- 2005.04.14 Thursday
- 小説 > TYPE-MOON
悪夢との邂逅。
死の影との死闘。
そして、あの娘との出会い…
色々あった夢は終わり、目を開けるときが来た。
夢の終わり
眼を覚まし、辺りを見回す。
白い壁に薬の香り漂う病室。
そしてベットの周りには見知った人達…
現実だ、夢で無しに会うのは久しぶりの様な気がする。
「…志貴…」
ただいまアルクェイド…って何で眼が金色っぽくなってるんですか?
「お帰りなさい、遠野君。」
先輩、制服に第7聖典は似合いませんよ?
「兄さん、どうかしましたか?呆気に取られた顔をして。」
原因の一端はお前の髪が真っ赤に近くなってるって事だよ秋葉。
「志貴さん、お待ちしてました♪」
お待ちになってたって、貴女がその手に持っている薬の実験台になる人間をですか?琥珀さん。
「………………」
翡翠、頼むからその屠殺場の豚を見るような眼は止めてくれ。
――――――――えーと。
「何やったんだ、俺?」
ニャア…
ふと猫の声が響き、自分の膝の上に一匹の黒猫が乗ってくる。
黒猫…いや、レン。
君のおかげで俺は助かった…
?
変だな、夢で見たときはもうちょっと痩せてた様な気が…
「志貴さん、動物は妊娠すると太るって知ってましたか?」
馬鹿にしないでくださいよ、琥珀さん。そんぐらい俺だって保険体育や生物で…
なるほど、つまりレンは妊娠してるって事か。
猫とかはそういうの早いからな、そこらへん子猫とかの境目は曖昧だろう。
「ちなみにこの黒猫は兄さんが入院する前には妊娠の兆候はありませんでした。
妊娠されたのは兄さんが寝ていた三日間の間と言う事ですね。」
理路整然とした秋葉らしい解説だ。
…おかしいな、俺は夢を見続けていた。つまりレンはここに付きっ切りで居たわけだ。
そんな事をやっている暇は無かったんじゃないか?
ん?…なんか背筋が薄ら寒くなってきたな。
「淫魔って、ある意味夢の中に生きる種族だからそこら辺現実と夢の狭間が曖昧なのよねーたとえば夢で付いた傷が現実世界に返ってきても残ってるとか。」
………アルクェイド、なぜここでそんな豆知識を疲労するんだ?
まるで俺が夢の中でなんかやったみたいに…したか。
「知ってましたか、遠野君。猫って人間と違って妊娠率100%なんですよ。」
へ〜へ〜へ〜。
さすが知得瑠先生、トリビア級の豆知識ですよ、その知識は。
えーと……………なるほど、つまり……
「犯人を貴方です、志貴様」
ビシッ!!と効果音が付きそうな勢いで翡翠が俺を指差す。
はは、洗脳探偵の面目躍如ってところだな。
「兄さん、そんな空虚な笑いを浮かべても無駄ですよ?」
「最初、人間態のレンを見た時はおどろいたわよ。だって腹が出てるんだもん。」
「遠野君と一緒に長い間空想世界でイロイロやってましたからね、現実では3日でも空想世界を合わせたら数ヶ月以上になるでしょうね。」
「ところで姉さん、産婦人科と獣医のどちらの方へお連れすればいいんでしょうか?」
「産婦人科は駄目ですよ、先生が見たらショック死しかねません。なんなら私がやってみましょうか?」
「ニャー」
…なんか周りの声が遠くに聞こえる、もしかしてコレも夢か?
取り合えず布団にもぐって眼をつぶって見る。
意識が遠のいてきたな――――
repeat・・・again・・・・
「夢じゃありません、起きてください志貴様。」
夢の世界に逃げ込もうとしたがいつも通り翡翠に、いや殺気に満ちた翡翠に引き戻される。
…無理ですか?やっぱ。
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