- 2013.09.16 Monday
- 肉雑炊コンビの放談 > アメコミ
失うことから、全ては始まる。
ウルヴァリンが、日本を駆けまわる。リアルな秋葉原や上野の街並みを、風光明媚な福山を、全力走行中の新幹線の屋根を、忍者溢れる寒村を。日本ロケによるリアルな日本と、ニンジャやヤクザが跋扈するジャパン、現実とファンタジーが融合した結果、ウルヴァリンは怪しいニッポンを駆けまわる。
このニッポンを許せるかどうか、ここでまず評価が変わっていると思うのですよ。所謂、どんな幻想や不条理でも飲み込み、楽しみとして捉えられるボンクラ魂の有無。アメコミ映画としては直近でマン・オブ・スティールがありますが、この映画の響き方は、むしろ怪獣VSロボットのパシフィック・リムに近い物が。無理なく飲み込めるかどうか、飲み込めればこれほど楽しい映画は早々ありません。
アメコミ映画としてどうなのかと聞かれた場合、実にウルヴァリンの映画でした。無頼漢として旅を続け、旅先のトラブルに嫌々ながらも立ち向かい、全て解決した後いずこかへ去って行く。この、荒野の用心棒の如き姿、X−MENでもアベンジャーズでもない、一個人のウルヴァリンです。ミュータントとしてのウルヴァリンを撮ったX−MEN:ZERO、一人の人間としてのウルヴァリンを撮ったウルヴァリン:SAMURAI。年若い少女とともに己の意思で戦い抜く姿は、ウルヴァリンの漠然としたイメージを誠実に再現しています。
そして、今までの映画X−MENに連なる要素もしっかりと。ファイナル・ディシジョンでウルヴァリンが負った治せぬ傷を、繕っていく物語でもあり。
以下、書き散らしのネタバレです。いやー、ホントにこういう映画、大好きです!
徐々に衰退して数も減っている葬式の花輪、やけに中華チックな喪服、とんと最近見ない回るベッド、ウェポンXプロジェクトの兵士並のヤクザ、お前それいつの時代感だと突っ込まざるをえない使用済み下着の自動販売機! 素晴らしいですよね、怪しげなジャパニーズ! そりゃ真田広之も、忌憚なき日本への意見を求められて困るしかねえよ!w
当方、2D字幕で観て来ましたが、英語(日本語字幕)と日本語(英語字幕)が入り混じる流れが、実に良いスパイス。日本語のアクセントは、発するほぼ全員が日本の俳優なので違和感なし。多国籍語だからこそ出来るギャグもあったので、今、吹き替えがすげえ気になってます。もう一度、見に行こうかしら。
真田広之演じる、シンゲン・ヤシダ=サン。ウルヴァリンに襲いかかった時のシンゲンは、ぶっちゃけウルヴァリンよりデアデビルやバットマンの案件よね。あるのは、人としての技術と全てを失ったことによる、狂気のみ。
よし。ベン・アフレック連れてこよう。
一番作中、ミュータントしていたのは脱皮毒なんでもありのヴァイパーだったけど、不死身で爪が出るウルヴァリンと合わせて、二人共忍者漫画にいそうよね。不死身の狼眼?
……ヴァイパーも結構丈夫で不死身だったので、わざわざウルヴァリン連れて来ないでも彼女から能力取っていれば、それなりに同じ結果になったんじゃなかろうか。
ホークアイ+ガンビット÷3、これぐらいなポジションのハラダさん。要るか要らないかで言ったら、もっとシンプルなキャラで補完できそうな役割だったなあと。原作のシルバーサムライと同じハラダという名は、映画におけるシルバーサムライの正体を隠すためのフェイクだったのでしょうか。でも正直、シルバーサムライ(ラスボス)の中の人と見せかけるにしても、ちょっと薄すぎたなあと。婚約者設定も、ほぼ死んでたし……。
アベンジャーズやマン・オブ・スティールが超人バトルなら、ウルヴァリン:SAMURAIは生身のアクションに焦点を当てた、所謂殺陣と呼ぶべきバトル。現実的なアクションにファンタジー風味を加え、更にはジャパン・アクション・クラブがベースにある真田広之もコーディネーターとして参加。今回、敵も味方もほぼ達人ばかりで、超人は数人しか居なかったですからね。前例なき、日米融合のスピーディーなアクション。まだまだアクションにはでっかい鉱脈が眠っている。
スタッフロール後、金属がカタカタ震えた瞬間、ガタッと椅子から立ち上がりそうに。マグニートー、プロフェッサーXの復活! その影で胎動する、トラスク社。原作では、対ミュータント殺戮ロボ、センチネルの製造元の会社です。次回作も、期待大。次のウルヴァリンは、久方ぶりにX−MENのウルヴァリンだ!
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