一日一アメコミ~8~

バットマン:ノーマンズ・ランド 2

 自分は変わり果てたゴッサムに適応したと――思い込んでいた。
 国家より切り離されたゴッサム・シティでは、数多くの支配者と敗北者が生まれていた。ローボーイズやストリートデーモンズのようなギャング、ブラックマスクやスケアクロウやマッドハッターのようなヴィラン。彼らは既に領土も勢力も失い、残党狩りもしくは囚われの身となっている。そして、敗北者の中にはバットマンも含まれていた。
 新たなゴッサムのルールに則り自分の勢力圏を広げていたバットマンだったが、トゥーフェイスの策謀をきっかけに縄張りと人命を失ってしまう。巨大すぎるノーマンズ・ランドの暗闇には、自分ひとりでは立ち向かえない。ナイトウィング、ロビン、オラクル、アズラエルといった信頼できる仲間たち、そして新たなバットガールがバットマンのもとに集結する。ゴッサムに光を取り戻すため、ヒーローたちの戦いが始まった。

 1巻に引き続いてのノーマンズランド2巻の紹介。立ち上がったバットマンを押しつぶそうとする、再度の絶望。しかしこの絶望をきっかけに、集結と再起となるのがこの2巻。ずっとバットマンをサポートしていたオラクルの元に、ゴッサム立ち入り禁止と言われていたナイトウィングやロビン(ティム・ドレイク)が帰還。ノーマンズランドを招いた元凶の一人でもある煽動家ニコラス・スクラッチを追っていたアズラエルが合流。バットマンの師匠の一人である暗殺者ケインの娘、名無しの少女がバットガールを襲名。新生バットファミリーによる、新たな模索と戦いはここよりスタート。

 ノーマンズランド開始前からの因縁、アズラエルとスクラッチの決着。ナイトウィングによる、悪徳看守ロックアップにより運営されていたブラックゲート刑務所奪還作戦。参加するヒーローと掲載誌が増えたことにより広がっていく物語。上記二つのストーリーもいいんだけど、本当に意味のないこととしか思えないことを続けてきた男の意思が、思いもよらぬ助けにより花開く『オンエアされた真実』のような、ヒーローが主人公でない短編もいいんだよな。そして隣に並ぶのは、バットマンがブルース・ウェインであることを偶然知ってしまった市民によりバットマンが危機を迎える『暴かれた素顔』。善意もあれば悪意もある。だからこその、現代社会でありノーマンズランドなんでしょう。

 バットマンですらハメられたように、このゴッサムは複雑怪奇。いまだバットマンが許せず、警察内の混乱に頭を悩ませるゴードン。統治と暴力をうまく使い分け、一大勢力を築いたトゥーフェイス。バットマンにシメられたものの反旗を翻そうとするペンギン。未だ派手な動きを見せないジョーカー。バットマンに協力しつつ、バットガールを勝手に名乗っていたものの、失敗により縁切りとなったハントレス。公園を無言で占拠し続けるポイズン・アイビー。バットマンに何事かを頼まれ、ゴッサム外での活動を始めたキャット・ウーマン。まだまだ、先の読めない暗闇とストーリーは続いていきます。