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はじめてのデッドプール〜日本版〜

ふじい(以下F)「アメコミ強化キャンペーンってことでね。今日もまた、アメコミについて語ってみようじゃないかと」

サイレン(以下S)「前回はDCコミックスのバットマンについての話だったから、今日はマーベルコミックス?」

F「そうだな。DCを取り上げたからには、対抗馬のマーベルからも取り上げねばなるまい。マーベルとDCは、日本で言うならば小学館と講談社みたいな関係だからな。時たまクロスする辺りも似ている。そういうことで、今日はマーベルから一人のヒーローをピックアップ。いま全米で人気急上昇中のデッドプール(Deadpool)を紹介だ!」

S「デッドプール? マブカプ3に出るとか言う?」

F「知らないのも無理はない。一応初出はX−MEN派生誌なものの、登場時期の関係で、日本でも放映していたX−MENのアニメには未登場。一応、ウルヴァリン: X−MEN ZEROには重要キャラとして登場したものの、映画のX−MENは色々別物過ぎる。ジャガーノートとサイロックの扱いは流石にねえだろ。閑話休題。言い換えるならば、今現在のデッドプールは、日米間で最も温度差があるヒーローと呼べる。スピンオフムービー「DEADPOOL」も制作決定してるしね。というワケで、こちらがデッドプールとなります」

デッドプール

S「あらやだ。カッコいい」

F「元々凄腕の傭兵だけあって、銃器や刀剣、爆弾に重火器と、使える武器は多岐に渡る。コレにプラスして、死ねないとまで言われる再生能力と装置を使っての瞬間移動が主な能力かな」

S「うーむ。日本のラノベでも使えそうなキャラ設定だなあ」

デッドプール表紙

F「まあこんな感じで身も軽いですし」

S「待って! 俺、それによく似た絵をみたことがあるよ!」

とても良く似た表紙

F「それはそれとして、実はデッドプールにはもう一つ強力な能力がある。少なくとも、この能力を持つキャラクターの類似は殆どないだろ。特に、シリアスな世界観の作品には」

S「流された! んで、その能力って?」

F「それは第四の壁の破壊という能力だ。この能力を持っていると、こういうセリフが吐ける」



デッドプール「おい、ちょっと、黙ってろ! お前のフキダシが邪魔で、向こうが見えねえ!」



S「フキダシ見えちゃってるの!?」

F「第四の壁とは、演劇における演者と観客の境目にある壁のこと。その壁を破壊出来るデッドプールは、コミックの登場人物が知ってはいけないことを知ることが出来る。設定もルールもお構いなしとなる、この能力の発祥の源は狂気! デッドプールと言うキャラは完全に精神が錯乱している。時にはサイコパス、時にはコミックリリーフ! 上辺に騙された諸君を引き連れ、デッドプールワールドに出発だー! ヒャッホー!」

S「今までで一番、ムチャクチャな放談になりそうだぜ……」


F「というワケで、まずデッドプールさんの簡単な経歴と戦闘能力をね。本名ウェイド・ウィルソン。凄腕の傭兵であった彼は、ある日肺ガンに侵され、治療の為に軍の極秘プロジェクトに参加することとなる。このプロジェクトこそ、後に様々なヒーローやヴィランに余波を残すウェポンX計画だった」

S「あのウルヴァリンを生んだウェポンX計画か!」

F「実験の結果、ウェイドはウルヴァリン以上の超再生能力(ヒーリング・ファクター)を手に入れることとなる。しかし、死ななくなったものの、ガンが治ったわけではなく、再生力で活発になったガン細胞が全身を侵食。身体だけでなく顔面まで醜く焼け爛れ、ウェイドは二度と見られぬ体になってしまう。ここで遂に、ウェイドは正気を失う。狂ったウェイドに押されたのは、失敗作という烙印。ウェイドが送られた先は、脱出不可能の死のギャンブル場。ここでウェイドは消息を絶つ。数年後、全身をタイツとマスクで覆った謎の傭兵がデビューを飾る。彼の名はデッドプール。奇しくもその名は、ウェイドが投入されたギャンブル“デッドプール”と同じ名であった」

S「ウェイドは勝ち抜いて、今の姿と自由を手にいれたのか。真面目な物語じゃないか」

F「死の女神であるデスの加護を受けてな。ちなみに、ラブラブなデッドプールをとデスに嫉妬したサノスが、二度と死の世界で二人が会えぬようにと、デッドプールに不死の呪いをかけたせいで、デッドプールの不死身ぶりには更に拍車がかかっている。サノスさんと言えば、マブカプにいたゴリラっぽい人。強いのにねえ、素で全地球のヒーロー抹殺出来るくらいに」

S「蓬莱人やラスネール伯爵も真っ青だな……超科学と契約の二重がけかよ」

F「まあ呪いかかった後も、複数回会ってるけどさ。デスとデッドプール。あと真面目さはここまでな。今後一切そういうの無いから」

S「デッドプールのマル得じゃねーか」

F「と言うわけで、デッドプールの第一の能力は、超再生力。腕を切られても、くっつけただけで繋がるし、頭を拳銃で撃たれても即時復活可能。どこぞの世界では首を切られて絶命したものの、これまた別の世界には首だけで生きているヘッドプールというのも存在する。最近、頭にタ◯コプターをつけて、機動力アップしました」

S「うーむ。不死+再生能力か。防御面は完璧だな。んで、攻撃面は傭兵としての戦闘技術?」

F「実際、持っている戦闘技術の評価は公式設定でもファンの間でもムチャクチャに高い。気は狂っていて無軌道なものの、戦術構築や兵士育成能力は並以上だし、スピードは時たま壊れる瞬間移動装置で高速戦闘にも対応。壊れた精神構造はどんなテレパスも弾き返す。マジ、贔屓目無しに強豪じゃね? てーか、不死身さがギャグレベルなのと戦闘中の口の軽さと第四の壁の破壊能力が相まって……」

S「相まって?」

F「牛馬鹿丸や首領パッチに主人公クラスの武力を与えて、野に解き放った感じ。氷室の天地仕様のマキジに、バーサーカーの不死身さとアーチャーの武器を選ばぬ技術を加えて聖杯戦争に参加させてみた。ファミコンジャンプにおける抜作先生やヒゲゴジラ……」

S「もういい。だいたいわかった」





F「正直。デッドプールのイカれっぷりを、事細かに説明するのはめんどくさい。なのでここは、既存ヒーローとのやりとりを分かりやすくアレンジすることで皆様にお伝えしようかと。と言うわけで、まずはスパイダーマン編」

S「スパイダーマン編って、まるで他にも色々あるようだな」

F「キャラが面白くて動かしやすい&誰と絡ませても面白いってことで、デッドプール:チームアップっていう、他ヒーローとのクロスオーバーシリーズが刊行されてるぞ。今のとこ、890巻ぐらい出てるな」

S「何その、こち亀も及ばない巻数!?」

F「一冊目が899巻から始まって、カウントダウン形式で減ってるからね。なんで900巻から始まってないのかは、ワシにも分からん……」

S「もういい、スパイダーマンだな! そういや、スパイダーマンとデッドプールって、なんかデザインが微妙に似ていないか?」

F「あーデッドプールデザインした人がこの間、『俺もスパイダーマンみたいな目の大きいヒーローが書きたかったんだよねー』って言ってた」

S「出来方からしていい加減だ!」

F「と言うわけで、スパイダーマン&デッドプールのお話へGO」


デッドプール「俺もスパイダーマンみたいなフレンドリーなヒーローになりたいんで、ちょっとコツを聞きに来たんだけどさ、教えてくれない?」
スパイダーマン「いや今、殺人犯追ってて忙しいんだけど」


S「迷惑だ! そしてなんて始まり方だ!」
F「基本、思い立ったが吉日の人だからねえ。海賊王に俺はなる!って言い出して、海賊ファッションで海に出たこともあるし」


デッドプール「なーなー、スパディの秘密基地に連れてってくれよー。レオパルドンが置いてある
スパイダーマン「そんなもの無いから。ウチは普通のアパートだから」
デッドプール「ワオ! アパートなんて超クール! どうやって行くの?」
スパイダーマン「絶対に来るな!」


S「小学生の頃、こんなヤツいたよな。何故か人の家に執着するヤツ。帰れよ」

F「スパイダーマンも多弁なヒーローなんだけどねえ。下手に相手してやるから、逆に泥沼にはまっているという状況。もはや会話のデッドボールだ。そしてスパイダーマンはあることに気がつく。殺人犯、コイツなんじゃね?と。とりあえず埒があかないので殴ってみると、デッドプールは涙目で逃げ出した。ああ、こりゃ今回はデッドプールじゃないなと」

S「ひでえ話だと言いつつ、今回はって辺りに仕方なさも感じる」

F「まあ結局、二人は捜査協力することになるんだけどね。デッドプールがメイド服を着こなしたり色々あったけど、ここらへんはどうでもいいよね」

S「よくねえよ。なんでメイド服着てるんだよ」

F「そこにメイド服が置いてあったから。これ以上、何もない。タイツの上からだけどね。何せデッドプール唯一の悩みが、醜い素顔と爛れた肌だから。タイツはもはや脱げない身、せめてタイツの上からでもオシャレを楽しみたいんだろう。人に素肌を見せることさえ、嫌がるからさ」

S「そうか……それじゃあ、仕方ないな」

F「まあ別の話じゃ、人の家でトランクス一丁だったけど。トランクス一丁でソファーに身を預けて、スナック片手にTVを見て大爆笑。迷惑そうな家主」

S「う、裏切られた……!」

F「普通にタイツ脱いでミニスカパンチラで登場したこともあるし、トラウマも気分次第なんだろ」

S「トラウマって気分次第のもんじゃないですよね?」

F「なんだかんだで、デッドプールはコスプレが大好きだからな。それでいて、結構絵になるコスプレも多いぜ。こんな風に」

シェリフデッドプール

海賊王デッドプール

S「なんかそれなりに馴染んでやがるな」

F「動機はともかくとして、デッドプールを作ったデザイナーさんは優秀だよ。素直にカッコいいと賞賛してもいいんじゃないかな」

S「そうだな……あれ? スパイダーマンの話は何処行った?」

デッドプール「俺が居る限り、クローンサーガは二度とやらせねえ!」




F「この後、X−MEN編を語ってから、アメリカで彼が受けている理由を話そうと思ったんだけど、長くなりそうなので“つづく”で。ただのサイコパスでは済まない理由が彼にはある。たぶん」

S「たぶんかよ。元々は、X−MENの悪役なんだっけ?」

F「正確にはスピンオフの悪役だけどな。なので、X−MENとはどうしても縁が深い。かわいそうに」

S「……どうせ、ひどい話になるんだろうなあ」

F「さあて、ね」




おまけ

S「そういやさ、スパイダーマンはカメラマンで、スーパーマンは新聞記者。アメリカのヒーローは別口で働いていることが多いけど、デッドプールも働いてるのか? やっぱ傭兵?」

F「依頼を受けることはあるけど、もう本職傭兵じゃあないなあ。今の彼には多彩な副業があるから。TVのチャンネルの保守点検員、スナック菓子の品評家、ソファーの寝心地の調査員といった様々な副業を在宅でおこなっているんだ」

S「……それ、絶対仕事じゃねえ」



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