日々雑談~1850~

 3月28日&29日開催のコミケットスペシャル。当サークル肉雑炊は29日(二日目)D-33bで参加します。此度は、最終回間近なディスクウォーズ本を予定、というか最終調整の段階に入ったので、タイトルと表紙を公表します。タイトルは、ディスクウォーズ・アベンジャーズ:ドゥームズデイ#1です!

コミスペ新刊サンプル

 タイトルと表紙に居る鉄仮面を見れば分かるように、ディスクウォーズのドクター・ドゥーム編です。アメコミ風に言うならばホワット・イフ、ジャンプ風に言うならばドラゴンボールやキン肉マンの劇場版。もう色々とぶちこんでおります。有名キーワードたるアレとか! 某チームとか! ちなみに1となっているのは、前編の意味。後編となる#2は、COMIC1新刊として制作しております。
 詳細と正式な告知は後日に。それでは最終調整、やってきますので!

日々雑談~1848~

 マンダリンって、イメチェンはともかくアップグレード自体は大人しめなのに、遂にMk50まで達したアイアンマンに食らいついたって意味じゃ超頑張ってるよな……。最初マンダリンと戦った頃のアイアンマンはMk3、トレードマークである赤と金を初めて取り入れた機体だぜ? つーかアイアンマンは、本人のアップグレードの速度の方がヴィランより上行ってる気がする。

 最終回直前なディスクウォーズの勢いそのままに、コミスペ新刊の山場を迎えております。詳細は後日明らかにしますが、バチ魂には出ているもののアニメ本編には出れなかったキャラ一人と、バチ魂にも参加していないキャラ三人、総計四人のマーベルキャラをディスクウォーズ世界に適すようなアレンジを加え、登場させております。
 重要度が比較的低い二人の台詞を抜き出してみると、こんな感じです。

「見たかこのパワー! この硬度! アイアンなど、所詮は鉄屑。最強最硬、それはチタニュゥゥゥゥム!」

「スピスピスピードッ! ああトロい、世界はトロくてしかたねえ! スピードは愛! スピードは情熱!」

 分かる人には、誰だか分かってしまったような気がする。特に前者。タイトルと表紙とメインテーマは近日公開しますので、しばしお待ちください。
 さて、詰めの作業をやるだけやったら寝るか……。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その50~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、50話。
 最終決戦開幕! 押し寄せる悪意、思いもよらぬ結末とは!

 大火力のウォーマシン。空を駆けまわるファルコンとノバ。久々のタッグで名を売ろうとするパワーマン&アイアンフィスト。ビブラニウムを誇るブラックパンサー。ハンク・ピムの知力と戦力としてのジャイアントマンの両立。光の結界でヘリキャリアーを包むドクター・ストレンジ。我らセカンドヒーロー、ここにあり!
 欠席期間が長かったウォーマシンやドクター・ストレンジだけでなく、他のヒーロー達の設定も補完。パワーマンとアイアンフィストと言えば、名を売らなければ食っていけねえ雇われヒーローチーム、ヒーローズ・フォー・ハイヤー! ワガンダ原産な不思議金属ビブラニウムをスーツにたんまり使っているのは、世界最高のビブラニウムの権威ブラックパンサー! 登場回や話の都合で入れられなかった設定を、話を壊すこと無くさらりと挿入。夕方6時半のアニメとしては、やはりこれぐらいのバランス感覚がベストなのではとは思うのですよ。程よいこだわりは元ネタへの敬意でもあり、くすぐられる物です。

 レッド・スカル、ウルトロン、ドルマムゥ……ディスクウォーズに出た大物ヴィランだけでなく、未出演の大物を含め比較してみても、このクラスで他人に腰を低くすることが出来るのはロキ様ぐらいだと思うのですよ。ひとまず同盟を組めたり、絶対的な力に従うヴィランは多いですが、「本気で従っているのかどうか分からず、黒幕どころか読者や視聴者ですら見抜ききれない」程、幅広く上手く従うことが出来るヴィランの極地ではないかと。本気で裏切らなかったり、あまりの自体にヒーロー側に転がる事もありますしねえ。
 ちなみに、腰が低いと言うのは貶し言葉ではなく、褒め言葉です。自分が嘘を付く存在であり、他人に従える存在であることの自覚って、これ一つの武器ですよ。まあロキの場合、自分が絶対的に優れている者であると確信しているからこそ、神でありながら他人の靴を舐めにかかれるワケですが。もう少しマシな理由で辛酸を嘗める事が出来るなら、ロキの不屈さと根気は、下手すりゃアベンジャーズ以上の主人公適正だろうに。

 ロキ様、人を騙す事への自覚はあっても、自分が騙される事には慣れてねえというか想定外なんだよ! そして、アキラ達はほぼ一年ロキとやり合うことで対ロキのエキスパートになっているというね! なんでお前、アイアンマンスーツしっかり着込んでるねん! 「卑怯者め!」小物の特大ブーメランか!という笑いどころはさておいて、真面目に考察すると……ロキの虚言は、相手が多数であればあるほど機能するので、組織であるSHIELDはむしろ得意な相手。かと言って、一人なら一人で、周りから孤立させられるハメになる。つまり、ロキのやり口を全員知っている上に、揺らがぬほどの信頼関係がある少人数の集団が対ロキには最良であり。うむ、アキラ達、完璧な対ロキ特化チームだ。つーかSHIELDって、ロキが属する魔法関係にゃあハナから弱いからなあ。それは、別部署の担当だ。
 しかし今回、本人なんもしてないどころかむしろ頑張っているのに「口出ししてきて邪魔」「絶対負けを認めない」「むしろテーブルをひっくり返す」と、トニー・スタークの株が落ちてきているのはなんでだろう。これはアレか、先週上げた株価が純正価格に戻ろうとしているだけか(酷

 お前ら、待たせたな! 現れたのはミラノ号、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー再登場! えーと、確か30回ばかし宇宙でダンスバトルしてきたとかどうとか……。頼れる援軍とヒーロー達の総力により、ダークディメンションを封じ、ドルマムゥを引きずり出すことにも成功! よし、次回最終回への布石は打たれた……からのロキ様下克上! まさかのラスボス化! ええ、リアルタイムでTwitterの実況を聞いていましたが「まさか!」「ロキやりやがったな!」とTLが驚愕まみれでしたね。一度ボスを務めていたこともありラスボス化は予想していなかった、見え隠れしていたドルマムゥへの不満も最後の最後で裏切ってヒーロー側に加勢する布石だと思われていたのではないでしょうか? ついに来週はディスクウォーズ最終回、小物の花道、最終決戦から目が放せませぬ。「勝ち目キター!」「あれ? ロキラスボス? 勝てるんじゃね」みたいな呟きもTLで乱舞していたのは内緒だ!

 今日の紹介は、マンダリンで。いや今回出てないじゃんとお思いでしょうが、既に最終回の紹介キャラは内定済み。今回の話は、基本新キャラ居なかったよね!?ということで自由枠状態。というわけで、今まで紹介していなかったキャラからマンダリンを選択。登場回をノバの紹介に使ってしまった結果、触れてなかったんですよねー……。
 そしてマンダリンの紹介を全文書いて、見直す段階で「あれ? 今日登場してセカンドヒーローなウォーマシンも書いたことなくない?」と気づくオチ。ええい、今日はもうマンダリンで行くぞ!

マンダリン

マンダリンⅡ

 かつて、中華人民共和国にて巻き起こった粛清と破壊の嵐こと文化大革命。様々な人々が財産や命を奪われる中、とある過程の男児もまた、裕福な家庭に産まれながら全てを失ってしまった。行くあてもなく彷徨い成長した彼が辿り着いたのは、龍が棲まうと言われる深遠の秘境、精霊の谷であった。秘境に足を踏み入れた彼が見つけたのは、壊れた宇宙船。この地に住むと言われていた龍の正体は異星人マクルアン人、フィン・ファン・フームとその仲間たちであった。男は宇宙船よりマクルアン人の超科学を回収、その中でも最も不可思議な能力を持つ10の指輪。一つだけでも所有者に多大な能力を与える指輪を、全て自身で装着してしまう。
 謎の科学と10の特殊能力を持つ、自称チンギス・ハーン直系の子孫、怪人マンダリンが中国だけでなく、世界をも脅かすようになるのはその後の事である。中国で勢力を伸ばしつつ、テロリストを支援することで世界各地に食指を動かす。やがて優れたテクノロジーを持つ最強の男が、世界を征する。マンダリンの夢想を打ち砕いたのは、東洋でなく西欧の男。自身に負けぬテクノロジーを独力で開発した鉄の男、アイアンマンであった。

マンダリン 初登場

 トニー・スタークは、戦場にてテロにあうことにより武器商人たる自身の過ちを反省、正義のヒーローであるアイアンマンとしての活動を始めることになるが、実はこのテロリストの支援者はマンダリンであった。彼の野望を打ち砕いたのは、自身の策略が遠因だったのだ。マンダリンは以後、精霊の谷を本拠地とし、アイアンマンやアベンジャーズとの戦いを繰り広げることとなる。
 マンダリンが装備した指輪が彼から外れることは無かったが、死亡したと目されていた一時期はマンダリンの両手を切り落とすことにより、非嫡出子の息子テムジンが継承。テムジンもやがて自身の指に指輪をはめるが、テムジンの手もまた切り落とされてしまった。指輪は復活したマンダリンが回収。バイオアームで両手を取り戻すが、なんと彼は指輪を脊椎に融合させてしまう。

マンダリンⅠ

 指輪を体内に仕舞いこんだマンダリンは、憎きアイアンマンと再度対決するが敗北。指輪を引きぬかれ、結局元の形に戻ってしまう。その後も戦いは続き、再びマンダリンは死亡したが、今度は指輪を継承した10人の能力者、マンダリン10が出現。アイアンマンを別の形で苦しめることとなる。

 マンダリンの能力は、それぞれが能力者を作り出すほどの、10の指輪にある。以下がその能力の内訳である。

 絶対零度氷の力。アイスビームを発することが出来る。
 暗闇の力により、辺りを暗黒で包み込む。
 精神操作。他人の心をテレパシーで操る。
 分解光線で物質を原子レベルで崩壊させる。
 電撃を放ち、放電することも出来る。
 風の力。敵を吹き飛ばすだけでなく、自身の飛行も可能。
 火炎放射。その温度は、鉄をも溶かす。
 音波や電磁波、波のつく物なら大抵変換できる衝撃波。
 白熱の力と呼ばれるビームを放つ事が出来る。
 分子操作。形を変えるまでには至らないが、分子より物体を変質変換出来る。

 どの能力も、一つで天下が取れそうな能力である。マンダリンは瞑想や修行で、リングの効果を最大限発揮できるように鍛えており、孫子を始めとした兵法を熟知。超人には及ばないものの、武道家としても一線級である。なお、超硬度を持つ指輪つきパンチの威力は特殊能力として筆記されることもあるぐらいに強い。指輪の都合でパンチ攻撃を控えていた仮面ライダーもいるんですよ!?
 ここまで使っていた画像やディスクウォーズのマンダリンを見ていて気づいている人もいるだろうが、実はマンダリンの外見はアイアンマンスーツのアップグレード並にコロコロ変わっている。
 まずはフー・マンチューを連想させる妖しき東洋人デザイン。

初期マンダリン

東洋の怪人マンダリン

 近年のアニメでは、アイアンマンとの対立構造をくっきりさせるためもあってか、フルアーマーとしての洗練された姿を見せる機会も多い。

アニメ仕様マンダリン

 これに加え、上記のスーツ着用や武道家らしい上半身裸の姿。中国伝来の鎧を付けた姿などもある。鎧に関しては、一時期恐ろしく攻め気な時期もあったが。

マンダリン(攻めすぎ

 かの映画アイアンマンにも第一作のヴィラン候補として名前が挙がっていたが、いきなり魔術魔法の域に達しているヴィランというのは世界観的にどうなんだろうか?という事もあり、お蔵入りに。ただし、テロリストとしてテン・リングス(10の指輪)が登場。トニー・スタークを捕縛したテン・リングスの構成員は、前述したテムジンに似た男であった。
 映画アイアンマンへのマンダリン登場は、魔術魔法もある神の映画マイティ・ソーとアベンジャーズを経由したアイアンマン3まで待つことになる。

劇場版マンダリン

 テン・リングスの首領として満を持して世界に宣戦布告をしたマンダリンだが、その正体はある意味とんでもない物であった。総集合映画はともかく、アイアンマンの映画に魔術魔法を持ち込むのはやはり難しかったのか、それとも全力で逆手に取ってくれたのか。余談ではあるが、ゲームレゴマーベルにて原作版のマンダリンと映画版のマンダリンがプレイアブルキャラとして同時に参戦。原作版は多彩な能力を持っているが、映画版はメイおばさんと並ぶ無能力者と、たんなるイメチェンでは終わらない分かっている仕様である。
 未だに本名すら分からない、謎の男マンダリン。ただ、自身がチンギス・ハーンの末裔であり、元々高貴な出自であることは普段より吹聴している。だがしかし、マンダリンの自伝映画を(無理やり)作るよう依頼された映画関係者が矛盾に気づき調べた所、阿片や魔窟に売春婦と言った、刺激的な単語が散乱する出自が浮き出てきてしまった。どうもマンダリンは自身に精神操作の指輪を使うことで、過去の記憶を塗り替えてしまったらしい。強大な力を持つヴィランの、人間らしい弱さを感じさせる逸話である。

日々雑談~1839~

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 ここ最近、体調や都合で更新サボり気味でしたが、なんとか復帰ということで、まず未完成だったディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その48~を完成させておきました。
 コラムでは触れませんでしたが、オバディア・ステインの息子であるエゼキエル・ステインもヴィランやってるんですが、彼ですらアイアンモンガー使ってないんですよね。エゼキエルの場合は、自分の体を直接改造している、改造人間嗜好。
 アイアンモンガーが原作において、ほぼ廃れたアーマーになってしまった理由としては……単純に、型としてすげえ古い上に、ベースがアイアンマンの模倣でほぼ伸びしろが無し、更にオバディアの死によってアップグレードの機会すらあまり無かったというのが。アイアンマンより上の性能と言っても、当時のアイアンマンスーツはMark8、今のスーツはもうMark50と、世代差の開きがハンパなく。いくら一年戦争当時ガンダム以上の性能と言われたゲルググでも、そのまんま数十年後のF91や∨ガンダムのMSと戦えるかと言ったら、そりゃあ無理筋ですし。しかも塩漬けになってるなら、リメイクよりもエクストリミスのような新技術に走ったほうが早いわな!
 あとアイアンモンガーの足かせとなったのは、後発機体。火器特化型のウォーマシンやパワータイプの極地ことハルクバスターが登場するのは、アイアンモンガー誕生より数年後の事です。アイアンモンガーが悪いというより、アイアンマンスーツへのトニー・スタークの執念が強すぎるのがアカンなあ……。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その48~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ、48話。
 押し寄せる闇、防げるかどうかの水際作戦! 

 ハルク&ワスプ&キャプテン・アメリカ、数の不利を物ともしないバイビースト&アイアンモンガー。巨体かつパワフルな戦艦クラスの二人とはいえ、相手に大和型戦艦クラスのハルク+超優秀な軽巡と駆逐艦なキャプテン・アメリカとワスプがいる状態で、よく頑張った! そもそも数的に最初から不利だし! 後述する通り、アイアンモンガーは最近出番が増えておりますが、バイビーストはホントにね! 昔はダンジョンの奥に居るそこらのボスより上の強敵扱いだったのに、最近は何処でもエンカウントする、パーティー構成ではめんどくさい敵レベルに。アニメとか他所のメディアでも、殆ど出番ないし! ディスクウォーズ参戦キャラに賞か何か上げるとしたら、バイビーストは努力賞の有力候補にしてもいいんじゃないかと!
 ここまで褒めておいて努力賞なのかよ!?とお思いでしょうが、結局支援艦隊来て負けましたしね? 優秀賞やとうどうグループとくべつ賞は、流石にもっと別の候補がいますし……。でも、耐え切ってセカンドヒーローを引き出したことは、評価的にプラスだな、うん。

 いやだなあ、ウォーマシンの事を忘れてませんよ! 本来、セカンドヒーロー一番乗りポジションだったじゃないですか! コイツ、モードック撤退させてマイアミの話したこと以外何もしてねえななんて思ってませんよ!
 ウォーマシンはともかく、多分みんな忘れてたのはロキ様。ドルマムゥが来る!の話題性に、持って行かれていた感はあり。そしてロキ様が輝くのは、こういう人の思考の隙間ができた瞬間。ダークゲート発生装置の破壊とドルマムゥ出現の危機に焦っていたアイアンマンやアキラの隙を突く大活躍。一期ボスの時みたいにデカい力を手に入れて調子乗るのもロキっぽいけど、嫌な所に陣取る敵として出てくるのもまたロキらしさ。強敵や大敵よりも、嫌な敵という評価が似合うのがロキ様の個性にして強み。

 掴めなかったその手を、今度は掴んでみせる。ロキ城での決戦、父親に「息子のために手を離す」という選択肢を選ばせてしまったアキラの後悔。その後悔の精算となったのが、今回の話でした。
 直接戦闘に挑むポジションではないため、戦闘力や攻撃力のような分かりやすい成長度合いは無くとも、バイオコードの進化やパートナーの絆の強化と、アキラ達は確実に成長を重ねてきました。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとの邂逅、ビルドアッププレートの開発、強敵レッド・スカルとの死闘、ウルトロンとの大決戦、デッドプールとの……必要ない、消せ(ロキ談)。
 ローニンとの攻防も含め、成長しなければ乗り越えられない困難を越えてきたことは、成長の証と言ってよいかと。その成長の結果が、ローニンの手を手放さなかった事、逆転の一手となった事。こういう前に進むことで得た物が分かる瞬間は、自分の大好物です。これこそ、長期ドラマの華よね!

 今日の紹介は、鋼鉄の門番アイアンモンガーで! 原作や映画における搭乗者オバディア・ステインにも言及! 巨大な体躯と大火力! 軍事兵器色、非常に強し!

アイアンモンガー

アイアンマンVSアイアンモンガー

 映画にも登場した、アイアンマンをベースにした巨大アーマー。着用者に並外れた身体能力を与え、リパルサー・ビームやレーザーブラストを放つことが出来、ブーツからのジェットで飛行も可能。登場してからしばらくは、オリジナルより複製されたスーツを纏う人間が居たが、ブリザードウィップラッシュのような特化型や特殊装備型でもなく、あくまで大きなアイアンマンでしか無いせいか、スーツとしての出番はインパクトの割に少ない。
 アイアンモンガーをスーツとして解説した場合、本当にこれだけで終わってしまう。だがしかし、アイアンモンガーは今後に繋がる予定の映画アイアンマン、その第一作のヴィランに選ばれたキャラクターである。彼の真価は、アイアンモンガーを纏った男、オバディア・ステインと共に在ることで発揮される。
 企業家オバディア・ステイン。経営学を学び、修得の証であるMBA(経営学修士)を取得。心理戦に長け、非常かつ効率的なビジネス戦略を好む一流の企業家。心理戦や戦略は、得意とするチェスで鍛えあげられており、チェス自体の腕前もチャンピオンクラス。完璧なロジックで磨き上げられた人生こそ、オバディアが歩んできた道である。
 だがしかし、その本質にあるのは物事を勝ち負けでしか、むしろ自分が勝って当たり前の物としか考えられないどす黒い本性であった。子供の頃、チェスでオバディアと互角であった少年は、その結果オバディアに愛犬を殺されてしまった。つまりこの常軌を逸した精神は、幼年期より持ち合わせていた物である。

オバディア・ステイン

 非常に、並べてみたら分からないレベルで、他所の出版社で活躍する超有名アメリカンヒーローのライバルに似ているが、ひとまずそこはスルーして欲しい。多国籍軍需企業、ステイン・インターナショナルの社長となった彼にとってのライバル、勝つべき相手はスターク・インダストリーズの社長であり企業家のハワード・スタークであった。だが、ハワードは事故死。会社は父以上の才覚を持つと言われているトニー・スターク(アイアンマン)が引き継ぐこととなる。表向きは友好関係を保っていたオバディアだが、付き合いつつもトニー・スタークの情報を収集。トニー・スタークがアイアンマンとしての重責に耐えかね、アルコール依存症となった事。友人の力にて立ち直った事を知る。オバディアにとって、このトニーが見せた弱さは、チェックメイトに繋がる一手であった。

アイアンマン:デーモン イン ア ボトル

 オバディアは、得意の心理戦と権謀術数を駆使することでトニーを再びアルコール依存症に陥らせてしまう。スターク・インダストリーズはステインに買収されてしまい、地位も名誉も財産もアイアンマンとしての立場も酒で失ったトニー・スタークはホームレスにまで落ちぶれてしまう。先のアルコール依存症以上の没落。オバディアの完全勝利であった。彼にとってはトニーですら、自分の人生を彩る敗北者の一人に過ぎなかったのだ。
 オバディアに負け、浮浪者となり全てを諦めかけていたトニーだが、偶然出会った女性ホームレスが自身の命と引き換えに子供を産んだ瞬間、生命の誕生と死に立ち会ったことにより、人としての現実と希望を取り戻す。周囲を見てみれば、空位となったアイアンマンの座は親友ジム・ローズが必死で守り続け、アベンジャーズの仲間たちも変わらず居る。全てを失ったわけではない、奮起したトニーはアルコールと決別、赤と銀の2色が特徴的な新型アイアンマンスーツ、通称シルバーセンチュリオンと新会社スターク・エンタープライズ社を作り上げオバディアに挑んだ。

アイアンアーマー マークⅧ(シルバーセンチュリオン)

 なお余談ではあるが、浮浪者となった時に女性ホームレスと出会わず、代わりに変な赤タイツと出会った結果、モードックが首領を務める秘密結社AIMに売っぱらわれてしまった平行世界もあったりする。なんてバッドエンドだ。

トニー・スターク売るよ!

 一方、オバディアだが、負かしたと思ったトニー・スタークの再起に動揺。再起した敗北者により追い詰められた結果、遂にトニーが直接アイアンマンとしてステイン・インターナショナルに乗り込んでくる事態となる。だが、オバディアの手元には最終兵器があった。スターク・インダストリーズを乗っ取った際に見つけた、アイアンマンスーツのデーターと実物。彼は部下に命じ、アイアンマン以上のスーツを制作させていた。
 オバディアの元に乗り込んだアイアンマンが目撃したのは、自分のスーツ以上の大きさと性能を持つ鉄の巨人アイアンモンガーだった。アイアンモンガーとなったオバディアと、アイアンマンであるトニー・スターク。二人の企業家の最終決戦は、肉弾戦となった。

アイアンモンガー

 アイアンマンを超えるアーマーの名に恥じぬ性能を見せ、アイアンマンを圧倒するアイアンモンガーだが、やがて最大の弱点が露となる。トニー・スタークとは違い、スーツを着た経験が無いオバディア。その経験を埋めるため、アイアンモンガーは外部PCの遠隔操作による補助を受けていたのだ。遠隔操作の妨害より、活路を見出したアイアンマンは、アイアンモンガーを遂に撃破する。
 自らの敗北を悟ったオバディアは、トニーに自らの父親の死について語り始める。自分の父親はギャンブラーであり、ロシアンルーレットに失敗して死亡した。父の死を目の当たりにした恐怖で、自分の頭の毛は抜け落ち、敗北とは死である事を学んだ。オバディアの勝つことへの病的なまでの執着は、この一件が原因だったのだ。
 そして敗者となってしまった自分に、生きる資格はない。気づいたトニーは制止するものの、オバディアは自らのリパルサーにて頭部を撃ち抜き死亡する。敗北とは死であると身を持って教えてくれた、自らの父と同じように。勝者であるトニーは全てを取り戻し、敗北者であるオバディアは死亡した。再起したヒーローと再起を選ばなかったヴィランの戦いは、こうして終了した。

オバディアの死

 アメコミのキャラクターは死亡や蘇りが激しいが、オバディア・ステインは蘇っていないキャラクターの一人である。あの世に居ることの確認や短期間の復活はあるが、本格的な復活には至っていない。そもそも、初登場が82年で自殺したのが85年と、映画ヴィランに選出された割に、非常に活動期間が短い。他の映画第一作のヴィラン、レッド・スカルやロキの活動期間数十年+継続中と比べれば、その短さは更に際立つ。
 だがしかし、アイアンモンガーとオバディア・ステインは立派に映画ヴィランを務め上げてみせた。

映画版アイアンモンガー&オバディア

 他所のハゲで企業家な有名ヴィランと差別化するために髭を生やしてみよう! 技術の未熟さによる巨大化とリアクターの窃盗。こうすれば、トニー・スタークの天才性が揺らがぬまま強敵になれる! 非常に細かな気遣いにより、アイアンモンガーとオバディア・ステインはアイアンマンの強敵として再生を果たした。以後、オバディアとアイアンモンガーは、アイアンマン・ザ・アドベンチャーズやディスク・ウォーズ:アベンジャーズのような世界観を再構築したアニメ作品にて、ラスボスや強敵として存在感を示す。ディスクウォーズのアイアンモンガーの中身については明言されていないが、ビジネスパートナーや技術の窃盗といった評価からして、オバディアのルートからおそらく外れていないだろう。

アイアンモンガー(アイアンマン アドベンチャーズ)

 原作での、トニー・スタークを浮浪者にまで追い詰めた数年間。この濃い数年の結果、トニー・スタークは未だにアルコールに脅かされ、様々な世界にてアイアンモンガーはアイアンマンの前に立ちはだかっている。だがある意味これは、敗北は死であり終焉と考えていたオバディアにとって、皮肉的な今なのかもしれない。