劇場版仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ 感想
開始時期をずらしたおかげで、今回の劇場版Wは最終回クライマックス寸前という、出し切り寸前の時期での映画化となったわけですが……。それをさっぴいても、反則的すぎる。坂本監督が直球を意識したというだけあって、ストーリーもアクションもシンプルな豪速球。キャッチャーと審判を纏めてバックネットに叩きつけてしまうぐらいの豪速球。ウルトラ銀河伝説といい、今回のWといい、ちゃんと作品ごとに適したアクションや方針を立てられる、坂本監督はすげえな。
いつも褒めてるけど、今回の劇場版Wは仮面ライダー映画のベスト候補。こういう映画こそ、売れて欲しい。
以下ネタバレ満載なため、感想本文は“続きを読む”から。なお時系列としては、44話(シュラウド和解)→劇場版→45話(ミック様撃破)だそうです。45話の冒頭で、風都タワー修復してたしね。
フィリップ「マリアさんは、僕の母かもしれない!」
亜樹子「あ、うん。そうなの?」
フィリップ「なんでアキちゃん、そんなに冷めてるんだい!?」
亜樹子「いやあだって、二人が話してるの見ても、プレデターが若いツバメを捕食してるようにしか見えないもん」
シュラウド(来人。お願いだから、ハードルをガン上げしないで……!)
よくよく考えれば、杉本彩みたいな人が俺の母さんだったらなーって、中学生の妄想レベルじゃねえか。親子の語らいのシーンに垣間見える、女の匂い。仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ感想。決して全くけなしてはいないけど、俺は杉本彩を何だと思っているのだろうか。
財団Xがシュラウドの技術を流用し作成した、次世代ガイアメモリことT2ガイアメモリ。スロット処置が不必要かつメモリブレイク不可と、まさに上位機種。財団Xの技術力は侮れないな、あとはもう少し輸送に気を使ってもらえれば。よくヘリが爆散して、加頭さん生きてたな。NEVERの蘇生技術でも使ったか? もしかしたら、TVに出てた加頭さんはアンドロイドで、頭の中に爆弾が(以下略)
引っ張りまくるのかと思ったら、タイトルで仮面ライダーエターナル参上。OPと共に風にたなびくマントが、OPでマフラーをたなびかせるWを思い起こさせる。正直デザインを見たときは正直どうかと思ったけど、エターナルは動くとカッコいいライダーだね。まあ、よっぽどでなければ、仮面ライダーは動くとカッコいいのですが。某歩く仮面ライダー図鑑は、そもそも満足に動けないからな。よっぽどすぎるわ。
風都に散らばる、T2ガイアメモリという新たな悪意。Wの前に立ちふさがるのは、バイオレンス&アイスエイジ。一方アクセルの前には、ナスカ&ウェザーが立ち塞がる。そうか、照井さんにとっては、Rナスカが見慣れたナスカで、ノーマルナスカは見慣れていない青いナスカなのか。わざわざ青いと強調した辺りで、気づいたよ。
今まで謎だったルナジョーカーのマキシマムドライブ、ジョーカーストレンジでバイオレンス&アイスエイジの強力コンビを撃破。分かれたルナボディが分裂し伸縮自在の腕で殴打、その後ジョーカーボディで止めの一撃という、派生フォーム随一の派手な……って、バイオレンスがウオッチャマンでアイスエイジがサンタちゃんだったのかよ!? T2メモリとはいえ、まさかこの二人が変身するとは。人畜無害な人間をドーパントに変えるT2メモリはヤバすぎる。
いくら生前強敵でも、所詮は再生怪人。アクセルもナスカ&ウェザーを圧倒し撃破。てーか、バイク形態でもマキシマムドライブが使えるのか。アクセルは色々と優秀すぎる。実はスペック上、エターナルにそんなに見劣りしてないし。キック力や走力で互角、ジャンプ力がエターナルでパンチ力はアクセルって感じ。平均して高いスペックを持つ、劇場ライダーとほぼ互角ってスゲエな。
国際特務機関調査員マリアの口から語られる、事件のあらまし。T2ガイアメモリと特殊傭兵部隊NEVER、そしてエターナルに変身するNEVER隊長、大道克己の存在! NEVERのメンバーの苗字の頭文字を繋げると、だ・い・は・あ・ど→ダイ・ハードになるのはワザとなんだろうか。
マリアをシュラウドだと思い込み、気もそぞろなフィリップとは違い、まともに活躍する、僕らのハーフボイルド左翔太郎。Wの二人は、どっちかがダメだともう片方が優秀になるな。
エロい羽原レイカ=ヒート・ドーパントの急襲に須藤元気のオカマ演技がハマりすぎなルナ・ドーパントの援護、背中にコネクタとオメエそれメモリ入れにくいだろと誰もがツッコむメタル・ドーパントの覚醒。謎のドーパントことサイクロン・ドーパントも加え、全員クセがあってなおかつ強い。流石は、主人公仕様メモリのドーパント。
いやーそれにしても、重厚なバイクアクションを見せつけられると、ときめくね。やっぱライダー=バイク、幻影マスカレイド軍団とWのバイクアクションは必見。てーか今回の映画、バイクがいちいちカッコいいね。乗り捨てさえ、カッコいい。ついでにサイクロントリガーのマキシマムドライブ、トリガーエアロバスターも公開。これでW全形態のマキシマムドライブをコンプ。エアロバスター、なんかロックマンの特殊武器レベルの地味さだったけど、気にすんな。
マリアさんに呼ばれて集めたメモリ持ってったら、大道克己が待ち構えていました、ヒャッハー。ついでに中身がボウケンシルバーなトリガー・ドーパントまで。モンハンでヘビィボウガンを愛した身としては、トリガーのライフル至上主義には、頷かざるをえない。
「翔太郎、ここは僕にいかせてくれ」
ファングジョーカーだ! ファングジョーカーが出たぞー! 実はジャンプ力以外エクストリームより上なファングジョーカー。むしろなんでジャンプ力だけ劣るのかを知りたい。おいおい、ここでエターナルに勝っちゃったらどうするんだ? まだ、尺は十分に残っているんだぞ?
翔太郎&フィリップ「「先生助けて! ファングメモリが息してないの!」」
どうせあの世界で先生呼んでも、井坂先生だけどな。
エターナルの前世代メモリ無効化能力により、Wとアクセルの全メモリが使用不可に。しかもクレイドールやナスカといったミュージアムのメモリまで。なんかテラーのメモリだけは、普通に使えそうなのは気のせいだろうか。琉兵衛の余裕とカリスマっぷりで。
絶望の中、敵としての本性を表したマリアに未だすがるフィリップ。ついにはKYな発言をした翔太郎まで殴ってしまう。このシーン、見事に第二話(まさにハーフボイルド→殴打)のシーンのオマージュね。あん時は、KYなフィリップが翔太郎に殴られて。この一年でのフィリップの成長がよく分かる、名シーンでした。
俺が捜しているメモリを発見した人間には、10億やるぞ!
うん、金のために全力でいがみあう風都市民の民度は、ゴッサムシティに負けないレベルだと思うんだ。俺は、風都ノーマンズランドを書くべきなのか。取引相手は、風都タワーを占拠したテロリストだぞ。風都市民はどんだけ、金に汚いんだ。そりゃミリオンコロッセオも大儲けだわ。
でもこの一件で、街に散らばっていたミュージアムのメモリが一気に集められたワケで。図らずも、街が一気に綺麗になったな。
マリア≠シュラウドは予想していたけど、マリアが大道克己の母親だということまでは予想していなかったわ。あと彼女がサイクロン・ドーパントなのも。死者蘇生+風+中立で、サイクロンの正体は霧彦さんだと思ってた。ミステイク!
死者を蘇らすという不文律を犯してしまった時点で、この親子の運命は決まっていたのかもしれない。デス・ドーパントとは、一体なんだったのか。
囚われたフィリップ、一人悩む翔太郎の前に現れたのは、仮面ライダースカルに変身したオヤッさんの幻影。ロストドライバーを置いて行ったので、ただの幻影ではなかったのでしょうが、ならばアレはいったい? 映画で解明されなかった、最大の謎。次点は、映画の間、本物のシュラウドは何をしていたのか。
メモリと人は惹きあう、ならば翔太郎と惹きあうメモリは“切り札”。雨漏りという伏線を通過し事務所に落ちていた、T2メモリJ ジョーカーメモリ! ロストドライバーとJメモリにより、仮面ライダージョーカー登場! 黒いライダー? 緑……いや、やはり黒いライダーだ!
仮面ライダージョーカーのスペックって、ものスゴク低いんですよね。Wの半身だけあって、パンチ力やキック力はWの半分。歴代ライダーと比べてもかなり低く、G3Xに負けてG3になんとか勝てるレベル。正直この危機的状況に置いて、力不足というしかない。
しかし力不足なのに、何故仮面ライダージョーカーはコレほど強い!? ライダーキックにライダーパンチという、シンプルな大技でヒート・ドーパントとメタル・ドーパントを撃破するという大金星。まさに仮面ライダー!
ジョーカーとコンビを組んで、占拠された風都タワーに乗り込むのは、エンジンブレードをぶん回す生身の照井竜。まるで変身能力を失った風見士郎みたいだ。しかも、
「先に行け!」
「照井!? 一人で大丈夫なのか!?」
「……俺に質問するな!」
こんな熱いやりとりの後、普通にルナ&トリガーと生身で渡り合ってたし。あくまでサブライダーだけど、照井さんこの映画でカッコ良いシーン多すぎるよな。振り切るぜ!や~~がお前のゴールだみたいな決め台詞も、余すとこなく使われてたし。
フィリップの思いは無駄ではなかった。マリアは己の過ちに気が付き、大道に謀反。駆けつけた翔太郎の援護もあり、フィリップはエターナルのメモリ無効化能力を消去。フィリップをデバイスに風都を不死者の都市にしようとしていた、大道の野望はマリアの命と共に砕け散る!
死から蘇った大道がフィリップを兄弟と呼んでいたのは、TVストーリーへの伏線だったんだな。あと園咲家は、この騒動に関わらなかったけれども、関心だけは持っていた方が良かったと思う。経緯は別にしろ、直後の一件で、園咲もNEVERみたいにフィリップを道具として使って大失敗したんだよね……。せめて、作戦の経緯ぐらい見ておけば。
トリガー・ドーパントはトライアルの手によりゴールにぶち込まれたものの、戻ってきたルナ・ドーパントが逃げる大道を追うWの前に立ち塞がる。時間がないとほぞを噛むWの足元に転がってきたのは、一枚のメダル。
「仮面ライダーはやっぱ助け合いでしょ」
ライダー大戦全否定のセリフを口にし、謎のイケメン火野映司、仮面ライダーオーズ、銀幕で初登場! スピーディーなアクションもスカパラみたいに軽快なBGMも好感触、こりゃW終わったからって、仮面ライダー感想を止められそうにねえな!
ディケイドの時のWとの違い? 経緯と状況じゃない? あの時のWは、ディケイドやクウガじゃ勝てない強敵(シャドームーン)を瞬殺。今回のオーズは、忙しいWの代役を志願し、普通の敵を撃破。ディケイドやクウガにシャドームーン出演のBLACKをカマセにした初登場と、物語の一部としての初登場。どっちの好感度が高いかは明白でしょ。
とりあえず、ディケイドのスタッフは、マジンガーZ対暗黒大将軍を百回見直すように。あれは新キャラ鮮烈デビューと前作主人公の意地を両立させた秀作。
風都タワーでのエターナルとWの最終決戦。フォームチェンジを次々と繰り出し、エターナルと五角以上に渡り合うWを見ると、Wスタッフはこういうことをしたかったんだなというのが伝わってくる。矢継ぎ早の9フォームにエクストリームと、Wのフォーム全登場! あ。ファングいねえ! ま、まあホラ、ファングはどうしてもね! 翔太郎が変身してる時点で出番がね! 実際、ファング最後のシーンが、エターナルのせいで事切れる姿なので、このままTVに出ないと、マジでファングを死亡扱いにするしかない。最近のTV展開を見ていると、なんか本気でヤバそうなんですが。さらば、ファング!
窮地のW+風都市民の祈り+風都に吹く風+主題歌=仮面ライダーW サイクロンジョーカーゴールデンエクストリーム! この方程式を目の当たりにして、果たして燃えずにいられるだろうか。全てのT2メモリを取り込んだエターナルでさえ、黄金の力には敵わず玉砕。本編に出るかどうかは知らないが、現状ゴールデンエクストリームがW最大の切り札か。風の力でパワーアップ、Wの原点にして、仮面ライダー自体の原点。シビれるねえ。
大団円。最後のシーンを前にして、俺に言えることは一つだけ。そして長くなった感想も、これでおしまい。
所長、そろそろこの人の域に到達しようとしている……。少なくとも、第四の壁は破壊してたよ!? マジで。まさかの所長オチで感想が終わるだなんて、アタシ聞いてない!