※月姫ベースですが、設定等は滅茶苦茶です、ごめんなさいです。

 

 

 

 遠野くんの家庭の事情?


 俺がなんとなくおかしいと思いはじめたのは事故に遭った後のことだった。

 事故の後に目を覚ました直後の事を今も強烈に覚えている。
 
 『目に見えるもの全て』にドキドキしてしまったことを。

 自分が寝ているベッド 飾られていた花 窓から見える景色

 驚く自分を心配してくれた看護婦さん 顔を赤くしているであろう自分を慌てて診察する中年の医者(男)

 今でこそそれがナンダッタノカというのは理解できる。目に見えるモノ全てにドキドキしてしまい、ソレが何かのカタチで爆発しそうで、自分の心臓の異様な鼓動に脅えてベッドの布団の中で目を瞑っているしかなかった自分を助けてくれたのは

 「先生」だった

 「……君はモノの『萌え』が見えるのね? ちょっと無差別すぎるようだけど。」

 初めて先生の口から出たコトバを、俺は今でもしっかりと覚えている。

 「……『もえ』ってなぁに?」

 医者や看護婦さん達とは違ったドキドキを感じつつ、当時の俺は聞き返す。

 「そうね、今の君にはまだ分からないか。」

 溜息をつく先生。この人は、俺のことをよく知っているとその動作から感じた。

 「目に見える男のお医者さんや看護婦さん、それに椅子とか色々と…… 要するに何を見てもドキドキしちゃうんでしょ?」

 「うん。」

 「……中年の医者や無機物にもか…… 相当ヤヴァイ所まで来ているようね。ここらでまともにしないと……!

 「おねえさん?」

 「……って、ゲフン ゲフン! そ、そう! そんな君にプレゼントフォーユーよ。コレを付ければ大丈夫。信頼度はジェロニモが超人になるための試練を成功させる位の。

 自分が呟いた事の危険性を認識したのだろうか、ちと「先生」は俺に眼鏡をくれた。 「しんらいど」には過去に成功しているものの、将来において多大な不安を抱かせるものがあったが。

 「かけて御覧なさい。」

 言われるままに眼鏡をかけた、選択肢はソレしかなかったように思える。……あの異様な殺気を帯びた眼を見れば。

 「……あ、おねえさんを見てもドキドキしないよ!」

 「そう、良かったわね。」

 にっこりと笑う先生。一瞬、俺は何か小さな赤い玉を手に取って彼女に見せている感覚に陥った記憶がある。俺は母親をコアに取り込まれた筈は無い、多分。

 「それをつけている限りドキドキする事は無いはずよ。君は……」

 そう言いつつ先生は小さい俺を抱きしめる。あの豊満なt(以下略)。

 「しっかりとした大人になりなさい、志貴。今の君はまだ、多分、とってもまっすぐな心をしている。それならきっと、多分、Maybe 間違った結果は生まないと思う。」

 先生は尚も俺に『忠告』してくれる。

 「聖人になれ、なんてことは言わない。君は君が正しいと思う大人になればいい。『妹萌えー!』とか『貧乳ハァハァ』とかゆーてる駄目にンげンにならないなら、十年後にはきっと素敵な大人になってるわ。折角見つけた『素材』だもの…… その外見のまま育つのよ?

 最後の小声は俺の記憶障害と今も思っている。その間に先生は俺から手を放し立ち上がる。

 「あ、でもよっぽどのことがない限り眼鏡を外しちゃ駄目だからね? 駄目な力は駄目な力を呼ぶものなの。その力はあまりにも人として駄目すぎるから。」

 「……うん!」

 当時の俺は良く分からないままに頷いていた。その答えに満足したのか、先生は俺に背を向ける。

 「それじゃあお別れね。志貴、どんな人間だって人生っていうのは落とし穴だらけなのよ。君は人よりもっと自分を駄目にしかねない力があるんだから。」

 そう言って

 「いい男になるのよ、志貴。」

 宇宙用なのだろうか、ヘルメットを被りトランクではなくバズーカを手に持って通常の3倍のスピードで先生は去っていった。 多分、自分の友人に手向けを送るンだと記憶している。

 これが俺の人生の転機だったのかもしれない。

 その後、8年間有間の家に預けられた事も含め。

 そしてあれから8年後、高校生の俺は長年親しんだ有間の家を離れ遠野の家に戻った。すっかり変わってしまった妹の秋葉。何時の間にか屋敷のメイドとして働いている翡翠と琥珀。自分の記憶との相違と厳格な屋敷のルールに戸惑ったが、しょうがないとも思う。今まで家を守ってくれた秋葉の力に多少なりともなることが出来ればと思う。あくまで兄としてだ、多分。ダメ。ゼッタイ。 血が繋がった血族にそンな邪な感情を抱くのはマズイと思う。その考えは、仮に自分が大学生にも関わらず娘が居ても変わらないと思う。……多分。

 「それでは志貴様、いってらっしゃいませ。」

 そして俺はコレだけは変わることの無い母校に今日も出かけた。……見送りまでされるとは思わなかったが。

 「ンで、どーだったよ? 久しぶりの『実家』はよ?」

 学校に着くなり悪友の有彦が尋ねてくる。 

 「どうもこうもないさ。……有間の家よりちょっとばかし疲れるンだが、まあその内慣れるさッ。……慣れるしかないンだけどな、俺は『にンげン』だし。」

 「そ、そうか。ま、まァ頑張れや。」

 俺が発した池上調の台詞で理解してくれたのか、冷や汗を流しながらも肩を叩いて励ましてくれる有彦。俺のことを分かってくれるのはやはりコイツが一番と思う。コイツがつなぎを着ていて、且つ俺が眼鏡を外せば萌えるかもしれないが、そンな気は毛頭無い。ウホッ! いい(以下略)とゆー気になるのは『彼女』だけで十分だ。

 「でも、秋葉ちゃんだっけ? スゲーかーいー妹と二人暮しか、羨ましいねェコノコノ!」

 フォローのつもりのようだが、教室内に爆弾を投げ込む有彦。あー、そーいえば秋葉自身が転校手続きに入ったって言ってたなぁー。コレに当然活気付く他男性陣。

 「血の繋がった妹とくンずほずれつ…… ふ、不潔よ! 遠野くン!」

 何故か弓塚がチョップ態勢で襲ってくる。思わず避けた拍子に掃除用具を仕舞ったロッカーとランデブーする彼女。ゴメン弓塚、チョップだけはヤヴァインだ。 

 「いーよなー、あんな可愛い妹と二人暮しかー。」

 等と勝手気ままな事をホザキヤガルくらすめいと達。それを止めるべく、

 「二人っきりじゃない! メイドも二人居る! 第一妹にナニカするわけないだろ!」

 ……燃え盛る焔に灯油を放り込ンだ事に気がついたのはその直後だった。

 「「「「―――!!」」」」

 ザ・世界。その後に

 「チクショー! この幸せモンがぁッ!」

 「ずるいぜこのヤロー!」

 しっと団大量発生。その中で

 「オイ、これで血が繋がってなかったらえちぃ設定になるなぁ、オイ?」

 油田火災の最中で煙草を吸う勇者が現れやがりました。……燃え盛る油の中を泳いで、棘だらけの柱に頭突きしやがれ、有彦。

 「秋葉、俺の小さい頃の写真はあるか?」

 「そ、それを言わないで兄さん……!」


 「いやー、ナイスシチュだよねッ!」

 「流石元気一杯のオトコノコだよなー!」

 「朝起きたらとーぜんパンツにたんぱく質のシミが? いやむしろリアルでメイドさんと4○(ピー)?」

 「いーかげんにしやがれ! 好き勝手に他人の家の事情をかき回すなー!」

 ノリノリになってる有彦他3名(一ヶ谷&二村&三宅)に強ツッコミ(=某欧羅巴圏内の赤い雨)をかましておく。

 「俺だって、俺だって、写真くらい……!」

 ドクン……

  ドクン……


 『ざわ・・ ざわ・・』と置き換えても良いような独特の感覚が俺を包む。

 心臓が イタイ

 「お、おい!」

 心配する有彦に答えることも出来ない俺の脳裏にとある疑問が浮かび上がる。

 
 小さい頃の俺の写真を見たことが無い。


 秋葉や彼女達と過ごした記憶は確かに俺の脳裏にある。これは否定するまでも無い。しかし、俺が生まれた頃の写真は見たことがない気がする。

 「…………マジなのか?」

 有彦の声にも気づかないくらい、俺は動揺していた。

 (後編に続きます)

 

 

 

 <あとがき?>

 どうもです、ナイツとゆーふじいさん氏と別所での投稿先を同じくするアホ作家です。月姫と『八神くんの家庭の事情@楠桂著作 by小学館』ネタを混ぜてみました。男塾ネタ他古いものばかりですが(汗)。……頭の中で『ヒロイン』登場の理由付けが出来れば後編を投稿させて頂くと思います(殴打)。お読みいただきまして有難うございました。

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