2014年5月22日
/ 最終更新日 : 2014年5月22日
fujii
アメコミ
現在の展開にあまりこだわらず、そのキャラの中短編を書く。アメコミにおける特別編とも言えるアニュアル(Annual)誌。そして先日配信されたDeadpool Annual #2が色々と興味深い内容だったのでちと触れてみます。まずは表紙、そしてあらすじをば。
「一人にしてくれ! 頼むからさ……」
何時も以上につれないどころか人間不信に陥っているスパイダーマンに困惑する、自称アメイジング・フレンズのデッドプール。最近、人助けをする度に、助けた筈の相手に攻撃される。もう誰が本当に助けを求める人で、誰が罠なのかわからない。焦燥し逃げ出したスパイダーマンに追いついたデッドプールが見たのは、無害そうな中年女性の首を締め上げるスパイダーマンだった。流石にそりゃねえよとデッドプールは止めるが、拘束を解かれるや否や中年女性はスパイダーマンに注射を刺す。彼女の正体はスパイダーマンの宿敵の一人カメレオン、変幻自在の変装術により、こうしてスパイダーマンを人間不信へと追い詰めたのだ。
デッドプールは即座にカメレオンを殺しにかかるが、薬品を注射され意識朦朧なスパイダーマンが何とか止める。こんな陰湿な策略に追い詰められても、スパイダーマンの辞書に殺しは無かったのだ。
意識を失ったスパイダーマンを前に、責任と親愛に満ち満ちたデッドプールは考える。
「二人はアメイジングフレンズ! 考えろ、ウィルソン、考えろ……そうだ!」
おもむろにスパイダーマンのタイツとマスクを脱がしたデッドプールは、スパイダーマンと自分のマスクとタイツを着せ替えてしまった。
スパイダーマンになりすました自分が囮になって、殺せないスパイダーマンの代わりにカメレオンを殺す。完璧すぎる作戦を胸に、新たなスパイダーマンはNYの街中に跳び出す!
きらりと光る怒りの目、駆けろ! スパイダーマン(偽)
というわけで、今回のアニュアルは、デッドプール&スパイダーマンに焦点を合わせまくった短編です。ついこの間までスパイダーマン(ピーター・パーカー)はちょっとした転校生状態で精神がドクター・オクトパスと入れ替わっていたので、まっとうなスパイダーマンとのコンビは久々ですね。なお、中身がオクトパスなスパイダーマン&デッドプールも、数カ月前にありました。
そんなこんなで、スパイダーマンの代わりをデッドプールが務めるという「あれ? ヤバくねコレ?」な展開ですが、実際見てみると、破天荒な所はあるものの、スパイダーマンであろう!と頑張ってます。
「えーと、捕まえた強盗は、ウェブでグルグル巻きにして街灯に……まあ、これでいいよね!」
そして、ヘビを操るヴィランが出てきたら「動物がテーマのヴィラン! 昔のスパイダーマンだ!」と目を輝かせる。
今回のデッドプールは、実にファンです。スパイダーマンならこうするよね! スパイダーマンになった以上拳銃はおいそれと使えないぞ! ファン目線で、スパイダーマンを名乗ることに責任を感じ、はしゃぐ姿は純粋そのもの。デッドプールの破天荒の裏にある、少年の如き純な気持ちが、憧れのスパイダーマンと絡むことにより全力全開です。
デッドプール&スパイダーマンは、pixivのデッドプール関連イラストを見る限り、日本でも人気な女性向けカップリングです。でもまあ、そういう要素を差っ引いても、このコンビ結構自分も好きなんですよね。
スパイダーマン誌にデッドプールが出る時は、キャラの紹介やゲスト出演という事情を含めて結構ないつも通りなんですが、デッドプール誌にスパイダーマンが出る時は、憧れのヒーローを前にしての健気さがそこかしこに。
デッドプールのパートナーといえば、まずケーブルが居るのですが、この二人との関係は愛情友情善意悪意都合と、様々な物が入り混じった結果、酒のんだ次の日に殺しあうような物。類似例はタスクマスターとかウルヴァリンとか。
対してスパイダーマンとの関係は基本憧れや尊敬があるので、デッドプールなりに敬意を払っている都合上、余程スパイダーマンが本気殺る気で無い限り、殺し合いにゃあなりそうもない関係。こっちの類似例は、永遠のヒーローことキャプテン・アメリカ辺りかと。
デッドプール&ケーブルもデッドプール&スパイダーマンも、それぞれに魅力があります。正直な所、どっちも好きです。ケブデプコンビの悪友ぶりも、デプスパコンビの微笑ましさも、なんとも好ましい物かと。ボブ? デッドプール&ボブはほら、ボブとしか言えん物やし……。
しかしデッドプールとスパイダーマンのやりとりが見れる邦訳がデッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバースしかないのは、少しだけ歯がゆく。キルズはちょっと絡みとかそういうの期待して読む感じのアレではないですし。特別仕様ではない本来のデッドプールが誰かとガッチリと組む、チームアップ的な物を日本語で読んでみたいものです。