啓介は急いで現場へと急行した。
「むむむ……」
「なにがむむむだーってどうしたのライダー」
私服姿のライダーと桜は連れ立って衛宮邸に向かっていた。しばらく士郎は家に来ないで欲しいといっていたが、なにそれも聖杯戦争のせい。生き残りがライダーとセイバーのみになった今、きちんと真相を告げて相談すれば平和的に戦争も終結できるはずだ。慎二には言っていない、言ったら言ったで無駄にうごめくし、そもそも今誰も来るなーと言って引き篭もってるし。
「やはり解せません桜。勝利まで後一歩となった今わざわざ和解する必要は……」
「でも、私は聖杯に興味が無いし、先輩も自分のために何かしようって人間じゃないし。多分お互い勝っても聖杯の扱いに困ると思う。だったら今のうちにきちんと話し合っておいた方がいいかなって」
「サクラがそう言うなら、私もそれに従うのみです」
「もう姉さんもイリヤちゃんも脱落してるしね……ここで一気に攻めれば桜ルートっぽく」
「何か言いましたか?」
「ううん、何も」
仲の良い姉妹のように、見てて微笑ましい(一部除き)会話だ。そんなこんなで二人は衛宮邸まであと少しのところにたどり着いた。その時、激しいエンジン音が衛宮邸から聞こえてきた。
それが何か確認する間もなく、音の正体がこちらへ爆走してくる。白スーツのキザそうな男が乗るバイクがその正体。なんと男は小脇に私服のセイバーを抱えている、気絶しているのかセイバーはピクリとも動いていない。
件のバイクが二人の脇を抜けた直後、再び別のバイクが表れた。今度のバイクはやけにゴテゴテと装飾されたバイクだ。両脇に付いたプロペラに何の意味があるのだろうか。こちらには精悍そうな若者が乗っている。
ライダーが見惚れるほどのバイクテクニックを双方披露しながら、二台のバイクは直ぐにその場を離れていった。
「ライダー!」
並々ならぬ雰囲気を察した桜がライダーに合図する。ライダーは頷き、衛宮邸へと駆け出した。
「あれ?」
桜的にはあの二人をつけて的な命令を飛ばしたはずなのに、ライダーは衛宮邸へと行ってしまった。まさか先輩の無事を確認しに? いやそれは正ヒロイン私の役目だから、とか考えているうちにライダーが帰ってきた。ライダーはスポーツ型の自転車を持ってきた。士郎が己の小器用さをフル回転させて改造を加えた、通称一号だ。
「いくら私でもあの二人に乗り物無しで追いつくのは不可能です。仕方がないので士郎の家から一号を接取させていただきました。決してこれを口実にこの優れた実機を愛車にしようとか思っていませんので、サクラちょっと言い繕っておいてください」
うんいいよともだめとも言う前に、ライダーはばびゅんと走っていってしまった。流石は騎乗者なだけあって自転車なのに先の二人に負けないスピードだ。
「う、うう……」
「先輩!?」
気がつけば士郎が不確かな足取りでこちらに近づいてきていた。遂に倒れるといった所で、桜が慌てて駆け寄り抱きとめた。
「どうしたんですか!?」
「釣竿の先に肉……セイバーが釣られて……白スーツの男と戦闘員……助けに来た正義の味方……一号が背の高いお姉さんに……うっ!」
気になるキーワードを言って士郎は気絶してしまった。いくつか英霊的にどーよなキーワードがあったが、気にしたら負けだ。
「先輩!? 先輩!」
桜が呼びかけるが士郎は反応しない、命に別状はなさそうなのが幸いだ。桜はちょっと逡巡してから、本家桜ルートのようなちょぴっと黒いオーラを纏ってよっこいせと士郎を担いでいく。目的地は誰も居ない衛宮邸、ぶっちゃけると布団の中。さらば、衛宮士郎。
最終的にたどり着いたのは採石場。こんなやけに爆発とかやり放題な場所が冬木市にあったのかと思いならがライダーはゆっくりと辺りを探る。一見人っ子一人居ないが、気配だけは有る。誘い込まれたかと舌打ちしたときにはもはや遅かった。
「ライダーよ、よく来たなここがお前の墓場だ」
白スーツの男が崖の上で高らかに叫ぶ。
「なるほど、やはり罠でしたか」
「やはり黒幕は貴様だったか、アポロガイスト!!」
ん、と横を見るともう一人のバイクを操っていた男が叫んでいた。不思議そうにこちらを見ている、たぶんこっちもそんな顔をしている。お互いがお前ライダーちゃうやろという顔をしているのだろう。
「アポロ……チェンジ!」
崖の上の男が手を十字にきると、男は赤き騎士に変身していた。赤い仮面の両脇には炎らしき飾り、片手にマグナムを携えもう一方の手に炎輪を模した盾を持つその姿は、確かにアポロガイスト、意の通りの太陽神の幻影――
アポロガイストの変身を待っていたかのように、崖の上から次々とGOD神話怪人軍団が姿を現した。
「ネプチューン!(再生)」
「パニック!(再生)」
「ヘラクレスー(再生)」
~中略~
「オカルトス~(再生)」
「サラマンドラ!」
揃いも揃いし十九体の神話怪人が崖の上に誇らしげに立っている。
「まさか。私が全員倒したはずなのに……」
「それは俺もだ。そうビックリする事でもない、再生怪人軍団なんか」
再生怪人にビビッてたら仮面ライダーなんかやってられない。ライダーならやってけるが。
「ハハハ、それだけではない見ろ!」
アポロガイストが反対側の崖を指差す。なんとそこにも伏兵が仕込んであったのだ、しかも……
「……アーチャー」
「ランサー!!」
「キャスター……」
「アサシン」
■■■■■ ■■■-!!(訳:バーサーカー!!)
聖杯戦争で敗北し消滅したはずのアーチャー、ランサー、アサシン、キャスター、バーサーカーが雁首そろえて立っている。そして彼らの戦闘に立つのは、
「がおー」
マンガ肉をもしゃもしゃ食べながら叫ぶ、ライオンの着ぐるみを着込んだセイバー。なんというかすごく幸せそうに肉を食っている。どうやら彼女がサーヴァント軍団の指揮官のようだ。きぐるみなのに。
「こいつこそGOD悪人軍団の新怪人、アーサーライオンことセイバーライオンだ」
「がおー!」
怪人というか着ぐるみ着ただけのセイバーだ。多分洗脳ぐらいはされているのだろうが。ちなみに後に藤村大河の面白おかしさに目をつけたGOD科学班が彼女の細胞とローマの暴君の遺伝子を組み合わせて悪人軍団最強怪人タイガーネロを作るのは全く本編に関係ないウソ知識だ。
「ちょ、あんたら何してんですか!?」
唯一まともにサーヴァントやってるライダーがツッコむ。このままでは英霊が一山いくらの再生怪人と同列になってしまう。あとは着ぐるみの芸人とか、とにかく彼女には珍しいほどに必死だった。
「流石に空気ぐらいは読めるからな……」
「いやー今までのマスターに比べれば、こんなんでもだいぶマシだぜ?」
「宗一郎様と再び会えるなら、どのような辛苦にも耐えてみせるわ」
「はっはっは、己の足でこう自由に歩けるだけで幸せよ」
■■■■■■■■■■ーーー!!
「がおー」
全員それなりにやる気まんまんだった。
「あ、あ、ああ……」
よろよろと頭を抱えるライダー。聖杯戦争ってこんなんだっけ。
「行けい、神話怪人軍団! 積年の恨みを晴らすのだー!」
「がーお!」
うおーと野太い声を上げ神話怪人とサーヴァント達が崖を駆け下り、ダブルライダーに襲い掛かる。指揮官たるアポロガイストとセイバーライオンは未だ崖の上にいる、まずはWライダーのお手並み拝見といったところか。
「くっ、これだけの怪人にサーヴァントが一気に……!」
ライダーは私服から一気に戦闘用のボンテージファッションに変身する。瞳を封じる暗黒神殿を開放するか否か迷うが、未だ指揮官二人は戦いに参加するそぶりを見せていない。一瞬だけ眼帯に指をかけ、直ぐに戻した。
「こうなったら真贋を気にしているヒマはないか、行くぞライダー!」
啓介は襲い来る敵めがけ大きく見得を切る。
「大・変・身!」
胸に秘めたマーキュリー回路が唸りを上げ反応する。ある敵に敗北した啓介に組み込まれた、最終回路。この回路が与える力は啓介に新たな力と共に新たな技も与えた。啓介はジャンプ一閃、Xライダーへと変身を遂げる。前半ではセタップだったのに、いきなり大変身になってる辺りはツッコまないでください。色々やってみたいんです。
ついにそろい踏みとなったWライダーめがけ殺到する怪人とサーヴァント。ライダーとXライダーは退くことなく真正面から彼らを迎え撃った。
■■■■■■■■---!!
「いきなり……!」
バーサーカーがいの一番にライダーに襲い掛かってきた。力は強大、狂気は最大、そして反則宝具ゴッドハンド。12回殺すヒマなどこの乱戦であるのか、ライダーは惜しむことなく己の宝具を解放する。
「ベルレフォーンー!!」
ライダーを護るように出現した魔方陣から放たれる、極大の激光。これならば、少なくとも一回殺す事は可能な筈!!
■■■■……
光りに巻き込まれたバーサーカーはまるで9回殺された後のようにイイ顔をして消滅する。ついでに、後ろに居たアサシンと何故か魔術を使わずルールブレイカーを振り回し襲い掛からんとしていたキャスターもいっしょくたに吹っ飛んだ。
「……え?」
あまりにあっけなさすぎて、ポカンとするライダー。かたやXライダーも絶え間なくわいてくる怪人をちぎっては投げ、ちぎっては投げで大奮闘していた。なんというか2対10以上なのに全く負ける気がしない楽勝ムードだ。 ダガーがヒュドラの首を貫き、絶命させる。前の彼はズタズタにしても死なない生命力をウリにしていたような気がするのだが。
「疑問か、ライダー」
白と黒の両刀がライダーの首を狙う。ライダーは二重の刃をすんでの所で受け止めた。アーチャーがキザに笑う。
「ふっ、虚をついても首も取れない。堕ちたものだ」
「アーチャー。貴方は何か知ってるのですか?」
穏やかな会話だが平行して高速で二人は切り結んでいる。だが、明らかに徐々にライダーが押し始めていた。雰囲気は変わらないが、このアーチャーは以前より弱くなっている。
「まともに説明するのなら、彼らには私達を再生する力はあったが維持する魔力はなかった。どのサーヴァントも、現界するぎりぎりの魔力で戦っている。宝具など使えるものか。そしてあいていに言うならだ」
アーチャーの両手から飛ぶ夫婦刀。
「再生怪人が、強いはずがなぃっ!」
ダガーがアーチャーの左胸を貫くと、何故かアーチャーは消滅せずに怪人のように爆発した。なんというか、正義の味方であると言う事は悪役の作法を知るといった事でもあるのだろう。
そんなこんなで神話怪人も半数以上が壊滅し、再生サーヴァント軍団も残るはあと一人。
「ライドルロープ!」
「へっ、剣から棒、棒からロープたあ随分面白いオモチャ持ってるな!!」
何故かいつも以上に頑張っているランサーがXライダーと互角に打ち合っている。本編を省みるとなんだかんだでいつも制約つきでランサーは戦っていた。これくらいのハンデ、極悪神父が主である事に比べればマシなのだろうか。
「やれ」
「がお」
たとえライオンになろうと聖剣は死なず。業を煮やしたアポロガイストの命令を受け、セイバーライオンがエクスカリバーを乱戦中のWライダーに向け放なつ。振るったのは骨付き肉なのに、エクスカリバーは剣を振るった時と変わらぬ威力で怪人軍団とランサーを吹き飛ばした。
「けっきょく横ヤリで負けんのかー!?」
上手いこといったみたいな顔で消滅するランサーと、残りの怪人軍団。目標であったWライダーは既に離脱している。これで勝負は二対無数から、二対二の均衡となった。Xライダーがアポロガイストに一直線に向かうが、彼の前にライオンセイバーが立ちふさがる。
「がるるるるー!」
「洗脳されているようだが、手加減は出来そうにないな……」
替わりにアポロガイストに襲い掛かるのは鉄鎖付きのダガー、アポロガイストは炎輪の盾でダガーを弾く。弾かれたダガーを引き戻しながらライダーが笑った。
「なるほど、今までの連中とはレベルが違いますね」
「真なる神話の怪物か、ここで貴様を葬りGODは古き神話を駆逐する!」
アポロマグナムの銃口がライダーの眉間に合わされた。
ライオンの着ぐるみを着込んでいるが、中身は最強のサーヴァントであるセイバー。むしろ、迷いや優しさを獣性に置き換えたライオンセイバーはむしろ全うなセイバーよりも純粋なる強さを持っている。
骨付き肉の一撃はライドルを弾き、続きざまの一撃はXライダーの体ごと弾き飛ばした。
「くっ!」
Xライダーは宙回し立て直そうとするが、追って飛んできたライオンセイバーに殴り飛ばされ地面に叩きつけられた。地面に倒れるXライダーの体に圧し掛かりライオンセイバーは力任せに幾度も骨付き肉を叩きつける。
「がお、がお、がおー!!」
ライオンセイバーが疲れ果てた頃には、すでにXライダーはピクリとも動かなかった。勝利を直感しライオンセイバーはひときわ大きい咆哮を天に捧げた。それは獣の本能か。
「がーーーーーおーーーーーーー!!」
事切れていたと思われたXライダーの瞳が赤く輝く。ライオンセイバーがXライダーの存命に気付いたとき既にXライダーはライオンセイバーをしっかと掴んでいた。
「お前は強い、下手をすればあのアポロガイストよりもだ。しかし、獣性の替わりにどうやら大事なものも失ってしまったようだな」
失ったものは正義か勇者たりえる誇りか。失ったものの正体はわからないが、これから放たれるXライダーの技にはそれが満ち足りている。
「真空ぅぅぅぅ地獄車ぁ!!」
胸に仕込まれたマーキュリー回路が体内で極大の光りを発する。Xライダーはライオンセイバーの胸倉を掴み、地面をおもむろに蹴り上げた。強烈なXライダーの引き付けはライオンセイバーを逃さない。回転する二人の体はまさに車輪。両者は幾度も地面に接触しながら大地を走る。接触の際地面に叩きつけられるのはライオンセイバーの頭、さすがの防御力を持つセイバーも頭部への絶え間ない衝撃を受け意識が朦朧となる。完全にライオンセイバーが平衡感覚を失ってから、彼女の体は空に投げ出された。宙を舞うライオンセイバーの背中になにかが衝突した。
「ガイストカッター!」
ライダーのダガーの鉄鎖が、円刃と化したアポロガイストの盾にズタズタに切り裂かれる。鉄鎖を破壊しても勢いを落とさぬ盾をライダーはダガー本体で受け止めるが、盾を破壊するのと引き換えにダガー自身も粉々に砕けてしまう。お互いに獲物を失う事となったがアポロガイストにはまだ武器が残っている。
「アポロマグナム!」
「うわあ!?」
百発百中の早撃ちがライダーの体を貫く。致命傷は避けたが、全ての弾がライダーのどこかの箇所には命中している。もはやまともに動く事さえ不可能。能力よりも己の技巧を頼りに必殺を狙う彼はアサシンの佐々木小次郎やキャスターのマスターである葛木宗一郎に近い、ライダーが苦手とする彼らに。
「ふふふ、お前がライダーでなければここまでの目に合わなかっただろうがな」
銃弾がライダーの眉間めがけ放たれるが、ライダーはなんとか顔を背け避ける。銃弾は、ライダーの眼帯の付け根をかすり逸れた。ライダーの魔眼を封じる眼帯が少しずれ、ライダーの宝石のごとき瞳が姿を現した。
「む?」
ライダーの目に当てられアポロガイストがひるむが、事前に魔目の存在を知っていたのかあてずっぽうにライダーへ銃を乱射する。ライダーにできる事は逃げることしかなく、魔眼の毒もアポロガイストを完全に石化するにはいたらなかった。だが、アポロガイストは多少影響を受けたのか硬直している。これがライダーに与えられた最大のチャンスか。
ペルレフォーンが放てればいいのだが、魔力の残量と体の具合からみて撃てるのは一発。天馬召還までの余裕は無い。ペガサス無しの一撃であの魔弾の射手を葬れるのか。
「ん……?」
ライダーはその時逃げ込んだ辺りに隠してあった物に気がついた。急いで状態を確認する、エンジンに火は入ったまま、これならば十分に武器となる!
「そこかっ」
硬直から脱したアポロガイストの銃撃がライダーを狙い打つ。しかし、もはや今のライダーに銃弾など当たるはずがなかった。騎乗主であるライダーの力は乗り物に乗ることで発揮されるのだから、当然だ。
「なるほど、これが仮面の戦士を仮面ライダーに引き上げる宝具ですね。確かに素晴らしい乗り物だ」
Xライダーの愛車であるクルーザーに乗ったライダーはアポロガイストの銃弾を避け、彼に一直線に向かう。
「ば、馬鹿な!?」
クルーザーに弾き飛ばされアポロガイストは宙を舞う。先に宙に投げ出されていたライオンセイバーにぶつかるアポロガイスト、そこで彼の目に映ったのは自分達より上空でXの字を模したポーズを取るXライダーと、地面からクルーザーに乗ったまま飛んでくるライダーの姿だった。
「エーックス……」
「べルレ……」
真空地獄車からのXキックと、きちんとクルーザーという立派な乗り物を使用してのべルレフォーン。Wライダーの必殺の一撃が、回避の仕様が無い上空の二人めがけついに放たれた。
「キィィィィク!!」
「フォォォォン!!」
両者は交錯し、Xライダーは上空から地上へ、ライダーは地上から上空へ、それぞれ綺麗な軌道を描く。軌道はまるでXの字のように綺麗なクロスを描いていた。
「ゴッドよ、さらばー!」
「がおーん……」
アポロガイストとライオンセイバーはそれぞれ断末魔をあげてから爆発した。
「悪の最後ですね」
「ああ……」
戦いを通じて出会ったことで、二人のライダーには連帯感が生まれていた。そんな中ぽてっと地面に落ちる目を回したセイバー、戦いの後に正気に戻るのはお約束としても目を回しているだけで済むとは。やはりセイバーの防御力は並大抵のものではない。
気絶したセイバーを拾って、ライダーはXライダーへ別れの言葉を告げる。
「結局仮面ライダーという存在がなんなのかはわかりませんが、理解したことが一つだけあります。それは、貴方達が英霊に成れる。いえ、英霊にも勝れるかもしれない可能性を持っていることです」
「……ありがとう。その言葉は俺だけでなく、先輩達や後輩達も喜べるものだ」
「それでは失礼します。機会があればまた、貴方とは共闘したいですね」
ライダーはセイバーを後ろに乗せ走り去っていく。Xライダーは彼女の後姿を見送った。
「ああ、俺もだ」
そこでXライダーはふと気がついた。自分の愛車がない、残されているのはスポーツタイプの自転車のみ。クルーザー何処行った?
そのころ借りパクに成功したライダーさんが、やはり水流ジェットエンジンのバイクは違いますねと車上でつぶやいたとかどーとか。
次回予告
セイバーを救い出したライダー、しかしこれが新たな戦いの始まりだった!
「シロウ!!」
「よかった、セイバーが無事で、俺は、俺は……」
「大丈夫ですシロウ。私は、ここにいます。だから、もっと優しく抱きしめてください……」
「くすくすっと笑ってゴーゴー♪」
「桜!?」
暴走する主をライダーは止められるのか。
次回『桜の暴走はゴルゴムの仕業!?』にご期待ください。