ザ・サムライ-VSブラックバーサーカー

 いつぞやの借りを返すとイリヤから送られてきた挑戦状。
 俺たち以上に息巻く遠坂に引っ張られ向かった郊外の森、待ち受けていたバーサーカーとイリヤ。
 バーサーカーと自称セイバーことネプチューンマン、出会った漢同志に言葉は要らず、一進一退の死闘が再び始まった――

「ダブルレッグスープレッッッックス!! 」
 地面に脳天を叩き付けられるバーサーカーの巨躯、衝撃で地面が揺れ静かな森が喧騒に包まれた。
「■■■■■――!!」
 しかしバーサーカーは生命感溢れる絶叫と共にすぐに起き上がりネプチューンマンに巨大な拳で殴りかかる。
「ちい!! 」
 いそいでガードを固めるネプチューンマン、だがバーサーカーの鉄拳は容易くガードを貫き、巨大な拳をネプチューンマンの鍛え抜かれた腹筋へめり込ませ る。
「ぐお……」
 流石に効いたのか嗚咽を漏らしネプチューンマンは倒れこみそうになる、だがギリギリの所で立ち止まり拳を突き出したまま硬直するバーサーカーの首元に喧 嘩  ボンバーを打ち込んだ。
 真正面から強烈な一撃を受けいつぞやと同じ様に吹っ飛んでいく狂戦士、その体は容易く木々をなぎ倒し森の奥深くへと跳んで行ってしまった。
 だがネプチューンマンも直ぐには追撃できずにその場にうずくまる、正に一進一退の二人の攻防。
「ふふふ……真正面からの戦いなら最強と言われるバーサーカー相手に互角以上の戦いっぷり、流石私のサーヴァントね」
 横で巨人同士の戦いを見つめている遠坂が妙な事を口走る。
 待て遠坂、いつ誰がネプチューンマンをお前に譲った?
 第一お前にはアーチャーがいるだろうが? 
 ……まあアイツなにか衝撃的な事があったのか鬱になって使い物になってないけどな、しかも霊体化してでてきやしないし。
 まったく、どこの誰だか知らないが英霊の名が泣くぞ。
「負けちゃ駄目! 立って! バーサーカー! 」
 イリヤの叱咤に答えるように木々を掻き分け現れるバーサーカー、地面を踏みしめるようにゆっくりとこちらに向かってくる。
 ズシン……ズシン……
 力強い足取りが森に響く。
 ズシン……ズブリ
 だがその足音が急に水辺に足を踏み込んだ様な異様な物になる。
「!! 」
 バーサーカーの足元には黒い水の様なものが広がっていた。
 なんだ、あれは?
 一見コールタールにも見えるがアレは異常だ――
 どこまでも黒いその色は――
 邪悪という言葉が陳腐に思える程に――
「な、なによアレ! イリヤ、あんたが仕掛けたトラップが誤爆したとかそういうんじゃないでしょうね!? 」
「知らない……知らないあんなの……這い上がってバーサーカー! 」
 イリヤの悲痛な叫びも既に意味が無い。
 現にもうバーサーカーは頭まで呑まれている、そしてなんとか突き出そうとしていた片腕も呑まれていき、バーサーカーは黒いナニカに完全に埋没してしまっ た。
 そして動揺している俺達の脇を駆けて行く巨大な影、それはダメージから復活したネプチューンマン、その足は呆然とするイリヤへ一直線に向かっている。
 ちょっと待て! まさか今のうちにマスターであるイリヤを倒す気か!?
 止める間もなく素早くイリヤのそばに着いたネプチューンマンはそのままイリヤを脇に抱えこちらへ跳んで来た。
 その直後にイリヤがいままで居た場所を影が侵食する。
「ふう、危ない所だった。士郎、イリヤを頼む」
 間一髪で少女を救ったヒーローは驕る事無く、少女の生還を待ち望んでいた親族に渡す様に俺に優しくイリヤを渡す。
 そしてネプチューンマンは黒いナニカに構える、その直後、黒いナニカの中を一気に掻き分け沈んだ筈のバーサーカーが姿を現した。
 その姿は数秒前に沈んだ時とまったく変わりが無いがってオイ。
 マスクつけてね? アイツ?
 しかも細部の装飾が違うけどネプチューンマンと同系のマスクだよ。
 一体あの黒いのの中で一体何が!?
「ま、まさかあのマスクは……」
 まわりが『何アレ?』という状況の中で一人冷や汗を垂らし動揺しているネプチューンマン。
 正直ここまで動揺したコイツを見るのは初めてだ。
 あのマスクに見覚えが、いやそもそもあそこまで似たマスクに見覚えがなかったらそれはそれでおかしいが。
「グロロロロロ……」
 あれ? なんかバーサーカーの叫びがいつもの『■■■――!! 』じゃないな、なんかこう少し老いた声になっているような。
 それはともかく妙ないななきと共にこちらに突っ込んでくるバーサーカーの前にネプチューンマンが立ちふさがる、そしていつぞやの様に手四つの体制になる が……
 ネプチューンマンが明らかに押されている、ザ・サムライの衣を纏っていたあの時に比べてネプチューンマンはパワーアップしている筈なのに。
「グロロロロ……ワシにはまだこの世に遣り残した仕事がある、それを果すまでは死ねん」
「「「喋ったー!? 」」」
 イリヤに遠坂、そして俺が三人揃ってツッコむ。
 バーサーカーが喋ったよオイ、しかも野望とか言っちゃってますよ狂戦士。
「ゲゲーーーーー!! 貴方は完璧超人首領ネプチューンキング様!! 」
 絶叫し思わず組んでいた手を自ら離してしまうネプチューンマン。
 バーサーカーはその隙を逃さずにその豪腕をネプチューンマンの喉元に叩き込むってまさかあの技は!?
「喧嘩ボンバー!! 」
 ネプチューンマンの必殺技を掛け声共に真似をした、いやむしろそれ以上の威力で叩き込まれた一撃は動揺し無防備なネプチューンマンの意識を一気に刈り 取った。
「が……」
「あのような小僧の犬となったお前に負けるワシではないわ! 超人墓場で修行をやり直せい! 」
 一声残し倒れ伏せるネプチューンマンを踏みつけ吼える狂戦士、いやもうアレはバーサーカーじゃない、別の何かだ。
「そんな……バーサーカーどうしちゃったの? こんなの貴方じゃないよ! 」
 呆然として俺の手を離れバーサーカーのほうへ歩いていくイリヤ。
「駄目よイリヤ! アレは異常よ! 近づいたらアンタ殺されるわよ!? 」
 遠坂の言葉も意味は無くイリヤの足取りは止まらない、徐々にバーサーカーとの距離は縮まり……
「くそお! 」
 俺は一気に駆け出しイリヤの肩を掴む。
「落ち着けイリヤ! あれはお前の知っているバーサーカーじゃない! 」
「グハッハハ、中々の行動力だな小僧」
 今まで俺達の様子を眺めていたバーサーカーが口を開くと同時に手を伸ばし、その豪腕で俺とイリヤを一緒くたに片手で掴みあげ、凄まじい力で締め上げる。
 ク……骨の節々が軋んでいる音が……だが一応成人男性並の俺とは違いまだ幼いイリヤがこんな力で締め上げられたら……そう長い時間は……
「お前の言うとおり最早コイツは狂戦士ではない、ワシに意識を乗っ取られた哀れな傀儡だ」
 バーサーカーの意識はあの仮面に乗っ取られた? なるほど、だから普通に言葉を話してるのか。
「アンタそもそも誰よ? あの変な泥の中に住んでる変人ってワケじゃないでしょ」
 唯一無事な遠坂が宝石を手に持ちながら変わり果てたバーサーカーに質問を投げかける。
「ワシの名はネプチューンキング! 最も神に近い超人である完璧超人の首領よ!! 」
 完璧超人? そういえば聞いたことがある、確かネプチューンマンが幾度かその名を言っていたような気がする。
 しかもアイツ今さっき変わり果てた狂戦士の事を様付けで呼んでた、サムライの時ならともかくネプチューンマンになってからは立場的に主人である俺の名前 さえ呼び捨てだったのに。
「で、首領様は他所のサーヴァントを乗っ取り吼えていると。神に近いが聞いてあきれるわね」
「見くびるなよ小娘、ワシをそこで寝ている裏切り者と同じだと思ったら大間違いだぞ」
 裏切り者?
「そこのネプチューンマンはワシがイギリスのテームズ川で拾った男よ、そしてビックザ武道と名を変え姿を隠したワシと一緒に数多の超人のマスクを剥いで来 たのだ」
 つまり奴はキングの名前の通りに英霊となる前のネプチューンマンより上に立っていた人物――?
 いやそれよりマスクを狩ってたって明らかにおかしい、こんなに正義っぽい行動をとってるネプチューンマンがマスク狩り?
「だが奴は最後の最後でワシを裏切りおった。あの裏切りが無ければ完璧超人が地球の覇権を手にしていた筈、だが覇権を掴むことは遅くない、現にワシはこう してバーサーカーを乗っ取り蘇った。いまここで貴様らを殺し伝説の聖杯を手に入れれば完璧超人再興も夢ではない」
「へ〜、でも無理なんじゃない? 」
 遠坂の不遜な言葉。
「なんだと? 」
「だって貴方大した奴じゃないじゃない。人の体を乗っ取って偉そうな顔されてもコッチもこまるのよね。大体裏切られた? 当然よ、筋肉で脳ができてるって 言われているセイバーだけどアンタに大人しく遣えてられるほど人間腐ってないわよ」
 なにげにネプチューンマンに対しひどいことを言いながらキングを挑発する遠坂。
「言うのう、だが貴様に万に一つも勝ち目は無い、たとえその石っころを投げてもワシには効かん、この鋼鉄の肉体に小細工など無意味と知れ」
 だがキングは嘲笑を浮かべ遠坂の挑発を軽く受け流した、しかし遠坂はその笑みをそれ以上の嘲笑で迎え撃つ。
「確かに宝石なら効かないかもね、だけど剣なら切り傷ぐらいつけられるんじゃないかしら? 」
 それを合図に木の上から赤い英霊がキングへと襲い掛かる。
 アーチャー!? いつの間にか実体化して木で奇襲の機会をうかがっていたのか!?
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
 叫び声とともに俺たちを捕まえている手の手首の辺りに東洋風の双剣で切りつける、流石に断ち切ることはできなかったがその一撃はキングの手首に大きな切 り  傷をつけた。
「ぐお! 」
 痛みに耐えかねキングの手が緩んだ隙を突きなんとかイリヤと二人そろって脱出する。
 俺は動ける、だがイリヤはどうも意識を失っているようだ。
「走って! 」
 遠坂に言われるまでもなく既に俺はイリヤを抱え走っていた、たとえ俺が奴に向かっても勝てる見込みどころか傷一つつけられるかと言った次元だ。
 ならばここは美味しいところで現れたアーチャーに任すしかない。
 正直不安だが、だってアイツ今まで目立つどころか戦闘シーンがサムライにチキンウイングフェイスロックで落とされそうになってた所だけだし。
「アーチャー、時間を稼いで。もう少ししたらセイバーが回復すると思うからそうしたら一気にいくわよ」
 珍しくのびてるネプチューンマンの回復を待ってから一気呵成に攻める、遠坂の命令は素晴らしく的確で凄まじく早い決断だった。
 やはり魔力をさっぴいても遠坂は優れたマスターなんだな。
「了解した凛、だが……」
 その台詞を軽く嘲笑しながら受け取るアーチャー、そして奴はとんでもない台詞を吐いた。
「倒してしまってもかまわんのだろ? 」
 その台詞が場に流れた瞬間、場の空気が変わった。
 場を支配するのは純粋なる怒気。
「貴様ら、調子に乗るのもいいかげんにしろ」
 怒りを放つのはかりそめの完璧王。
「調子に乗るだけの実力が有るから言わせてもらっている」
 どこまでも涼しげなアーチャー、今までの出番のなさがウソの様に輝いている。
「ほう、ならば見せてもらおうか! 」
 キングに完璧に乗っ取られた狂戦士がその名にふさわしく狂った様にこちらへ突っ込んでくる、ソレを両手に構えた双剣で迎え撃とうとするアーチャー、奴は こう言い残し駆けて行った。
「ついて、来れるか? 」
 俺に向けられた台詞だが意味が解らない、なにについて来いといっているのか、そもそも何故俺なのか? 正直アイツとは性が会わない気がするしアイツもな んとなく俺を避けていた、それがここになっていきなり。
 だがそんな俺の思考などこの場では既に無為な物なんだろう。
 この場を支配しているのは目の前で死闘を繰り広げる弓兵と傀儡の狂戦士なのだから。
 そして、その戦いのタイムリミットを示すかのように邪悪な黒いナニカは少しづつ俺たちの周りを侵食していた――

【CLASS】 セイバー
【マスター】 衛宮士郎
【真名?】 ネプチューンマン
【性別】
【身長】 240cm
【体重】 210kg<
【ステータス】 筋力 A+
耐久 A
敏捷 A+
魔力 肉体を駆使すれば壊せぬ物は無し、よって不要
幸運 E
宝具 ???
【能力】 対魔力A:鋼鉄の肉体は訳も解らぬ術など受け付けない
騎乗:物に頼るくらいなら自分で走る。なので当然無い
【保有スキル】 レスリングテクニックEX
タックルに受身と言った基本に加え、派手な投げ技や地味な関節技も完璧に使いこなす
  マグネットパワー
ネプチューンマンの体から放出される磁気波、プラス(+)は金属を引き寄せ、マイナス(−)は金属を弾く。
全力で放つと磁力の渦が巻き起こり、周りにある金属を全て引き寄せることができる。
神言A
科学法則や因果律を超えて言った事が本当になる。
例『重い物は速く落ちる』
勇猛A
完璧超人に退却の二文字は無い
マスク狩り
相手が素顔を隠すモノをつけていた場合に下記の技に付加される能力。文字通り相手の顔を隠しているモノを剥ぎ取る 
戦闘続行EX
たとえ爆弾で体がバラバラになろうとも適切な処置を施せば復活する。
喧嘩ボンバー
居合い切りボンバーを凌駕する一撃。ラリアットを使う超人は多いがここまでの破壊力を持っているのはネプチューンマン只一人と言われている
磁気嵐ドライバー
空中に居る相手を捕まえて垂直に叩きつけるパワーボム。技への入り方は幾つかバリエーションがあり、ライダー戦での型はPS2のゲーム版での掛け方。喧嘩ボンバーに比べ使用頻度は少ないが威力は凄まじい
ダブルレッグスープレックス
自分のチョッキの針に相手を突き刺した上で相手の両腿をフックし完全に相手を逃げられなくしてから背後へのスープレックスを仕掛けるネプチューンマン最高の個人技。
つなぎの技である喧嘩ボンバーとは違いフィニッシュに多用される
掟破りのロビンスペシャル
落下する相手の首に自身の両足を巻きつけ両手逆立ちの状態で着地、その着地の衝撃を利用し一気に相手の首を締め上げるという凶悪かつ高威力の技。
なお本来はパイルドライバー型の技だったがその技をネプチューンマンが模倣した上で首折り式に進化させた、あまりの威力に模倣されたライバル自身もネプチューンマン型の首折り式に変更したとかなんとか。
【宝具】
ネプチューンマスク
ネプチューンマンが被っているハーフマスク、マグネットパワーの源らしい。
なお既に肉体と一体化しているためマスク狩りの効果も打ち消す、現に某正義超人が富士山で掟破りの逆マスク狩りを敢行しようとしたがあえなく失敗してい る。
【CLASS】 バーサーカー
【マスター】 ???
【真名】 ヘラクレス/ネプチューンキング
【性別】
【身長】 253p
【体重】 311s
【ステータス】 筋力EX
耐久EX
敏捷D
魔力 肉体を駆使すれば壊せぬ物は無し、よって不要
幸運B
宝具???
【能力】 狂化B
キングにとりつかれたため理性はあるがキング自体が元々アレなため 結局は狂化に分類される。

【保有スキル】 レスリングテクニックEX
おなじEXだが力、技、スピードのバランスがいい総合型のネプチューンマンとは違い、力技を中心に巨体を活かすようなファイトスタイル。
ある意味理想的な巨漢型のレスリングスタイルと言える、パワーと耐久力は上昇しているがス ピードはオリジナルバーサーカーに比べかなり落ちている。
戦闘続行A+
生還能力、とりついた人もタフなのでちょっとパワーアップしている。

勇猛A+
完璧超人に退却の文字は無い為、数値には表れてないがこれも少しパワーアップしている。

神性A
へんなのがとりついたのに下がっていない。もともとキングも神に一番近いと言われた超人なので憑依による影響は少なかったとみられる

マスク狩り
相手が素顔を隠すモノをつけていた場合に下記の技に付加される能力。文字通り相手の顔を隠しているモノを剥ぎ取る

喧嘩ボンバー
本来ネプチューンマンが放つラリアットのみの呼称と思われていたが彼も自身のラリアットの事を喧嘩ボンバーと呼んでいた。なんだかんだいって怪力なので威 力はやはり破壊的である。 
【宝具】
ネ プチューンマスク
ネプチューンマンとほぼ同一系のマスク、これによりバーサーカーは意識をキングに乗っ取られたようだ。。
【特記事項】
ザ・サムライのブラックバーサーカー。
もともとまともなSSではないのでこんな事になった。
注意事項としてはネプチューンキングがそのまま現界したのではなく、あくまでバーサーカーがキングのマスクをかぶっている事。
妙に壮絶な光景だが気にしない方針で。
なぜアンリマユの中にマスクがあったのかは現在不明。
特記事項としてはザ・サムライ登場確定の超人がこのキングはカウントしないとしてもあと二人居るらしい……


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