日々雑談~1197~

JLA&Avengers共同開発の宇宙船動力炉にて。

ソー「よし。ムジョルニアをフルパワーにしてセットしたぞ。ところで……君は何をしているんだ」

フラッシュ「これが僕の働き方さ!」(ルームランナー型装置の上で走りながら)

 アイアンマンやハンク・ピムの科学力やスーパーマンやマーシャン・マンハンターが持つ異星の科学を持ってしても、一番効率がいいのはフラッシュに走ってもらうことなのか……。

 そんなフラッシュが居ない世界、フラッシュ・ポイントにおけるフラッシュヴィランのお話。まずは邪悪な巨悪(ゴリラ)ことゴリラ・グロッド主役のタイイン誌グロッド・オブ・ウォーの紹介を。

 まず本来の歴史はこうなります。

 宇宙人由来の科学により、高度な文明を手にしたゴリラたちの楽園ゴリラシティ。だが邪悪な心を持ったゴリラであるグロッドは、平和を愛する王キング・ソロバーの妥当を目論む。グロッドの野望に気がついたソロバーは、光速ヒーローとして名を馳せていたフラッシュ(バリー・アレン)に助けを求める。フラッシュはソロバーの頼みを快諾し、グロッドを撃破。グロッドはゴリラシティを追放され、憎きフラッシュの打倒に邁進することとなる。

 ところが、フラッシュ不在のフラッシュポイントの世界ではこうなりました。

 宇宙人由来の科学により、高度な文明を手にしたゴリラたちの楽園ゴリラシティ。だが邪悪な心を持ったゴリラであるグロッドは、平和を愛する王キング・ソロバーの妥当を目論む。助けを求める先のないまま、ソロバーはグロッドを止められず死亡。ゴリラシティの新たなる王となったグロッドは、楽園を兇暴なる王国に塗り替えると瞬く間にアフリカの大半を占拠した。

王者グロッド

 あらすじから溢れ出る、バッドエンド臭。最もフラッシュポイントのタイイン誌の殆どがこんな感じなのですが。
 フラッシュがいないことにより、野望がかなったグロッド。自称世界征服者でなく、本物の世界征服者への道を歩いているとは、さぞかし幸せだろう。
 と、普通なるところなのですが、グロッド・オブ・ウォーにおけるキング・グロッドの姿はひたすら退屈そうで、虚無感に満ちています。ソロバーをあっさり倒してゴリラシティをゲット、装備や身体能力共に上を行くゴリラの軍団は苦戦することなく人間をアフリカから駆逐、他所の勢力もわざわざアフリカまで攻め込んでこない、自分の思うとおりに物事が進んでいくのはただ退屈なだけ。
 ゴリラの戦闘能力とゴリラシティ=世界随一の科学知識と念動力や洗脳など基本は抑えた超能力。言うなれば、マッチョで独力で蜃気楼が設計できギアスが無制限に使える皇帝ルルーシュのような物。なにこれこわい。フラッシュという重しが無くなったことにより、グロッドは全ての能力を王としての責務に使えることに。元より悪役としての格も、レックス・ルーサーやジョーカーに次ぐぐらい高いわけで。
 暇なら女(ゴリラ)でもどうですかという部下の発言にも空返事。なら闘いだと自軍の有望な兵士と戦ってみたものの楽勝。つまんねえから殺し合いまでやろうぜ!と持ちかけても「偉大な勇者に手は出せません」と兵士が萎縮してしまいお話にならない。ブチ切れて兵士を殺しても心動かず。高級車で移動中、少年ゲリラたちの襲撃にあったものの、テレパシーで同士討ちさせおしまい。人類最後の砦ケープタウン侵攻戦も自分が出るまでもなく勝利。人類のリーダーの脊髄を力任せに引っこ抜いてみても、何が変わるわけでもなく。ヨーロッパに攻め込めば、自分の心を動かすようなことが起こるのかと、ベランダで一人黄昏れる。
 グロッド・オブ・ウォーという勇ましいタイトルに惹かれて買ってみたら、内容はゴリラのアンニュイ。カッコよく言えば王の憂鬱。なんにせよ、凄い話だ。
 正史ではイキイキと悪巧みを目論むゴリラ・グロッドと、この鬱病同然のキング・グロッド。フラッシュの居る世界の彼と居ない世界の彼のどっちが幸せかと聞かれれば、それは当然……。