魔法少女は救えない~全部、終わってしまった~

 ここは、極彩色の地獄であった。
 中国の女官によく似た使い魔、群れる彼女らの布陣を火線が一直線に切り裂く。続けざまに放られた手製の爆弾が、使い魔を焼いた。
 続けざまに降り注ぐ、矢の雨。回避不可能の豪雨を、彼女は時間を止めることでくぐり抜けた。回避成功を祝うかのような交響曲が戦場に響く。暁美ほむらは、息切らせ、辺りを見回す。彼女を取り囲む、使い魔の群れ。ももいろさんと呼ばれる弓を使う個体。ただ曲を奏でるホルガー。踊り続けるクラリッサ。多種多様な使い魔が、彼女一人を見下ろしていた。
 暁美ほむらという少女の心は、極厚の包囲を目にしても揺らがなかった。この程度で心を揺らがせていたら、この地獄をくぐり抜けることは出来ない。
 そんな、彼女の心を搖らがせる為に現れたのは、使い魔の主達であった。クラリッサを踏み潰し現れる、人魚の魔女オクタヴィア。虚ろな蹄の音とともに現れる、武旦の魔女オフィーリア。異形である青と赤の魔女は、それぞれが持つ武器の切っ先を、ほむらに向ける。動こうとしたほむらの足が、何かに引き止められた。
 片足に絡みつくリボン。いつの間にか背後に居並んでいる、赤色の髪と槍を持つ、使い魔あかいろさんの軍団。一体のあかいろさんの手の上で、小型の魔女、おめかしの魔女キャンデロロが揺れていた。
 時間停止を以ってしても、このように地面に繋ぎ止められてしまっては、脱出不可だ。オクタヴィアが剣を振りかざし、オフィーリアの馬が鳴き、使い魔が一斉に武器を構える。絶体絶命と呼ぶべき状況。それでもほむらは、悲鳴の一つも上げなかった。嘗ての仲間の殺意を、一身に浴びても。
 放たれた矢が、キャンデロロを貫く。小さなキャンデロロの身体が、あかいろさんの手から落ちる。消滅していくキャンデロロを見て、ももいろさんの一人が泣いていた。
「ごめんなさい……マミさん……」
 ももいろさんではなく、とてもとても、ももいろさんに似た少女がももいろさんに混じっていた。鹿目まどかは、矢を放ったままの姿勢で泣いていた。魔法少女の宿命を負ってから、何度泣いたことか。
「跳んで! まどか!」
 キャンデロロの拘束が解けたほむらが、まどかに指示を飛ばす。
 指示通り、高台から飛び降りたまどかが居た場所を、ももいろさんとあかいろさんの一斉攻撃が襲う。何故か主と共に消滅しなかった使い魔たち、熾烈な攻撃は旧友に殺された主の怒りに見えた。
 まどかだけではない、ほむらに襲い来るのは、オフィーリアの突撃とオクタヴィアの攻撃。彼女が選んだ選択肢は簡単なものだった。自分が所持する、爆発物の一斉投擲。爆風と爆炎が、歪んだ世界とその場に居る者全てを包み込む。
 爆煙が風に流され、無傷のオフィーリアとオクタヴィア、細かな傷と土埃にまみれたほむらと寄り添うまどかが現れた。時を止めても、自爆まがいの攻撃からの完全なる回避は不可能だった。使い魔は、爆発の範囲外に居たせいか、殆ど数を減らしていない。
 魔女二人は、ゆっくりと動き始める。だが、二人の魔法少女が、動くことはなかった。
「これで、いいんだよね!?」
「ええ。これでいいのよ」
 まどかとほむらの目線は、魔女ではなく地面に向けられていた。輝く緑色の地面に、ヒビが入っている。先ほどのほむらの自爆は、この大地を搖らがすためにあった。
 この大地は、牢獄。ただ一人を捕らえるための、鉱石の牢屋。この地面の下に囚われている人物を開放する。それが、多数の魔女と無数の使い魔を突破し、ここまでやって来た二人の魔法少女の目的――。
「でも、まだ少しだけ、足りなかったみたい」
 ほむらは、矢を拾う。先程、キャンデロロを貫いた、まどかの矢。足元のヒビめがけ、矢を突き立てるほむら。亀裂から光が漏れ、大地が隆起する。光の柱が、大地に現れる。柱の正体は、牢獄を破壊し現れた男の軌跡であった。力と速度が、軌跡を奇跡同然の光景へと進化させる。
 地割れから逃げた二人も、魔女も使い魔も、宙に浮く奇跡の男を見上げていた。
 赤いマントが、風に揺れている。優れた肉体を覆う、青の衣装。胸部には、黄色の逆三角形の上に、Sと書かれたエンブレム。人を超えた者、超人。原初にして最強と呼ばれる超人こそが、彼。
 彼の名は、スーパーマン。

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日々雑談~1182~

 なんだかんだで、ネタの完成、間に合わなかったよ…。明日はようやくゆっくりできそうなので、仮面ライダーウィザードの第一話でも見ながら、じっくり色々作業しますか。あといい加減、実は買ってあるドラクエ10にも手を出したい所。

 スーパーマン:レッド・サンは怪作にして名作ですけど、バットマン:笑う男も手堅い一品ですヨ……? レッド・サン、長年のネタとしての知名度もあるので、今回大人気ね。
 ただ、キリングジョーク、ラバーズ&マッドメン、笑う男と並んでしまったので、ジョーカーのオリジンはもうしばらくはいいんじゃないかな。流石に、かなり出揃っている。しかもどれも、レベル高いし。
 一番ジョーカーが危ういのがキリングジョークで、一番ジョーカーの出自が分り易いのがラバーズ&マッドメンで、一番ジョーカーの存在があやふやなのが笑う男かな。

日々雑談~1181~

 タイミング的に、今週中がベストか……ということで、急遽作りかけだった記事を作成中。なんとか明日までに、完成に持っていけるか。

腕相撲対決:両腕で必死なキラークロックvs空いた片手で本を読みながら余裕綽々のベイン
結果:体ごとぶっ飛ばされたキラークロックの負け。

 ちくしょう! レゴバットマンでもベインと関わるとこんな扱いになるのかよ、キラークロック! ナイトフォールの時に、試し切りとばかりにベインに何回もやられたのが、尾を引いてますかそうですか。
 でも、ゲーム的には、毒耐性+怪力のベインより、毒耐性+怪力+水中移動のキラークロックの方が出来る事が多かったり。元プロレスラーの経歴を活かして、ブレーンバスターやパイルドライバーも出来るよ! 最も、ベインの組み技には伝説のバックブリーカーがあり、おそらく戦闘能力に関する数値はベインの方が1段高く設定されていますが。
 頑張れ、キラークロック。