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理性で始まる、野蛮な戦争

ふじい(以下F)「戦争をいきなり始めるというのは、野蛮だ。宣戦布告のような通達があるかないかだけで、戦中だけでなく、戦後の在り方も大きく変わる」

サイレン(以下S)「なんだなんだ、いきなり?」

F「いやね。戦争にも、しっかりとルールがあること、立ち居振る舞いが戦局に大きな影響をあたえること。そんな当たり前のことを、ワールド・ウォー・ハルクのコーグさんを見ていたら、思い出してね」

コーグさん

S「宇宙に追放されたハルクが、惑星サカールより連れて来た仲間“ウォーバウンド”の良識派、コーグさんのことか」

左から、ヒロイム、コーグ、エローエ、ミーク

F「ああ。実はワールド・ウォー・ハルク開戦直前に、あの人地球に先乗りしていただろ? 彼の功績を、もっと広めるべきだと、こうピピっと」

S「あの人は確かに素晴らしいお人だが……コーグさんの話って、前にやってるだろ

F「二度あることは三度ある」

S「三度目もやる気か、オメエ」




 WWH 開戦前夜 NY

警官A「公園に着陸したUFO。またどっかの星から、侵略軍でも来たのかねえ」

警官B「ヒーローに任せようぜ? そういうのはさ……拳銃と、警察犬でどうにかなる相手のワケがない。犬たちも、こんなに怯えているぜ」

警官A「だが、気づいてしまった以上、逃げるわけにはいかないだろ。見ろ! 円盤から、岩石男とロボットっぽい兵士が出てきたぞ!」

警官B「F4のシングにしちゃあ、ちょっと頭が長いねえ。あ! しまった!」

警官A「馬鹿野郎、リードを離すな! ああっ! 自由になった犬が、岩石男の方に!」

警官B「ひぃ……叩き潰されちまう。に、逃げ」

警官A「待て! アレを見ろ!」

警官B「ああっ! 岩石男が犬を可愛がっている! 喉を撫でられて、凄く気持ちよさそうだ!」

警官A「すっごくジャレてる! すっごくジャレてるぞ、ウチの犬!」

警官B「いったい、あの岩石男は何者なんだ!?」

コーグ「地球の方よ、私はコーグ。我らの王の使者として、この地に降り立ちました」(握手を求めながら)

警官A&B「「すっげえ、紳士的だー!」」




F「多少分かりやすいようアレンジしたけど、こんな感じだよな。コーグさんの先乗り」

S「うん。この時の犬を可愛がる写真が、新聞の一面を飾ってしまったせいで、侵略者まがいのサカール軍のイメージがアップして、アベンジャーズのイメージが悪化しちゃったよね……」

F「先乗りしたコーグさんが自分達の目的(イルミナティへの報復)とNYからの避難勧告やその他もろもろを的確に平和的に伝えたお陰で、戦場となるNYからの、一般市民の退避が至極スムーズに行われたからね。超人が何人いても、大規模な避難活動に際しての、事前の準備は必要です」

S「あとおそらく、コレとハルクの宣言のせいで、大統領や偉い方々が、原因がイルミナティの独断であることを知って」

F「おそらく、後のトニー・スターク更迭に繋がってるねえ。トニーはノーマン・オズボーンに追いやられるまで、SHIELD長官もやってたわけで」

S「実に見事な、理想的な開戦の使者。コーグさん、戦後になって、地球の子供たちと一緒にホタル追いかけてたよね?」

F「俺が見た時は、ハルクたちと一緒に、アメフトやって遊んでたな」

S「海で遊んでた時は、泳いでいる皆のために、浜辺でバーベキュー作ってた」

完璧なBBQ

F「……」

S「……いいひとだよな」

F「ああ。正義とか悪とかそういうんじゃなくて、性格的に“いいひと”なんだろう」

F「シングといいコーグといい、Marvelの岩石男は、気が優しい力持ちばっかだな!」
















F「コーグさんの人格の良さを否定するつもりは毛頭ないけど。紳士的な立ち居振る舞いの裏には、前回、仲間とともにヒャッハー! 地球侵略だー!と勇んで来たら、地球ナメんなとばかりに雷神様にボッコボコにされたことへの恐怖と反省もあるんじゃないかな……」

雷神大暴れの図

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