一日一アメコミ~13~

マーベル宇宙の歩き方 THE COMPLETE MARVEL COSMOS

《概要》
 地球、神界、宇宙、とにかく広いマーベルユニバース。そんな世界を旅するためのガイドブックがついに発売! クリー帝国やシーア帝国のような銀河帝国にニューヨークにワカンダといった地球の名所、更には次元の向こうにあるアスガルドや崑崙も徹底網羅! 宿、買い物、飲食、風習、旅をするために必要な情報が詰まったこの一冊。更にかのヒーローチーム、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの実体験を混じえた注釈もプラス、旅慣れた彼らのコメントは旅を更に面白くしてくれること間違いなし。無限の彼方へ、さあ行くぞ!

 

 というわけで、今回はちょっと目先を変えて資料系の本をチョイスしてみました。かの旅行ガイド、地球の歩き方を模したマーベルユニバースを旅するための旅行ガイド本。この旅行ガイドという体裁が本の個性になっており、まず前述したように宿や買い物のような旅行ガイドならではの視点でマーベルの名所や都市や惑星を分析する形に。たとえばマーベルやDCのキャラクター事典にスパイダーマン大全と、キャラクターメインの資料が多い中、惑星や都市といった場所から解説していく一冊。各地域の宿や飯や風習のような文化は必要がないと物語で語られないものでもあるので、自然と気づきにくかったりマニアックな知識が集まってる感じ。ここにガーディアンズ・オブ・ギャラクシーによる合いの手が入ることで、知識欲を満たしつつ楽しめる理想的な形に。旅行ガイドのレイアウトをなぞることで、文字やイラストがうるさすぎないってのもいい。ディープな話をしつつ、聞く側を疲れさせないってのは、なかなかの高等テクですよ。

 旅行先としてピックアップされているのは、例を挙げるとこんなラインナップです。

次元内の宇宙:クリー帝国、シーア帝国、スパルタクス、ノーウェア、タイタンetc
地球:ニューヨーク、ラトヴェリア、ワカンダ、バガリア、サベッジ・ランドetc
オルタネイト・ユニバース(別次元):アスガルド、崑崙、キャンサーバース、リンボ、ダーク・ディメンションetc

 有名な地名もあれば、マイナーな地名やここ数年の内に初登場した地名もあり。ドルマムゥの領域であるダーク・ディメンションや、ドクター・ドゥームが治めるラトヴェリアは、キャラクターを紹介する度に出てくるものの、その実態を知られていない場所ではないでしょうか。暗黒魔術の本拠地であるダーク・ディメンションや、強烈な独裁国家であるラトヴェリアも、この本に載ってる中ではまだマシな場所レベルなのがなんとも……すべての物体が食欲を持っているキャンサーバースや、悪党しかいない国家のバガリアに比べりゃそりゃマシってもんよ。

 この本に載っているのは、マーベルユニバースの各地域。つまりは、海外の複数人の創作者が長年かけて生み出した架空の世界ということです。異世界転生ものでもSFでも、架空の世界や国家や設定を作るのであれば、一読しておいて損は無し。他者のアイディアに触れることで新たなアイディアを思いついたり、時には前例があったことを知る。それが、参考にするということであり、このアイディアの原液のごとき本は、おそらく適任たる一冊。原液なのに飲みやすいのも、アピールポイントといったところ。アメコミ要素を抜きにしても、創作者なら是非とも一度目を通してみてほしい欲しい本ですね。