デッドプール チームアップ! 涼宮ハルヒの憂鬱 後編
「いままでのあらすじ」
「いやそれ、根本的に間違ってるだろ!?」
「じゃあ、こっちで。いやーオレちゃんホント、目立ちたくないんだけど、キョンがそう言うんじゃしょうがないな」
「軌道修正すると見せかけて、もっと酷い方に行くな! あと責任を俺に押し付けるな!」
「しょうがねえなあ。じゃあ、コレか新しい方でいいよ。このワガママハイティーンめ!」
「もうあらすじ一切関係ねー!」
「オレが朝比奈みくるに成り代わってから、五年の月日が流れたワケだが(CV後藤邑子)」
いきなりこの男は、何を言い出すのか。朝比奈さんの皮を被った赤タイツは、大仰に椅子に座って、ワケのわからんことをのたまっている。イメージナンチャラとかいう装置は認める、スイッチひとつで誰にでも化けられる万能さも認める。だから、せめて動きを合わせてくれ。大股開きでいるな。
「いえ。五年も経ってませんよ」
妙に疲れ果てた古泉が真正面からツッコミをいれた。
「あーそうか! 二ヶ月弱か! 書いた本人も、まさかここまで間が開くとは……って悩んでたよ。アイツが風邪ひくのが悪いんだよ。オレたち、何も悪くねー」
誰だその、風邪をひいたアイツっていうのは。
溜息を吐く古泉。このデッドプールは何をどう言おうが、どうせ別のワケのわからんことを言うのみなのだ。つまり、どうせツッコンでも無駄だ。五年も二ヶ月も付き合っていないが、オレはそのことを学んだぞ。
「あなたが来てから、今現在までの時間は24時間」
「長門の有希ちゃんは遊び心が無いなあ。オマエが“実は半年経ってました、イェーイ!”とでも言えば、ここのキョンくんがひょっとして!?なんて悩み始めて、大長編が始まるのに。具体的に言えば、前後編2冊ぐらいの」
大長編ってなんだ、前後編ってなんだ。それに正直、長門にそんなことを言われたら、半年より何より、イエーイ!がひっかかるぞ。長門直々にピースサインでも付けられた日には、寝こむぞ、俺。
「ところで、そろそろ本題に入りたいのですが。SOS団に潜伏しているスクラル人を見つけるとの話でしたが、そちらの判別に目処はついたのでしょうか?」
この部室に居る、古泉、長門、そして俺。この三人のうち誰かが、スクラル人という宇宙人が変身したニセモノで、ハルヒを狙っている。現に朝比奈さんは入れ替わられて、現在これまた、奇妙な装置で変身したデッドプールが成りすましている。真実を見極める役とスクラル人の生殺与奪の権はデッドプールに握られている。現状は、こんな感じだ。
冷静に検証してみると、これ凄くヤバい状況だな。特に、生殺与奪の権を、このイカレポンチが握っている辺り。
「モチロンさ! だからこうして、わざわざ関係者をハルヒちゃんが部室に来るより先に呼び出したワケだね」
なんか今こいつ、こっそり「ヤベ、忘れてた」と呟いた気がするのだが、きっと気のせいだろう。気のせいにしておいたほうが平和だ。主に俺の心持ちが。