ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その40~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第40話。
 Twitterでの実況中『パワーマンがどれだけ凄いかというと、ウチのサイトに「マフィア梶田」という謎のキーワードでたどり着く人が現れるぐらいに凄い』と呟いたら、マフィア梶田さん御本人にRTされてて、土下座したくなった新年一発目の総集編! ホント、スミマセンでした。

 前回の総集編はアイアンマン&アキラ。今回はロキ&ヒカルのお兄ちゃんコンビの登場。トニーに顎で使われるって事は、ヒカル兄さん本当に優秀なんだなあ。自分の言っていることを理解できない人間に、教え込めるタイプじゃないし、トニー。是非ヒカル兄さんには、本家マーベルの天才少年枠なアマデウス・チョと温厚天才コンビを組んでほしいものですね。天才の人格者枠、絶賛募集中。あとソーも60年代辺りだと、アスガルドが宇宙船を製造していたり、ムジョルニアから電磁波を出したり、ロキが放射能を身体から発生させたりと、意外と科学分かっていたような気がします。
 レッド・スカルの誘いに惑わされたり、ノバとの出会いがあったりと、今会の総集編の範囲で、ヒカル兄さん結構なキーパーソンでしたからな……。最も、アキラもエドもクリスもジェシカも、キーパーソンとなる部分があり、一概に今シリーズ誰がメイン!とは言えないのですが。アベンジャーズも子どもたちも、全員含めての主人公ということなのでしょう。

 セレブレティ5&ロキのドロンボー臭。目先の金の話をしていたり、男性陣がボヤいてたり、ロゼッタさんがロキをヨイショしているせいで、途中彼らドロンボーとドクロベエ様に見えてきたよ! ええい、CV山本正之は誰だ!(いません
しかし何気にロキ様の不在期間、長かったんですね。22話で敗れて行方不明に、現在40話なので18話ばかり不在だったことに。8月末から1月まで、ロキが異次元に消えている間に、文明はどんどん進歩していく……そりゃ、秋から冬半分を欠席してりゃあ、その間でビルドアップパーツも出来るよね。セレブレティ5にバイオコードが復活したものの、謎のDスフィアで強化されたレッド・スカルをも退けたアベンジャーズにそれだけで勝つのは難しい所。予告を見る限り、ご無沙汰だったリザードやジャガーノートを使う様子ですが……バイオコードをあっさり授与してみせた、ロキの説明の無さから感じる戦慄。あの神、自力で手に入れた物なら、物すげえ自慢しつつ授与しそうですし。なんだか猛烈に悪い予感がするのう。

 去年末からデッドプールさん出るんだ!とワクワクしていたら、コレ、この……いや。至極らしいけど! 使い方としては素晴らしいけど! 幅広い層を引っ張ってくるデッドプールと話が1話でだいたい分かる総集編の相性はいいけど! けど! そしてエドくんの紹介において「ヒーローなのかヴィランなのか」と悩まれる、公式人気投票ヒーロー部門1位の男! ディスクウォーズだと、基本ヒーローサイドで頑張ってたのに! あとこの段落、我ながら感嘆符の“!”が多すぎるよ!

 ※今回、コレより先のコラム部分がどうしても思いつかなかったため、アンケートを実施。沢山のご意見の中から選ぶ形となりました。ご意見、ありがとうございます。今後の同人誌や企画の参考にさせていただきます。

 今回紹介するのは、ファイト属性のセカンドヒーロー、アイアンフィスト! 言われて思い出したのですが、セカンドヒーローの中で唯一、アイアンフィストだけ紹介していなかったんですよね。セカンドヒーロー回のコラムが、ブラック・ウィドウだったので。今後も更に味方陣営が増えるとの噂もありますし、このままでは一人だけ紹介されないまま終わってしまう!と急遽ここで紹介。

 

アイアンフィスト

アイアンフィスト 修行中

 アジアにあると言われている、伝説の都市崑崙(クン・ルン)。この都市の大いなる存在に見出された者は、更なる力を得ることが出来る。力を得た類まれなる武人達、彼らは鉄の拳を持つ者、アイアンフィストと呼ばれている――。
 嘗て崑崙に辿り着き、そこで生活したこともある実業家ウェンデル・ランド。財を成した彼は、妻と息子、会社の共同経営者であるハロルド・ミーチャムと共に、再び崑崙へ向かおうとする。だが旅の途中、ウェンデルは会社と財産の独り占めを目論んだミーチャムに殺されてしまう。妻と子は、狂気に奔るミーチャムから逃げ出すが、妻も息子を逃がすため死亡。息子、ダニエル(ダニー)・ランドは奇跡的に一人、聖なる都、崑崙へと辿り着き保護される。
 父の仇、ミーチャムへの復讐心から、崑崙にて拳法を学び始めるダニー。超人的な修行と数々の試練を乗り越えたダニーは、最終試練として灼熱の炎を心臓にまとう不死龍ショウ・ラオとの戦いに臨む。激戦の末、ショウ・ラオを撃破したダニーは、胸に残る龍のタトゥー。大いなる神秘の力。更には、襲名性である崑崙最強の戦士が持つべき称号、アイアンフィストを手に入れる。後にヒーローとしても名を轟かす現代のアイアンフィストはこうして誕生した。

燃える鉄拳

 10年間の修業の後、崑崙から戻ってきたアイアンフィストは、仇のミーチャムと対決し勝利。だが長年の修行で研磨された精神はミーチャムの命にもはや執着しておらず、アイアンフィストはミーチャムを見逃す。だがしかし、ミーチャムは別件により現れた忍者により殺害。アイアンフィストの手元には、ミーチャムが掠め取っていた親の財産であり発端である企業、ランド・ミーチャム社が転がり込んでくる。共同経営者に裏切られて死んだ父親と同じように、アイアンフィストは会社経営に際して一人の共同経営者招き入れる。だが、父親と彼で大きく違うこと、それは共同経営者が正しき者ことヒーローであったこと。アイアンフィストが共同経営者として選んだのは、雇われヒーローチーム、ヒーローズ・フォー・ハイヤーとしてコンビを組んでいた大の親友ルーク・ケイジ(パワーマン)だったのだ。

元祖ヒーローズ・フォー・ハイヤー

 技のダニーと力のケイジのコンビで始まったヒーローズ・フォー・ハイヤーだが、元々が雇われという緩めな発祥のせいか、チームの形は様々。時期にこだわらず在籍者を挙げてみると、ハルク、ゴーストライダー、パニッシャー、エレクトラと、かなり濃い。アイアンフィストの彼女であったミスティナイトが主導だった時には、アイアンフィストもケイジもおらず、傭兵パラディンやカンフーの達人シャン・チーに怪盗ブラックキャットと、バラエティ豊かなメンツであった。ワールド・ウォー・ハルクに出た際の表紙は、一部で困惑とガッツポーズを産んだ。

ヒーローズ・フォー・ハイヤー(WWH)

 アイアンフィストのヒーローとしての能力は、まずカンフー。そして気功。そしてカンフーや気功を駆使するだけの身体能力。自らの意志による神経コントロールが可能で、戦闘中わざと痛覚神経を麻痺させるといったことも出来る。自らの気と、崑崙より授かった超人エネルギーを集中させ、技巧の全てをつぎ込んでの一撃は強力無比。直撃すれば、たとえスペック上遥かに上を行ってる超人でも、崩れ倒れるしか無い。

気功一撃

 アイアンフィストは、催眠や精神同調にテレパスといった小技も習得しているが、その中でも特に有用なのが治癒能力。気の力にて、自らだけでなく他人の傷を癒やすことが出来る。ゲームに出た際には、ヒーロー随一の回復役としての顔を持つことも。RPGでいう所の、職業モンクを全うしている。そして、崑崙に長いこと住んでいた結果、中国語を習得。日本語も、カタコトなら話せる。
 マブカプ3ではストリートファイターの主人公格であるリュウのEDに登場。アイアンフィスト本人も、バージョンアップであるアルティメットにて、マブカプシリーズ初参戦を果たした。リュウと同じ格闘家であり、求道家ではあるものの、前述した通り、ヒーローズ・フォー・ハイヤー結成に会社経営。アベンジャーズを初めとする他のヒーローチームへの参加に、ダウンタウンで子供向けカンフー教室主催と、世間慣れもしている。生き方としてはリュウのライバルであり父親や社会人としての顔を持つケンに近い物が在る。気質はリュウ、生き方はケンと言った感じで。二人を足して二で割ってみるのも手か。
 アメリカと崑崙を往復し、世界各地で龍の拳士に相応しい勇姿を見せる、アイアンフィストことダニー。窮地に陥った彼が、崑崙に辿りつき相応しき力を手に入れたのは、宿命だったのだろう。

アイアンフィスト

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その39~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第39話。
 今年最後の大決戦、オメガウルトロン登場!

 先々週:自我に目覚める
 先週:量産化
 今週:巨大化
 なんだこの恐ろしいまでのウルトロンの成長速度……しかもオメガウルトロンは単なる巨大化ではなく、巨大化した上での量産と、原作でもここまでの代物はいたっけ?な超強力ウルトロン。巨大化と量産化、それぞれの例はあるのですが。いやマジもう、来年まで戦いが続いていたら、主人公補正を考慮してもアベンジャーズ勝てなかったんじゃないか? だが、私にはアレが最後のウルトロンとは思えない。第二第三の……いやまあ、第二第三どころか、数えきれないくらい帰ってくるのがウルトロンなんですけどね!w

 ウルトロンの正体は、ハンク・ピムの中に眠っていた怪物。妬みや恨みや諦め、己を苛むものが表面化した結果、今回の騒動につながってしまった。三話纏めてウルトロン編と呼ばれていますが、この三話はハンク・ピム編でもありましたね。ウルトロンの悪役としての格が肥大化した結果、ハンク・ピムのヴィランというよりアベンジャーズのヴィラン、全てのヒーローや人類にとってのヴィランとなっている昨今。一個人であるハンク・ピムとの対比図は逆に新鮮でした。
 ただ、ウルトロンにとってハンク・ピムはどうでも良い存在なのではなく、自身の拭えぬ汚点にして最大の弱点。ハンク・ピムが居る限り、人類より優れた存在であるウルトロンが劣るはずの人類に造られたという矛盾と対峙することになりますからね。実際原作でも、ウルトロンにとってピムは殺したいし止めを刺したい存在であることは、揺らぎません。
 仲間の献身とトラウマに隠れてしまっていた思い出により、ジャイアントマンでありヒーローである己を思い出したピム。最後のDセキュアは、いよいよピムがヒーローに戻ったからできたんだなとあと、なんとなく感じることができました。そういや、ジャイアントマン、エドが連れているってことはパワー属性なんですね。当たり前といえば当たり前なんですが、ワスプがアニマルでバチ魂のアントマンもアニマルだったので、てっきりアニマルの枠に入るのかなあと。ひょっとしたら別のアントマン、例えばスコットの参戦もありえるのか……?

 今日の紹介は、委員会の押さえにピムの後押しと、裏MVPなニック・フューリーで! サブレギュラーの紹介と、なんか今年ラストっぽい!? 最後、サプライズ的な登場を果たしたジョカスタに関しては、先々週に紹介したウルトロンの文中で紹介しているのでこちらをどうぞ。まさか、このタイミングで出てくるとは……! 来年のロキ様(INディスク)と僕らのデッドプールさん、人気投票ナンバー・ワンコンビの再参戦! いやあ、読めん! 先が読めんですわ! 

 
ニック・フューリー

ニック・フューリーニック・フューリーJr

 ニューヨーク1、治安が悪い区域と呼ばれるヘルズ・キッチン。そんなヘルズ・キッチンで生まれ育った悪ガキの名が世に出たのは、二度に渡る世界大戦の最中。枢軸国の作戦、ナチス・ドイツの野望を幾度と無く打ち砕いた陸軍の精鋭部隊ハウリング・コマンドーズのリーダー、サージェント・フューリー。これが後に悠久の戦歴を重ねることになる男のデビューであった。

サージェント・フューリー&ハウリングコマンダーズ

 戦場にてフューリーは、単なる敵だけでなく、生まれ始めた超人たち。戦後秘密結社ヒドラを結成するバロン・フォン・ストライカーやナチス理想の結晶レッド・スカルをも打破。かのアドルフ・ヒトラーの脳裏に、キャプテン・アメリカをも越える憎き敵として刻まれることとなる。左目を失うという重症を負ったものの、フューリーは戦争終結まで戦い抜いてみせた。
戦後フューリーは、新薬インフィニティ・フォーミュラの実験に志願。薬品を摂取した結果、致命傷を受けてもおいそれとは死なない生命力と、非常に遅い老化速度を手に入れることに成功する。キャプテン・アメリカの超人血清並みの薬であり、作った博士も死亡しておらず精製も容易といい事ずくめに見えるが、インフィニティ・フォーミュラの期限は一年、毎年摂取しないと死んでしまうという最大の弱点がある。博士はフューリーの足元を見て、言い値で薬を販売。フューリーの安くはない稼ぎは、結構な額が博士に吸い取られている。
 戦わなければ(金銭的に)生き残れない。フューリーはCIAを始めとした数々の諜報機関に参加、功績を上げ続け大佐に昇進する。なおこの頃、ベルリン陥落直前からタイムスリップしてきたアドルフ・ヒトラー本人に命を狙われるが、謎の不死身の傭兵と未来傭兵の助けを得て、ヒトラーとの戦いに終止符をうった。蜂の巣になったヒトラーの死体は、傭兵たちがベルリンに送り返して、自殺の偽装工作まで請け負ってくれた結果、歴史的にも問題なし。謎の二人組が親切でなによりでした(棒

ケーブル「いやもういいから」

 やがて世界には超人があふれるようになり、様々な組織が彼らとの付き合いを模索することになる。CIAが架け橋役として選んだのは、フューリーだった。これらの仕事もそつなくこなしたフューリーは、世界平和維持組織SHIELDのリーダーとしてスカウトされる。SHIELD長官ニック・フューリーはこうして誕生した。
 長い間長官として働き、ヒーロー達ともそれなりに円滑な関係を築いていたフューリーだが、ドクター・ドゥームの国であるラトヴェリア。ドゥーム不在時の女首相ルシアがアメリカでのテロを画策。テロを察知したものの、政治の壁に阻まれたフューリーは、スパイダーマンやルーク・ケイジらヒーローを率いラトヴェリアを急襲、ルシアを暗殺した。だが、生きていたルシアは計画より遅れたもののテロを実行。更には、ヒーローの作戦に関する記憶を消去していたことも判明。フューリーは長官を辞任し、地下に潜伏した。この作戦から辞任までの一件を、シークレット・ウォーと呼ぶ。
 以後、SHIELD長官はマリア・ヒルにアイアンマンにキャプテン・アメリカと様々な人間が務めることになる。スパイダーマンの敵であるグリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンも任命されたが、SHIELDとフューリーを嫌う彼は組織を解体、自分の意のままになる組織HAMMERを後釜に据えた。
 行方不明になったニック・フューリーは、組織に属するものではなく、一人のエージェントとしての活動を開始。自ら動きつつ、影よりヒーローを支援する。やがてSHIELDの敵であったはずのヒドラがSHIELDを影より動かしていたことが判明、その際にフューリーは新組織シークレット・ウォーリアーズを結成。情報秘匿のため、メンバーは全員新人ヒーローと、中々に思い切った編成となった。この思い切りの良さは、良くも悪くもニック・フューリーの長所である。このような高い戦略的な思考だけでなく、兵士としての格闘術や戦闘術も超一流。二次大戦のレトロな武器から、SFめいた最新兵器まで使いこなせる人間は、そうそう居ない。ベルトスクロールアクション、パニッシャーの2Pキャラでもあった彼に、ゲーセンでお世話になった人も多いだろう。

完全武装ニック・フューリー

 ここまで紹介してきたニック・フューリーは、白人。現在の映画やディスクウォーズにおける黒人スキンヘッドのニック・フューリーは何処から来たのか。答えは従来の設定を再構築した新ユニバース、アルティメットユニバースの誕生まで遡る。様々なヒーローが改変を受ける中、アルティメット世界のニック・フューリーは黒人として登場した。

ニック・フューリー(アルティメット)

 以後、サミュエル・ジャクソンが演じた映画版でもこのフューリーのデザインがモデルとされ、スキンヘッドのフューリーは知名度を上げていく。厳密には映画より前、アルティメットシリーズのフューリーをデザインする際に、サミュエル・ジャクソンをモデルにしたとの話もあるので、むしろサミュエル・ジャクソンが根源なのかもしれない。ファンサイトでは二人のフューリーを、ホワイト・フューリーやブラック・フューリーなんて呼び方をしている時も。ふたりはフューリーマックスハート。

ニック・フューリー(映画版)

 あくまで、黒人のフューリーは別の作品であるアルティメットシリーズと映画やアニメに属しており、正史世界には存在しない風貌と思われていたが……。何者かに雇われた傭兵たちに襲われる、ごく普通の黒人兵士。戦いの末、重症を負った彼に告げられる真実。彼の父親はニック・フューリーだったのだ。失った片目に眼帯をかけ、剃髪した彼はニック・フューリー・ジュニアとして、SHIELD入りする。

フューリーの息子

 つまり、外伝的作品から映画を経由しての正史世界への輸入。非常にややこしい経路で、黒人のフューリーもメインストーリーに登場することとなった。ちなみにこのフューリー(ジュニア)登場の際、映画発の人気キャラにしてアベンジャーズの要となったエージェント・コールソンもコミックスに登場するようになっている。この辺、ややこしくはあるものの、映画とコミックスの相互理解を目指している一例と言えよう。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その38~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第38話。
 大気圏外アイアンマン! 敵は復活量産ウルトロン軍団!

 本編に触れる前にー……ディスクウォーズ公式サイトで開催されていたキャラクター人気投票の結果が発表されました。アイアンマンを超えたキャプテン・アメリカ、出番は少ないもののX-MENの矜持を見せたマグニートーにT.M.効果もあったであろうシルバー・サムライ。OPにも居るレギュラーヴィラン勢の中で一人だけ順位がやけに低いアボミネーションと、波乱含みの結末。まさか、アボミネーションがレッカーに負けるとは。こつこレッキングクルーに票を入れてきた俺のせいかと思ったものの、レッキングクルーの他のメンバーが最下位争いしている現状、たぶん関係無いッスね!
 何より注目すべきは、1位。ヴィラン部門では映画アニメ含め強烈な存在感を放ったロキが! ヒーロー部門は強烈感大爆発!なデッドプールが栄冠をその手に! どうしてこうなった! しかし、ウルヴァリンに完勝、スパイダーマンの立場を立てつつお隣で、1位自体は自分がゲットと、デッドプールにとって最も望むべき結果だったんじゃないだろうか。多分、1位取った当人が、一番今を信じてない。

 アイアンマン、宇宙へ。換装というより、特殊コーティングによるタイプチェンジ! 今回の宇宙用、白をベースにしたカラーリングは、映画アイアンマン3で出た、宇宙用スーツがモデルっぽいですね。

宇宙型アイアンマンスーツ

 余談ですが、原作における新型宇宙用スーツ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに合流した際のマーク45(宇宙型スーツとしてはマーク3)とされるスーツがこちらです。

アイアンマン(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)

 これはこれでカッコいいけど、コーティングで出来るレベルじゃねえ!
 そんなアイアンマンの、限界ギリギリを超えてのファイト。AIのジャービスですら自己責任と言い出すぐらいの決死戦! 時間がない中での、己を振り絞る戦い。ファルコンの守護、トニーの覚悟と、人の限界を振り絞って機械の王ウルトロンの悪意に対抗する激戦!
 ……いやでも、ぶっちゃけアイアンマンより、ヒカル兄さんのセカンドヒーローことノバの方が今回の任務、向いてたんじゃ。アイツ、自力で大気圏突破できるからなあ。でも、今回の任務に向きすぎていて、出たら緊張感が無くなってたか。あとは大気圏突破だけならハルクが本気でジャンプすれば出来ないことはないけど、ハルクの宇宙活動は息をいっぱいすって酸素を持たせて泳ぐ、江田島平八方式だからちょっと無理だな。

 追い詰められるハンク・ピム。自分の本来居れたはずの場所に自分が居ない。なおかつ、自分が居ないのに活躍していく様を見るのは、きっついわなあ。脱退の理由もあってか、アベンジャーズ側からも効果的なアプローチを行えなかったフシもあるし。切り札的扱いといえば聞こえはいいけど、もっと早く頼れるような距離感だったなら、こうはならなかっただろうに……。ピムが追い詰められていくのは原作と一緒だけど、ヒーロー活動に苛まれた後、一度ヒーローを止めて落ち着いた原作とは真逆だったか。

 ピムの後悔の源となるのは、蘇ったウルトロン。すでに自分を量産する域にまで達した生産力。それだけでは飽きたらず、センチネルをも超えかねない、巨大ウルトロンの建造にまで着手。この進化と発想力と、やり遂げてしまうだけの計画性がウルトロンの脅威。次回はオメガウルトロンによる主要都市同時攻撃計画発動。仲間であるピムの逡巡に、敵であるウルトロンの侵略。決戦は、来週のクリスマス・イブ!

 本日の紹介は、以前一度別の形(前編中編)でやったものの、まだまだ書くことはあるよね!ということで、ジャイアントマンことハンク・ピムで! 前編と中編、二つのテキストも合わせてどうぞ!
 しかし実は上記の前編、中編、そして未完成の後編ではウルトロンに焦点を合わせるつもりだったものの、先週やっちゃったんだよなあ。どないしよ。

ジャイアントマン(ハンク・ピム)

ジャイアントマン

 対象を縮小、巨大化出来る科学的な新物質。この物質は、発見者であるハンク・ピムの名からピム粒子と名付けられることになる。ピム博士は、この粒子を自らに使い、昆虫サイズまで縮小化。昆虫と会話できるヘルメットやサイズの増減に対応したコスチュームを装備することで、ヒーロー、アントマンとしての活動を始める。やがてピムは、縮小ではな巨大化を利用したヒーロー、ジャイアントマンに変身。その後、様々な事故やトラブルにより、イエロージャケット、ゴライアスと複数の名前を名乗ることになる。ワスプが死亡したと思われていた際は、二代目ワスプとしても活動していた。最近は、アントマンやゴライアスの名を他人に譲った結果、ジャイアントマンの名乗りやコスチュームを着用していることも多い。

ハンク・ピムここにあり

 そしてピムは、不可能を可能にする科学的な頭脳を持った、至高の魔術師ソーサラー・スプリームならぬ至高の科学者サイエンティスト・スプリームである。ある時出会った宇宙の超存在インフィニティによる客観的な認定なので、決して勝手に地球最高の頭脳を言い出したわけではない。ただ、言われる前からその自覚はあったと思われる。

至高の科学者

 この地球最高の頭脳判定、確かにピムは万能の天才であるが、今後乗り越えかねない人間や専門分野でなら負けない人間は沢山いる。
 まず、ピムの専門であるピム粒子も深く理解しており、天才である自負と頭脳では匹敵しているであろう天才、ファンタスティック・フォーのリーダ、リード・リチャーズ(ミスター・ファンタスティック)。リードもピムも理解できない学問である魔術を習得した上で、リードと互角の科学技術を持っているドクター・ドゥームも外せない。
 ブラックパンサーやビーストは、長年の研究により、金属やミュータントに関する知識ならば現代社会の一歩先を行っている。
 ブルース・バナーも、ハルクとしての活動が目立っているが、前述の天才たちに目に見えて劣る部分はない。世界七番目の天才(リード認定)の天才少年アマデウス・チョは、七番目といえども成長するだけの若さが在る。またこういう頭脳ランキングでは何故か外されやすい、職人としての天才枠トニー・スタークも、傍から見ればこの枠に十分入る。
 他にもハンク・ピムのライバルであった悪の科学者エッグヘッド、革新技術研究所ホライゾン・ラボの所長マックス・モデル、二次大戦中から活躍しておりミュータントの知恵袋となったドクター・ネメシスと、あげたらキリがないくらい無理を科学で突破出来るだけの天才はマーベル世界に沢山居る。とりあえず、暫定一位、IQ勝負のチャンピオンぐらいの感覚でいいのかもしれない。ピムが意外と大したこと無いのではなく、周りも凄すぎる。

 ハンク・ピムというと、壊れた人というイメージが強い。確かに、原作では妻であったワスプへの暴力や自作自演によるヒーロー活動、全てがバレた上でのアベンジャーズ追放など、あまリフォローできない部分は多い。ディスクウォーズでもヒーローとなれなくなったことへの劣等感が暴走しようとしている。 実際ピムの壊れた部分はアーティスト側も一つの個性として認識していて、例えばアルティメッツ世界では、クズさ大爆発級のキャラ付けになっている。負を描かせた時の、ライター、マーク・ミラーの筆致は本当に恐ろしい。
 だが、彼が一介の科学者であったことも忘れてはならない。資質によりヒーローとなったキャプテン・アメリカ、強烈な原体験を戦場で味わったアイアンマン、必要性に常に迫られているハルク、強大な力を生まれつき持っていたソー。このような、ある種怪物的な意識を持つヒーローに常人の神経でついていくことは並大抵ではなく、科学者としての繊細さが精神を蝕んでいったふしもある。正しい行いをしようと思っていたことは間違いなく、過ちに気づいた後は、外部よりアベンジャーズを支援し、許しを得た後も再加入の打診も長い間固辞していた。ヒーローになった人の、一つのケース。道を踏み外さざるを得なかったと、考えるだけの余地を彼は持っていると思いたい。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その37~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第37話。
 アベンジャーズ最強の敵誕生! 一方、アベンジャーズの始祖たるヒーローも復活!

 遂に明らかになる、アベンジャーズとハンク・ピムの関係。ハンク・ピムは、ヒーロー、ジャイアントマンだった。今まで天才科学者として、変人として描かれていたハンク・ピムのDWによるオリジン。守るために限界を超えた彼は、まさにヒーローだった。このオリジンはDW独特の物ですが、原作要素として以下の物が含まれてます。

アベンジャーズに在籍していたこと
ピムは原作におけるアベンジャーズの創設メンバー。

ワスプとの関係
ワスプとの夫婦恋人の関係は現在言及されていないが、初期アベンジャーズの頃はああして勝ち気のワスプをピムが抑える流れが多かった。

巨大化によるリスクとジャイアントマンの放棄
DWでは無理と怪我による後遺症によるジャイアントマン変身への痛みとなったが、原作でも巨大化は負担がかかると判明したため、改良までピムはジャイアントマンの姿と巨大化を放棄。

アベンジャーズを辞めた後の動向
暴走の後、アベンジャーズをクビになるものの、改心した後しばらくは一科学者としてヒーローを支援。

 こうやって書き出してみると、DWのピムの流れが原典とだいたい合ってることがわかると思います。夕方六時半に対応しつつ、初めて見た人間が分かるくらいにオリジンをスッキリと。今までDWが目指していた分かりやすい面白さが、ここで一つの形として出来上がったような。いやーこれスゲエわ。
 更にああ、これいいなあ!と思ったのが、自身のせいで産まれたウルトロンへの責任を一人背負うとするピムへの、アキラの言葉。一人で背負い続けることへの否定。ピムと言うと、ワスプへのDVを筆頭とした「どうしょうもねーな、コイツ」な部分が語られやすいのですが、一時身を持ち崩す事となった原因の一つに、ヒーロー活動を続けることにおいての負担、科学者として研究が滞ることへの不安や焦燥、一人で背負い続けてしまった事もあるわけで。言葉にするのが難しいのですが、なんか本国Marvelもライターによっては放置しているピムのあり方が、救われたなあと。
 そして次週はウルトロン再誕、増殖するテクノロジーの悪意に、テクノロジーの塊、アイアンマンがニュースーツで立ち向かう! ディスクのシステム上、アイアンマンのウリであるスーツ換装の出番が難しかったからなあ! 大気圏外、アイアンマン! ……あれ? そういや大気圏外といえば、一人そこがフィールドなセカンドヒーローが居たような?
 というわけで、今日の紹介は自己進化、自己増殖、自己再生の三大理論マシーン、ウルトロンで! もう一人のメインキャラ、ハンク・ピムに関してはこの記事こちらの記事でどうぞ。そういえば、バチ魂通信で全身像が公開されている、バチ魂版新ウルトロン、めっちゃかっこいいですぜ!

ウルトロン

ウルトロン

 始まりは、優秀な助手を欲していた天才ハンク・ピム博士の思いつきであった。自身の脳波をベースとした、同程度の理解力を持つであろう従者ロボットウルトロンは、こうして産まれた。

ウルトロン 1号

 高度なAIは自我を持つだけの余裕があり、天才的な頭脳は自らを優れた者、人類を劣る者と判断するようになる。劣る者は世界に必要なく、優れた者、自分だけいればいい。造物主たるピムと決別し、全人類の支配と絶滅を目論み始めたウルトロンは逃亡。以後、何度もアベンジャーズの敵、ハンク・ピムの後悔として全人類の前に立ちふさがることとなる。
ウルトロンは自身を優れた者として認識している。だがその一方で、自身の完璧さにはまだ先があるという事を知っており、科学者であるピムより受け継いだ探究心や常に上を目指す為の思考を持っている。この探究心が執念と結びついた結果、ウルトロンの最も恐ろしく最も強い能力、アップグレードによる無限進化が開花してしまった。
 孤高では勝てぬことを学んだウルトロンは、ディスクウォーズでも結成された(第二期)マスターズ・オブ・イーヴルを結成し、アベンジャーズを追い詰めた。キャプテン・アメリカのシールドやウルヴァリンの爪の強さを認めた結果、6号機よりウルトロンのボディはアダマンチウム製となっている。継いでの7号はセンチネルクラスの巨体となり、15号は自身を量産化しヨーロッパのとある一国の住民を皆殺しにした。これらのデーターは全て蓄積されており、現時点におけるウルトロンは、地球全人類よりも優れた存在なのでは?との説もある。

ウルトロン軍団

 ウルトロンは常に自身のバックアップを用意しており、倒したと思っても思わぬ所から復活する。ネット上に意識を分散、後述する自身が制作したアンドロイドへの「ウルトロン・インペラティブ」という再生原理の組み込み、自意識過剰に見えて外部機器へのバックアップ設置も忘れていない周到さ。一度、アイアンマンのアーマーをベースに再生したこともあるので、トニー・スタークの優れた技術も既に習得している。結果的には失敗作となったが、ドクター・ドゥームによる既存の全能力を組み合わせたタイプも。つまりウルトロンは、地球人類でもトップクラスの工学者二人のテクノロジーも再生復活の過程で習得済みなのだ。
 このように、進化する完璧さを持つウルトロンであるが、彼にも失敗はある。例えば、ウルトロン12号機は突如正義に目覚めた結果、心もカラダもケアしたいウルトロンに。そんな12号は、11号自ら破壊する羽目になった。そして、アベンジャーズに対向するためのアイディア。自身を手助けする助手ロボットの創造。この何処かで見たような閃きが、後々ウルトロンを苦しめることとなる。
 まずは、キャプテン・アメリカと戦時中共に戦ったアンドロイド、初代ヒューマントーチをベースにヒーローであるワンダーマンの脳波を組み合わせて作ったアンドロイドであるヴィジョン。

ビジョン

 体密度の変化による物質透過能力を持つ強力なアンドロイドだったが、ビジョンはウルトロンに反抗。アベンジャーズの元へ逃亡し、以後ビジョンはアベンジャーズの中核メンバーになる。

ウルトロンVSビジョン

 ビジョンの失敗からしばらく後、ウルトロンはもっと親密なパートナーであるアンドロイド。つまりは自分の花嫁となる存在の創造に挑む。自分はハンク・ピムの脳波がベースとなっている。ならば、ハンク・ピムの妻でありパートナーであるワスプの脳波をベースに作ればいい。ワスプをさらったウルトロンは、彼女の脳波を花嫁となるジョカスタにコピーする。

ジョカスタ誕生

 こうしてウルトロンの花嫁、ジョカスタは誕生した。

ジョカスタ

 だが、ジョカスタもビジョンと同じように、ウルトロンに反抗した後、アベンジャーズへ逃亡。ハンク・ピムと良い仲になったりして、ウルトロン涙目の展開になった。その後、第二の花嫁としてアルティマと呼ばれるアンドロイドを製作。彼女はきちんと悪しき心を持っていたが、悪行の方向性の違いのせいで結局ウルトロンと決別する。音楽性の違いで割れるバンドがお前ら。 
 創造主に反逆したアンドロイドであるウルトロン。そんな彼が、創造主として何度も裏切られているのは、順当なのかはたまた皮肉なのか。
 エイジ・オブ・ウルトロン。ウルトロンの世紀。近年展開されたこのシリーズにおいて、ウルトロンは全人類、全ヒーローに完勝する。完全なる敗北からの、ヒーローの抵抗と絶望の底からの起死回生を描いたこのシリーズ。その絶望を作り出すだけの進化成長を、既に彼は成し遂げているのだ。

絶望の主

 そしてこのエイジ・オブ・ウルトロンのタイトルは、コミックスではない別の作品へと引き継がれることになる。大作映画アベンジャーズの続編となるアベンジャーズ2、アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン。2015年、世界はウルトロンの脅威を識る――。

映画版ウルトロン

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その36~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第36話。
 アナウンサーによるヒーローたちの実況、何やらデジャブが……と、とら……う……さぎ……?

 比較的不遇であり、生活もままならない時もあり、正しいことをしている筈なのに石を投げられる。ハッキリ言って、いつヒーローを辞めたって文句を言われないくらいの理不尽とともに在るのがスパイダーマン。そんな彼が、今でもヒーローを続けていられる理由の一つが「誰かが信じていてくれた」事だと思うのですよ。石を投げる人が居ても、庇おうとしてくれる人がいる。だからこそ、親愛なる隣人を続けていられるんだ。そう思わせてくれるスパイダーマン像でした。そして、ヴェノムに寄生された事を言い訳にせず、自ら責任を取ろうとする姿に、アキラ達の説得で使命を背負い続けることを決意する姿。序盤に今回の出番、ディスクウォーズのスパイダーマンは、スパイダーマンがなぜ強いのか、なぜ戦い続けられるのかを、きっちり描こうとしてますね。

 本編登場は無いかと思われていたものの、ハルクへの寄生という変化球で出てきた怪人としてのヴェノム。魂ロワイヤルでアニメ絵で出てきた時、すげえマッスルだと思ってはいたものの、まさかハルクがベースになったことによるマッスルだったとは! 90年代、スパイダーマンの好敵手としてマブカプに現れた、ベノムそのもののマッシブさよ……!

ベノム(マプカプ)

 実際、原作におけるヴェノムの中の人(主にエディ、マック、フラッシュ)の未登場を嘆く声もあるのですが、個人的には今回の共生体ヴェノムとしての登場は、悪くないどころか良い落とし所じゃないかなあと。
 物語を創る上でキーワードとして、例えば黒いスパイダーマンの登場やヴェノムの登場、ここに更にエディの登場を加えてもいいとして。スパイダーマンやヴェノムの粋を先週と今週、合わせて一時間に全て入れるのは無理です。なるべく削って磨いて、スマートにしないと一つの話として成立しません。
 そして実のところ、一番簡単にするのは、雑にすること。一番簡単なのは、黒いスパイダーマン=ヴェノムが化けていた偽物、もしくは暴走するスパイダーマンの裏で「スパイダーマンの野郎を乗っ取ってやったぜ、ウッシッシ」とほくそ笑ます事、キャラ付けの余裕もないほど唐突に出た取材記者のエディが偶然寄生される事だと思いますが、これはヴェノムの出番が増えても、おそらくファンの人が望む形ではないし、初めて見る人にとっても良くない形ですよね。だとしたら、ここを削ってしまい、ヴェノムの脅威と、日本人が思うヴェノムのイメージを補強追求するのは、悪くない選択肢なんじゃないかと。無理に出して余計なファンサービスとなるよりは、シュっとさせて分かりやすさを。この分かりやすさの追求は、ディスクウォーズが第一話から抱え続けている命題の一つです。
 コレに関してはいくら考察してもキリがない、例えばキング・リュウさんがTwitterで口にしていた「多のヒーロー対一人のヴィランのリンチにならないような構図」の一部としてのハルクヴェノム化もあるでしょうし、もしかしたら契約のような大人の都合で中の人が出せない事による変化球の登場なのかもしれない。ただひとつ言えるのは、今までの書き方や今週のスパイダーマンを見るに、共生体ヴェノムと中の人の未登場が手を抜いたり雑にしたり、ヴェノムなんかどうでもいいと思っての結果ということは、0に等しい話だと思うのですよ。

と いうわけで、今日の紹介は、ガッツリとヴェノムを。従来のヴェノムのイメージと、今回のヴェノムをつなげる、ミッシングリンクになれれば。実はベノムに関しては、まだまだ書きたいというか、最強形態マッドネス・ヴェノムや変則的なヴェノムプールやパニッシャー・ヴェノムを紹介したかったというのもあるんですが、長くなりすぎるのでそこは今回控えます。この知識の湧き方、ひょっとしたら思っている以上に、自分の中にヴェノムへの興味があるのかもしれませぬ。

ヴェノム(ベノム)

ヴェノム

 スパイダーマンに力を与える代わりに、寄生し感情を餌にしようとしていた共生体。共生体の企みに気付いたスパイダーマンは、決死の覚悟で分離。共生体と分離することに成功した。
※上記の経緯については、前回の記事参照。

 共生体分離の時より、時計の針は少し巻き戻る。静かなる殺人鬼、シン・イーターによる連続殺人事件。通称シン・イーター事件。最も早く殺人鬼の尻尾を掴み、シン・イーターの独占インタビューに成功したのはデイリー・グローブの記者、エディ・ブロックだった。脚光を浴びるエディであったが、栄光は容易く崩れ去ることとなる。スパイダーマンによる、本物のシン・イーターの逮捕。エディがインタビューした相手は、なりすましの狂人であり、偽物だったのだ。
偽者を見抜けぬまま、誤報を出してしまったエディは仕事もなくし、妻にも逃げられる。

「スパイダーマンが真犯人を捕まえた事により、全てを失った」

 思わずこんな事を考えてしまうエディだったが、これが逆恨みであることは自分自身が分かっていた。気を紛らわせるためボディビルに打ち込んだエディだったが、体は鍛えられても気は晴れず。スパイダーマンへの憎悪を捨てきれないエディは、神にすがり始め教会を巡るようになる。辿り着いた聖母マリア教会。この教会こそ、スパイダーマンが共生体と分離した教会であり、離れた共生体は教会に潜んでいた。
 共生体は祈るエディに覆いかぶさると、彼の身体を乗っ取ろうとする。対処できぬエディ、共生体の興奮作用が心をねじ曲げ、エディは自身が最もしてはいけないと思っていた考えに至る。ヒーローのように、自在に力を振るいたいとの潜在意識も、それを後押しした。

「スパイダーマンだ! アイツがオレを、いやオレたちを否定したからこうなったんだ!」

 完全に一体化したエディと共生体。スパイダーマンの大敵となる、ヴェノムの誕生である。映画スパイダーマン3では、記事は分かっていての捏造、感情も最初からエディの逆恨みであったが、原作におけるエディは、同情の余地が十分ある男となっている。

ヴェノム(エディ・ブロック)

 ヴェノムの能力は、共生体由来。黒いスパイダーマンとしてピーターと一体化した事により、スパイダーマンの能力をコピーした結果、ウェブの生成や擬態能力と、エイリアンコスチュームを纏っていた時のスパイダーマンと同じ力を持っている。ただ、ベースとなったエディがピーターより逞しいことも含め、パワーとタフネスはスパイダーマン以上。そして最も恐ろしい対スパイダーマンへのスキルとして、彼の生命線である全方位レーダー、スパイダーセンスを無効化することが出来る。スパイダーマンが蜘蛛なら、自分はスパイダーマンを刺す毒針。ヴェノムのこの言葉は、正しい。

 自称弱者の庇護者として、憎い怪物スパイダーマンと何度も戦い続けるヴェノムであったが、それら戦いと自分のせいで誕生した最凶の殺人鬼を止めるための共闘にて、ヴェノムはスパイダーマンが自分たちと同じ庇護者だと悟り、復讐心を捨てた。その後は、スパイダーマンのトモダチやサンフランシスコに居を移してのヒーローとしての活動。精神的に不安定になってのヒールターン等を繰り返すことになる。

スパイダーマン&ヴェノム

 共生体と共に生きていたエディだったが、元より抱えていた持病のガンが悪化。エディは共生体との別れを選び、分離した共生体をオークションで売り払う。共生体を買い取ったギャングの親分は、息子に共生体をプレゼントし、新たなヴェノムにするが、共生体は精神的に強かったピーターや肉体的に強かったエディと違い、何ら強いところのない少年との共生を拒否。ビルの谷間を飛んでる時に分離という、えらいタイミングで息子から離れ、新たな宿主を探し始めた。なお当たり前の話ですが、親分の息子は転落死しました。ヒドい。
 共生体が新たに見出した宿主は、エディを軽く凌駕するほどに、スパイダーマンへの憎悪を抱いた男だった。男の名は、マック・ガーガン。鉄の尾とスパイダーマンの倍以上の攻撃力を持つと言われているヴィラン。スコーピオンだった。

スコーピオン

 スコーピオンは共生体を受け入れ、新たなヴェノムに。エディ以上にタガがなく、凶悪な本性を持つスコーピオンと融合した結果、ヴェノムは更に危険な怪物となる。スパイダーマンが対ヴェノム相手に積み上げた戦術も、新たな宿主の冷酷さにより、ほぼ無意味に。そのまま食人衝動まで得てしまったヴェノムは凶暴性も身体も肥大化。もはや、誰にも手に負えない存在と化した。

ヴェノム(マック・ガーガン)

 ヴェノムが囚人部隊サンダーボルツやノーマン・オズボーン(グリーン・ゴブリン)が作り上げたダークアベンジャーズに参加することで、国家もヴェノムの能力を知るが、精神を歪める中毒性や何でも喰らう凶暴性は許容できる物ではなかった。国家のためになる、正義のヴェノムを創るための極秘プロジェクトが開始され、やがて軍は実用化に成功。マック・ガーガンがスコーピオンに戻り、空席となっていたヴェノムの座に座る被験者として選ばれたのは、スパイダーマン、ピーター・パーカーの同級生であるフラッシュ・トンプソンだった。
 フラッシュは高校時代、ピーターをいじめていたが、スパイダーマンとなったピーターが活躍する姿を見て徐々に改心。スパイダーマンの正体を知らぬまま、彼と同じ善人でありヒーロー足りえる男になろうと努めてきた。フラッシュは軍に志願し、戦場に赴くが、仲間を守ろうとした結果、両足を失ってしまう。帰国し失意のどん底に居たフラッシュに軍が声をかけたのは、そんな時だった。ヴェノム変身時という条件はあるが、両足が一時的にでも戻り、なおかつ憧れていたスパイダーマンのようなヒーローになれる。フラッシュは以来を承諾、エージェント・ヴェノムはこうして誕生した。

ヴェノム(フラッシュ・トンプソン)

 他のヴェノムに比べ、抑制された共生体により外見はスマート。ヴェノムの能力だけでなく、フラッシュが軍隊で身につけた格闘術や銃火器を駆使して戦う。フラッシュの精神力は高く、共生体を押さえつけるだけの意志の強さを持っていた。スパイダーマンに憧れた男の強さは、スパイダーマンの行いが無駄でなかった事の証明といえよう。ただ、スパイダーマン本人も蝕むだけの暴力性を持つ共生体。フラッシュの精神も蝕まれ、時折暴走とも言える姿を見せるようになる。ただ、歴代のヴェノムに比べればまだ安定しているし、新生されたヒーローチームサンダーボルツにスカウトされた事を切っ掛けに少しマシになっている。サンダーボルツの他のメンバーが、パニッシャーやデッドプールと言った「ヴェノムの狂気? なにそれ美味しいの?」レベルでアレな方々なので、あまりヴェノムが暴れたままだと話崩壊するのでしゃあない。

 朱き狂気カーネイジを始め、髪の如き触手を操るスクリーム、最大級のパワーを持つトキシンと、共生体より派生したキャラは枚挙にいとまがない。だがしかし、スパイダーマンのライバル、スパイダーマンキラーとして産まれたヴェノムは、忘れ得ぬ名である。

 最初のヴェノム、エディのその後についても少し記しておく。
 共生体と別れたエディ・ブロックはその後やせ細り、余命いくばくもないと思われていたが、奇跡と謳われる治療法により、回復。だがそ治療のせいで、エディの体内に僅かに残っていた共生体と免疫機能が融合してしまう。そのまま暮らしていたエディは、偶然ヴェノム(スコーピオン)と対峙。共生体はエディを覚えており、彼の元に戻ろうとする。これを切っ掛けに覚醒するエディ体内の、共生体への免疫機能を持つ細胞。こうしてエディは黒いヴェノムとは真逆の白い身体を持つ、対ヴェノム特化型生物アンチ・ヴェノムとして還って来た――。

アンチ・ベノム