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童夢残留&VHK

BATMAN Void horrific killer〜2〜

「よお、お帰り。お前さん、どっちのニセモノだ?」

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空の境界 童夢残留〜供

「偽者ばかりの日米共催ハロウィン。参加者になったつもりはないんだけど」

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BATMAN Void horrific killer〜1〜

 最近のゴッサムシティでは人がよく墜ちる――

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空の境界 童夢残留〜機

 ただ、通り道にあるスーパーでアイスを買おうとしただけだ。ハーゲンダッツの、ストロベリー味。家にある在庫が切れたので買っておこう、そう思っただけなのに、今、式は酷い目にあっていた。
 もし彼女の精神がこの小動物を忌避する性格であれば、今頃気絶していただろう。事実、騒動に直面してしまった人間の中には、男女問わず気絶している者がいる。残りは事態が飲み込めず、カタカタ震えている連中だ。式は奇しくも、唯一騒動に立ち向かう者になってしまった。
 カサカサと、陳列棚に乗せられた山盛りのジャガイモが揺れている。チューと鳴き声を上げて、中から牙を剥き出しにしたネズミが跳び出してきた。思わず気をとられそうになるが、コレは囮だ。本命は――。
 式は片手でネズミを払うと、即座に一歩飛びのく。寸前まで式が居た場所に、ネズミの滝が現れた。天井から数百匹のネズミが一斉に順序よく落下してきたのだ。ドドドと重く落ちたネズミたちは、分散し群れの長の元に向かう。長は菓子の棚の上に立ち、式を見下ろしていた。
「ほう、俺の友の動きを見切っているのか、人間!」
 そう言うネズミの長も人間だった。ゴム手袋に防毒マスクに薬臭い白い作業着と、まるで駆除業者のような格好をした男。彼にネズミは頭を垂れ従っていた。彼の横、訓練された軍人のように整列している。
「そういうおまえも人間だろうが」
「人間? 違う、俺はそんな下賎な生き物ではない。高潔なる友、ネズミを友とする……ラットキャッチャー! それが俺の名だ!」
 男、ラットキャッチャーはごてごてと化学用品が付いた棒切れを手に、高らかとイカれた宣言をした。
「まいったな」
 ただ、後悔に尽きる。なんでこんな人間と縁を持ってしまったのか。
「こいつは、とびっきりすぎるだろ」
 無理やり起源を当てはめるなら、“鼠”か。ラットキャッチャーはとびっきりだった。とびっきりで、頭のおかしい男。いつからこの街は、こんな変態が跋扈する街となったのか。まるで季節外れのハロウィンだ。
 平凡なスーパーは現在、ラットキャッチャーと名乗る犯罪者と、彼の率いるネズミ達の餌場となっていた。

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空の境界 童夢残留〜序〜

 伽藍の堂にある、馴染みのソファー。ソファーに身を任せ、両儀式は寝ていた。


 深淵から喜悦が式を覗いていた。
 どうしょうもなく、深くて暗い筈の深淵が明るく笑っている。どうしょうもない矛盾、吐き気のする矛盾がニタニタとしている。アレは、今まで会った事がないタイプの異常者だ。浅上藤乃、巫条霧絵、彼女達が異能者だとすれば、深淵に潜む者は異常者。たかが人間なのに、全てを飲み込むような。白純里緒、彼の名がふと浮かんだものの、彼とは違う。あの深淵の格は更に上、存在を認めたくないくらいの極上だ。
「生きているのなら、神様だって殺してみせる。いいねえ、いいセリフだ。でもまだ甘い」
 深淵から異常が顔を覗かせた。ドーランを塗りたくった真っ白な顔に、口紅で真っ赤な唇、真緑に染まった髪に真紫の安っぽいスーツ。極端で歪な道化師、彼は胸のコサージュを弄りながら笑っていた。
「オレだったら、死んだ神様だって笑わかせてみせるぜ。覚悟を決めろよ、殺人鬼!」
 ケタケタケタケタ、気色の悪い笑い声をあげる道化師。ああ、コイツは殺してもいいのかもしれんと、何かが囁いている。しかしでもコイツは、常人だ。異常ではあるが異能ではない。自分の命をもてあそんで楽しんでいる。ならば、決して殺してやるものか。
「深淵への一歩、オレが導いてやるよ」
 道化師は自分の両顎を捕まえると、手加減なしで捻った。ごきゃりと音がして、道化師の口から血がダクダクと流れる。頚椎を自分で捻り、道化師は絶命した。なのに彼の笑い声は止まない。
 なんて、馬鹿らしいんだろう――


 悪夢ではなく、嫌な夢。この馬鹿らしい男の顔を、嫌になるほど見る羽目になるだなんて、誰も予想していなかった。もちろん、現実でだ。

BATMAN Void horrific killer〜0〜

 寝るべき場所ではないものの、ブルース・ウェインは日ごろの疲れに負け、仕事用のデスクでうとうととしていた。超人と呼ばれる彼にしては珍しい不覚であった。


 深淵から複数の目がブルースを覗いていた。いや、ブルースではない。蝙蝠の狩衣を纏った姿、バットマンを彼らは観察している。
 異常ではなく、異能者の目だ。狂気よりも能力が先に立つ、異能者。只の人間であるバットマンにとっては組しにくい敵だ。それでいて、狂気もそれなりに持ち合わせているのだから、タチが悪い。
 どの目も、彼の記憶の中には無い異能者の目であった。
「お前たち」
 何者なんだと聞こうとした途端、闇が晴れて異能者たちが姿を現した。
 白くふわついた服を着た、物理的にも比喩的にも地に足が付いていない少女。修道服に良く似た服を着た黒髪の少女。そして女物の着物にジャケットという妙な格好をした、金髪の若者。
 彼らの共通点は、全員東洋系の人種であることと、年が若いということ。もっと詳しく分析するならば、少々ハメを外しすぎた日本の若者だ。
 異能者たちは姿を現した。しかし、一人だけ未だ深淵の中から出てきていない。闇の中からじっとバットマンを観察している。
 ただただ美しい、女性の目であった。日本の優れた美術品のような、憂いや繊細さ、それでいて華美さも持ち合わせた目。それでいて、とびっきり恐ろしい目。いったい、どんな化生であればあんな目が出来るのか。矛盾に満ちすぎている。
 ジリリンと電話の音が鳴り、世界が一気に光に包まれる。目覚ましのベル、空ろな夢の住人である彼らも砂のように消えていく。当然、未だ闇から出てこぬ最後の異能者も。
 一瞬だけ、薄紅色の着物を着て刀を持った、麗しき大和撫子が見えた気がした。ああ、あれだけ麗しいなら。化生と呼ぶしかない。彼女にはそれだけの資格があった。


 寝ているブルースを起こしたのは、彼の忠実な執事、アルフレッドからの電話であった。ブルースは電話を取り、彼の報告を聞く。全てを聞き終えた後、ブルースは大窓から空を眺めた。ゴッサムシティの空は、今日も暗い。


 頻発する不可解な墜落死。身体ごと捻り殺された人間。カリバニズムという言葉を使わなければ語れぬ殺人事件。今のゴッサムを賑わせている犯罪は、この三つの不可解な殺人事件であった。

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