デッドプール チームアップ! 魔法少女まどか☆マギカ 前編

「おはよー。さやかちゃん、仁美ちゃん」
「おう! おはー……!?」
 朝の通学時、美樹さやかは、鹿目まどかの肩に載っている小動物を見て驚愕した。不可思議な白い生き物が、きゅうと鳴いて手を振っている。
「なんでいるの、それ!?」
「大丈夫、私達以外には見えないみたいだから」
 ヒソヒソ声で話す二人を、志筑仁美は不思議そうに見ている。彼女には、まどかの肩に乗るキュウべえが、本当に見えていないようだった。
「なら、安心だけどさ」
 魔法少女のマスコットと言うのは、そんな技も心得ているのか。さやかは素直に感心していた。
 ひょいと、赤いタイツとマスクを被った、全身真っ赤なオッサンがキュウべえを回収するまでは。
「あ、あれ?」
「へ?」
 二人が驚いている間に、オッサンはキュウべえを手持ちの檻に回収してしまった。かちりと、鍵までかけている。
「危なかった。なんか、図鑑に載ってない小動物が、キミの首筋にまとわりついてたぜ? 毒や毒舌とかあるかもしんないから、拾っても勝手にペットにしちゃダメだからさ。もしかしたら、この生き物アライグマより怖いかもしれない。なにせアアライグマは宇宙にも進出していやがる。ひょっとしたら、この白いのも。じゃあ、そういうことで、アディオス」
 オッサンは自分の言いたいことだけ言って、檻入りのキュウべえを持って、さっさと何処かへ行ってしまった。魔法でも少女でもないのに、なんでアレは、キュウべえの姿を確認していたのだろうか。
「今の方は、鹿目さんの肩から何を取ったのでしょうか? しかも、空の檻に鍵までかけて」
 どうやら仁美視点では、空気を捕まえて空気を檻に入れて立ち去ったようにしか見えなかったらしい。
「えーと」
「さ、さあ!? なんなんだろうね!?」
 見えている二人も、とりあえず見えていないフリをする。
「あの赤い方、不思議な方でしたね……」
「う、うん」
「春先には、ああいうの多いしねえ」
 まどかもさやかも、どうしようとお互いの心中で思うものの、キュウべえの居ない今、ただの女子中学生である二人は、テレパシーで会話するような能力を、生憎持ち合わせていなかった。

「わけがわからないよ」
「君はいったいなんなんだい?」
「悪いけど、君と契約する気はないし、そもそも出来ないよ?」
 山と積まれた檻から、無数のキュウべえの声が聞こえてくる。いくら捕まえても、この怪生物の存在が、尽きることはなかった。
「こんなにウルセーのに、役人は“全部、空の檻じゃないですか”なんてコトを言いやがる。野良の動物を一匹捕まえるごとに、歩合給。小遣い稼ぎには、いいバイトだと思ったのになー」
 いつものようにふらついていたら、路銀が尽きた上に、クレジットカードもストップされるという危機的状況に追い込まれていたデッドプール。偶然たどり着いた街で目にした、動物衛生局のバイトを始めたものの、状況は芳しくなかった。
「せめて一匹なら、AIMにでもヒドラにでも売り払えるのに。こんなに働いたのに、給料は最低賃金。しかもこうやって、余計な出費まで」
 デッドプールは、檻の山の周りに、買ってきたガソリンをゆっくりと撒いていく。
「わけがわからないのは、オレちゃんの方ですよ。まったく」
 マッチが投下され、キュウべえの山が燃える。デッドプールはアルミ箔製の簡易フライパンをタイツから取り出し、火に入れた。フライパンにはポップコーンのロゴが書いてある。
「ポンポンポポポン、ポップコーン! 捕まえて燃やして、また捕まえて……あれ!? コレひょっとして、夢の永久機関じゃね!? まさかまさか、こんなところでデッドプールさんが人類の夢を実現させるだなんて! いつかうん、やるとは思ってたけどね! 夢のQB機関として特許を」
 ボカンと、あまりの火勢にフライパンが爆発した。ついでに火が、デッドプールの全身に燃え移る。
「ギャァァァァァ! 熱いのおぉぉぉぉ! 駄目だ、永久機関失敗! いちいち実施者が燃えるとか、どんだけ面白機関だよ! 面白いなら、オイシイ? オイシイどころか、ポップコーンも消し炭だよ! グッド塩味、ノット炭味!」
 さんざんのた打ち回った後、未だくすぶるデッドプールは宣言をした。
「でもそれって、根本的な解決にならないですよね? いいぜ、お前がそうだと思っているなら、オレはその幻想をぶち殺す! 乗りかかった船? しゃらくせえ! 勝手にシージャックしてこその、残念! かわいいデッドプールちゃんでしたって話よ!」
「余計なお世話っていう言葉もあるよね」
 またぞろ湧いて出てきたキュウべえの眉間に、ぽっかり穴が開いた。

more

日々雑談~1035~

「久々に書くと、やっぱ疲れるし遠慮するようにもなるな…」
「まあアレだ。きっとお前疲れていて、遠慮という言葉の意味がわからなくなっているんだよ」

 祝日合わせで、なんとか前編は完成まで持って行けそう。そんなデッドプールチームアップ!まどか☆マギカ編。去年の年末から存在を匂わせておいて、ようやく形になろうとしているのか。長かった……。

 しかしやはり、オリジナルから二次創作に移ると、勝手の違いを感じる。オーバー・ペネトレーションズも好き勝手やってる方だけど、デッドプールの好き勝手さはこれまた少し違うしねえ。最低限の枠を維持しつつ、無法に動かすことは楽しくも難しい。
 まああんまり原作に忠実に再現すると、地の文と話してばっかの作品に。一昔前のあとがきでよくあった、作者とキャラの対談。このノリで全編進むという恐ろしいSSになるなあw
 無法もまた法なり。好き勝手やってるだけじゃ、他所様を陵辱するだけのいけ好かない存在になりかねないので、実のところ結構毎回気を使っております。

日々雑談~1034~

 現行分、オーバー・ペネトレーションズ完結! 此処から先の書き溜め分は封印するので、続きは書き下ろし=不定期に。次のSSの更新は久々にアレ、デッドプールチームアップ!を仕上げる気でいるので、ペネトレーションズの続きはその後ですね。
 あんま久々だと、ノリを忘れてそうで怖いなあ。スレイドだっけ、ウェイドだっけ?

 日曜洋画劇場シャーロック・ホームズを見ました。臭ってきそうな古き倫敦と、空気に余りにも合致したシャーロック・ホームズの勇姿。あのこ汚い勇姿がたまらない。ロバート・ダウニー・ジュニアは、前向きなダメ人間演じさせたら、並ぶものが居ないなあ! え? 貶しているどころか、最大級の賛辞ですよ?
 一作目が怪奇譚で二作目(シャドウ・ゲーム)が冒険活劇。一つのシリーズにおいても、多面的な書き方が出来るというのは、やはり原作シャーロック・ホームズの懐の深さがあってこそ。まだまだこの鉱脈には、色々眠っている。
 腐的要素を差っ引いても、この映画におけるホームズ&ワトソンのコンビは絵になりすぎる。笑顔で罵り合える関係は、見ていて面白い。

日々雑談~1036~

 最後のほうでロボットが大暴れしているという一点においては、新鉄人兵団も第9地区も同じ……ゴメン嘘。
 新鉄人兵団は、リメイクの手本の一つとなるぐらいに良く出来てました。ザンダクロスに、アイテム以上の価値がついてたしね。これならRPGに出ても、脈略なくラストダンジョンの中ボスにされることもない筈。
 第9地区はアレ、社会派と見せかけて、後半はもう監督が好き勝手やっているという素晴らしい映画でした。様々な映画から様々な要素を合わせた結果、なにか新しい物が生まれたような気がする。随分規制でカットされたようだし、今度DVD借りてこよう。

 COMIC1の新刊に着手する前に、感覚を取り戻しておかなければ。そんなこんなで、デッドプールチームアップ!を久々に書き始めたものの、やっぱ色々鈍ってるなあ。途中まで書いていた物に書き足す形なものの、その途中までのものを書いたのは、去年末。どんだけ書いてないんだよ、俺。
 だいたい筋道も出来たので、上手く行けば結構早く出来上がるはず。上手く行けば!
 なお明日は、オーバー・ペネトレーションズの更新です。書き溜めは更新ペースを崩さないのがいい。

日々雑談~1035~

 おそらく、自分の記憶に残るくらいのデケえ誤字。そんなこんなで、オーバー・ペネトレーションズを更新して修正しました。あと、次回でキリウ編は最終話です。書き溜め分も終わりなので、今までのようなハイペース更新はおそらく終了。今後は書き下ろしで、ちょびちょびやっていく気でいます。
 実のところ、書き溜め分はまだ結構あるんですがね……。最初コミティアに使う気でいたので、次のエピソードで話が完結しちゃってるんですよ。他にエピソードを作るのが中々難しいぐらいに。若干暗い上に、既存キャラに死傷者出てますからね。なので、ちょいとコイツは封印と。
 封印しぱなっしでもマズいので、なんとか使い道を考えてみんとな。

『アベンジャーズ』予告編 スペシャル映像
 米国では公開間近だけあって、だいぶ映像も解禁されてきたなあ。それでも未だにコレ、侵略軍の正体がよく分からないんだが。噂されていたスクラルには見えんし、外見的にはウルトロンに似てるなあ。実際ウルトロンなら、アベンジャーズに全く格で負けない強敵だが、まだビジョンどころかハンク・ピム出てないしなあ、ムービー・ユニバース。
 戦う実業家、神失格の男、超人ソルジャー……普通に鋼鉄の男や前世紀の英雄じゃあ駄目だったのかなと思いつつ、地上最強の射手ホークアイでなんかヤバい。地上最強すぎて、ツイッターに「地上最強の射手」のハッシュタグ出来てたよ!
 ホークアイのカッコいい異名、絶賛募集中。