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ダークナイト・ライジング感想

 ダークナイト・ライジング(ダークナイト・ライゼズ)を見る前に、読むといいコミックス? そりゃバットマンvsベインじゃないかな。ベインのオリジンを完全に把握しておくかおかないかで、映画の楽しさが変わりますよ? ええ、ホント。ふじいさん、嘘つかない。
 それとビギンズ、ダークナイトは見ておくと吉。三部作の完結編なので、これは当然の話ですが。
 というわけで、ネタバレ領域にさっさと突っ込みます。ホームページを持ってると、こうやって「王様の耳はロバの耳ー!」と全力で叫べるような穴を掘れるから、便利よね。


バットマン:ダークナイト・リターンズ
 引退していたバットマンの復帰と戦い、終焉がテーマ。

ナイトフォール
 ベイン登場。バットマンの敗北と、新バットマンの登場と暴走、バットマンの復帰までの、一連の流れを描いたシリーズ。

ノー・マンズ・ランド
 大地震で封鎖され無法地帯となったゴッサムシティ。もはや事態はバットマン一人でどうにかなる状況ではなかった。誰もが、集団、勢力を必要としていた。

 おそらくライジングの元ネタとなっているのは、この三作品ですかね。どれも、バットマンだけでなく、アメコミ史に名を刻む印象的なシリーズです。ベースがダークナイト・リターンズで、前半がナイトフォール、後半がノー・マンズ・ランドと言ったところでしょうか。あとなんとなしに、ラストの爆弾を持って水平線の向こうに飛ぶシーンは、シルバーエイジのにおいがしました。
 このように、今回はコミックファン、バットマンの原作を知る人の心をくすぐるような演出が多いです。ビギンズもダークナイトも、モチーフとなる作品はあれど、ライジングほど“これはこのシーンのオマージュだ!”と思わせるポイントはそんなにありませんでした。今回はもう、ベインがバットマンにバックブリーカーを仕掛けただけでガッツポーズですよ。
 そして、原作を知っている、ベインのオリジンを知ってるからこその、タリア登場への驚き。えー! 穴から這い出たのベインじゃねえの!? ベインであってウブーだったの!?というわけで、みんなバットマンvsベインを読んで騙されればいいのさ。
 騙されればいいと言いつつ、あの本にはちゃんとラーズ&タリア&ベインが共演する話も収録されていたり。前半で騙しつつ、後半では関連作を。狙ってやったとしたら、小プロさんの慧眼にひれ伏すしか無い。映画公開前は少し疑問が残る選出だったものの、今となっては限りなくベストに近い、ベターな選出でした。


 ダークナイトのジョーカーと、ライジングのベインの違い。それは人々への接し方ではないかと。問いを用意し「さあどうする?」と問いかけるジョーカーに対し、ベインは問いを用意したフリをしながら「こういう状況になったが、お前はどうする? こんなのはどうだ?」と誘導するタイプ。こういう書き方をするとジョーカーの方がマシに見えますが、ほぼ全ての問いにトラップが仕掛けられ、悪い選択を選ぶしか無い状況に追い詰めている時点で、実のところあまり両者に違いは無かったり。巧妙な愉快犯と優れた扇動家ですかね。
 スルスルと忍び寄る蛇がジョーカーだとしたら、ベインは力と誇りを誇示する獅子。獅子の後ろに控えるのは、一匹の女豹。作中通して、戦略では片付けられないくらいに、ベインの動きは効率化されてたんですよねー。自分も内通者の存在は早い段階で疑っており、まあメンツ的にミランダだなとは思ってました。
 ただ、彼女がタリアであることは見抜けませんでしたけどね。ミランダがまたポイズン・アイビーだったら嫌だなあ……と、なぜか明後日のことを考えてましたよ? 真相に近づきつつ、最終的に変なところに飛んでいくへっぽこ探偵すぎて、我ながら涙出てくらぁ! 今度から、ふじい改めバットザロとでも呼んで下さい。


 ジョン・ブレイクは早い段階でアズラエルになるのでは?と噂されていましたが、結局……どうなんだろ? あの人、バットマンの相棒や仲間の要素を多数抱えているので、今後が全く分からんのですよね。
 本名ロビン・ジョン・ブレイクや孤児というのは当然ながらロビンの要素。警官という経歴は現アズラエル(バットマンを引き継ぎ、ベインを倒したのとは別人)とナイトウィング(表の職業はブルーサイドヘブンの警官)。更に父親の素行があまりよろしくないまま、それ相応の死に方をしたというの言うのは、2代目ロビンにして現レッドフード、ジェイソン・トッドの経歴に酷似。誰がモデル!と断言できる状況にはありません。
 普通に考えれば、二代目バットマンやナイトウィングなんでしょうが、警官→刑事と出世していく過程に力の限界への葛藤が見え隠れしていた点からは、旧アズラエルやレッドフードのような危うさも。
 完結してしまった以上、何処まで行っても予想は夢想のままですけどね。キャットウーマンやブレイクメインで、スピンオフの1本や2本は結構簡単に行けそうだな。


 今回のキャッチコピー「伝説が、壮絶に、終わる」というのは実に好みです。

壮絶―きわめて勇ましく激しいこと。また、そのさま
 
 感想を短文で書けと言われたら、これで十二分。ノーラン3部作、堪能させてもらいました!

 ……ところでやっぱアレ、ビギンズの時の『ラーズ・アル・グール役に渡辺謙』というのは、いい加減もう、無かったことにしてもいいんじゃなかろうか。ライジングで一層、只の影武者疑惑が強くなる通り越して、確定になっちまいましたし。

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