自宅待機なんて、嫌いだ……。

　バットマン：梟の法廷は、リランチ後の第一話、つまり「ゴッサムにはヒーローであるバットマンと、ジョーカー達フリークスがいて、フリークスは倒された後精神病院アーカム・アサイラムに収容される」　このイメージだけでなんとかなります。流し見した映画で得た、薄ぼんやりとしたイメージでも平気。
　今までの設定を引き継いでいるものや、知っているからこそくすぐる小ネタもありますが、知っていた方がいいけど、知らなくてもどうにかなるで留められています。そもそも、新規層と既存層、共に基本的なスタートラインを同じくするために、斬新で新たな脅威をゴッサムに用意したわけで。
　物語は初めが肝心と言いますが、その点では梟の法廷、スタートダッシュがブースターですね。大開放されるアーカム囚人VSバットマン、多勢に無勢のバットマンの前に現れるジョーカー、しかしジョーカーはバットマンと結託、まるで長年組んでいたかのような熟練のコンビネーションで囚人たちを蹴散らす！
　いくらリランチだからといってそりゃねえよ！と叫びたくたるような展開。当然ジョークにはオチがつきものということで、ちゃんと理由はあります。それでも、このスタートダッシュは実にいい。知ってる人を惹きつけ、知らない人にもだいたいの世界観を伝え、全読者層にリランチされた世界はこんな感じですよとアピールすることも兼ねている。最初が肝心という言葉を、ひしひしと感じます。
　最初にやるべきことを果たした後は、新たな悪との戦いへ。ゴッサムシティのお伽話、闇の秘密結社『梟の法廷』を模した犯行を重ねる一団。彼らはお伽話を模しているだけなのか、それとも梟の法廷は本当に存在する組織なのか。ゴッサムの夜を制するのは、果たして蝙蝠か梟か――。
　謎解きと恐怖とアクション、更に僅かな狂気がプラスされ、実に直球のバットマンです。ブランニューデイに梟の法廷、大事件ばかりでなく、通常営業のヒーロー達の姿を描いた物を出版出来る流れ。アベンジャーズのヒットや、書籍の市場拡大、去年からのいい流れが来ているような気がします。