ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その21~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第21話!
 X-MENとアベンジャーズ、ここに集結! 決戦、A+X対ヴィラン混成軍! ロキ様の、いつも通りの水が漏れる完璧な策略!

 というわけで、奪われたディスク奪還のため、X-MENが対ロキの最前線に。いいですよね、この異種格闘技戦の匂い。だって、超人類VS北欧神ですよ? 権利関係で映画では見れず、コミックスでもあまり無い構図ですよ? いわば越境対決、この同じ世界観でありながらクロスオーバーの風味を感じる対戦カード。これは、良い。個人的には、盛り上がる本編を更に盛り上げるスパイス!
 それに今回、盛り上がりの鉄板こと「ここは俺に任せて先に行け!」もありましたからね。こいつは、ズルい。盛り上がらざるを得ない!

 あと気付きにくいトコですが、本日より参戦のアイスマン、ストーム、コロッサスの三人の能力や性格が分かり易く描かれているのも良かったですね。スパイダーマン同様の軽口を見せるアイスマン、天候を操りつつ仕草に頼りがいの在る母性を感じさせるストーム、鋼の肉体で切り込み率先して味方をかばうコロッサス。そして、まさかの参戦マグニートもX-MENボスキャラとしての暴威的な磁力に、単なる悪とは言いがたい威厳と主義主張を。ディスクウォーズの視聴者の知識に依存せず、物語に説明をしっかり組み込むところは、美点かと。しかしアイスマンの寒さに強い描写に隠れているけど、生足レオタードのストームとノースリーブのウルヴァリンとノースリーブ&ホットパンツの超絶コンボなコロッサスも相当だよなあ……。コロッサス、鋼鉄化しているんで目立ってないけど、露出度ではX-MENトップクラスです。

 今日の紹介は、殺戮獣プレデターXの先達、ミュータントへの敵意の象徴たるロボットです。ロキ様、X-MENと対立するミュータントを組み込むどころか、ミュータント殺戮兵器をバンバン投入と、ミュータント全部に喧嘩売ってますよね。ロキ陣営唯一なミュータントのセイバートゥースは、常時バーサクなので気にしてないだろうけど。

 

センチネル

センチネル

 プレデターXの先達とも言える、対ミュータント用ロボット。最初期は探索、やがて捕縛、最終的に殺戮と、その目的は性能のアップグレードと共に禍々しい進化を遂げ、反ミュータント主義者の象徴として扱われてきた。

初期型センチネル

 元々センチネルとはシリーズ化されているロボットであり、“センチネル”というキャラがいるわけではない。例えばセンチネル初期型はマークⅠ、その改造型はマークⅡと、型式番号で種類は分けられている。モビルスーツにおけるザクやジムのポジションに近い……というか、パイロット搭乗型のセンチネルや等身大かつ人類への擬態能力を持つプライム・センチネルや細胞レベルで攻撃してくる極小ナノ・センチネルと、その幅の広さからして、もう少し広い範囲で。対ミュータント用ロボの総称、モビルスーツやウォーカーギャリアにレイバーのようなくくりと捉えても良いかもしれない。

 進化した種であるミュータントは、やがて今の人類全てを征服するのでは? ミュータントの存在に疑念を抱いたボリバー・トラスク博士の手により、センチネルは誕生した。人類を守護する自律型ロボット、センチネル。しかしセンチネルは守護対象である筈の人類を不確かな者として認識し自ら統治すべき存在と判断。リーダー格のマスターモールドはトラスクを拉致し、センチネル軍団の製造を命令する。この最初の自律志向暴走からして、センチネルは決して人類に忠実なロボットではなく、これ以降もミュータントだけでなく、人類に対して幾度と攻撃することとなる。

マスターモールド

 センチネルの反逆は、X-MENの尽力とトラスクの犠牲により阻止されたが、その後もトラスクの残した設計図を元としたマークⅡや、マークⅢを様々な人間が開発。マークⅡ以降の機種では、対ミュータントだけではなく対超人が設計思想に。やがて超人が起こす脅威に対抗する国家組織、センチネル・スクワッドONEの設立までに至った。

 センチネルの性能は作られる度に向上しており、シリーズが進むごとに適応能力は上がっている。強力な能力を持つミュータントへの対策は特になされており、X-MENメインメンバーの持つ能力には、大体の対策が立てられている。金属製である以上磁力を扱うマグニートーには弱く見えるが、強化プラスチックの使用やコーティングを施すことで、対応は可能。プレデターXに進化という武器が在るのなら、センチネルにはアップグレードがあるのだ。更に、センチネルが人類を統治している未来。そんな未来のセンチネルことニムロッドに至っては、戦闘中に敵の能力を封じる形にアップグレードするという、進化以上の物を見せている。しかも量産可能、データーやアップグレードはリアルタイムで共有されると、もはやまともな手段では、ニムロッドの大軍に勝つことは出来ない。

ニムロッド

 センチネルの単純な戦闘力も非常に高く、非ミュータントであるスパイダーマンやファンタスティック・フォー曰く「僕達が何時も戦っている相手より強い」らしい。ただ、彼らの宿敵の多くはセンチネルを悪用できる側の人間なので、決してセンチネルが格上というわけではないが。

 これは余談だが、トラスクに反逆したマスターモールドは、その後幾度も復活。未来より現れたニムロッドと合体し、ミュータントを絶滅寸前までに追い詰めるが、X-MENの最終手段により魔界に追放された結果、センチネルと人間のハイブリット種バスチオンへと転生してしまう。

バスチオン

 やがてバスチオンは反ミュータント勢力を統合できる存在に、ボリバー・トラスクを筆頭とした死亡した反ミュータント主義者も部下として復活させ、X-MENとの、ミュータントとの最終決戦に望むこととなる。
 生みの親や育ての親たる人間を従わせる機械。新人類による旧人類の淘汰を防ぐためのロボットは、人類全てを淘汰する存在となってしまったのだ。

 

おまけ

 ロキと三機のセンチネルと言えば、ロキ謹製のこのトライセンチネルが脳裏に。三倍どころか、何十倍もの力を持つ三面六腕の阿修羅型。こっち出しとけば、マグニートーにも勝っていただろうに……。

トライセンチネル

あと、某所には少年につき従うジャイアントロボ的センチネルもいたりする。

ジョストン&センチネル

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その20~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第20話!
 来週からは、十数年ぶりのアニメX-MEN開始です。え? 違うの?

 ミュータントに変貌して悩んでいる人がいたら、どう接すればいいのか。
 そりゃ何時もと変わらず接して、悩んでいたら普通に励ましてやればいいのさ。
 ミュータントであるノリコと、常人であるヒカル。ヒカルの出した答えは、最適解でした。字面にすると簡単そうだけど、自らと異なる人間に平然と接するのは難しいし、混乱困惑した頭で説得を受け入れるのもまた難しい。この数話で描かれた、二人のすれ違い、それにより補強された信頼関係があってこその和解だったのではないかと。

 そして、もう一組の不和。キャプテン・アメリカとクリス。キャプテン・アメリカとは自由の象徴であり、スティーブ・ロジャースは象徴たる完全無欠の人間である。ええ、違いますね。弱さや悔いがあるからこそのヒーローであり、キャップは弱さに抗い悔いを背負いつつ戦っているから、象徴として皆が慕うような存在となっている。そしてその弱さを認め、支えようとする覚悟が無いと、真のパートナーにはなれない。作中、クリスがシールドをキャップに投げ渡すシーンが有りましたが、あのシールドをああも上手く扱うことから感じさせる、クリスの資質。ソーのムジョルニアの使用条件のように条件付けされた物ではないのですが、時折使われるホークアイやウィンターソルジャーにファルコンと言った後継者の資格を持つものだけが真にシールドを使いこなせるという流れ、個人的には大好きです。英雄の武器が未来の神具になる光景を垣間見ている感じで。

 今日の紹介はX-MENのリーダーにしてミュータントの希望でもある彼! まあぶっちゃけ、いまさら何を付け加えるんだという有名キャラなので、ちょっとした変化球で!

 

 

サイクロップス

サイクロップス

 X-MEN創設時のメンバー、ファーストファイブの一員であり、恵まれし子らの学園の一期生。目から放つルビー色のビーム、オプティック・ブラストは細胞によるソーラーエネルギーの吸収、そのエネルギーで次元を裂くことで放たれていると言う、見た目以上に壮大な能力。ビームは調整が可能であり、クレー射撃の的から山一つまでなんでも吹き飛ばす。最初期からチームのリーダーとして集団行動していただけあって、指揮力は並々ならぬ物があり、またもしオプティック・ブラストが封印されたとしても、素手で武装集団を鎮圧、センチネルを撃破出来るだけの戦闘スキルも持ち合わせている。
 映画での貧乏くじや、ときどきのやらかしからイメージが悪くなっている面もあるものの、上記の能力に加え、プロフェッサーXやジーン・グレイにエマ・フロストのような強力なテレパスと長く付き合ってきた結果、通れば一撃必殺なテレパシー攻撃への耐性も。贔屓目抜きで、チートに足を踏み入れています。
 そしておそらく、90年代に放映されていたアニメやマブカプでのイメージから、コスチュームも立ち位置も大きくかけ離れてしまったキャラクターの一人。

サイクロップス(マブカプ)

 嘗ては若きリーダーであったものの、その視点は自然と大局的な物となっていき、やがてプロフェッサーXやマグニートーでしかたどり着けなかった種の指導者としての立場に。生真面目な性質はそのままながらも、清濁を飲み合わせる器量も持ち合わせ、ある事件による学園壊滅後には、ミュータントの独立国ユートピアを設立。一線を退いたプロフェッサーXに代わり、種を導こうとする彼をマグニートーも支持。当時数が減りに減っていたミュータントを一つに纏めることに成功する。そんなサイクロップスと道を違えたウルヴァリン派の離脱や、未知なる力フェニックスフォースを巡るアベンジャーズとの諍いでユートピアは崩壊するものの、サイクロップスはそんな汚濁も受け入れ、ミュータントを護り導く希望としての活動を続けている。その真摯な姿勢からウルヴァリンやアベンジャーズとの雪解けも近い。

サイクロップス(現在)

 あと余談なのですが、一時期暴走していたサイクロップスを止めるため、ビーストが過去の世界からX-MEN創立当時のサイクロップス(とファーストファイブ)を連れてきてしまった結果、今現在原作では、若サイクとサイク、二人のサイクロップスが居るという、非常に面倒くさい状況となっております。

サイクロップスVSサイクロップス

 過去より、格段たる成長を遂げたサイクロップスの下地にあるもの、それは訓練や修行による努力です。例えば、かつて生きた島クラコアにサイクロップスを始めとするファーストファイブが捕らえられるという事件(この事件の解決のため、ストームやウルヴァリンがX-MENに初めて招集される)がありましたが、今現在のサイクロップスは、この島サイズの化け物であるクラコアのクローンを瞬殺、それどころか一人であしらえる実力を持っています。

クラコア

サイクロップスVSクラコア

 サイクロップスの成長は典型的な例ですが、X-MENに所属するミュータント、戦闘に出るようなメンバーは全員しっかりと訓練を積んでいます。実戦による鍛錬ではなく、組織立ったカリキュラムによる訓練。理由としては、大きいのが二つ。一つは反ミュータント主義者による差別や迫害からの自衛、そしてもう一つは己の能力を制御するため。

デンジャールームでの特訓

 例えば本日のディスクウォーズでノリコが能力発動により街中を停電させていましたが、能力発動の度にそんな事になっていては、同じミュータントでも一緒に生活することは難しく。なので、ミュータントは自身の能力を把握制御する術を訓練により学ばなければいけないわけです。ただでさえ、現実を改変できる、機械を支配できる、触った生物が死ぬと、ミュータントの能力は尖り気味かつ世界を簡単に崩壊させられる素養アリ。この暴れ馬を制御するすべを学ぶのは自分の為でも有り、仲間や世界のためでもあるのです。

なんでマーベルでミュータントって差別されるん?~後編~

ふじい(以下F)「というわけで、前回に引き続き、マーベル世界におけるミュータントの、ちょっとつら目なお話です」

サイレン(以下S)「どうしてもテーマがなあ。前回他のヒーローとの差異がメインだったな。で、今回はどのように?」

F「もっと具体的な差別や迫害事情? まず多くの人の中にあるのは、得体のしれないものへの恐怖、自らと違う者に石を投げてしまうのは、歴史が証明しているな」

S「前回触れた、ミュータントには能力発祥の理屈が無いっていうのがポイントだね」

F「でもこれは、ふわっとした、あまり確固たる理由がない差別だよな? まあ、広く漠然としているからこそ怖いんだけど……。問題はさらに上、完全に敵対している反ミュータント主義者たちだ。ミュータントのイメージ低下の理由は、彼らの扇動にもあるからな。ちょっと代表的なキャラクターを下に挙げてみるぞ」

ボリバー・トラスク:ミュータント殲滅ロボットセンチネル開発者

スティーブン・ラング:トラスク亡き後、センチネル計画を引き継いだ科学者

グレイドン・クリード:反ミュータント組織「人類の友」主宰。ミスティークとセイバートゥースの子供。

ウイリアム・ストライカー:ミュータントを悪魔とみなす狂信者集団ピュリファイアーズを率いる元軍人の宣教師。

キャメロン・ホッジ:反ミュータントを目的とする武装集団ライトの創設者。優秀なスポークスマン

S「ここに最強最悪のセンチネルなバスチオンを加えれば、反ミュータント組織連合「人類会議」の面々になるな」

F「X-MEN:セカンドカミングのミュータントの代表であるX-MENと反ミュータント組織人類会議の最終決戦は、超盛り上がったよな! 盛り上がりすぎて、その後シリーズ自体がちょっと落ち着いちゃったぐらいに! ……オホン。さてこのメンツを見て、気づくことは?」

S「グレイドン・クリードは、両親がミュータント、それも悪に属するミュータントだって事で、ミュータント自体を憎むようになったんだよな。本人が非ミュータントで。こう言っちゃなんだけど、私怨だよな」

F「キャメロン・ホッジも元は恨みというか嫉妬だぞ。同級生だったX-MENのエンジェルの裕福さとハンサムさに嫉妬した結果、エンジェルごとミュータントを憎むようになって。最初は、味方のふりしてたからね、このロクデナシ」

S「あちゃー。まあこの二人は、私怨だとして、残るは……」

F「科学者二人と元軍人一人だな。まずこの三人を語る前に、重要なことを一つ。人からミュータントになる事を、定義上進化と呼んでいる。ホモ・スペリオール、ホモ・サピエンスから進化した者だな。ミュータントの事を、新人類と呼ぶこともある。つまりミュータントに覚醒できない人間は、旧人類なのかよ!?って事ですよ」

S「つまり新人と旧人、クロマニヨン人とネアンデルタール人の関係か!」

F「俺たちは滅ぼされた旧人、ネアンデルタール人になるものかよ!というのが、センチネル開発や反ミュータント組織結成の根っこだったり。映画でもトラスクが語っていたけど、彼らむしろ、ミュータントの優秀さを認めてますからね。ストライカーだって、元はウェポンX計画の主導者。優秀だからこそ滅ぼさねばならない、そうでなければ、人類は彼らにとって代わられてしまう」

S「ゴリッゴリの反ミュータント主義者の背景にあるのは、単なる差別意識や迫害運動ではなく、生存競争って事か」

F「地球人対宇宙人、人類対爬虫人類みたいな、やらなきゃやられる戦いだな。少なくとも、彼らにとっては。この間紹介したミュータント専門の捕食者ことプレデターXなんか、アレ確実にミュータントを生物学的に滅ぼすことを狙ってるからな。食物連鎖に無理やりねじ込んで」

S「ところで、ウィリアム・ストライカーなんだけど……あの人、何があったんだ。映画でも軍人だったのに、宣教師って」

F「いやー、息子がミュータントなのにショックを受けて一家心中を図ったら、一人だけ生き残ってね。そんでなんか“私が生き残ったのは神の思し召しだ! ミュータントは地球の汚濁なのだ!”って変な物に目覚めて覚醒しちゃって。なんつーか、触れにくいよね!」

S「あ、ハイ。でもストライカーレベルの狂信的な解釈をせずとも、宗教的に見た場合、生きる現在進行形進化論のミュータントはあまり良くない存在になってしまうのか……」

F「このメンバーの非科学者勢、グレイドン、ホッジ、ストライカーは、扇動家として超一流だからな。こういう確固たる怨みや狂った信念を持った人間の言葉が強いとか、一つの悪夢だぞ。信奉者は増えるし、同調する人間に至っては更にドン。しかも、殺るか殺られるかの生存競争を挑まれた時点で、生存競争に望まざるを得ないわけで。穏健な手段を模索できる余地がねえし」

S「ミュータントも、自然と対応が殺るか殺られるかになっていき、反ミュータント主義者はそれをダシに自らの信奉者を増やしていくと」

F「もちろんミュータントにだって、アポカリプスやアザゼルのように、旧き者を支配する野望持ちがいるけどね。現実と一緒で、排他主義者同士が率先して傷つけあって、差別も迫害も深まっていく。一般市民も、自然とそれに引っ張られていき。漠然とした人々の差別意識と、強烈な一部の人間の排他主義、この2つが交じり合った結果が、マーベル世界におけるミュータントの苦難の病根……ってことだな」

S「分かってはいたけど、やりきれない結論だ」

F「きっとそのやりきれなさに、人は納得しちゃいけないのさ」

 

F「最後に、前回の引きに使った、非ミュータントでありながらミュータント差別を受けたヒーローについて語ることで、差別の病根の例としたいのですが……あまり愉快な内容ではないので、ひとまず閲覧注意ということで」

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ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その19~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第19話! 
 ディスクウォーズ:X-MEN第19話! 
 もう併記でいいんじゃないかな!?

 サイクロップス復活! サイクロップス登場! サイクロップスとウルヴァリンのチームアップ! この二人が、まっとうに並んでいるだけで嬉しい!
 ノリコ、クリスを始点とする人間模様。とりあえずグッチャグチャな人間関係負のスパイラルが二本になってまず落ち着いた。ミュータント、そしてキャプテン・アメリカの因縁に。
 いきなりミュータントになる感覚を無理に現実で喩えるならば、自分が朝起きて別の人種、日本人が白人に、白人が黒人になったとして、それを受け入れられるかどうかよね……。例え本人に差別意識が無くても、自らが全く違う人種になれば、誰とて戸惑うかと。ミュータント、ヒーローというより人種としてのあり方が大きいからなあ。その戸惑いに、受け入れればチャラ、全部元通り!という甘言を差し込まれることで戸惑うのは、仕方のない事かと。
 クリスとキャプテン・アメリカの間のトラブルは、おそらくお互いが相棒ということを認識すれば、解消に向かうかと。相棒ってのは、互いに歩み寄ってこそですよ。そうでなければ、対等でないわけで。それぞれの捨てようのないもの、バッキーや反発心が、それぞれの壁になっているんだよなあ……。そして満を持してのバロン・ジモ。にバロン・ジモについては書きましたが、これはひょっとしたら中身はバッキーとキャップを行方不明に貶めた初代、外見や剣術は初代の息子である二代目、つまりダブルのハイブリット・ジモでしょうか。X-MEN編でありながら、キャプテン・アメリカの物語も展開。ディスクウォーズ、油断できねえ……!
 本日の紹介は、ミュータントを喰うだけに生まれた生物です。管理者曰く、ミュータントだけを餌にするイビ◯ジョー。悲しいほど合ってる。

プレデターX

プレデターX

 人の手によって造られたミュータントを殺戮する為の機械、センチネルシリーズ。ミュータントを識別、抹殺する機械としてもはや完成形に近いセンチネルとは別コンセプトで造られた、全く新しいミュータント殺戮兵器がプレデターXである。この生物の役割は、人の進化とも呼ばれるミュータントを下等な種とし、生物ピラミッド上で抑えこむこと、どこまで行っても道具であるセンチネルでは出来ない非道だ。
 ウルヴァリンにアダマンチウムの爪を与え、デッドプールのような数々の能力者を創りだしたウェポンX計画。壊滅廃止されたこの計画の残党はファシリティと名乗る新たな組織を設立。研究による最強の兵士の製造を目指す彼らは、少女ミュータントのX-23を誕生させた後、最悪の獣プレデターXを創り出してしまった。既に凶暴性、量産性に優れた獣であったものの、研究班は生体水銀の肉体を持つミュータントであるマーキュリーを誘拐。彼女の皮膚を一部採取しデーターをプレデターXの設計図に組み込むことで、猛獣は柔軟にして最硬の皮膚を手に入れることとなった。
 性質は、飢餓そのもの。いくら食べても常に飢餓感を感じるように設定されており、一度放たれれば飢えを満たさんと大地を時速数百キロのスピードで猛進する。そしてその主食は、ミュータントである。無理やり食物連鎖に組み込まれた怪物は、自らに組み込まれた遺伝子情報からミュータントを感知。本能のままに襲い、本能のままに食らう。例え死体でも、ミュータントなら食べる。

進化した捕食者

 ミュータントを食べる度に肉体は強化されていき、ミュータント数十人を喰らう所まで行けば、もはやX-MENが総攻撃するぐらいしか倒す手段が無くなる。ミュータントを絶滅させるためだけに生まれた生物、ミュータントの根絶の具現化と称される、忌まわしくも悲しい生き物である。既に作り方のレシピも流出しており、反ミュータント派だけでなく、ヒドラのような悪の組織の対ミュータント兵器としても使われている。ただ、そうなると、非ミュータントのヒーローどころか、只の人間でありながら怪物の域に達している怖い人とも戦うハメになったりするのだが。

殺戮生物VS処刑人

 なお今はある程度どんな存在か、どう倒すのかが研究された生き物でも有り、X-MENのメインメンバーであれば単独撃破も狙える。例えばサイクロップスの本気のオプティックブラストならば消し飛ばすことも出来るし、ストームの落雷でもトドメは刺せる。コロッサスなら力で押すことも出来る量産化されている以上、キャラの強さを図るバロメーターになってしまうのは、仕方のない事かもしれない。
 あと地味に天敵はデッドプール。婉曲的に言えばまあミュータントなので食指は働くが、食べたが最後、マズすぎて吐き出す。腹も壊す。

注:この後、吐きます

 死体をも食らう常時飢えた生物すら受け付けない不味さとは一体……!?

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その18~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第18話!
 ……ディスクウォーズ:X-MEN第18話!
 ノリコを巡る人間模様、彼女が現状を打破する希望となったことで生まれる、人間関係の亀裂。更には、キャプテン・アメリカを蝕んでいた過去への後悔も噴出。この、誰も悪くないけど、空気はまず悪い。ああ、このやり切れなさ、X-MENだなと。序盤に情報を主とした地固めをした事により、世界観を展開するだけの猶予が誕生。その猶予で作られたのは、情報よりも先の段階といえる本場の空気感。やっぱ、キャラ名や設定のような情報も大事だけど、こういうアメコミの空気!を積極的に再現しようとするのも大事だと思うんですよ。序盤よりこの空気感はありましたが、最近は更に濃密です。
 空気が合うなら、ひょっとしたら映画や原作にも進んでくれるかもしれない! 地上波である以上、TVさえあれば、この空気を味合うのは無料! ジャンルの入り口、最大開放!
 いくら失態を挽回できるとは言え、焦りすぎなんじゃ?のトニーですが、トニーの回りにいるアベンジャーズのメンバーって基本能力手に入れてやる気になってる人、既に答えを出している年長者が多いですからね。X-MENのメンバーのスタート地点、能力に戸惑う若年層への距離感にはあまり慣れておらず。若者への距離感というのなら、キャプテン・アメリカもバッキーの死が響いているわけで。こうした大人のひずみが少年少女にどう影響するのか。楽しみ半分怖さ半分、いや怖さのほうが現状大きいかな……? 
 今日の紹介は、暗めなストーリーにおける一服の清涼剤こと、アメリカンバカルテット四人衆です。強い彼ら、他のヒーローを圧倒する四人の勇姿は、9月発売の邦訳デッドプール:スーサイドキングスにて!

レッキングクルー:レッカー

「引っこ抜くぞ! レッカー!」

レッキングクルー:パイルドライバー

「打ち抜く! パイルドライバー!」

レッキングクルー:サンダーボール

「砕け散れ! サンダーボール!」

レッキングクルー:ブルドーザー

「全てを轢き潰す! ブルドーザー!」

レッキングクルー見参!

「「「「俺たち四人合わせて レッキングクルー!」」」」

~完~

 一回どころか何回もざっと書いてるし、彼らについてはもうこれでいいんじゃないか?という手抜きへの欲望と戦いつつ、今回はレッキングクルーのメンバーであるサンダーボール、パイルドライバー、ブルドーザーについてなんぞを。なお、レッキングクルーの概要とリーダーのレッカーについては、以前書いたこちらを参照して下さい。
 バールのようなものを武器に、ソーを筆頭としたヒーロー達と一人戦っていたレッカー。ある時、力を失った彼は、常人として刑務所に収容される。ずさんであったその刑務所、職業人種、顔ぶれからしてバラバラなメンツが一つの房に入れられることになった。この運命と適当さで集まった、レッカー含む四人組。やがてレッカーが力を取り戻したその時、共に居た三人もレッカーと同じ力を授かり超人となる。脅威の四人組、遠慮はいらない怪力四人衆、アメリカンバカルテットことレッキングクルーの誕生である。

レッキングクルー誕生秘話

 まずレッカー含む全員に共通する能力は、怪力とタフネス。銃弾も効かず刃も通らず、10トン以上の物体を全員持ちあげることが出来る。基本としては、このベースに各員の装備や個性が付くこととなる。

レッキングクルー:パイルドライバー

パイルドライバー
 本名、ブライアン・キャルスキー。ニューヨークのブルックリン生まれだが、農場で育てられそのまま農業に従事することとなる。農家としての人生は退屈すぎたため、犯罪に走った結果投獄されレッカーと出会う。素行は悪いが、性格自体は田舎のあんちゃんといった感じで明快。息子も居る。
 特別な武器や装備は持っていないが、力が両手に集まっており、その影響か手が一回り大きい。大きな手の握力は他のメンバーに比べても高く、自慢の拳から繰り出すパンチが武器。装備なしでも戦える利点から、変装して潜入、一般人のふりをしてヒーローを奇襲するような事も出来る。手が大きいので、よく見ればバレバレだが。

レッキングクルー:ブルドーザー

ブルドーザー
 本名、ヘンリー・キャンプ。不名誉除隊された元軍曹であり、順当に犯罪者の道を走る途中、レッカーと出会う。彼の武器は特殊な金属で出来たヘルメットと首や肩を護るアーマー。防御力を盾に目標めがけ一直線、全てを轢き潰すとの豪語は伊達ではない。元軍人だけあって、軍隊式の格闘術も習得している。経歴といい能力といいジャガーノートとかぶり過ぎなんじゃ……?
 最近あまり見ないが、いつの間にか死んでいたという話もある。本当にいつの間にかで、特に死亡シーンも無いまま……真偽は不明なものの、彼の娘であるマーチ・キャンプの証言、そして彼女が能力とアーマーデザインを引き継ぎ、新たなブルドーザーとなったのは事実である。

二代目ブルドーザー

 なお、彼女が所属したのは、そのままのレッキングクルーではなく、ファンタスティック・フォーの対抗組織、フライトフル・フォーだったりする。

レッキングクルー:サンダーボール

サンダーボール
 本名、エリオット・フランクリン。レッキングクルーの頭脳担当。四人居るんだから、一人ぐらい頭脳担当がいてもいいだろ! 三国志の南蛮軍だって南蛮一の知恵者の朶思大王がいるじゃないか! 元よりある毒泉を使うだけの作戦が知恵に基づくものかと言われたら微妙だけど!
 正味の話、サンダーボールこそレッキングクルーの頭脳である。前歴は肉体労働系の他の三人とは違い、なんと物理学者。特にガンマ線の研究者としては一流であり、ガンマ線の第一人者かつ世界屈指の天才、ブルース・バナー(ハルク)より先に小型のガンマ線爆弾の開発に成功。黒人であることから“黒いブルース・バナー”とあだ名されていた。しかし、研究費を求めるあまり強盗を働いたのがバレて投獄、レッキングクルーとして立てた作戦が「昔、ガンマ線爆弾無くしちゃったんだよなー。無くした辺り、更地にすれば見つかるんじゃね?」な辺り、頭悪い天才疑惑が囁かれている。疑惑というか、おそらくは(ry
 武器は建物解体用の鉄球。最初は只の鉄球だったが、サンダーボールが使い続けることで未知のエネルギーを吸収。再生能力や地震を起こす能力、ソーのムジョルニアのように投げたら戻ってくる特性と、もはや宝具や神具のような武器になっている。このような特性は、レッカーが持っているバールのような物にも付与されている。
 リーダーであるレッカーに忠誠を誓っているパイルドライバーやブルドーザーと違い、頭の良さを鼻にかけての反逆気質を持っている。力の独占を企み、実際レッカーからバールのようなものを奪いとるが失敗。その時は罰として手を砕かれたが、レッキングクルーから追い出されることはなかった。家族と称される連帯感を持つチームなだけのことはある。

 実のところ、キャラクターとしてとても制作側が使いやすいチーム。四人揃えば、ソーやハルクだけでなくアベンジャーズやディフェンダーズのようなチーム相手の大食いも狙えるし、一人でもたいていのキャラと渡り合える。一方、脳筋な所もあるため、四人揃っても作戦で負け若手チームに食われたり、直接打撃力を持たないキャラ一人に完封されることもある。つまり、どんな状況、どんなカードにも使える幅の広さが有り。やられ役から強敵までなんでもござれの万能性。主役となることは少なくとも、多くの出番を確保できる便利なポジションである。