ワカメ同情
何故僕は奴に勝てないのだろう。混濁した意識で慎二はそんなことを思った。
元々衛宮とて素人同然、魔術の素養はともかく知識では明らかに自分より格下だった筈なのにさっさと自分を追い抜いていき、その勢いで聖杯戦争の勝者となってしまった。明らかにつけられた差、敗者と勝者の境目を埋めるには百万言の言い訳をもってしても不可能だ。
僕と衛宮の何が違う――?
「それは道場じゃよ」
どこからか聞こえてくるしわがれた声。慎二はその声に起こされるように目を覚ました。
「というわけでワカメ道場開幕じゃー!!」
白い道着に身を包み、杖代わりに竹刀を支えにした臓硯が叫び。
「おー」
当然のようにブルマを装備したハサンがそれに答える。
「一生開幕しなくていいよ!」
慎二は道場からの脱出を図った。