一人きりの楽園。二人の仮面ライダー。

• 2010.08.28 Saturday
• 特撮 > 仮面ライダー感想 > Ｗ（ダブル）感想

「冴子姉さん！？　まさか僕たちを助けて！？」
「バカ言わないでちょうだい。あなた達よりもこの男のほうが嫌いなだけよ」
　冴子さん、少年漫画のライバルすぎる。ドラゴンボールじゃ劇場版の度に、ピッコロさんやベジータがこんなこと言ってたな。
　加頭＝Ｗが関わってきた悪意の結晶。ゴールドメモリだけでなく、まさかNEVERの不死兵士でもあったとは。しかし、もうこれ、スポンサーが特権で使う技術の範疇超えてるぞ。もはや人外の域に、足を踏み入れてるじゃねえか。財団Ｘの目的が闇の中過ぎる。だがもはや、Ｗで得られる情報で解析するのは不可能。あとはまかせたぞ！　かめんライダーオーズ！（児童誌の漫画風に）

　翔太郎のハーフボイルドさの特徴は、情でミスを犯す→ミスを挽回し、なるたけベターな形で事件を終わらせる。物凄く簡単に分析するなら、こんな感じなのだが……。今回は情で犯したミスがハンパなさすぎる。風都の仲間に加え、所長までユートピア・ドーパントの餌食に。希望を失った者は、顔を失う。なんか怖い。照井さんだから、顔を失わないで全身火傷ですんだのかって、火傷の方が痛々しいな！
　最終回直前だけあって、ミスの大きさがハンパないなあ。その分、挽回の仕方は……！

　加頭を演じるコン・テユさんの演技が下手だって言ってる知り合いがいたけど、あの抑揚の無さは演技だろ。いやでも待てよ？　演技だと感づかせない演技こそ最上の演技なのか？　なんにせよ、下手ではないな。間違いなく。冴子さんをボコっている時の不気味なまでの抑揚の無さと、後にすることとなる絶叫を見るに。
　冴子さんの人生って、選択肢をことごとく間違えたギャルゲーの主人公みたいだな。あそこで霧彦さんの手を取っていれば。井坂先生の計画をもっと手伝えれば。加頭の気持ちに気づいていれば。ずっとあがいていなければ。父の愛を求めなければ。なんというフラグの多さか。
　ただ、全力で己を貫いてBAD ENDを迎えた様は、決してカッコ悪いもんじゃないなあと。冴子さん、凄く不器用だよね。愛惜しいくらいに。霧彦さんに心底愛されたことや、井坂先生に多少の人間性を取り戻させただけはあるわ。

　犠牲、悲しみ、責任、後悔。挽回の仕方は、ただ極大！
　オヤッさんの帽子を被り、ガジェットのみでユートピア・ドーパントに立ち向かう翔太郎。その姿は正にハードボイルド。変身できるから仮面ライダーなんじゃない。立ち向かえるから仮面ライダーなんだ！
　全員集合したガジェットが強い強い。ひょっとして、なんとかドラゴンと護衛のミック様を抑えておけば、ガジェットでテラー・ドーパント制圧できたんじゃないだろうか。機械に恐怖の感情は効かないだろうし。
　……ファングメモリはきっと、泣き止まぬフィリップを守ってたんですよ。守ってたらエクストリームにフィリップが吸収されちゃって、結果置いて行かれただけで。劇場版のあのシーンから出番がないファングメモリ。もはや、死亡説が出てもおかしくないぜ。

　照井さんって一流だと思うんですよ。肉体的な強さに加え、生まれつきの体質。シュラウドがずっと推していたのも、当然なくらいに。
　しかし、翔太郎という凡人は、遂にテラーの恐怖も乗り越えてみせた。ただ一つ、相棒との絆を武器に。誰かユートピア・ドーパントに言ってやれよ、相手が悪いってよお！
　フィリップと翔太郎による猛攻。ユートピア・ドーパント、爆散。キック同士のぶつかり合いでの決着なんて熱すぎるだろ！　ホント、翔太郎覚醒から決着までの流れは、言葉いらんよな。感想書く身として、それはマズいんだろうけどさ！　しょうがない、しょうがないッ！

　別れで泣くからハーフボイルドなんだよ！　でも、それがいい。そして俺もハーフボイルド。絆は永遠に。友の手により、フィリップは笑顔で――。
　残された本、ロストドライバー、素直な涙。複雑な物語も嫌いじゃない。けれども、こういう誰でも泣ける展開に俺は凄く弱い。何がスゴイって、まだ１話残ってるんだよなあ……。
　次週、Ｗ最終回。仮面ライダー左翔太郎、独りでの戦い。相棒の願いは永遠に。

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