ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その29~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第29話。
 おいおい、待て待て。デッドプール再登場は来週だぜ?という訳で、ジェシカ&ワスプによるアニマル属性編!

 アフリカの(架空の)国家ワカンダを襲う、タイガーシャーク率いるヒドラの一団! 立ち向かうのは王にしてヒーローであるブラックパンサー! X-MEN編を始めとした、地に足つけた展開もいいですが、こういう世界を巡る国際色豊かな流れ、きっと望まれていたもの。国が変われば背景も色も代わり新鮮味があるものなのですよ。

「欲しいワンピースに悩んだら、どっちも買う。バッグの色に悩んだら、全色揃える。何かのために、何かを諦めるって、わたしのスタイルじゃないの」

 ジェシカのこの発言、ブラックパンサーの心を動かしただけあって、良い台詞です。一つの物を手に入れるために、別の物を捨てる。非常に現実的ですが、たとえ理想論で都合のいい話だとしても、ヒーローならば全てを救うベストを目指して欲しい。目指さなきゃ、ベストには辿り着けねえんだよ!

 でもアレですよね、セレブとしての立ち居振る舞いや矜持を持っているジェシカだからこそ上手く出来ましたが、他のメンバーが来ていたら、多分初っ端のブラックパンサーとの交渉上手くいってねえよな……。ヒカル兄さんは上手く纏めそうだけど、アキラ&アイアンマンは、全く上手く行くビジョンが見えないぜ!

 そして敵陣営レギュラーなのに今日ここに至るまで出番が少なかったタイガーシャークを補うのは、公式認定サブレギュラーことキングコブラ。アニマル陣営、連携が取れて居やがるぜ……! デッドプール戦もそうですが、水に引き込むスキルを得た時点で、タイガーシャーク強すぎる。タイガーシャークと同じ土俵、水中戦で勝つにはネイモア・ザ・サブマリナーやスティングレイみたいな、同じ水中特化型のヒーローを持ってこないとおそらくアウト。逆に言えば、同じくらい水中で渡り合えるヒーローがレギュラーなら、タイガーシャークも序盤からガンガン行けたのかしら。

 今日の紹介は、ワカンダの黒豹ことティチャラ(ティ・チャラ)王で! 私やヒーローとしての公より、王としての公を優先させる固さはあるけど、コレは王である以上当たり前だし……。この人、かなりの完璧超人だよな。

ブラックパンサー

ブラックパンサー

 ブラックパンサーの正体は、アフリカの国家ワカンダの王ティ・チャラである。
 この文章には、足りないところがある。ブラックパンサーとは、ワカンダの王に在位中与えられる尊称であり、歴代の王は全てがブラックパンサーだったということになる。つまり、ティチャラの父である先王もブラックパンサーであり、そのまた前の王もブラックパンサーであり。正体ではなく、ブラックパンサーは王である者が持ってしかるべき称号なのだ。
 希少金属ビブラニウムの産出国であり、アフリカの国家の中でも比較的裕福で高度な文化を持つワカンダの王子として産まれたティ・チャラ。ティ・チャラがまだ幼い時期に、先代のブラックパンサー、王である父がビブラニウムを狙う悪党クロウ※により暗殺されてしまう。ブラックパンサーの座と王位は幼いティ・チャラが受け継ぐことになるが、ティ・チャラはまず王にふさわしい人間となるべく、ヨーロッパやアメリカにおける一流の学校に留学し、心身共に鍛えることを選ぶ。立派に成長したティ・チャラは、ブラックパンサーを受け継ぐ儀式に挑戦。見事やり遂げ、新たなブラックパンサーとしてワカンダの王となった。

※クロウ 音波を操るヴィラン。現在は自らの身体を音波に変換し、物理的な肉体を捨てた音波人間になっている。バチ魂には既に登場(エナジー属性)、デッドプール:スーサイド・キングスにてクロウの装備をパニッシャーが使用していた。音が弱点な、共生体シンビオート系キャラ(ヴェノム、カーネイジ等)の天敵。

クロウ

 ブラックパンサーとなったティ・チャラは、国家の外に目を向ける。やがて、渡米。その目的は、強大なる力を持つ者として世界各国の注目を浴びていたアメリカのスーパーヒーロー、彼らがワカンダの脅威となるかどうか見定めることにあった。ファンタスティック・フォーやアベンジャーズやX-MENと接触したティ・チャラは、スーパーヒーローとは信頼できる存在なのだと認識する。またスーパーヒーロー達も、ティ・チャラの能力と人格の確かさを好意的に受け止め、ティ・チャラは多くのヒーローと個人的な親交を結ぶ事となった。アベンジャーズにも何度か参加し、夫婦関係の修繕のためチームを抜けたリード・リチャーズの代役としてファンタスティック・フォーにも参加している。実力頭脳リーダー適正と、非常に頼れる男である。

ブラックパンサー登場

 同じアフリカ産まれの黒人である、X-MENのストームとは一層親密に。恋愛関係に発展した二人は、そのままゴールインした……が、最近ストームは直接関与していないものの、ミュータントとして彼女と陣営を同じくしていたアトランティスの王ネイモアがワカンダを襲撃、多数の国民を溺死させてしまった。ミュータントによる虐殺にブラックパンサーは激怒、立場上ストームも王妃で居られなくなり、婚姻関係は解消されてしまった。和解は果たしたが、今の二人は良い友人関係という所に収まっている。

ブラックパンサー&ストーム

 ブラックパンサーはキャプテン・アメリカと同じく生身の人間だが、キャップに超人血清があるように、ブラックパンサーには歴代のブラックパンサーのみが服用を許された神秘のハーブが在る。元々、オリンピック選手並、特にアクロバットや体操に優れているティ・チャラの身体能力がハーブの力で五感と共に倍増され、結果ブラックパンサーは超人並みの力を手にしている。クローでの格闘戦が主だが、剣術や槍術など数々の武術を習得しているため、獲物を選ばずに戦える。
 もう一つの秀でている物と言えば、ティ・チャラの頭脳。アイアンマンことトニー・スターク、X-MENのビースト、ファンタスティック・フォーのリード・リチャーズ、アベンジャーズのハンク・ピム(アントマン)、ハルクであるブルース・バナーと並ぶ頭脳を持っており、特に自国で産出されるビブラニウムに関しては世界トップクラスの権威。王が権威となることで、知識面資源面、両面においてワカンダはビブラニウムを独占している。
 キャプテン・アメリカのシールドに始まる、様々な装備に使用されるビブラニウム。当然、ブラックパンサーのコスチュームにもふんだんに使われており、コスチュームに仕込まれたビブラニウムは打撃や銃弾の力を大幅に軽減する。特筆すべきは、手の平と足の裏に使われているビブラニウム含有のパッド。パッドを装備することにより、ブラックパンサーは壁を駆け上がることが可能に、ブーツの衝撃軽減能力は高高度からの落下による衝撃を殺し、水面を走る事さえ可能に。主武装である手のクローには溶解液の噴出機能やレーザーの発射装置。スーツに装備されたホログラム装置により、スーツまるごと普段着への偽装が可能。野性味溢れた外見、その内実はハイテクさの結晶。まるでティ・チャラを具象化したかのようなスーツだ。
 ワカンダの王であるため、ティ・チャラの中で優先されるのはアメリカより自国民となるが、決して冷淡で非協力的なわけではない。性質は善であり、本質は善き王。Marvel初、アメコミ初の黒人ヒーローに相応しい男であり続けている。

王たる黒豹

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ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その15~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第15話!
 それぞれ紅一点であるジェシカとワスプがメインのお話。親しい人だからこそ、弱い部分を見せたくないという躊躇、正直言って俺にも有りますし、誰にでも大小問わずある躊躇だと思います。いきなり全てをあけっぴろげにするのは無理だとしても、ゆっくりと己を開いていくこと、お互いを知っていくことが親しくなる過程なんじゃないかと。そんなジェシカのある種意固地な悩みを否定するのではなく、真正面から受け止めるワスプもまた良し。どっちかっつうと、ファッションデザイナーであり著名なヒーローでもあるワスプはノブレス・オブリージュ側の人間ですからね。友だから、女性だから、相棒だから分かる。この作品のアベンジャーズは、子供を受け止められる実に良い大人をしています。
 今日紹介するのは、派手なコスチュームチェンジをしたあの博士。おそらくアレ、遠目で見ると丸い身体がタコの頭に見えるデザインよね。

ドクター・オクトパス

ドクター・オクトパス

 肉体労働者である父を早くに亡くした本の虫であるひ弱な少年は、息子の頭脳に高い期待をかける母の元で育ち、やがて核と放射能の研究において右に並ぶものが居ないとまで言われる優れた科学者に成長する。しかし、大人になった少年はやがて傲慢になっていき、母も過保護となっていく。母が、息子の婚約を強引に破棄してしまった事により遂に二人は口論。その末に、母親は心臓発作で死亡してしまう。嘆きと罪の意識に苛まれ、手製の金属製アームだけを共に危険な実験に臨む元少年オットー・オクタビアス。数時間後、彼は事故に巻き込まれ、金属製のアームと神経レベルで融合してしまうことになる。
 マスター・プランナー、マスター・プログラマーの異名と四本の金属製の触手を持つ頭脳派犯罪者、ドクター・オクトパスの誕生である。元々の両手足に、四本の金属製の触手で八本、蛸の足と同数になる。
 科学の力で人間を超越したと思い込んだオクトパスは、真なる新たな創造物として既存の論理も道徳も踏みにじっていく。怪物と化した天才の前に現れたのは、スパイダーマン。一匹の蜘蛛に敗北した蛸は以後、蜘蛛の優越性を否定するための歴戦に臨むこととなる。蛸であるオクタビアスと、蜘蛛であるピーター・パーカー、ひ弱な本の虫であり、優れた頭脳を持ち、父親的存在を早くに亡くす。来歴だけ見れば、二人はそれなりに似ている。ただ、それぞれ超人となった後に出した答えは、真逆となったが。

スパイダーマンVSドクター・オクトパス

 能力は、まず金属製の触手の操作。融合の際、オクトパスの脳には新たな神経経路が出来ており、彼は触手を感覚的に使い分けることが出来る。秒速27.4メートルで動き、7.8メートルまで伸びる触手の力は容易にコンクリートを砕くことが出来る。
 しかし、彼の最も優れた能力は、頭脳である。感覚的に動く触手、つまり人間で言うなら手が一気に四本増えたことになる。機械的な補助がないまま、これら触手を同時に操り別の作業をそれぞれこなせるのは、オクトパスの天才的頭脳があってこそ。そして科学者として触手のアップグレードも重ねており、今では切り離しての遠隔操作も可能、更に触手の数を倍増、最終的には八本の金属製の触手を操ることとなった。

ドクターオクトパス(末期)

 元々科学者であったせいか、積極的に新たな挑戦にも取り組んでいる。例えば人々を威嚇するための、コスチュームの変遷(ジャンプスーツ→テーラードスーツ→トレンチコート)。

ドクター・オクトパス(スーツ)

 一時期、代理のオクトパス(レディ・オクトパス)となった弟子キャロリン・トレイラーの育成。

レディ・オクトパス

 本人が最高の犯罪と自負する対スパイダーマン連合シニスター・シックスの結成。

シニスター・シックス

 そんな彼の最大の試みにして閃きは、永年放射能に侵され死期を自覚した時に披露されたのだが……この試みの結果、スパイダーマンは最大の受難を背負い同時にドクター・オクトパスも思わぬ宿命を背負う羽目になったのだが、この数奇な話は別の機会に。とにかく、オクトパスの挑戦心は、本人の宿命や運命を切り拓く力となっている。
実写では映画スパイダーマン2(サム・ライミ版)で登場。アームに善性を侵食された悲劇の科学者として登場した。

ドクター・オクトパス(映画版)

そしてスパイダーマンのメインヴィランとして、関連アニメに何度も登場。アニメ、アルティメットスパイダーマンでは痩身長髪と今までとは一線を画したデザインながらも、途中披露した機械的なスーツはディスクウォーズでのオクトパスに近い。

ドクター・オクトパス(アニメ アルティメット・スパイダーマン)

長く続くアメコミであるが、それは停滞ではない。日常的に数多くのクリエーターが思考を振り絞っており、例えばオクトパスの挑戦心として世に出ているのだ。

 なお、時折話題となるピーター・パーカーの保護者メイおばさんとの関係は……警察から身を隠している時家に転がり込んだり、メイおばさんが当時最高峰の原子炉を遺産として受け継いだ時に結婚を申し込んだりと、結構打算的なモノに見えないこともないが、時折メイおばさんの写真を見つつ飲んだくれているので、やっぱそれなりの物はある感じで。この辺り、どう転んでも面白いと、ある意味卑怯です。

ドクター・オクトパスの結婚式