一日一アメコミ~9~
JLA/Avengers
かつてアベンジャーズと渡り合った、惑星ポルマカスの勇者アーコン。悪しきジャスティス・リーグこと、クライムシンジゲート。かつて二大ヒーローチームを苦しめた強敵たちが、突如惑星や次元ごと消滅した。だがこの事件は、マーベルユニバースとDCユニバースを揺るがす変動の始まりに過ぎなかった。この世界で、何かが起きている。それぞれの世界で動き始めた、ジャスティス・リーグとアベンジャーズ。だが、二つの正義は混ざることなく、お互いの理念の元にぶつかり合う。
実はこの戦いは、宇宙の起源を探求する者クローナと不死のゲームプレイヤーことグランドマスターの掌の中にあった。ヒーローたちを駒としたゲームを持ち出すことで事態の収束を図っていたグランドマスターだったが、クローナの裏切りにより、事態は最悪の方向へと進んでしまう。マーベルとDC、二つのユニバースを強引に融合させることで、宇宙の起源を知ろうとするクローナ。争いと融合を経て、互いの尊さを知ったアベンジャーズとジャスティス・リーグは、この危機を前に和解し、共に正義の道を征く。数多のヴィランを従えヒーローたちを待ち構えるクローナ相手に、二大ヒーローチームによる史上最大のアッセンブルが炸裂する!
スーパーヒーロー戦記を見た結果、ああ紹介したい! めっちゃ紹介したい!となった本作。本当はこれ、最後に持ってくるつもりでいたんですよ。マーベルとDC、二大出版社のヒーロー夢の共演と言えば96年に出版され後に邦訳も出た「DC Versus Marvel」が有名ですが、2003年刊行の本作こと「JLA/Avengers」はこのラインとは別に出来た新たなクロスオーバー作品となっております。「DC Versus Marvel」は全ヒーロー参加の対抗戦といった感じでしたが、「JLA/Avengers」は二大ヒーローチームがタイトルに入っているだけあって、ジャスティス・リーグとアベンジャーズをメインとした物語となっています。
なので、ジャスティス・リーグやアベンジャーズでないキャラクター、例えばティーン・タイタンズのロビンや当時まだアベンジャーズと距離があったスパイダーマンは、出番自体はあるものの別働隊扱いとなっております。本来はX-MEN所属であるもののアベンジャーズへの参加経験が考慮された結果、最後の戦いに参加できたビーストみたいな例もあるといえばあるのですが。たぶん一番ギリギリなのは、アベンジャーズ参加経験によりヒーロー側についてたマーベルのサンドマン。勢いのままにスコーピオンをぶっ飛ばしてたけど、君ら本来は(スパイダーマンをぶっ飛ばしたい)仲間でしょ!?
全4話の構成としてはこんな感じです
第一話 各世界で起こる異変。ジャスティス・リーグとアベンジャーズが互いの世界を知る。互いの正義のあり方に疑問を抱く両チーム。世界をめぐる中、ついに二つのチームは遭遇。
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第二話 グランドマスターによるゲームへの誘導。両チームによる、各世界の超アイテム争奪戦開始。ゲームは平穏な形で終結し、事態も解決へと向かう寸前、クローナが裏切って約束を反故に。超アイテムを一気に手中に収める。
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第三話 クローナの暴走により、二つの世界が融合。アベンジャーズとジャスティス・リーグが共にあった世界へと、記憶ごと改竄される。だがヒーローたちは、辛い記憶ごと真実を思い出し、共に手を取り世界を元に戻すための戦いに臨む。
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第四話 クローナの元に向かうアベンジャーズとジャスティス・リーグ。もはや軍隊と化したヴィランたちの防衛網に苦戦するものの、かつてチームと縁のあったヒーローたちも負けじと集結。最終決戦の幕が切って落とされる。
「DC Versus Marvel」はDCとマーベルが融合した結果、アマルガム・コミックスが誕生。スーパーソルジャー(スーパーマン+キャプテン・アメリカ)やダーククロー(バットマン+ウルヴァリン)のようなニューヒーローがポコポコ生まれるというカオスな状況になってましたが、「JLA/Avengers」はある意味ストレートな展開。日本風に言うなら、東映オールスター映画やスパロボとほぼ同じ展開。ストレートだからこそ、マーベルとDCのヒーロー感の違いや、とにかくたくさんある小ネタに、もはや戦闘ではなく戦争状態の最終決戦のような個々の要素が生き生きとしている感じですね。最終決戦の戦場は時空も空間も歪んでる。だから、各キャラクターのコスチュームも適時変わるし、故人が参戦しててもおかしくはない! なんともまあ、強引で素晴らしい正論よ!
かつてのクロスオーバー対決同様、とにかくパニッシャーと相容れないバットマン。
アクアマンの海中生物への干渉能力がモロに効いた結果、ネイモア以外敵味方全滅寸前なマーベル海の会の皆様。
DC世界のヘラクレスとの因縁を、そのままマーベルのヘラクレスに叩きつけるワンダーウーマン。
偶然拾ったインフィニティガントレットを装備したダークサイド。
シャザムとマー=ベルによる、今日は俺とお前でダブルキャプテン・マーベル。
ところどころ、いろいろくすぐってくるんですよ、この作品。洋書でも手に入れるのが面倒な今、邦訳という抜け道でぜひとも出してほしいものなのですが。以前公質疑応答の企画で小プロに邦訳できるかどうか尋ねた時は「可能」との言葉をいただきましたし。日本語を使って、もっと深くこの作品に潜りたいし、何より色んな人に潜って欲しいなあ……。