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アーカイブ: 2013/02

日々雑談〜1314〜

 オーバー・ペネトレーションズ→デッドプール:キルズ・ザ・マーベルユニバースと続いたので、なんか久々の日々雑談の気がします。問題は、ちょっとした都合で、今日あまりちゃんとした更新が出来ないのですが。コミケ申し込みの、最終確認などもあるので。
 オーバー・ペネトレーションズ。おそらくこれで、以前公開した分は全てオープンになったかと。これから先は、未公開ゾーンですね。約一名、何か誤解を招きつつ、ヤバそうな名前のキャラが居るデンジャラスゾーンです。公開前に、名前変えとこうかしら……。
 最近、アメコミ放談系の記事をやってないなー。あ! 後編アップしてねえ! こんな流れで、昨日急遽デッドプール:キルズ・ザ・マーベルユニバースを作りました。お酒の力を借りたせいで、酔いが冷めた後に改めて見直すハメになりましたが。酒はダッシュ力が強い反面、どうしても挙動があやふやになるなあと。
 さて次は、何から取り組むか。でもまず最初に、夏コミ申請の最終確認をしないとな。何度申し込んでも、怖いわ。

デッドプール:キルズ・ザ・マーベルユニバース〜後半戦〜

前回のあらすじ

 完全にキマってしまったデッドプールにより、ファンタスティック・フォーやアベンジャーズにスパイダーマンやハルク、解説役のウォッチャーすら殺され、混沌極まりない事態に。メイおばさんらヒーローの親族たちは、甥や恋人や夫の敵を取る為、タスクマスターを雇った。

さらばX-MEN。絶望の未来へレディ・ゴー!

 デッドプールによるヒーロー&ヴィラン皆殺し戦記、Deadpool Kills The Marvel Universe! だいたいのあらすじと、死亡者名簿を並べるこの記事。君の大好きなヒーローもきっと何処かに出ているはずさ!(注:死体として)
 あとわりと、話が進むごとに破れていくデッドプールのタイツがイラッと来る。なんて嫌な、クイーンズブレイド……!

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オーバー・ペネトレーションズ#2−3

 翌日、ウェイドシティは騒がしかった。
 吸血鬼騒ぎはいつの間にか収まっていたものの、街の至る所が、騒動のせいで傷ついている。人々は修復作業に駆けずり回りながら、キリウという怪物の恐ろしさを身体と記憶に刻んでいた。特に、モノレールの崩落後は、圧巻である。下の道路を埋め尽くす瓦礫と残骸のせいで、ウェイド市の幹線道路一つが使用不能。更に、モノレール自体も使用不能。結果中心街は二つの動線を失い、人の流れが至る所で堰き止められている。
 まずは道路を修復せねば。必死で働く瓦礫の山を解体する土木作業員を見守るように、一人のヒーローが山の上に立っていた。昼のフクロウは、一人のヒーローを探していた。
「……連絡は、いまだつかずか」
 夜通し、オウルガールはレールの滑落現場を見回ったものの、バレットボーイ本人も痕跡らしきものも残っていなかった。ボーイはあの後、ずっと行方不明だ。自宅にも帰って来てないし、連絡もない。逃げたのなら、とうに何らかの接触があるはずだ。
 おそらくボーイの行方を知っているであろう人物、もとい怪物が一匹居る。オウルガールは、探し人をボーイからキリウに切り替えることにした。ヴェリアンの女帝も、未だ行方不明だ。おそらくまだ、街からは出ていないが、もし母国に戻られでもしたら厄介だ。彼女には、キッチリとお灸を据える必要もある。
 ヒーローを探すのは慣れていなくとも、犯罪者を探すのには慣れている。オウルガールは、ラーズタウンの流儀を持ち込むことにした。

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日々雑談〜1313〜

 今年はバレンタインにかこつけた物、何も用意できなかったなあ……。あ! 去年のオーバー・ペネトレーションズのバレンタイン回、封印したままだった!
 ということで、オーバー・ペネトレーションズのバレンタインSPを公開しました。ちょいどいいといえば、ちょうどよかった……のか?


 ワールド・ウォー・ハルクの邦訳が、6月辺りに出るとの話が。ついに悲願の一つがかなった気がする。これを期に、パワーキャラの地位向上を! 力こそパワー!
 しかし、この場合、現在凍結している解説記事をどうするか。進めばネタバレ、現状でも半分くらいネタバレ。せっかく邦訳版が出るのに、その足を引っ張るのも……。完全封印か切り口を変えるか。選択しないといけない時が来たのかもしれん。

オーバー・ペネトレーションズ〜バレンタインSP〜

 2月13日。ウェイド・HSの教室で、ノゾミは黄昏ていた。
「バレンタインデーかー……」
 周りの情景が、嫌でも愛の日の前日であることを知らせる。今日になるまで、ノゾミはこのイベントの存在を忘れていた。なにせノゾミは、ウェイドシティを守る光速のヒーロー、バレットボーイ。イベントを楽しもうとしても、犯罪行為が一度起これば東西奔走。知っていようがいるまいが、イベントをゆっくりと楽しめる身ではなかった。
「どうしたんですか? やけに黄昏て」
 クラスメイトであるヒムロが声をかけてくる。彼女の手には、チョコではなく物理の教科書があった。まあ当然、13日にチョコを渡すような義理は誰にもないが。
 きっとヒムロは今日も一つ学問を究めさせてくれるのだろう。彼女は、ノゾミに勉学を教えることを楽しみにしていた。ノゾミの一心不乱な集中力が、彼女の好みに合致しているらしい。
「ん? いや、なんでもない」
「今日は13日ですからね。今日男性は、当確がついてウキウキか、明日が読みきれなくてソワソワか、とてもガッカリな顔をしてるかの、どれかです」
「分かってるなら、いじめないでくれ。頼むからさ」
「へ? アテがないんですか? いえすみません、ノゾミくんならてっきり、チョコの一つや二つは……。女子の間でも、評判悪くないみたいですし」
「その評価はありがたいけど、昔はともかく今はなあ。評判が悪くなくても、特に仲がいい人もいないし、おそらくチョコが貰えるほど良いワケじゃない。俺は、憂鬱側の人間だよ」
 陸上部でバリバリのエースをやっていた頃はそれなりにチョコも貰えたが、引きこもり生活を得て、次の年のチョコは0。引越ししたこともあって、過去の人気は何処かにすっ飛んでしまった。
「なるほど。ウキウキかソワソワなら放っておこうと思いましたが、ガッカリですね。なら明日、救いの手を差し伸べてあげます。だからせめて、ウキウキになってください」
「……へ?」
 ノゾミは、ヒムロが何を言っているのか、良く理解できなかった。色恋沙汰から、あまりに縁遠い女性から、いきなり妙なことを言われたせいだろう。
「いらないんですか? チョコ」
「いる。うん、スゲエいるわ。やっべえ、ウキウキだ!」
「ついでですけどね。バイト先で、手作りチョコを作って売るので」
 ヒムロのバイト先は、メキシカンバーのエル・シコシス。メキシカンなのに、バレンタインに平然とかこつける辺り、ホントに分けのわからない店だ。
「わーい、ソワソワだー」
 ノゾミの感情が、微妙にランクダウンしていた。
「喜んでもらえるなら、何よりです。明日あげますから、ちゃんと学校に来てくださいね。じゃあ、今日の授業を始めましょうか」
 サボりぐせどころか、サボリが出席日数の半数以上を占める天才少女に、きっちり学校に来いと言われるという矛盾。そんな矛盾に構わず、ノゾミは迅速にノートを開いた。ヒムロの放課後レッスンを受け始めてから、ノゾミの成績は絶賛急上昇中だった。


 2月14日、バレンタイン当日。ヒムロは主人の居ない席を見て、静かに怒っていた。
「せっかくチョコを持って来て、一時間目から出席してるのに……当の本人が休みとは、どういうことでしょうね」
 あれだけウキウキでソワソワしていたくせに、ノゾミは欠席していた。
 不機嫌なヒムロは、チョコの行き先を考える。あそこで物干しげにしている、ノゾミの友達にくれてやるか、それとも机にでも入れておくか。どれもちがいますねと結論づけ、ヒムロはきっちりと青赤の紙ラッピングされたチョコを、鞄にしまった。


 その頃、ノゾミはと言うと。
「ハーッハッハ! 俺の夢の為に、消し飛べバレットボーイ!」
「うるせー馬鹿!」
 バレットボーイが、一撃でインパクトを倒す。バレンタイン当日、今日は朝からずっと、ノゾミはバレットボーイとしての自警活動を続けていた。なにせ今日に限って、やけに犯罪者が暴れている。偏執小銭狂マネー・セント。下水道の王者ホールキング。処刑拳士ケルベロス。そしてこの、衝撃波の使い手インパクト。出るわ出るわの、有象無象の犯罪者共。学校へ行くヒマなんて、あるわけもない。
「ひ、ひどいぜ……。俺のウリである衝撃波、まだ出してないのに」
「知るか! だいたいお前、朝一で出てきて、今日二回目だろ! 警察につきだしたのに、なんで二回目よ!」
「ふっ。今日に限っては、俺の脱獄のスパンも早くなる。バレットボーイ、貴様の速度を超える程にな!」
 ビシィ!と指を突きつけた一瞬で、インパクトは再度ボコボコにされた。ボーイによる、光速の一人リンチだ。
「こんだけやりゃあ、今日一日は動けないだろう……」
 ズタボロのインパクトを放置し、ボーイは学校へ向かおうとする。忙しかったせいで、欠席の連絡も入れられなかった。授業はともかく、昨日のウキウキやソワソワと裏切る訳にはいかない。
 帰る気でいたボーイめがけ、弾丸の如き小銭が飛んで来る。同時に、スコップの先端が、アスファルトの地面を突き破ってボーイを狙う。横と下からの攻撃を、ボーイはなんとか回避した。
「セント! ホールキング! お前らも二回目かよ!?」
 小銭を武器とするのは、セント。スコップ、しかも地面からとなるとホールキング。小1時間前に倒した筈の二人も、インパクトと同じように復活を果たしていた。これでは、ボーイの衣装を脱ぐことも出来やしない。
 ノゾミも必死だったが、何故か今日はヴィラン達もやけに必死だった。

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日々雑談〜1312〜

>映画ではライダーさん、人間の手には負えない!ってくらい強かったのに!チェンバーてあの歩く原子炉くんですよね?地獄の炎が核の炎に負けるなんて!?というか、復讐の精霊なら虐げられているミュータントの方に味方すべきでは・・・と思ったり。

核の炎、強し

 Age of Xの世界はビーストが暴徒に殺され、フェニックスにより60万人死亡、人類は正当な理由でミュータントの排他を始め、ミュータントは最終基地フォートレスXに篭り徹底抗戦と、正史やアルティメットですら霞むくらいに種が追い詰められているので。ゴーストライダーも、対ミュータント部隊アベンジャーズの一員でした。罪はおそらく「ミュータントであること」なのでしょう。
 Age of X版アベンジャーズのメンバーは……
 殺戮に悩みながらも、銃器の使用も厭わないキャプテン・アメリカ。
 テクノウイルスに侵食されミイラ化、アーマーが脱げなくなり正気も失いはじめたアイアンマン。
 声なき暗殺者レッドバックことジェシカ・ドリュー(スパイダーウーマン)。
 ミュータントを匿った罪で逮捕された他メンバーの恩赦のために働く、一人ファンタスティック・フォーのインビジブル・ウーマン。
 ガンマ線による侵食が更に酷くなり、怒りの全てをミュータントにぶつけようとするハルク。
 そして彼らを率いる冷徹な上官ジェネラル・キャッスル(パニッシャー)。なんかもう、どうしょうもねえな、このアベンジャーズ。
 Age of Xのディストピアな世界観、結構好きだったんですけどねー……女性メンバーのコスチューム、のきなみエロくアレンジされてたし。アレンジは良かったものの、本編のストーリーラインがよくある話となり、ミニシリーズとして完結。音沙汰なし。結構大々的な広告打ってたような気がするんだけど、終わってみれば静かなもの。ちょっと惜しいなあ。


おまけ
 世紀末的アベンジャーズ未参加かつ、非ミュータントのヒーローも二人ばかしゲスト出演しています。
 ミュータント疑惑をかけられ、捕まったスパイダーマン。しかし自らを囮にして、妊娠中のMJの国外逃亡を成功させる。
 ミュータント専門の賞金稼ぎスティーブン・ストレンジ(Drストレンジ)。冷酷非情の処刑人として名を馳せるものの、実は魔術で殺したように見せかけ、ミュータントを保護していた。
 至極まともなこの二人。やっぱ、この世界のアベンジャーズ、パニッシャー傘下にいるとおかしくなるんだろうか。

オーバー・ペネトレーションズ#2−2

「もう、勝てないねえ。次は」
 キリウの入った棺桶を見て、バレットはそんな感想を述べた。
「ならば、次がない所に送り返そう。母国に送り返してしまえば、きっとおいそれと帰ってはこれまい。どんな王でも、身内の恥の再出国は許さない」
 オウルガールも、暗に認めていた。もはや街に、この怪物を閉じ込められる檻は無いと。
「ならいいけどさ、なんかその内、パワーアップして帰って来そうで怖い。自ら、女王になっちゃったりして」
「嫌な事を言うな。もしそうだとしても、私とお前が居れば、次も大丈夫だ」
「そうだね。居れば、大丈夫だ。もう一人じゃ無理だ。一人だったら、俺は逃げるよ」
「お前にコスチュームをずり下ろされた時、キリウは本気で怒っていた。小賢しい男め、これぐらいで余が恥ずかしがるか! 次は、目が合った瞬間殺されるな」
「目があったら、死ぬより先に石になるけどね。どうもファクターズとはある程度仲良くやれても、キリウとだけは上手く行かないなー」
「犯罪者に色目を使うな」
「ヒーロー仲間には?」
「……馬鹿」
 拗ねるオウルガールを見て、バレットは嬉しそうに笑う。笑ったまま棺桶に近づくと、こっそり棺桶めがけ呟いた。
「という訳で、勝ち逃げさせてもらうよ。悪いね」
 ガタガタと、棺桶が大きく揺れる。余計なことを言うなと、オウルガールはバレットを、軽く小突いた。
 このしばらく後、バレットは見事勝ち逃げに成功した。死ぬことにより。

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日々雑談〜1311〜

 改めて日本の特撮業界と照らしあわせてみると、映画アベンジャーズって、既に自身の物語を一度完結したヒーローが集まる、先輩ヒーロー客演回みたいなものかもしれん。7人ライダーVSデルザー軍団的な。ウルトラ兄弟VS∪キラーザウルス的な。


ジーン・グレイ学園教員採用試験に臨み「贖罪やバイク燃やせます!」とアピールするものの不採用。

悪の匂いがすると、カーニバルへ。ふと振り向くと、後ろには泣き叫ぶ子どもたちとカーニバルの夜店の景品全部かっさらってご満悦なデッドプール。

ミュータント狩りに参加し、ペナンスアイで焼き尽くそうとした所、チェンバーの放射ブレスの大火力により消滅。

 ゴーストライダーがアレなのではなく、俺が読んでいるものがアレなせいで、最近こんなシーンでしかゴーストライダー見てねえよ!というオチだと思いたい。フォローしておくと、ミュータントかつ経験者なストームが面接に来た時点で採用試験はみんな(ブレイドやサスカッチやロングショットやデッドプール)勝てるわけなかったし、カーニバルには別の所にちゃんと悪魔いたし、ミュータント狩りは狩るのがむしろ当たり前な世界Age of Xでの話です。やっぱコレ、俺の追っているものが微妙に的はずれなせいだな。

日々雑談〜1310〜

ゴーストライダー2、『コミック側からの援護射撃がないこと』『ラジー賞主演男優賞ノミネート』『燃焼系ヒーロー』『遅れに遅れての日本公開』『アベンジャーズとは関係なし』 全て見終わった後に「そうか、分かったぞ…!」と納得する感じでした。(Twitterでの感想)
 
 というわけで、ゴーストライダー2観て来ました。開始10分前どころか、映画泥棒の登場直前に駆け込むような忙しさ。我ながら、よく間に合ったな。
 Twitterの感想だと一見厳し目の感想ですが、そこまで悪い映画ではないです。かと言って、素晴らしい映画かと聞かれると……他の方の感想も結構割れているんですが、これ多分、見る前にどの高さのハードルを設置したかだと思うんですよ。高めに設置した場合、思ったより良くなかったな。低めに設置した場合、言われるほど悪くないじゃん。
 褒めている方も酷評の理由はなんとなく分かるし、酷評した方も好評の理由は分かる。こんな感じなんじゃないかなと。良い映画ならもっと早く日本に来ているし、悪い映画だったらゴールデンラズベリー賞主演男優賞オンリーでは済まないし。言うなれば、普通の映画。そして良い所や悪い所がぱっと見で分かる、惜しい映画だったなあと。もう少し熟成、もしくは手直しすれば、一気に化けていた可能性も。可能性が見えるんだから、やはりダメ映画じゃないな。
 この映画において、ゴーストライダーはハイテンションキャラ。射程外から一気に近づいて来て、ケタケタ笑いながら鎖を振り回す。鎖に触れた相手は、一瞬でジュッ!と蒸発。贖罪の言葉が前作以上に出てくるけど、むしろ今回のライダーは狂気の怪物。おそらく、ウルヴァリンやパニッシャーと組めねえ。
 能力的には今回、贖罪の眼よりもライダーであることが強調されてました。バイクだけではなく、乗った物全てがゴーストライダーの眷属となり、炎と恐怖を身体に纏う。冬木市の某ライダーさん(メガネっ娘)が負けてられないと宝具持って駆け出すレベル、それくらいに騎乗主としての面がピックアップされてました。その分、贖罪の眼が、本当に出ていたのかどうか断言できないくらいに、地味でしたが。あの動作、おそらく贖罪の眼が発動していたとは思うんだけど……。動作も効果もおとなしすぎて、ようわからん。ひょっとしたら、本当に登場も発動もしていなかったのかもしれない!w
 火炎放射器や必殺地獄落としなど、良いところや派手なところもあれば、不朽の救急車やおざなりなドラマ部分と、どうにも褒められないところもある。感想や評価が、難しい作品でした。とりあえず、個々の感想もバラバラなので、興味があれば劇場でみるべし。
 1と2のいいところをピックアップして膨らませた3とか見たいなあ……。

オーバー・ペネトレーションズ#2−1

 ぶつかり合う、青と黒の光。数度のぶつかり合いの後、二つの光は距離をおいて対峙した。
「……やはり、速い」
「ああ。速いさ。開き直ったんでね」
 バレットボーイは、キリカゼから奪ったレーザー忍者刀を捨てる。ついこの間までならば、なんとか速さについて行けたものの、もはやキリカゼは、成長したボーイの速度に追い付けなくなっていた。
 ボーイの速さが、キリカゼを襲う。キリカゼの背後に回ったボーイは、そのままキリカゼの首を捕らえる。
「消えた!?」
 キリカゼの身体は、正に霧のように掻き消えてしまった。
「速さで負けても、使い方ではまだ負けぬ。サイバネティック忍術は未だ死なず!」
 四方八方からの苦無を、ボーイは慌てて避ける。先程捕まえたキリカゼは、残像だったのだ。体勢が崩れたボーイめがけ、キリカゼは頭上から飛びかかった。
「お命頂戴……消えた!?」
 キリカゼの苦無が身体に刺さった瞬間、ボーイの身体は霧散した。
「そうか、こうやって急にスピードを緩めれば……」
 本物のボーイは、今しがた繰り出した技の感触を確認していた。
「なんと! 拙者の忍法ホログラフィを盗んだのか!」
「工夫を考えるのは苦手だけど、こういう使えそうな物は遠慮なくいただくよ」
「若者の吸収力と、現代っ子の遠慮のなさは、げに恐ろしき!」
 ボーイは驚くキリカゼに襲いかかるが、キリカゼの身体は、再び残像となっていた。
「しかし、まだ未熟!」
 今度はキリカゼが攻撃を加えるものの、ボーイもまた残像となり消える。
「ならば、今ここで熟してやる!」
 ボーイが攻撃し、キリカゼが残像に。
「我が忍法、おいそれと習得されてたまるか」
 キリカゼが攻撃し、ボーイが残像に。
「なんかだんだん、コツが掴めてきたような」
 ボーイが攻撃し、キリカゼが残像に。
「なんの、まだまだ」
 キリカゼが攻撃し、ボーイが残像に。
 ボーイが攻撃し、キリカゼが残像に。キリカゼが攻撃し、ボーイが残像に。ボーイが攻撃し、キリカゼが残像に。キリカゼが。
 パプーーー!
「ぬう!?」
「うわっ!」
 ラッパの大音響が、終わらない残像合戦を続ける二人を纏めて吹き飛ばした。
「ややこしいわー!」 
 ラッパを手にしたM・マイスターは、大音響の後、偽らざる本音を叫んだ。

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