デッドプールの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくい新特性のすべてについて教えましょう

ふじい(以下F)「デッドプール、キャプテン・アメリカ、ウルヴァリン。北朝鮮に拉致られた三人のヒーローが、弾圧されるミュータントやデッドプールを巻き込む大いなる陰謀に立ち向かうDeadpool:The Good, the Bad, the Ugly。当時、悪友や腐れ縁だった三人が友人となったターニングポイントではあるんだが、実はここで、デッドプールの新たな能力が判明しているのよね」

デッドプール&キャプテン・アメリカ&ウルヴァリン

S「おお! アメコミ名物、新たな能力! 気が付いたらなくなってたりする、大いなる力!」

F「そりゃスパイダーマンも、ウェブシューター無くても糸出せるようになるし、サム・ライミ版だとむしろそっちだよね。というわけで、空前絶後なデッドプールの新たな能力、正確には性質は……“他者に移植したミュータント細胞(能力)を、定着させることが出来る”。デッドプールの細胞を媒介にすれば、好きなミュータントの能力を好きな対象に移植できる。こいつぁ、画期的な能力ですよ?」

S「わ、わーい……」

F「テンション低!? もっと、盛り上がっていこうぜ!?」

S「だってそれ、そんな画期的じゃないんじゃ。例えばローグとかさ」

F「ローグは、相手の能力を奪うミュータントだから。一度に付き五人までの能力を、最大値の半分程度模倣できるミミックも、あくまで能力」

S「ヒーリングファクターなら、X-23やダケンも」

F「あの二人は、元々のそういう能力持ちというか、ウルヴァリンの子供みたいなもんだろう」

S「ウルヴァリン:SAMURAIのヤシダ」

F「映画は映画だから。それ言っちゃうと、ミュータントにされたものの、能力が維持できず死んだオッサン居なかったか?」

S「アポカリプス」

F「アイツは基本、改造手術だから。それに、元々在る能力(例:アークエンジェルとなったエンジェルや、当時失ってた能力を取り戻したサンファイヤー)を伸ばしたり復活させたりな方針多いし」

S「ミスター・シニスター」

F「シニスターは、能力込みでのクローンによる量産。シニスターはシニスターで、数百人のサイクロップスクローンによるハイメガオプティックブラストや、モナミーモナミー言いながら神風戦法しかけてくるガンビットクローン軍団と、アレはアレで絵面が超面白いんだが」

S「ガンビットに人権はないのか。そう言われてみると、先天的な能力であるミュータントの能力の移植例って、かなり少ないな。ファンタスティック・フォーやハルクは、外部的な影響による変貌だし」

F「先天的能力の後天的移植とか、文字にするとすげえ無理筋だしな。ヒーリングファクターいうと程遠く思えるけど、ぶっちゃけアレ、おそらくあの世界においてもかなりの精度で不老不死に近づいている能力だからね。簡単に移植できるならそりゃあ、誰だって移植しますよ。デッドプールさんは、一般人にミュータント能力を移植したら上手く定着した稀有な例。どうも、この能力の定着が難しいらしい。宇宙線やガンマ線での変質以上に、個々のミュータントの生物としての素養が関わってるみたいでなー。ゲームで喩えるなら、固有装備を無理に使いまわそうとする感じで」

S「つまり、デッドプールの細胞は一つのバグ。固有装備条件をぶっ壊してしまう、チート的細胞なわけだな。確かにそりゃあ、ミュータント界隈の勢力図が塗り変わりかねない素養だなあ……」

F「反ミュータント主義者の根幹が、バラバラになりかねないインパクトよね。彼らにとっての忌まわしき力の自由な付与。実際、このデッドプールの特製を使って創りだしたパチモンX-MENが北朝鮮に居たんだが、問題があってなあ」

S「問題?」

F「デッドプールの細胞ってそもそも……」

S「のきなみガンか! デッドプールの細胞の移植=超弩級のガン細胞の人体移植になるのか!」

F「ああ。デッドプールの細胞を媒介に能力を移植された者は、能力とともに重い病と爛れた皮膚を持つことになる。実際、デッドプールの細胞とその技術を手にした北朝鮮が作ったX-MENはこんな感じだ」

北朝鮮版X-MEN

F「更に言えば、デッドプールは持ち前のヒーリングファクターがあるからガンと共に在るわけで、ヒーリングファクターが無い以上、そうなってしまえばもはや……。ウルヴァリンの能力を移植されたであろう人も羅患しているので、デッドプールでないと耐えられん病なのだろう。」

S「画期的な特製であっても、実用は無理か」

F「それに、能力だけで強いわけじゃないしね、X-MEN。きちんとしたアイテムや育成計画がないと、同程度の能力者にするのは無理よ。実際ホラ、上の北朝鮮版のX-MEN、コスチュームがやっすいし、一番後ろに居る、フード被った赤い目の人。サイクロップスの模倣よ?」

S「あー……ルビーなバイザーもサングラスも作れんし用意できないのか」

F「それに生まれながらでも難しいのに、そんな能力をいきなり移植されて使えるかというとねえ。数は作れるけど、育成計画がない結果、北朝鮮クオリティでとんでもない育てられ方してるし」

 テレポート能力を持つ、ナイトクローラータイプを量産した!→柱に縛り付けて拳銃撃つから、テレポートしてね! 大丈夫、できるから! 出来なければ死ぬだけだから!

S「うわあ……」

F「研究施設もぶっ壊して黒幕もぶっ殺して。犠牲者は出たものの北朝鮮版X-MENも脱北して、今(2014/10現在)はウルヴァリンとデッドプールの口利きでビーストによる治療を受けているし。治ると、いいんだが」

S「そうだなあ。デッドプールの新特性、本当にバグ。本体に影響を及ぼすレベルのアレだな」

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その30~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第30話。
 ブラック・ウィドウ回だと思ったら、全力全開のデッドプール回だった。そんなファイト属性編。贔屓目かもしれませんが、デッドプール回、前回も含めて作画凄いよね!

 ネジが全部外れているように見えて、実は一本だけしっかりと締まっている。デッドプールを紹介する時に時折使う表現ですが、今回はこの締まっている部分がしっかりと描写されたデッドプールフェスティバルでした。いやねえ、ただのイカレポンチだったら、そもそも人気あるわけねえですからね。人気キャラの座につくイカレポンチは、大抵悪ふざけや狂気の裏に、何か確固たる物を持ってます。前回はネジフルパージ、今回はネジが締まった姿。この二話で、デッドプールの魅力は存分に演出でき、今後は「デッドプールを知りたい? 邦訳かディスクウォーズのデッドプール回観ようぜ!」も十分に通じる状況。良いデッドプールを、堪能させていただきました!
ありがとう! ディスクウォーズ! ありがとう、日本のみんな! ディスクウォーズ~完~
 デッドプールだけでなく、例えば電話先のタスクマスターやサーペントソサエティのダイヤモンドバックのような、所謂傭兵たち。忠誠や正義よりも金をメインにする彼らは、報酬さえ貰えば誰にでも味方するドブネズミ野郎たち。でもドブネズミだからこそ、本性はドライでシニカル。金さえ払えばこいつらはどうにかなると思っている人間と付き合ってきた以上、見捨てられたことも多々有り、見捨てざるを得なかった状況も多々有り。
「こんなもん、ただの慣れさ」
 この言葉が、全てかと。答えを出し続けなければ行きていけないドブネズミ、その中でも最も汚く思われているドブネズミが出した結論であります。自分の命にすら適用される、乾いた結論です。
やあ僕、ミッキー! ハハッ!
 結論を出せる人間がいるからこそ、悩みは若くなり苦しくなり、それに磨かれることで決断の価値は更に上がると。
 今回の主役はクリスであり、求められたのは決断。キャップを慕うSHIELD隊員のひたむきな善、本当にどうしょうもない人間だと思っていたデッドプールの達観、過去の忌まわしさの象徴的存在バロン・ジモ。そして全てを受け止めて、見守るキャプテン・アメリカ。まだおそらく完全な答えではなく、結論とはならないでしょうが、少なくともクリスが今回出した答えは、バロン・ジモの猛攻と策略を掻い潜り大団円を作れるだけの価値はあったかなと。これでガイアライン計画回も、残るは二人。エドやヒカルを待ち受けている物は、果たして……。

 今日の紹介は、黒後家蜘蛛ブラック・ウィドウで! ウィドウさん出番少なかったけど、一番出番多かったデッドプールは、以前やりましたしねえ。ここは映画アベンジャーズでも大活躍なナターシャさんで。
馬鹿な! 俺ちゃんは最後まで生き残って……ぐわー!

 
ブラック・ウィドウ

ブラック・ウィドウ

第二次世界大戦中、最大の激戦の一つに数えられる、ドイツ対ソビエト連邦のスターリングラード攻防戦。燃え盛る街の一角にて、ソ連の兵士イワン・ペトロビッチは、崩れ落ちるビルに飲み込まれた女性より、一人の赤ん坊を投げ渡された。イワンは、名前も知らぬ赤ん坊、女の子にナターシャと名づけた。ブラックウィドウ、ナターシャ・ロマノワはこうして生まれた。
ナターシャは健やかに成長、体育も含めた全ての教科にて優秀な成績を残し、更には美しさを磨きあげた彼女は、バレリーナとなった。彼女の才能は内外に知られ、ナチスドイツ残党であり秘密結社ヒドラの重鎮バロン・フォン・ストライカーに誘拐され、スパイに仕立てあげられそうになったこともある。この時は、イワンそしてウルヴァリンとキャプテン・アメリカの手により救助された。
やがて、テストパイロットであるアレクセイ・ショスタコフと結婚。だが、アレクセイは事故死。独り身となり、悲しみにくれたナターシャにKGBが言葉巧みに接触。優れた素養を持つナターシャを、対米スパイに仕立て上げることに成功する。ナターシャに与えられたコードネームは、黒後家蜘蛛ことブラック・ウィドウであった。
ウィドウはアメリカに渡り、自身の美貌を持ってして、世界バランスに影響を及ぼすであろうヒーロー、アイアンマンを擁すると言われていた※スターク・インダストリーズの社長トニー・スタークに急接近する。

※この頃、トニー・スタークは「私がアイアンマンだ」をしておらず、トニーとアイアンマンは別人扱いだった。

KGBと連携して、アイアンマンを丸裸にしようとしたウィドウだったが、当時ヒーローであるかヴィランであるか、未だ迷いの中に居たホークアイとの出会いが、彼女を揺らがす。ホークアイの説得により心動かし始めた彼女を襲う、更なる真実。赤いキャプテン・アメリカ。ソ連が有するスーパーエージェントであるレッド・ガーディアン、彼の正体は、死んだ筈の夫、アレクセイだったのだ。

レッド・ガーディアン

元々、アレクセイの死は彼をレッド・ガーディアンにするためのKGBの偽装であり、つまりウィドウの悲しみも無念も、国家の手の平の上でしかなかった。ウィドウはソ連と決別し、アメリカへ亡命。アベンジャーズに加入し、ヒーローの一員となる。なお、アレクセイはそのままソ連に忠を尽くし、共産主義への反逆者となったウィドウとも敵対。ソ連崩壊後もその幻影を追い求め、数年前には北方四島でのネオソビエト連邦建国を企んだ。

アベンジャーズの一員として、別のヒーローチームであるチャンピオンズの一員として、デアデビルの恋人として。

ブラック・ウィドウ&デアデビル

国家の一員ではなく、一人の人間として生きるウィドウの前に、もう一人のブラック・ウィドウ、後の好敵手となるイリーナ・ベロパが現れる。

ブラック・ウィドウ(ベロニカ)

彼女だけではない、ソ連による女性エージェント育成計画「ブラック・ウィドウ・オプス」計画。素養在る少女を集め、黒後家蜘蛛の名を冠するに相応しいスパイに育て上げる。育ての親であるイワンは、この計画のエージェントであり、バレリーナや優秀な学生という経歴も、ニセの記憶として用意された物だったのだ。学校で学んでいたと思い込んでいた時期、彼女は「赤の部屋」と呼ばれる場所におり、ソ連の伝説的暗殺者ウィンター・ソルジャーより技術を学んでいた。この結果、ブラック・ウィドウのオリジンは虚実入り混じるものとなってしまった。彼女の過去を完全に解き明かすのは、峰不二子の出生レベルで難しい。映画アベンジャーズシリーズにおける彼女の来歴の不確かさは、ある意味忠実な原作再現である。

映画 ブラック・ウィドウ

オリンピック選手並みの運動能力、手首に装備された移動用攻撃用のケーブル発射装置ウィドウズ・ラインや電撃発射装置ウィドウズ・ボルト、戦略や戦術に関してはキャプテン・アメリカに匹敵すると言われ、どんな国の言葉も使え男を魅惑する才女。生身のヒーロー、ファイトタイプの典型例+スパイとしての技能が、彼女の能力である。それ以外には何もない……と見せかけて、ウィドウにはもう一つ、人とは違う物がある。前述の経歴を見れば分かる通り、彼女の出生や経験は、どうみてもそれなりの歳の人間のものである。偽の記憶ではあったが戦時中生まれとして設定されていたし、そもそもソ連崩壊を子供の頃目の当たりにした世代ですら、そろそろ30代が見えてきている。
ウィドウは、改良型超人血清の摂取者である。ニック・フューリーも使っている、摂取者の加齢速度を遅くする超人血清の効力により、彼女は瑞々しい若さと全盛時の能力をを保ち続けている。アイアンマンとなる切っ掛けの戦争が時代とともに変わっているトニー・スタークと違い、彼女の原典であるソ連の代わりは無かった。
ただし、血清の代償として、ウィドウは妊娠することが出来ず、子供が作れない。祖国を裏切り、悲哀を背負い。そんな彼女を信頼する多くのヒーロー、そしてニック・フューリーとSHIELDの信用。様々な物を捨てざるを得なかったウィドウではあるが、確かに残っている物もある。だからこそ、確かな物を他人より預けられるのだ。

ブラック・ウィドウ&ウィンター・ソルジャー

 まあ、時折変なのも寄ってきますが、それはそれとしてですね。

デッドプール&ブラックウィドウ 

日々雑談~1737~

 お、おお……。意識が、体力が、レッドゾーンに! 日が開ける前から今の今までフル稼働は、流石に辛かった! 正直朦朧状態ですが、三連休のシメがおやすみというのもなんだかなーなので、今日はちょっと得意分野での更新、いつか書こうかなーと思っていたことで済まさせていただきます。まあ、それはつまり、デッドプールに関してなのですが。上記2点に加え、需要もあるのが高ポイント。よっしゃ! やったるぜ!

 邦訳されたデッドプール:スーサイド・キングスにてヒロイン役を担ったアウトロー。

アウトロー(スーサイド・キングス)

 解説書にて「本書の後、アウトローはコミックには殆ど登場していない」と書かれてしまった彼女ですが、その少ない登場機会が実は邦訳済み。ミュータントである彼女は、この後、X-MENがサンフランシスコ近海にて建国していたミュータントの国、ユートピアに引っ越したらしく、ヴィレッジブックスより限定生産で刊行されたX-MEN:セカンド・カミングにチラっと出ています。それと、小プロより刊行されるデッドプール:デッド・ヘッド・リデンプションにも登場。殆ど登場していないというのは正しい(おそらくカメオ出演レベルでも、片手で数えられる)のですが、偶然とはいえ、その少ない登場の機会の邦訳発売率が高いというのも、妙な偶然であります。
 自分が見た範囲での最新アウトローは、デッドプールの結婚記念号。かつて式を上げた相手、デッドプールの10人の花嫁の一人として登場しております。感想としては……オムツプレイ……?

アウトロー

 そしてスーサイド・キングス最大の謎といえば……アウトロー、西部劇ファッションがコスチュームというかイメージなのに、なんであの作品だと、そっち系の格好一回もしていないんだろうか? 普段着からして、ウェスタンだったのに。なお衣装替えしたというわけではなく、セカンド・カミングやデッド・ヘッド・リデンプションでは下記のような西部劇ファッションに戻っています。この件に関しての言及は無いし、謎は深まるばかりよ。

アウトロー普段着 

日々雑談~1736~

 明日、明朝に出かけなければならなくなったので、今日の更新はちと早めに。さようなら休日、こんにちは早朝出勤……。

 近年、隆盛期とも言える流行の兆候を持つゾンビ作品。そんな中でも“普通のゾンビ世界にデッドプールを一人だけぶち込んでみた”との気が違った展開で異彩を放っていた、ナイト・オブ・ザ・リビングデッドプール(Night of the Living Deadpool)の続編、リターン・オブ・ザ・デッドプール(Return of the Living Dead)の刊行が決まりましたよ万歳! マーベル、頭悪いなあ!(褒め言葉

Night_of_the_Living_Deadpool_Vol_1_1_Textless return-of-the-living-deadpool-cover-1-jay-shaw

 ……裏返ってね!? かのマーベル・ゾンビーズとは一線を画す、わりと真面目なゾンビものにして、ゾンビパロディ。普通に面白い上に、ゾンビ好きなら一層ゲラゲラ出来る怪作。メジャーヒーローでは手が回らない、手が届かないところをフォローできるのがデッドプールさんの強みですよ。逆に言えば、デッドプールにも手の届かぬ場所があるのですが、そこは一人のヒーローだけでなく、みんなで補えばOKですよ。

 じゃあみんなで補えばいいじゃない!ということで、スマホやタブレット向けの新作格闘ゲーム、Marvel Contest of Championsも発表ですよ、ヒャッハー! ハルクやウルヴァリンにデッドプールのような、よくゲームに出るキャラだけでなく、近年盛り上がっているガーディアンズ・オブ・ギャラクシーやパニッシャーも参戦! パニッシャー生々しいよ! そしてやっぱデッドプールはヒドいよ!? ある意味極地なパニッシャーが出ていることから見ても、かなり多彩なオールスターゲーになりそうですね。原語でもいいから、日本でもプレイできるといいな。 

日々雑談~1730~

先週「ディスクウォーズ、アベンジャーズにデッドプール出るよ! ハート柄のトランクスにも注目だよ!」

「流石はディスクウォーズのスタッフ。デッドプールが基本トランクス派なのも見抜いてたか……。そういや今日の深夜、Deadpool誌の配信だな。電子書籍、マジ便利」

前門のロボ、後門の全裸

デッドプール ブリーフ純情派

 おま、お前……このタイミングで転向かよ!? ブリーフ? それともピタパンなサポーター!? このタイミングであえての履き替え、これはデッドプールによるディスクウォーズ潰しなんじゃないだろうか……(疑念 あと、一応なんとなく脱いでみたのではなく、襲撃してきた巨大メカを撃破するための高度な戦略による脱衣であることは主張しておきたいのです。「キャー! 巨大メカが! ギャー! 全裸がー!」前門のロボ、後門のパン一に追い詰められた眼鏡さんには、謝るしかありませぬが。つーか、なんで定期的に街中でパン一で暴れるおっさんを見せつけられねばならんのか。デッドプール誌とは、修羅道なのか!

 なお、「ブリーフだからディスクウォーズは間違ってやがるぜ! だいたいディスクウォーズのデッドプールは肌ぷりっぷりだったし!」みたいな感じで糾弾する気持ちは全くありませぬ。そりゃあ、原作に沿っていた方が良い!という気持ちは分かりますが、そもそも夕方6時半の番組ですからね。そして、展開するのは本国ではなくまず日本。土壌に合わせたローカライズやカスタマイズは必要でしょう。古今東西、例え直輸入の本場物と言われている商品でも、この国で流行る物は日本に合わせてのローカライズはされてますからね。むしろ、頑迷にアメリカ直輸入! 狙い所は既存のマニア層!という空気アリアリの作品だったとしたら、多分自分は距離をおいてたんじゃないかと思います。深夜や固定層が既にある邦訳ならともかく、夕方6時半の地上波でそれは、アカンよ。

 まああと一つ、根本的な問題として……アメコミって確かにそのヒーローを長く持たせる為に、色々な工夫を施して入るのですが……根にあるのは、エンタメ精神であり、ぶっちゃけてしまうと「こまけえことはいいんだよ!」で。
 確かにライターは、ある程度設定の順守を求められますが、あくまである程度、余程根本的な、例えばアンパンマンの顔が濡れるとヤバいだのサザエさん一家の家族構成だの、このレベルになれば流石に止められるでしょうが細かな設定に関しては基本自由裁量です。それに、重大な設定だったとしても、会社との相談やライター自体の権力により、ある程度いじれますしね。サザエさん一家へのノリスケ居候から離脱みたいなのも可能。そしてもし本当に道を誤ったとしても……多くのライターが使える汎用兵器であるパラレル、平行世界、別バースといった前提に、最終手段「無かったことに!」もあるので、そこまでガッチガチに数十年前の物を守り続けてきたわけではないのですよ。むしろ時勢に合わせて改変したからこそ、今を維持できているのでしょう。

 様々な当代一流のライターの作品を見て、個人的に感じたことは「設定は尊重するが、設定に縛り上げられるのはナンセンス」。この縛る強さはライターによって違うでしょうが、おそらく大抵のライターは、この主義の元、自分の実力をある程度限られた世界の中で発揮しています。一本の木の美しさを尊重するのではなく、剪定や伐採を経た上で森としての形を整える。細かなことを言い出すと、キャプテン・アメリカの本名やアイアンマンの始まりとなる戦争やスパイダーマンの自動車免許の有無と、キリがない上に一歩も進めなくなるんですよね……。一本の木を愛で続けたり、昔の森の形を尊重する。設定の軽視は決して望んでいないし、自分にも過去や設定を愛でる気持はあります。むしろ、そういう木の紹介は好きですし、得意です。しかし変わったことや変えてることを材料に、それ以外の作品や別のメディアでの展開を叩くのはちと違うかなと。そもそも、単に叩くことで良い方向に動くことって、余程タイミングが一致しない限りは無いですからね。

 木は設定であり、森は作品。公式が、ライターや、作者が自由にやっている以上、ファンも過剰に縛られることもなし。一種の鷹揚さは、前のめりの狂信やヘイトの貯金箱になるのを防ぐため、アメコミに限らずどんな創作とでも持つべき安全弁かと。