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オールライダー対大ショッカー感想

 細かい事を気にしなきゃ楽しい、真面目にツッコミ始めたら止まらなくなる。『劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』は、そんな映画でした。感想も難しいし、ネタバレして使う部分の取捨選択も難しい。
 なんだろうね、最終回以後の話にしては多すぎる破綻を、お祭りと言う楽しさで補っている感じ。ただし、いつもの映画よりはお祭りと言う長所が目立っていたので、まず観てて楽しかった。
 余所の感想をグルりと回って見た雑感としては、理論で感想を書く人は、途中でツッコミを始めて萎えてしまう。感情や勢いで書く人は純粋に楽しんでいる。そんな感じですかね。考えるな、感じるんだ。
 正直褒めてるかどうか微妙な前置きなんですけれども、全仮面ライダー集結という絵面だけでも、十分見る価値があります。これを実現させたという事実だけで、もう映画の価値は七割方達成してしまっているような。
 とにかく、早い内に見るベシ。そして自分で評価を下す。ほぼ感想が真っ二つに大切断されている状況では、それしか言えんわ。


 以下、劇場版のネタバレとなります。ガシガシとバラしていくよー。

 まずはOPからディケイドVSアマゾンの一戦! 野性味溢れるアマゾンに対抗する為、ディケイドは響鬼に変身! 噛み付き攻撃に対抗する為、D響鬼は口からの火炎放射で反撃! これマジで細川響鬼から数えて二回目ぐらいじゃね!?
 初期のFMWのインディープロレスを髣髴とさせる攻防に、場内のお子様は大興奮、一方お父さんは「なんで正義の仮面ライダー同士が戦うん? 怪人は?」と困惑気味だ!
 本気で、昭和ライダー視聴世代のお父さんは、ライダーバトルって概念がわかんないだろうなあ。ウチの親父も、電王見て戦隊モノと勘違いしてたもの。カラフルだし、複数いるしで。
 というワケで、大乱闘ライダーバトルで幕開け。正直、ユウスケが観客席にいた瞬間、お前はそこにいちゃマズいだろー!と叫びそうになった。だってTV版のノリだったら、まず観客席がユウスケの定位置だぜ。Xライダーに(多分)勝ったのだから、たいしたもんだ。
 トーナメントだかリーグ戦だか知らんが、各地で戦いが行われていてそれを連続して映すような描写、少年漫画のトーナメントのお約束的描写だけど大好き。ZX対龍騎、ブレイド対ストロンガー、スカイ対イクサ!
 ……なんで753なんだろうか。いくらスカイが地味だからって、753は確かに主役をくってたけど主人公じゃないから、サブだから。個人的にはケロケロAの漫画版で描かれていた、スカイ対ブレイド(ジャックフォーム)の空中戦を見たかったです。板野さん、ウルトラマンから引っ張ってこようぜ。
 なおケロケロAの漫画版はストーリー自体はシンプルなものの、微妙に美味しい描写が多くて楽しめました。大ショッカーの怪人がほぼ昭和怪人で、タイホウバッファローやコマサンダーのようなマイナーなのも居たもの。


 平成ライダーで勝ちあがったのは、ディケイドとクウガ。そして今までどっかに隠れていた、ディエンドこと海東。ギギの腕輪を奪った事が複線かと思っていたら、あんま大した複線じゃなかったんだぜ! 一回も戦っていないディエンドが決勝にいる時点で、大会グダグダだよな。ひょっとして、進出条件が勝つ事ではなく、なりふりかまわず生き残る事だったのか。これじゃバトルロワイヤルだ。
 最終戦、ディケイドチームに対する昭和チームは、てつをコンテニューのBLACKにハーレーライダースーパー1に、昭和最強の呼び声高いV3。マジメにトーナメントをおこなったとしても、この三人が生き残る公算は高い気がする。タフネス最高峰に、五つの腕と拳法の元祖チートライダーに、IN宮内洋のV3って。
 一進一退の攻防の最中、ディエンドがトンズラこいて、クウガがリタイヤ。残るはディケイドただ一人、普通に考えれば無理だよね!
 おいおい、主人公補正をなめんなよ? と言うわけで、ディケイドが三人撃破。クウガが一人くらい相打ちに持ち込んでも良かったんじゃないか。


 ディケイド優勝おめでとう! そしてこんにちわ、大首領ディケイド。
 てーか、冷静に考えてみれば、ディケイドの他のライダーへの変身能力って、悪役の能力だよね。スピリッツではバダン大首領が進化再現と銘打って、1号からZXまでのライダーを演じて見せていたし。
 バダン首領は戦いの中で各ライダーが得た能力(新一号や新色スカイへの変身、ストロンガーのチャージアップ等)の再現は不可能だったので、コンプリートする事で各最強フォームの力を使えるディケイドの方が、その点では上なのか。てえか、上位機種?


 ただ、いまいちどうも、士のこの辺りの心情が分からん。多分、全ての世界を滅びから救う為に、あえて大ショッカーの首領として仮面ライダーを排除した。こんな流れにしたいんだなとの推測は出来るんですけれども、描写があまりに簡素すぎる。
 伺わないで見たら、単に下克上されて、かつての写真館と言う居場所に泣きついたとしか思えんよ。そりゃあ、夏みかんもネガの世界っぽくキレるさ。
 士の落ちぶれも夏海の孤独も、正直描写不足。シャドームーン&大神官ビシュム復活、お爺ちゃんが死神博士、ライジングアルティメットクウガ誕生と、サプライズが連続した後じゃ、薄い物は何も記憶に残らん。


 全ての世界の運命は海東大樹にかかっているぞ!
 なんだこの、ある種絶望的な状況は。協力者がうなだれたヒロインと、ロビー活動しかして来なかったオッサンって。世界終わったなと言われてもおかしくない状況。海東さん、話によってイイ人になったり、コソドロになったり、外道になったり。まるで別人のように、上下幅が激しすぎるんだもの。
 海東さんが士に付かず離れずだったのは、士が大首領だと知っていたから。そう考えると多少支離滅裂がマシになると、管理者が言っていました。
 そして、交渉値0の海東さんは、口説き落とすのが最も難しいであろう、王蛇とキックホッパーの下へ。そもそも、なんでお前ら一緒に居るんだ。もしかして、カップ焼きそばとカップラーメンで意気投合したのか。
 あっさり交渉は決裂して、暴れだす王蛇とキックホッパー。大ショッカーも迫ってきてピンチのディエンドが召喚したのは、ガイとライアとパンチホッパー。ガイと王蛇は伝説の「そこに居たオマエが悪い」シールドの因縁が有るので、普通にいいんだけれども。キック対パンチには、禁忌のにおいを感じるのは俺だけなのだろうか。見てはいけないものをみてしまったような。で、結局白夜の世界って何処なんだ。
 ジャーク将軍が基地以外の場所に居るのも珍しいなあ。ジャークミドラは将軍の生ける屍みたいなものだし、出るの難しいだろうなあ……とか考えていたら、ガクトの手により仮面ライダーとしての矜持を取り戻したディケイドに倒された。将軍ー! 
 一昔前、バイクに乗れないライダーの響鬼さんが話題になったけれども、ついに近代、仮面を被ってないライダーが誕生してしまった。いやまあ、ガクトライダーマンはカッコよかったけど。もうなんか、仮面ライダーって自己申告レベルの称号だな。


 地獄大使はガラガランダへ、死神博士はイカデビルへ。大幹部二人が率いる、大ショッカー軍団出撃。彼らに立ち向かうのは、ディケイド、ディエンドの二人のライダー。否、1号、2号、V3が率いるオールライダー勢が登場。戦いは、大怪人軍団とオールライダー達の決戦へ!
 正直、一列に並んで歩くオールライダーという構図の時点で、心が震え上がった。一歩一歩彼らが歩く度に、心がズシンズシンと。オールライダーという企画を実現できた時点で、もう製作側の勝ちなのかもしれない。これはズルいわ。その後の大乱闘シーンも含め、クライマックスは理屈抜きで盛り上がる。温度差があった昭和のお父さんも平成の子供も、ここではホントみんな、スゲエと画面に見惚れていました。
 いやー、ゴメン、途中で一回シンをマジで見失ったよ! ホント、アースオルフェノクやドラスの方がまだらしいと言うか。こうなったら序章の続きを書いて、初期案どうりにスーツとマスクを与えるしかない。


 大ショッカーも立ち向かう物の、ガラガランダは伝家の宝刀Wライダーキックで、イカデビルはディケイドのウリのFFRでそれぞれ爆散。イカデビルが隕石らしき攻撃を使ってたのは、ベターだぜ!
 残りの数が見えてきたところで、ライジングアルティメット……長げえよ! 略してRUクウガが登場。最強形態の名に恥じない力でディケイドに襲い掛かるが、士のビシュムへの呼びかけと、ビシュムによる地の石の破壊で、ユウスケは正気を取り戻した。
 ……ここまで、ないがしろにされるヒーローってえのもスゲエな。自己を取り戻した事に、一切ユウスケの意思が入っていないよ! おまえそれ、ただの操り人形じゃねえか! 昭和(地の石)と平成(クウガ)の合成という要素は、この映画のメインに据えられる位に熱く大事な設定なのに、なんでここまでおざなりなのか。
 ユウスケと海東は、TVでも劇場でもワリ食ってるよなあ。正直、元祖平成ライダーとライバルライダーにしては、妙に安定していない位置に居る。ハッキリ言えば、彼らは持て余されている。もっと上手く使いこなしてくれないと、色々と惜しいぜ?


 連戦のディケイドと、仲間になると弱くなるリアルスパロボ補正なRUクウガに襲い掛かる、今回の黒幕シャドームーン。シャドームーンに太刀打ちできない彼らを救う為に現れたのは、風の戦士、仮面ライダーW!
「お前の罪を数えろ」
 (多分)決め台詞になるであろう台詞を吐いて、シャドームーンをメタメタに。ホント、適当に強いと言う表現が似合うと言うか。お子様が、Wのあまりの御無体さに、ざわめいていたもの。
 新主人公を強く見せる描写って言うのは、アリだと思うんですよ。ただ、あくまで現主人公も立たせた上で、新主人公も立たせる。それが極上の描写だと思います。
 元祖新主人公デビュー映画のマジンガーZ対暗黒大将軍では、絶体絶命の状況でグレートマジンガーが登場した事により、窮地のマジンガーが奮起し、その後はグレートに劣らぬ活躍を満身創痍で見せてくれました。
 むしろWが適当に強いと言うより、ここら辺の描写が適当。新しいライダー強いなーより、新しいのも古いのも強いなーって結論に辿り着かせなきゃダメでしょ。


以下余談
 この後は、シャドームーンオーバーキルのオールライダーキックの後に、キングダーク登場、そして巨大戦へって流れだけど、ここら辺おかしくないか? すげえキングダークが後付けっぽいんですけど。正直、キングダーク周辺丸々カットしても話通じるよね。
 普通に纏めるなら、Wにやられて貼り付けとなったシャドームーンが切り札のキングダーク召還、キングダーク撃破後にオールライダーキックでシャドームーンと大ショッカー基地粉砕って流れじゃないか?
 あまり予算や都合を考えずに、好き勝手に考えて良いなら、大ショッカー軍団とオールライダーの対峙時に、大ショッカーがキングダークを呼び出し、ディエンドがJを召還。乱闘シーンの背景で戦うJとキングダークってえのが、対比で巨人の迫力も演出できて良いんじゃないかと。これならシャドームーン貼り付けからごく自然に、J苦戦から巨大ディケイド登場に持っていけるでしょ。Jがあっさりすぎると言う批判も回避できる。
 なんかどうもこの辺りは特に、不自然でしっくりと来ないなあ。
 余談ココまで。


 基地の爆破とシャドームーンのトドメ、両方やらなくちゃいけないのが、ヒーローの大変なところだ。だから、オールライダーキックで一緒くたに粉砕だ!
アマゾン「アマゾン、キック、トクイジャナイ……」
シン(同意と頷く)
響鬼「同じくだ」
V3「フン、甘いなお前ら。ライダーマンなんか、ショックで足が折れたぞ」
クウガ「なんで自慢げなんスか! 衛生班ー!」
 こう書き出してみると、キックが得意技でもなんでもないライダーって、平成昭和通して結構多いな。
 全部終わったと思ったその時、大巨人キングダーク登場!
X「あれはキングダーク!」
 あえてXが名前を呼んだだけで、すげえ嬉しかった。Xさんが主人公なら、クルーザーさえ用意できれば、一人でキングダークを倒せるのに。
 そちらが巨大幹部ならば、こちらは巨大ライダーで勝負だ!とJが登場。こうやって書くと、ヤッターマンのメカ戦みたいだな!
 ど迫力のバトルは、あっさりJの劣勢に。そりゃあまあ、ディエンドが召還したライダーだしね、彼。そして映画最大の見せ場、ディケイド自身のFFR巨大ディケイドライバーによるJとの合体、巨大ディケイドコンプリートフォームの誕生。そしてあっさり優勢になって……おおぅい、さっきから優勢と劣勢の繰り返しじゃないか! 誰か、誰か、円谷さんのトコからスタッフ借りてきてー!
 最後は全てのライダーの力を結集した、コンプリートライダーキックで〆。ところで、キングダークには誰が搭乗してたんだろう?


 全てのライダーと別れ、士とユウスケと夏海は写真館へ。しかし、夏海の心は晴れなかった。何故なら、祖父の栄次郎は死神博士としてやられてしまったからだ。意気消沈する夏海、写真館の扉を開けたその時!
「イカとビールはもうコリゴリだよ」
 そこには平然とした祖父の姿が。なんとドッキリだったのだ、これには夏海も苦笑い。

 あ、上の文章は、世界まる見えのナレーションで脳内再生してください。ほんとお爺ちゃんはもはやイタズラ妖精か何かの類としか思えない。
 旅は終わらず、妹も旅立ち、士達の旅はこれからも続く。いい感じでまとめてるけど、正直少年漫画の打ち切りみたいだよね! って事で終劇。めでたしめでたし。


 そうだなあ、シンケンジャーみたいに、余計なところを全てこそぎ落とした映画には出来なかったのかな。シンケンジャーは、文句無しで楽しかった。普段は見ていないのに、楽しかった。いやホント、短い時間と言うのが上手く影響して、見やすい事、この上ねえわ。
 平成ライダーの映画を見る度に、壮大なドラマをやろうとして尺が足りなくて、結局ワケが分からんという感想を抱いている。今回はさらにそれが顕著。士が大首領である事を肯定していたのか、フリをして内心否定していたのかも分からん。一番大事な主人公の心理描写からして、結局藪の中だしねえ。鳴滝さんはディケイドが嫌いと言う位しか、キャラの心情が分からん。
 お祭りと言う題材にはシンケンジャーみたいな、シンプルな作りが似合っていたと思います。ドラマ部分が上手く作用してツボに嵌れば平成ライダーは強いんだけれども、今回はちょっとねえ。全てが唐突。美味しい素材を集めたけれども、現状前作W以下の値段の、スパロボKを思い起こさせる。K程に酷くはないけれど、極上の素材で、まあ並より上か上の下くらいの料理が出来た感じ。面白いつまんないと言うより、“惜しい”と言うのが感想。連続して出来る類の企画じゃないし、素材の伸び代が透けて見えるしまうのが、本当に惜しい。


 上では微妙な評価なんですけれども、上映直後は極上レベルの読後感だったんですよ。ただ、感想を書こうと思い返して見ると、アレ?とだんだん思い始めて。丁寧な感想で酷評が多目なのは、冷静な分、作品の派手なアラが見えてしまうからじゃないかと。子供は普通に和気藹々と歓声を上げていたので、まあ良い映画だったのでは。
 ただ、これも毎回思っているけど、子供達って平成のウリ扱いのドラマ部分を、どう見ているんだろうか……?

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