日本人が知らなくてもいい真三大“アメコミのホリデースペシャル”
様々な世界の三大を見つける。それが、真三大◯◯調査会。
今回はクリスマスに因んだ海外コミックスの紹介。果たして、どんなものが選ばれるのか!?
今日のテーマは題して日本人が知らなくてもいい真三大“アメコミのホリデースペシャル”です。
アメリカンコミックスに脈々と繋がる伝統、ホリデースペシャル。主に、クリスマスを舞台とした短編で構成されており、クリスマスらしい明るい作品から時には嫌な読後感があるホラーまで。クリスマスというテーマ以外は自由という、多種多様なアンソロジーとなっております。
メリー・フリーキン・クリスマス
“サンタクロースVS変人!”
“シンプルながらも、強い、逞しい、良きオヤジなサンタ!”
まず有権者の皆様に訴えたいのは、アメリカンコミックスにおけるサンタクロースはキャラとして存在しているという事実。多くの子供達の家に進入するためのスニーキング能力だけでなく、いざ障害に遭遇した時対応できるだけの戦闘力を持った存在なのです!
クリスマスを目前とし、大忙しなサンタクロースハウス。トナカイを脅かし、妖精たちが騒ぐ隙にオモチャ工場に潜入するのは、我らがデッドプール。彼の目的は不明ながらも、華麗なスニーキングテクニックで、見事潜入に成功。しかし、彼の前に立ちふさがったのは、なんとサンタクロース本人!
リース状のモーニングスターやスティックヌンチャク、更には縮小化からのサンタクロースパンチで、超一流の傭兵を追い詰めるサンタクロース。だがしかし、その間隙を狙い、なんと狂暴な雪男が乱入。サンタクロースVS雪男のデスマッチの最中、デッドプールは雪男を殺害、サンタクロースとの和解に成功し、目的も達するのでした。
そしてクリスマス当日、クリスマスを楽しもう、サンタを心待ちにするマフィアの元に訪れたのは、煙突からサンタの格好をして現れた、デッドプールだったのです!
というわけでこの作品を、真三大“アメコミのホリデースペシャル”の一つとさせていただきます。
フラッシュ・イン・ザ・フラッシュ・ビフォア・クリスマス
“史上最高に忙しいクリスマス!”
“キーストーンシティの愛されヒーロー本領発揮”
まず有権者の皆さんに訴えたいのは、最速のヒーローフラッシュは、複数人居ること。今回の主人公であるフラッシュは三代目のウォリー・ウェスト。加速生物学の権威である妻リンダと、それぞれ特殊能力を持つ双子のアイリスとジェイを子に持つ、スピードフォースを最も識る男なのであります。
さて、そんなウォリーですが、クリスマスは朝から大忙し。リンダといちゃついた後、アフリカのゴリラシティにプレゼントを送るべく、宅配便の列へ。だが並ぶよりも、直接届けたほうが早いことに気づいた彼は、直接アフリカのポストへ向かうのです。
アフリカで連絡を受けたウォリーは、母親のためにクリスマスツリーを高速で準備。そのままの勢いで、ワニ男キラークロックに苦戦するバットマン達がいるゴッサムへ。そこで会話の中に出てきたのは、魔術師レイブンの名前。JLAのクリスマスパーティーにて、気難しいレイブンのプレゼントを選ぶ仕事を、任されてしまったのです!
こうしてはいられないと、本気で走り始めるウォリー。家族へのプレゼント、レイブンへのプレゼントを用意し、品切れのオモチャをゲットすべく工場のラインに乱入。全て手はずを整えた後に、子供たちの劇を鑑賞と、正に鬼の如き速さでスケジュールをこなす姿は、実にフラッシュなのであります! 最後、妻とレイブンへのプレゼントを間違えるという凡ミスも速さで解決! というわけでこの作品を、真三大“アメコミのホリデースペシャル”の一つとさせていただきます。
ジョナズ・ホリデー・キャロル
“クリスマスキャロルにまさかここまでハマるとは!”
“NYで一番クリスマスの楽しみ方を知っている編集長!?”
まず有権者の皆様に訴えたいのは、今回の話の主人公は、デイリービューグルのトップにしてスパイダーマン大っ嫌いな頑固者、J・ジョナ・ジェイムソンであること。彼は、名作クリスマスキャロルの主人公であるエベネーザ・スクルージに負けぬ、ケチで偏屈な大人なのであります。
さて、今日もスパイダーマンの正体であるピーター・パーカーを酷使するジェイムソン。ピーターの今日の仕事は、港で起きたトラブルの撮影となりました。
クリスマスに悪態をつきながら、ソファーで眠る彼の下に現れたのは、過去の精霊ならぬ過去にして今のヒーローであるキャプテン・アメリカ。タイツを着た男が嫌いなジェイムソンに、子供時代の純粋で素朴なジェイムソンや、愛息ジョンとクリスマスを楽しむ、過去の姿を見せるのです。
次にジェイムソンの元に現れたのは、ちょっと精霊ちっくなシング。シングはジェイムソンを連れ、クリスマスを楽しむ人々や、ピーターの帰りを待ちわびる老いた叔母メイ・パーカ、そしてジェイムソンが寝ている内に、港の事件がアベンジャーズVSヴィランの大乱戦であり、ピーターが危険な目にあっていることを知るのです。ここまでくればお気づきでしょう、このストーリーが、クリスマスキャロルをなぞっていることに!
当然続いて偏屈オヤジの元に現れたのは、未来の精霊スパイダーマン。アベンジャーズが港での戦いで全滅したこと、ピーターを失ったメイおばさんが生きる望みを失ったこと、デイリービューグルが倒産したことや、息子であるジェイの落ちぶれきった姿。
数々の絶望を見せられたジェイムソンは、ここでようやく悪夢から開放。現実では、突如現れたスパイダーマンの助けによりアベンジャーズが勝利したことを知り、安堵。生きて戻ってきたピーターや、ふと足を運んで来たジェイに抱きつき、今の素晴らしさを実感し、満面の笑みでクリスマスパーティーの開催を宣言するのでした。
その後、元のもくあみなオチはあるものの、この作品を、真三大“アメコミのホリデースペシャル”の一つとさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。