ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その48~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、48話。
 押し寄せる闇、防げるかどうかの水際作戦! 

 ハルク&ワスプ&キャプテン・アメリカ、数の不利を物ともしないバイビースト&アイアンモンガー。巨体かつパワフルな戦艦クラスの二人とはいえ、相手に大和型戦艦クラスのハルク+超優秀な軽巡と駆逐艦なキャプテン・アメリカとワスプがいる状態で、よく頑張った! そもそも数的に最初から不利だし! 後述する通り、アイアンモンガーは最近出番が増えておりますが、バイビーストはホントにね! 昔はダンジョンの奥に居るそこらのボスより上の強敵扱いだったのに、最近は何処でもエンカウントする、パーティー構成ではめんどくさい敵レベルに。アニメとか他所のメディアでも、殆ど出番ないし! ディスクウォーズ参戦キャラに賞か何か上げるとしたら、バイビーストは努力賞の有力候補にしてもいいんじゃないかと!
 ここまで褒めておいて努力賞なのかよ!?とお思いでしょうが、結局支援艦隊来て負けましたしね? 優秀賞やとうどうグループとくべつ賞は、流石にもっと別の候補がいますし……。でも、耐え切ってセカンドヒーローを引き出したことは、評価的にプラスだな、うん。

 いやだなあ、ウォーマシンの事を忘れてませんよ! 本来、セカンドヒーロー一番乗りポジションだったじゃないですか! コイツ、モードック撤退させてマイアミの話したこと以外何もしてねえななんて思ってませんよ!
 ウォーマシンはともかく、多分みんな忘れてたのはロキ様。ドルマムゥが来る!の話題性に、持って行かれていた感はあり。そしてロキ様が輝くのは、こういう人の思考の隙間ができた瞬間。ダークゲート発生装置の破壊とドルマムゥ出現の危機に焦っていたアイアンマンやアキラの隙を突く大活躍。一期ボスの時みたいにデカい力を手に入れて調子乗るのもロキっぽいけど、嫌な所に陣取る敵として出てくるのもまたロキらしさ。強敵や大敵よりも、嫌な敵という評価が似合うのがロキ様の個性にして強み。

 掴めなかったその手を、今度は掴んでみせる。ロキ城での決戦、父親に「息子のために手を離す」という選択肢を選ばせてしまったアキラの後悔。その後悔の精算となったのが、今回の話でした。
 直接戦闘に挑むポジションではないため、戦闘力や攻撃力のような分かりやすい成長度合いは無くとも、バイオコードの進化やパートナーの絆の強化と、アキラ達は確実に成長を重ねてきました。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとの邂逅、ビルドアッププレートの開発、強敵レッド・スカルとの死闘、ウルトロンとの大決戦、デッドプールとの……必要ない、消せ(ロキ談)。
 ローニンとの攻防も含め、成長しなければ乗り越えられない困難を越えてきたことは、成長の証と言ってよいかと。その成長の結果が、ローニンの手を手放さなかった事、逆転の一手となった事。こういう前に進むことで得た物が分かる瞬間は、自分の大好物です。これこそ、長期ドラマの華よね!

 今日の紹介は、鋼鉄の門番アイアンモンガーで! 原作や映画における搭乗者オバディア・ステインにも言及! 巨大な体躯と大火力! 軍事兵器色、非常に強し!

アイアンモンガー

アイアンマンVSアイアンモンガー

 映画にも登場した、アイアンマンをベースにした巨大アーマー。着用者に並外れた身体能力を与え、リパルサー・ビームやレーザーブラストを放つことが出来、ブーツからのジェットで飛行も可能。登場してからしばらくは、オリジナルより複製されたスーツを纏う人間が居たが、ブリザードウィップラッシュのような特化型や特殊装備型でもなく、あくまで大きなアイアンマンでしか無いせいか、スーツとしての出番はインパクトの割に少ない。
 アイアンモンガーをスーツとして解説した場合、本当にこれだけで終わってしまう。だがしかし、アイアンモンガーは今後に繋がる予定の映画アイアンマン、その第一作のヴィランに選ばれたキャラクターである。彼の真価は、アイアンモンガーを纏った男、オバディア・ステインと共に在ることで発揮される。
 企業家オバディア・ステイン。経営学を学び、修得の証であるMBA(経営学修士)を取得。心理戦に長け、非常かつ効率的なビジネス戦略を好む一流の企業家。心理戦や戦略は、得意とするチェスで鍛えあげられており、チェス自体の腕前もチャンピオンクラス。完璧なロジックで磨き上げられた人生こそ、オバディアが歩んできた道である。
 だがしかし、その本質にあるのは物事を勝ち負けでしか、むしろ自分が勝って当たり前の物としか考えられないどす黒い本性であった。子供の頃、チェスでオバディアと互角であった少年は、その結果オバディアに愛犬を殺されてしまった。つまりこの常軌を逸した精神は、幼年期より持ち合わせていた物である。

オバディア・ステイン

 非常に、並べてみたら分からないレベルで、他所の出版社で活躍する超有名アメリカンヒーローのライバルに似ているが、ひとまずそこはスルーして欲しい。多国籍軍需企業、ステイン・インターナショナルの社長となった彼にとってのライバル、勝つべき相手はスターク・インダストリーズの社長であり企業家のハワード・スタークであった。だが、ハワードは事故死。会社は父以上の才覚を持つと言われているトニー・スターク(アイアンマン)が引き継ぐこととなる。表向きは友好関係を保っていたオバディアだが、付き合いつつもトニー・スタークの情報を収集。トニー・スタークがアイアンマンとしての重責に耐えかね、アルコール依存症となった事。友人の力にて立ち直った事を知る。オバディアにとって、このトニーが見せた弱さは、チェックメイトに繋がる一手であった。

アイアンマン:デーモン イン ア ボトル

 オバディアは、得意の心理戦と権謀術数を駆使することでトニーを再びアルコール依存症に陥らせてしまう。スターク・インダストリーズはステインに買収されてしまい、地位も名誉も財産もアイアンマンとしての立場も酒で失ったトニー・スタークはホームレスにまで落ちぶれてしまう。先のアルコール依存症以上の没落。オバディアの完全勝利であった。彼にとってはトニーですら、自分の人生を彩る敗北者の一人に過ぎなかったのだ。
 オバディアに負け、浮浪者となり全てを諦めかけていたトニーだが、偶然出会った女性ホームレスが自身の命と引き換えに子供を産んだ瞬間、生命の誕生と死に立ち会ったことにより、人としての現実と希望を取り戻す。周囲を見てみれば、空位となったアイアンマンの座は親友ジム・ローズが必死で守り続け、アベンジャーズの仲間たちも変わらず居る。全てを失ったわけではない、奮起したトニーはアルコールと決別、赤と銀の2色が特徴的な新型アイアンマンスーツ、通称シルバーセンチュリオンと新会社スターク・エンタープライズ社を作り上げオバディアに挑んだ。

アイアンアーマー マークⅧ(シルバーセンチュリオン)

 なお余談ではあるが、浮浪者となった時に女性ホームレスと出会わず、代わりに変な赤タイツと出会った結果、モードックが首領を務める秘密結社AIMに売っぱらわれてしまった平行世界もあったりする。なんてバッドエンドだ。

トニー・スターク売るよ!

 一方、オバディアだが、負かしたと思ったトニー・スタークの再起に動揺。再起した敗北者により追い詰められた結果、遂にトニーが直接アイアンマンとしてステイン・インターナショナルに乗り込んでくる事態となる。だが、オバディアの手元には最終兵器があった。スターク・インダストリーズを乗っ取った際に見つけた、アイアンマンスーツのデーターと実物。彼は部下に命じ、アイアンマン以上のスーツを制作させていた。
 オバディアの元に乗り込んだアイアンマンが目撃したのは、自分のスーツ以上の大きさと性能を持つ鉄の巨人アイアンモンガーだった。アイアンモンガーとなったオバディアと、アイアンマンであるトニー・スターク。二人の企業家の最終決戦は、肉弾戦となった。

アイアンモンガー

 アイアンマンを超えるアーマーの名に恥じぬ性能を見せ、アイアンマンを圧倒するアイアンモンガーだが、やがて最大の弱点が露となる。トニー・スタークとは違い、スーツを着た経験が無いオバディア。その経験を埋めるため、アイアンモンガーは外部PCの遠隔操作による補助を受けていたのだ。遠隔操作の妨害より、活路を見出したアイアンマンは、アイアンモンガーを遂に撃破する。
 自らの敗北を悟ったオバディアは、トニーに自らの父親の死について語り始める。自分の父親はギャンブラーであり、ロシアンルーレットに失敗して死亡した。父の死を目の当たりにした恐怖で、自分の頭の毛は抜け落ち、敗北とは死である事を学んだ。オバディアの勝つことへの病的なまでの執着は、この一件が原因だったのだ。
 そして敗者となってしまった自分に、生きる資格はない。気づいたトニーは制止するものの、オバディアは自らのリパルサーにて頭部を撃ち抜き死亡する。敗北とは死であると身を持って教えてくれた、自らの父と同じように。勝者であるトニーは全てを取り戻し、敗北者であるオバディアは死亡した。再起したヒーローと再起を選ばなかったヴィランの戦いは、こうして終了した。

オバディアの死

 アメコミのキャラクターは死亡や蘇りが激しいが、オバディア・ステインは蘇っていないキャラクターの一人である。あの世に居ることの確認や短期間の復活はあるが、本格的な復活には至っていない。そもそも、初登場が82年で自殺したのが85年と、映画ヴィランに選出された割に、非常に活動期間が短い。他の映画第一作のヴィラン、レッド・スカルやロキの活動期間数十年+継続中と比べれば、その短さは更に際立つ。
 だがしかし、アイアンモンガーとオバディア・ステインは立派に映画ヴィランを務め上げてみせた。

映画版アイアンモンガー&オバディア

 他所のハゲで企業家な有名ヴィランと差別化するために髭を生やしてみよう! 技術の未熟さによる巨大化とリアクターの窃盗。こうすれば、トニー・スタークの天才性が揺らがぬまま強敵になれる! 非常に細かな気遣いにより、アイアンモンガーとオバディア・ステインはアイアンマンの強敵として再生を果たした。以後、オバディアとアイアンモンガーは、アイアンマン・ザ・アドベンチャーズやディスク・ウォーズ:アベンジャーズのような世界観を再構築したアニメ作品にて、ラスボスや強敵として存在感を示す。ディスクウォーズのアイアンモンガーの中身については明言されていないが、ビジネスパートナーや技術の窃盗といった評価からして、オバディアのルートからおそらく外れていないだろう。

アイアンモンガー(アイアンマン アドベンチャーズ)

 原作での、トニー・スタークを浮浪者にまで追い詰めた数年間。この濃い数年の結果、トニー・スタークは未だにアルコールに脅かされ、様々な世界にてアイアンモンガーはアイアンマンの前に立ちはだかっている。だがある意味これは、敗北は死であり終焉と考えていたオバディアにとって、皮肉的な今なのかもしれない。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その47~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、47話。
 ローニンの中でせめぎ合う光と闇。そして遂に姿を表した、大いなる闇の主!

 ダークディメンションの名称、数話前ロキと共に現れた謎の影、出現や存在は匂わせていた最大最強の敵……ダークディメンションの主、邪悪なる魔術の極み、混沌からの追放者、ドルマムゥ! マブカプ3ではドーマムゥ名義での参戦でしたが、今回はドルマムゥとして参戦。この違いは、DORMAMMUをどう日本語読みするかで。ドーマムゥもドルマムゥも、どっちも合っています。ソーの持っているムジョルニアだって、ミョルニルやムニョムニョとか色々ありますしねえ。
 マブカプ3では、プレイアブルとして参戦したものの、実際のポジションはかの宇宙魔神ギャラクタスや主神オーディンやサノス(ガントレット付き)に比肩するドルマムゥ。ボスとしての格は、神であるロキや邪悪の結晶レッド・スカルを越えかねない存在と言えましょう。つーか今のロキ様、辞書に、
ロキ:強者の腰巾着の意
と書かれても、文句言えないぐらいのアレですし! 笑いの神は追撃の手を緩めないぜ……。
 ただまあ、神でありながらその立場を享受できることは、ロキの強さの一つではあるのですが。今でも、所々、何らかの意図が見え隠れしている気もしますしね。一人勝ちするのは、誰だ?

 先週に引き続き、「もう、あいつ一人でいいんじゃないかな」街道驀進中な、ドクター・ストレンジ。ただし、ディスクウォーズでは一人の力ではなく、アキラ達の力があってこその活躍が多く。トニー・スタークの帰還も、ローニンの居場所の発見も、今までアキラ達が培ってきた絆の力があってこそ。チートではなく、最後のひと押し、触媒としての手段がディスクウォーズにおけるストレンジのポジションかと。戦隊メカにおける、全員集合な最終合体に必要となるロボ的なポジションと言いますか。
 強すぎるドクター・ストレンジは作り手側のさじ加減が難しく、「よく分からない弱体化」「いくらなんでも油断しすぎだろ!」のツッコまざるを得ない不自然さで強さが削られるシーンもコミックスで多々あり。その点、ディスクウォーズは参戦時期や物語の成熟に加えることで、ストレンジの格を落とさず尚且つ物語も維持するという、良い落とし所を作り上げたのではないかと。個人的な話となりますが、自分もアメコミカタツキ4にストレンジを出した時、このさじ加減に苦心した記憶がありますし。ううむ、勉強になる。

 ローニンの暗躍の裏側、闇の力に追いやられても、ローニンの心中にて人としての抵抗を続けていたアカツキ博士。流石トニー・スタークの相棒であり友であり、流石アキラとヒカルの父親であるとしか言いようのない強さ。だからこそ、走狗としての価値を見出されてしまったのでしょう。今週、その意志は潰えたと言われましたが、ロキの算段を幾度も越えてきたヒーローや息子の友であり親であるアカツキ博士なら、きっとまだ……。

 今日の紹介は、下手するとディスクウォーズ史上屈指の「誰!?」なリアクションがあった、バイビーストで! アイアンモンガーは映画に出てるけど、コイツは正直なあ!w

バイビースト

バイビースト

 秘境スカイ・アイランドに住む、鳥人種族アビアン族。超人種族インヒューマンズの亜種と言われ、高度な知性と文明を持つアビアン族だったが、彼らは生存のため冬眠を選択。眠りにつく自分たちの守護者となり、アビアン族が築いた文明のデーターベースともなる存在、二頭のアンドロイド、バイビーストを作り上げる。二つの頭部と二つの頭脳と二つの人格、上の頭脳には戦争や戦闘といった争いに関わる知識を詰め込み、下の頭脳には歴史や文化のような文明に関わる知識を。アビアン族の全てを記すに、一つの頭脳では足りなかったのだ。
 バイビーストはスカイ・アイランドにて一人で二人の守り人となり数年の時を過ごすが、遂に二人きりの孤独に耐えられず暴走。翼を持つ怪物ハーピーを発見した彼らは、アビアン族に似た彼女を捕らえてしまう。だが、とある目的により、ハーピーを追跡していたハルクがスカイ・アイランドに到達。スカイ・アイランドの守護者として、ハーピーを求める者として、バイビーストはハルクと一進一退の攻防を繰り広げる。

バイビースト 登場

 激戦の後、ハルクは正体であるブルース・バナーへと戻り、優れた頭脳を持ってしてスカイ・アイランドを探索。アビアン族の超科学を使い、ハーピーを治療する。ハーピーの正体はAIMの首領モードックにより過剰なガンマ線を浴びせられた女性、ハルク(ブルース・バナー)にとって最愛の女性であるベティ・ロスであった。ハルクとハーピーを追跡し、AIMとモードックもスカイ・アイランドに襲来。モードックの手に落ちるよりはと、バイビーストはスカイ・アイランドと共に自爆してしまう。
 消滅したと思われていたバイビーストだが、海に落ちたバイビースト二号機をSHIELDがヘリキャリアーで回収する。先代のデーターを取得したバイビーストは、スカイ・アイランドとアビアン族が吹き飛んだのは人類のせいだと判断。ヘリキャリアーを占拠し報復を目論む。バイビーストの前に再び立ちふさがったのは、人類の切り札であるハルク。死闘の末、バイビーストは海に落下し、溺死したと思われていた。

ハルクVSバイビースト

 だが、生きていたのか別の機体か、バイビーストは三度活動を開始。スカイ・アイランドの再生と人類への復讐軍の結成を阻んだのは、ソーとアイアンマンだった。以後、バイビーストは様々な場所に顔を出すヴィランとなる。対スパイダーマンチームである、シニスター・シックスの発展形、シニスター・シックスティーンへの加入。カナダの魔獣ウェンディゴや巨竜フィン・ファン・フームと共に、ハルクとの決戦に臨むこともあった。

バイビースト&ウェンディゴ

 あとまあ、下の頭がシー・ハルクに恋したがフラれたり、ファンタスティック・フォーのシングと戦っていたら、ヤバいリスと遭遇したりと、人間味や面白ポイントも結構あったり。

バイビースト&シング&リス

 能力は、怪力とタフネスと言った、シンプルかつ強力な物である。ハルクに匹敵している時点でかなりの物を持っているのが窺い知れるが、アンドロイドである彼の体力は無尽蔵であり、痛覚も無いため、殴り合いに関しては他の追従を許さない。応用力に欠けているものの、アビアン族の知識がつめ込まれた二つの頭の知力も相当な物がある。自身の身体スペックだけで、ハルクやソーのような強力なヒーローと相まみえているのだからシンプル・イズ・ベストの体現者と呼んでも過言ではない。
 ただし、自他共に認める弱点として、二つの人格を持っている事がある。二つの人格に一つの身体、戦闘中互いに主導権を握ろうとしての失敗や失策も多い。
 ディスクウォーズに出たキャラの中でも非常にマイナー側に属するキャラだが、特徴的な外見のせいか背景に居るとそれなりに目立つキャラではある。見かけたら「おっ!?」と驚いてあげて欲しい。

楽しき人生