魔女暴走一つの出会いが聖杯戦争を変えた。私はキャスターのサーヴァントとして一人の男に呼び出された。 『中肉中背で特徴のない男・・・たよりになるの?』 それが私を呼び出したマスターへの第一印象だった。 私がキャスターだとわかると『今回の聖杯戦争のサーヴァントで一番弱い戦闘力だ』と私を罵倒した。 あろうことか、私より自分の魔力が劣っているのを気にしたのか『俺より魔力を少なくしろ』なんてくだらないことで最初の令呪を使った。 小心のくせに勝利だけは執着している・・・それで一瞬にして見切りをつけた。 マスター(クズ)のアジトらしきところで、私が女で美人とだというか知らないが『俺に抱かれろ』また、くだらないことで・・・だが、令呪には逆らえない。 思いっきり奴に奉仕してやった。あいつが満足するまで― それで私が自分のものになったと錯覚したのだろう。それをチャンスに私は毎日、毎日のようにマスター(ゴミ)を相手してあげた。 マスター(ゴミカス)にとっては戦闘もせず、ここでじっとしている事が、高みの見物のつもりなのかもしれないが― 『サーヴァントを呼び出した意味があるのだろうかこの男(クズ)は?』 いつもそう思っていた。サーヴァントはマスターに絶対服従するわけじゃないのに・・・ 最後の令呪は『きゃ、キャスター、俺をもっと攻めてくれ!』そんな、本当に、本当にくだらないことで令呪を使わせた。 あとは人目に付かないところで始末するのみ・・・あんなマスター(産業廃棄物)との関係なんて事実を最初からなかったことにしたかったため、 魔力が少ないのにかかわらず、とどめに自分の宝具を使用した。 破戒すべきすべての符(ルールブレイカー)・・・すべての魔力で出来た関係を破壊する私の宝具だ。 短剣なため、リーチは皆無だが当たれば必殺。もっとも、私は宝具より魔力で遠隔攻撃がメインのためにめったに使うことはないが・・・ そして私はマスター(ゴミ消去)を実行した。 「マスター(ダニ)との関係もこれで終わり、新しいマスター(傀儡)を見つけましょうか・・・」 そう行動しようとしたが、魔力不足により、消滅寸前になるなんて、イレギュラーな自体は予測していなかった。 普通、サーヴァントはマスター不在でも48時間ほどこの世にとどまっていられるのだが、最初の令呪の効果があだとなった。 「あんな、ゴミクズのために私は聖杯戦争で戦闘する前に終わるなんて・・・」 非常に悔しかった・・・・・・だが、すぐにあきらめに変わった。 男が女を道具扱いするなんてものはなれてる。イアソンは結局、私を一人の女性でなく魔女としてしか見てくれなかった。 人々は『都合のいい悪者がいたほうが神話が成り立ちやすい』という観念の元、私は魔女に決定づけられた。 私の魔力はさしあたりのことしか使っていなかったのにかかわらず― そして、私は復讐鬼、反英霊としてこの世にとどまることになった。 それでもたいした、復讐をしたわけじゃない。人が欲望によって自滅する、自業自得の結果になる魔術を行使しただけ― それなのに、ますます反英霊としての存在が濃くなった。 『もういい、人なんて信じられるのがいるわけないのよ・・・』 意識が虚ろになって消える寸前だった、そのときだった。 今のマスター、葛木宗一郎に出会った。 「そこで何をしている」 始めて聞いた声は重い声だった。相手は男だろうが視認する余裕はなかった。 ただ、終わった。と思っただけ。 紫のローブは防寒着に見えないかもしれないが、あいつ(ゴミカス)の返り血で真っ赤だ。 この状態を見れば人間は何をするか? 逃げる、そのあと見なかったことにするか、警察に通報するかだろう。 もっとも、消える寸前の私には関係ない・・・生前と同じように、一人きりのまま冷たい最後を迎えるだけだ― ―そこで意識がなくなった。 ―次に気が付くと柳洞寺の中だった。 目の前にさっきで出会った男が座っていた。 「起きたか。事情は話せるか」 「・・・・・・」 「迷惑だったのなら帰るがいい。忘れろと言うなら忘れよう」 不思議な男だった。この人には自己がない。『こいつは傀儡にするのは容易い』それが第一印象― なんて、間違ったこと考えてしまった。今は後悔している。 自己がないのは過去がないから。『いい過去があれば葛木宗一郎は自己を取り戻すのではないだろうか?』私はそう感じた。 私は長い経緯を説明した、理解してくれるとは思わなかったがとりあえず説明した。 「このような話を信じるのですか?」 「今のは嘘なのか?」 「いえ、本当です」 彼は誠実な人だった。こんな話を信じ、最後まで聞いてくれた。 ―だが、もう時間がない。 「お願い、抱いて」 そう、その男に懇願した。魔力がなくて消えるなら補充すればいい。 男性の精ほど明確な魔力の塊はない。いきなり、こんなことを言う私をどう思っただろうか? 「一つたずねるが、それは手荒くか、それともやさしくか」 そんなこと言って、私がそれの解答する前に始めた。 これは神仏での行為というのだろうか、だが何にしろ契約そこでは完了した。 そうして、マスターとの関係が始まった。 マスターの下宿先の柳洞寺に『葛木宗一郎の婚約者』として、溶け込むことに成功した。 そこで生前、私は王族であったがイアソンとの帰り道に料理をしていたのが功をそうした。 料理は洋風であったが、とりあえず十分美味しく食べられるものを作る女性としてなんなく柳洞寺に溶け込めた。 そして、しばらくたったあと、柳洞寺のみなさんは暗示によって完全に掌握した。 柳洞寺をよりしろにしてアサシンを召喚、『キャスター柳洞寺絶対国防圏』の展開に成功。 柳洞寺はサーヴァントにとって鬼門だが、一度入れば最高の要塞と化す。 そんな禁呪レベルの魔法を行うための魔力補充のために町に住む人から手当たりしだい魔力を吸収した。 もちろん、人々を殺してはいない。 殺したところで、また反英霊としての分野が広がるだけ・・・ 宗一郎様に内密に行っていることだ。殺していたらあとでなんていわれるかわからない・・・ 「だが、今はそのことはいい―」 内密に行っていたことは、この間ばれてしまった。 そのときの戦闘では、宗一郎様は前に出て敵サーヴァントのセイバーを引き受けて、撃破してしまった。 宗一郎様のあまりのかっこよさと戦闘力に惚れ惚れしてしまったため、セイバーの止めを刺し損ねた私は完全にミスを犯した。 完全な失策だった。セイバーという最強を撃つ機会を逃してしまったのだから。 そこで、私はまた独断行動をした結果、セイバーという最強のカードを手に入れた。 セイバーのマスターは宗一郎様と同じ、民間人レベルの魔術師。魔術師として私と敵対するのはほど遠い存在。 屋敷には簡単に忍び込めて、そこにいた女性の人質交換であっさり手に入った。 ボウヤも手に入れたかったのだが、拒否されたから仕方がない。 宗一郎様の教え子はできれば、手にかけたくはないのだが・・・そういえば、小娘もそうだったわね。 マスターでなければ生かしてやったのに・・・ 「・・・セイバーそろそろ降伏したら?」 ここは柳洞寺境内のとある一角、そこでセイバーを縛りつけ、私の令呪による絶対服従の魔力を絶えずセイバーに与え続けている。 「くっ・・・断る」 セイバーの対魔力は私の魔力すら効果がない。 さらに、令呪の命令すら断る。もう一回使えばいいのだが令呪がもったいない。 だから、ちょっと別の攻め方をしている。 「あら、そう?抵抗するの。そんなに私がマスターだといやかしら?」 「あたりまえだ・・・私のマスターはシロウだけだ!」 最初の令呪を反応速度90%ダウンで逆らっているセイバーはすごい。 サーヴァントは絶対に従わねばいけないのを逆らっているのだから。 「ふーん、セイバー、ショータイムよ」 「な、ナニをするつもりだ・・・」 騎士としての誇り高いセイバーはその身を拘束されていようと最後まで屈しない。 たとえ、ここで死よりきつい屈辱を受けたとしてもだ。 「別に〜これがなにかわかるかしら?」 「・・・!」 「そう、ご飯に味噌汁、焼き魚・・・この国の和食という質素ながら非常に贅沢な食べ物よ」 私は日本お食事定番セットを彼女の目の前に置いた。 「そ、それがどうした・・・」 「ああ、この白米のご飯の美味しさというのは語るに尽くせいないわ」 「・・・・・・」 「味噌汁というのは薄く過ぎず、濃すぎず、微妙な味わいを出すのは難しいわ」 「兵糧攻めか・・・」 「この柳洞寺の味噌は地元で作った自然の味わいが残る最高級よ。セイバー、あなたのような異国の権力者でも食べたことはないでしょうね〜」 「シロウの作った味噌汁がある!愚弄するな!」 「あらそうだったの〜香りだけも楽しむ?」 「ぐっ・・・わ、私にそれを近づけるな・・・」 「かわいそうに、一口も食べられないなんて・・・じゃあ、今度は・・・」 「焼き魚か・・・」 「焼き魚・・・とはいっても秋刀魚だけど」 「・・・・・・」 「魚といっても焼き方にコツがあって結構難しいのよ」 「・・・・・・」 「塩を振りかけておいて、味付けに大根おろしをつけて・・・香りだけならどうぞ、セイバー」 「ち、近づけるなといっているだろ・・・」 「あら、食べたくないの?」 「そう言ってはいな・・・いい、断る」 「残念ね〜せっかく食べさせてあげようと思ったのに・・・」 と言いながら私はセイバーの目の前で作った料理の試食を始める。どんな英雄でも兵糧攻めで勝てる英雄はこの世にいない。 食料がなくなればいかに勇猛果敢な兵たちもすぐに投降する。古今東西、兵法の基本は相手の輸送路を抑えることだ。 降伏をあきらめなければ、目の前でこちらが美味しいものを食べればいい。においだけ送るだけで効果は抜群だろう。 「日本食の味わいは最高よ・・・もう、何も言うことは無いわ」 「・・・・・・」 よだれたらしているから効果は抜群だろう。 セイバーの元マスター衛宮シロウは燃費の悪いセイバーの魔力の補給として精の供給か食事と私は推察した。 誇り高い王を性奴にするのも魅力的だったが、それでは最後の最後まで抵抗すると予測できる、時間がかかる。 純白のドレス着せ、落ちるところまで落ちるのを見ることも嗜虐心に駆られるがここは我慢して、やはり兵糧攻めするのが一番。 なにより自分の料理の修行にもなる。 「うーん、今日のは少し、しょっぱかったかな」 「・・・・・・」 「これじゃ、宗一郎様に嫌われちゃうな〜どうしよう?もっと勉強しないと・・・」 「!・・・お前、本当にキャスターなのか・・・」 セイバーと戦闘していた、キャスターの人格とほど遠い。セイバーと対峙しながら料理の味見をする一人の女性だ。 「そうよ、私はキャスター。名前をメディアというわ」 「!?メディア・・・真名をあっさりというのか?」 「ええ、別に聖杯戦争なんて茶番のあと、戸籍に名前を『葛木メディア』とそう書かなきゃいけないから」 「・・・茶番だと?貴様、聖杯戦争を何だと思っているのだ」 「セイバー、聖杯なんてものがすべての願いをかなえるものだと思っているの?」 「あたりまえだ、サーヴァントはそのために・・・」 「純粋に願いを叶えるなら反英霊が出てくるわけないでしょ!聖杯自体がまがい物だから私のようなのが出てきたんじゃない」 「何だと・・・では、聖杯は・・・」 「そう、まがい物。すべての願いを叶えるものじゃなくて悪の塊みたいなものよ」 「そんな・・・では、私は・・・」 さすがにショックが大きいようだ。そうだろう、サーヴァントは聖杯得て願いを叶えるために召喚されるのだから。 それがまがい物ならサーヴァントが存在する意味がない。 「・・・キャスター、お前はでは何のために戦うのだ」 セイバーとっては至極簡単な疑問だろう。サーヴァントは過去に遣り残した無念を聖杯によって晴らすために召喚されるのだから。 「セイバー、答えは一つよ」 「何だ・・・」 「決まっているでしょ、宗一郎様と一緒になるための体がほしいに決まっているじゃない」 キャスターは目を輝かせながらそう言い切った。 「・・・・・・」 セイバーは唖然としている。 「聖杯がまがい物とはいえ、いくばくかその力を利用すれば本当の肉体が手に入る。これで宗一郎様の子が生める、今度こそ女としての幸せを得れる!」 「そ、それが・・・」 「それが私の願いよ。宗一郎様は私の理想の人・・・ああ、私は宗一郎様の子が産みたい」 「・・・・・・」 「そのためにまがいものの聖杯を争う聖杯戦争でも戦いとおす!私と宗一郎様の輝かしい未来のために!」 「・・・・・・」 「ずいぶん脱力しているわね。まあいいわ。じゃあ、今度は得意の肉じゃがにチャレンジして宗一郎様が喜ぶ料理を作れるようにならなきゃ!」 「・・・・・・」 「じゃあ、夕方になったらここで味見するから。あっ、ほしいなら言ってもいいのよ」 「・・・・・・いらない」 「いつまでがんばれるかしらね?柳洞寺のみなさんにも振舞ってあげないといけないから、じゃあ、またねセイバー。食べたくなったらいつでも言ってね」 「だ、だれが・・・」 聖杯戦争の準備、もとい『花嫁修行』をするためにキャスターはセイバーのところから後にした。 サーヴァント最弱と言われたキャスターのメディア・・・だが、彼女は現代に蘇った恋する女性だった。 ―その後、聖杯戦争の結果は言うまでもない。 数年後、メディアという女性と葛木宗一郎が結婚したというのが衛宮シロウの学校に響き渡った。 あとがき どうも、玲二です・・・・・・『キャスターじゃねえよ!』 そんな叫びが聞こえてきそうな作品。 ギャグですから寛大な態度で見てください。 キャスターは一人の女性です。衛宮に『葛木先生、キャスターは悪い子です』 そこで、おろおろしているのが私のツボです。 タイトルでわかるかと思いますが、乙女回路暴走と同じノリです・・・進歩ないな〜 ふじいさんのBBSになにかご意見とかいただけるとうれしいです。 INDEX NOVEL |