ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その10~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第10話!
 ダメだ。初の叫び声付きのハルクスマッシュIN日本の住宅街や和室のアイアンマン&ソーの絵面で面白すぎる。サムライの屋敷の門の前に、ニンジャが群れているとかお前コレ、ネオサイタマ!?
 日本を本拠地にするにあたっての、シルバー・サムライとの政治的交渉。互いを主張し合い尊重しあうヒーローとパートナー。スパイダーマンへのアリガトウ。CV西川貴教登場により注目されやすい回で、ディスクウォーズで描きたいことやディスクウォーズだからこその光景をこうして盛り込めたのは、非常に良い流れだと思います。カリフォルニア的なジャパン演出も、個人的には大好き大好物ですよ?
 今日紹介するのは、かつてマブカプで知名度を馳せ、ディスクウォーズでも善悪兼ね備えた大物らしさを見せつけてくれた、銀色のサムライです。しかし妹絡みのエピソードに、社長との宿命。本来そのエピソードを担うべき男の出番は、今後果たして……。

シルバー・サムライ

シルバー・サムライ

 ケヌイチロウ・ハラダ、ケヌイチロウ・ハラダ、発音が難しいのか資料によってまちまちとなる本名。漢字表記だと原田剣一郎なので、おそらくケンイチロウ・ハラダ、日本の並びにするならハラダ・ケンイチロウが正しい発音と思われる。別の日本人キャラ、忍者軍団ザ・ハンド総帥マツオ・ツラヤバのツラヤバも、円谷(ツブラヤ)がなまった結果という説もある。パニシャー、パニッシャー。ムジョルニア、ミョルニル。読み方の輸出入は難しい。
 日本の犯罪組織ヤシダ(矢志田)一家の総帥、ヤシダ・シンゲンの非嫡子として生まれた彼は、サムライやニンジャの修行を積んで渡米。銀色の鎧兜を身に纏った用心棒にして傭兵シルバー・サムライとして名を馳せる。日本人ミュータントであることから、カテゴリー的にはX―MENのキャラとして数えられる彼だが、雇われの結果、初めて戦った相手は向こう見ずのクライムファイター、デアデビルだったりする。

シルバー・サムライ初登場

 本来、ヤシダ一家を継ぐ立場ではなかったものの、異母妹であったヤシダ・マリコが死亡。シルバー・サムライはヤシダ一家の総帥となる。その後は、マリコの婚約者でもあり、元来因縁浅からぬ間柄でもあるウルヴァリンの宿敵となり、何度もウルヴァリンと死闘を繰り広げる。だが、戦いを重ねていくうちに、二人の男は理解を深めていき、やがて間柄は宿敵怨敵から敬意が入り混じり共闘もふくむ好敵手へ。もう殺すしかねえセイバートゥースやオメガレッドといった怨敵はゴロゴロ居るウルヴァリンだが、敵から始まりこういう関係に落ち着いたのは珍しい。

シルバー・サムライVSウルヴァリン

 ヴィランからヒーロー寄りにシフトチェンジし始め、最近話題の和製ヒーローチーム、ビッグヒーロー6のリーダーにもなったシルバー・サムライだったが、とあるヴィランに洗脳された結果、正義の心を揺らがされた上「お前のヒーロー活動は、プロフェッサーXがテレパシーで洗脳した結果なんだよ!」という物凄くリアリティのある嘘を信じてしまい。ヒールターン。そのまま犯罪者から中庸を経て、最終的には正義の心が蘇った結果、再び国家の守護者へ。だがしかし、ウルヴァリンとずっと繋がり続けて来た縁が苦難を呼び、片腕を喪失、その後マリコの墓の前で迫り来る敵を相手に孤軍奮闘の後、死亡した。

マブカプ版シルバー・サムライ

 ミュータントとしての能力は、エネルギーの注入による物質の強化。性質的には、物質に爆発エネルギーを送り込んで爆弾へと変えるガンビットに近い。シルバー・サムライは、主にエネルギーを自身の愛刀に注入、タキオン粒子を纏った刀はアダマンチウム以外の全てを切り裂く妖刀となる。一時期は、アイテムによるテレポーテーション能力も持っており、サムライの剣術とニンジャの神出鬼没を併せ持つ、マッポーめいた力を存分に振るっていた。能力を数値化した場合、戦闘技能に全振りしたようなスペックになっているのは、自身の能力を活かすための研鑽を重ねる、X―MEN及びミュータントらしいスペックと言える。
 現在は、ニュー・シルバー・サムライにして二代目ヤシダ・シンゲンを名乗る、ハラダ・ケンイチロウの非嫡子シンが、名とヤシダ一族の実権を継いでいる。ヒドラやヘルファイヤークラブにハンドと言った、マーベル悪の組織と積極的に手を結んでいることから明らかなように、陣営としては紛れもない悪。科学的に強化された飛行可能なニューアーマーや奸智で、若さと経験の無さを補えるかが今後のポイント。あまりふるわなかった場合、シン死亡後のケンイチロウの復活復帰も十分あり得る。アメコミ業界の就職事情も、また厳しい。

ニュー・シルバー・サムライ

 日本が舞台である映画ウルヴァリン:SAMURAIにも、ヤシダ一家の守護神として登場。ニューシルバー・サムライを彷彿とさせるアーマーに、装着者であるシンゲン、更には原作を知っている人間ほど騙されたであろうハラダ・ケンイチロウの登場と、今まで築き上げたシルバー・サムライとヤシダのイメージを、混合後、再構築した物となっている。

映画版シルバー・サムライ

 余談ではあるが、映画ウルヴァリン:SAMURAIにて暗躍した毒蛇女ヴァイパー。ミュータントだった映画と違い常人ではあるものの、原作における彼女は、シルバー・サムライの初期における雇い主にしてその後愛人と、シルバー・サムライとの縁を築きつつ、他の組織にも積極的に接触。キャプテン・アメリカやアイアンマンにウルヴァリンと対峙した巨悪である。そして毒蛇の名の通り、あの組織とも深い繋がりがある。