日々雑談~1872~

 先日レイトショーで、ドラゴンボールZ 復活のFを見てきました。レイトショーのわりに、客席は5割以上埋まっている状態。対象年齢が幅広い作品とはいえ、夜のアニメでこれだけ集められるのは立派なものです。
 前作「神と神」と同じく、原作者である鳥山明の色が強い作品。しかし、神と神で戦闘力以上の神域が提示されて、続編である復活のFの敵は戦闘力インフレの一端であるフリーザ。なんとも、不可思議な感じです。実際戦闘力の扱いは軽いというか結構適当なのですが、フリーザの強さの指標としてはそれなりに使われております。フリーザが復活した瞬間、兵士のスカウターがバンバン割れたり、フリーザ様が「ちょっと修行すれば、戦闘力100万は超える」と言ってみたり。出会いのフラグ管理やベストでなくベターな手段を取った理由と、細やかな気配りをしつつ、ぶっちぎれるところでは「こまけえこたぁいいんだよ!」と設定を置き去りにしてみせる。
なんというか、実に都合の良い作品です。むろん、褒め言葉で。作品という牛に設定という手綱を付けての、見事なロデオ。ドラゴンボールという強大な牛を、手綱の強弱で乗りこなす。原作者ならではの手腕と権限です。
 そうですね、「神と神」が面白かったなら、バッタバッタとフリーザ軍をなぎ倒す亀仙人の絵面を見てツッコミより先にウヒョー!となれるなら、OKです。高確率で楽しめます。亀仙人が試金石って、すげえ状況だな!

 此処から先、ネタバレに触れますので隠しておきます。

 

 

 フリーザ対悟空、一進一退の攻防に見えて実のところ内実はちぐはぐでした。悟空は腕試しのような試合、フリーザは復讐といった勝負。だからこそ、悟空は試合に勝って勝負に敗けた状況に。つーか悟空、国民的ヒーローにカテゴライズされるものの、性根がヒーローではなく武道家なんだよな……ヒーローじゃない!と言っているのではなく、何気なく発揮される根っこの気質が武道家ということで。神と神以降、悟空やベジータ、サイヤ人の持つ求道家としての側面はかなり強くなっていると思います。
 ボッコボコにしてやりたいという欲はあるものの、最終的には勝てばよかろうなのだ!なフリーザ様。この人は、根っこが悪党。でもビルス様も褒めてた、自身の生存能力に賭けての地球破壊はホント良い作戦だよなあ。生物的に勝っている事を、最大限に活かした奥の手。ちょっとトレーニングしたら神域に達した素養といい、生物的にはフリーザ様完全にサイヤ人に勝ってる。ただ、根っこのところが武道家でなかった結果鍛錬の見切りが早くなり、結局試合には勝てませんでしたが。悟空の変態的なまでの鍛錬への欲望は、敵からしてみれば最悪以外の何者でもなく。
 不満点は特に無いけど、あえていうならBGM関係。特に戦闘シーンでの音楽無しが目立ってたので、隠し味程度でも何か音楽を入れて欲しかったなあと。殴り合いの音だけだと、ちと寂しくあり。
 個人的に、今回のMVPはピッコロさんです。設定資料集に書いてある、悟飯と近距離別居(隣山在住)しているものの、毎日夕飯は一緒に食べている上に、悟飯とビーデルの時間を作るためパンの面倒を見ることも。もはや魔族じゃなくてコレ、超ハイレベルに良いお舅さんだな……。悟空が放棄した役割、完全にカバーしていやがるぜ。