スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム感想(ネタバレあり)

 スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームを観てきました。

 コロナ禍によるスケジュールの遅延や変更。入場制限やロックアウトによる興行収入の伸び悩み。配信によるフォローによる映画館との隙間風。ドル箱だった中国市場の鎖国化。順風満帆だったマーベル・シネマティック・ユニバースも、コロナという嵐により、一気に先が見えない状況に。今後のMCUを引っ張っていく存在の一人であったブラックパンサーを演じるチャドウィック・ボーズマンの死もまた、想定外の悲しい出来事でした。

 そんな中、MCUのエースとしてまず重責を担うことになったのがスパイダーマン。スパイダーマンに求められたのは単なるヒットではなく、今後のMCUに属する作品すべてに期待感を与え、この嵐の中でも大丈夫だと言い切れるだけの安定感と数字を持つ、エースとしての役割。いかんせん、まだコロナは猛威を奮っており、どうなるか先が読みきれない部分はありますが、自分の目で観た観客として言い切れるのは、まず間違いなくスパイダーマンはエースたる姿を見せつけてくれたということです。この映画なら間違いない、これだけ全力を見せてくれた映画に憂いはない。そう断言できる作品であり、MCUを薄ぼんやりと包む不安を払拭してくれる映画でした。この映画を作るために、多くの人がどれだけの労力をかけたのか。それがわかるだけに、映画でなく世間が万全でなかったのは「惜しい」の一言です。

 真面目な論評にして、ネタバレ無しの気を使った感想はここまでとして……。
 いやースゲえ映画でしたわ! 後になく先になし、軽く使えない空前絶後の四文字をあっさりお出ししてしまうくらいに!
 というわけで、ここから先はネタバレ全開でいきます。ヒャッハー! 止まらねえぜ!

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日々雑談~5825~

 バットマンにはジョーカー、スーパーマンにはレックス・ルーサー、ならスパイダーマンはジェイ・ジョナ・ジェイムソンだろ。
 実際長年のバッシングによりスパイダーマン最大のヴィランと言われているジェイ・ジョナ・ジェイムソン。基本的にジョークではあるものの、思春期の少年が挑み憎むものは大人である。そんな視点で見ると、実は結構あってるんじゃない?とは思ってました。

 そもそも、スパイダーマンが少年で青年だったこともありますが、老人のヴァルチャーに博士のドクター・オクトパスに友人の父のグリーンゴブリンと、スパイダーマンの初期から出てたヴィランって、だいたい年上で職業と立場を持った大人でしたからね。ニューヨークのティーンエイジャーである読者の共感を得る、大人の庇護下にあったサイドキックたちとの差別化を図るには、理不尽な大人に挑むことが必要なわけで。実際、ヴェノムや二代目グリーンゴブリン(ハリー)のような同年代のヴィランが出てくるのって、スパイダーマンや読者が大人になってからの時期なんだよな。

 読者に寄り添う、読者の共感を得るためのキャラクターとしてのスパイダーマンは、もうちょっと掘り下げたほうがいい研究材料よね。読者の好みに合わせるという点でも、たとえば昨今ならフットワークの良いWEB系の漫画や小説にも繋がるわけで。読者目線のターニングポイント的なキャラクターとして挙げてもいいと思うんだけどなあ。

日々雑談~5779~

 こうやって本国の展開を並べると、デッドプール:SAMURAIもまだ大人しく思えてくる不思議。しかしここ数年は、人気が実証されたデッドプールを普通に人気キャラと扱おうとした結果の袋小路に入ってたので、こうして昔のノリに戻り始めてるのは良い流れ。いやほら、人気キャラになると、一大イベントに絡む、もしくは主導する義務とか出てくるし……。そしてデッドプールは、おそらくそっちは向いてない。支部長として自由にやってもらえばとてつもない業績を残すけど、本社に戻して管理職にしたらアレ?っとなるタイプ。わりとスパイダーマンもこういうところがあるんだけど、スパイダーマンは支社を独立運営して本社レベルの規模にしてしまうので。これは年季と人気があってなせる技。

日々雑談~5881~

 これ、スパイダーマンが幻覚だと見破らなかったら、ミステリオにはネットアローが効かないと思いこんでるホークアイの次の手は、さらに強力な矢を放つだったと思うんだけど……。スパイダーマンがいるとミステリオは仕事がやりにくいけど、こうしてミステリオの呼吸を読んでくれるスパイダーマンがいないと、必要以上のガチ対応であっさり殺されそうで怖いわ。

 ミステリオのスーツは幻覚ガスの散布やホログラフィによる幻影とあくまで騙しに特化しているものの、コミックスだと偽スパイダーマンになるためにスーツ脚部にバネを仕込む工夫をしたり、ヘルメットに水中でも30分以上呼吸が出来る機能が備え付けられていたりと、一応身体能力の強化にも手を付けてはいます。ただマーベル・ユニバースには、自力で飛行出来て宇宙でも活動できる鉄のスーツを着たヒゲがいるので……。アレと技術勝負するよりは、自分の得意を活かしたほうがおそらく伸びる。マヌーサやメダパニに特化していくつか金星も上げてる以上、ミステリオの方針はおそらく間違っていないでしょう。

 あと、簡易スパイダーセンスとも言える超音波によるレーダー機能や、スパイダーマンのウェブを溶かす薬と、対スパイダーマンスーツとしてのミステリオスーツの完成度は意外と高いんだよな。もっともトニー・スタークはトニー・スタークで、スパイダーマンを研究することで、擬似的なスパイダーセンスの獲得だけでなく、スパイダーマンのスパイダーセンスを無効化する装置まで作ってるけど……。ここ最近、映画の影響もあってか、更にトニーの天才としての地位は高まってるけど、そこを抜きにしても、やっぱあの人、チート級の天才で職人だわ。

日々雑談~5829~

 日本での商品販売と海の向こうでの雑誌展開、二つを合わせると、点と点がつながってクモ糸のごとき線が見えてくるような……。やっぱスパイダーバース2か? それとも、東映オールヒーロー映画についにスパイダーマン登場か? 後者の方が難易度高そうだけど、なんつーかここ最近のノリダーすら出す勢いとフットワークの軽さを見るに、権利関係の交渉の際「ウチでも出していいですか?」ぐらいの提案、一回ぐらいはしてそうだよな。難しいけど、夢はある。

 実際、売れてます!といい数字を見せたほうがいいのはわかるんだけど、その結果、世界の数字と、アメリカや中国の数字と、日本の数字がごっちゃになって扱われている気がする。日本だと興行収入がアメイジングスパイダーマン>>MCUスパイダーマンなのを飲み会とかで口にすると、だいたい「え?」って言われるもんな。いや俺も、知った時にはビックリだったけど。

 東映スパイダーマンをきっかけに、頭打ちとも思えるこの状況を打破してくれるといいんだけど。安定しているうちに、思い切った挑戦をしてくれれば……!