Escape play of a wolverine

 極寒の雪原を、少女が歩いていた。吹きすさぶ風も冷気もものともせず、ただひたすらに、一直線に歩いて行く。寒い、冷たいを通り越した、痛い吹雪。それでも黒髪の少女は、構わず前へ前へと進んでいく。
 ふと、少女は足を止める。彼女の周りを、白い獣が取り囲んでいた。狼の群れが牙を剥き出しにして、わざわざこちらにやって来た獲物を待ち構えていた。
 狼の存在に気づいた少女は歩みを止め、逆にその鋭い瞳で狼を睨みつけた。狼以上に獣らしい目に見据えられ、群れの若い狼が自然と退いて行く。だが、ボスを始めとした歴戦の狼は耐え切り、包囲が瓦解するまでにはいかなかった。
 突如、空気が切り裂かれる。切り裂いたのは、爪。少女の手から出現した二本の鉄の爪が、狼を逆に威嚇していた。
「……やるかい?」
 脅しではなく、本気。彼女は獲物ではなく、同じ獣として狼達に立ち向かおうとしている。少女の強烈な殺気に当てられた瞬間、包囲は崩れ、狼は三々五々に散らばっていった。
「ふん。つまらない」
 勝者となった少女が、逃げる狼を追うことはなかった。
「てっきり、このまま追っていくのかと思った。あの人なら、そうしてるだろうしね」
 少女の後ろから出てきた、これまた別の少女。ピンク色の大きなゴーグルを上げ下げしながら、気安く語りかける。
「私は、そこまで獣じゃないから」
「確かにね。ローラは、臭くないから。オッサンでもなく動物でもなく、女の子の匂いがするもの」
「アンタと比べて、付き合いが長くないからね。逆に付き合いが長いだけあって……そっちは時折臭うよ、ジュビリー。ニオイが、移ってるんじゃない?」
「嘘!」
 クンクンと自分の身体を嗅ぎ始めるジュビリーを見て、ローラ、別名X-23が苦笑する。同じ東洋人の少女であり、超人種ミュータントである二人。X-MENにも名を連ねる二人は、きちんとした目的と行き着く手段を持って、この雪原を歩いていた。
「行こう。もうそろそろ、目的地だ」
 ローラが鼻をひくひくとさせ、雪原に残る僅かな臭いを嗅ぎ当てる。獣性だけでなく、獣以上の優れた嗅覚と直感を持つローラこそ、目的の物を探し当てる手段だった。
 しばらく歩く二人、やがて先行するローラの足が止まった。
「ここだね。アイツは、この先に居る」
「なるほどね」
 二人の目の前にある、白い壁。うず高く積もった雪が、行き先を覆い隠していた。ローラは爪で雪を削るものの、その壁はいかんせん厚かった。
 カリカリとネコの爪とぎのように雪を削るローラを、ジュビリーがどける。
「よかった。ここまでローラにおんぶにだっこだったからさ」
 ジュビリーの開いた両手の間で、火花が散る。虹色のカラフルな火花は、吹雪に負けずずっとスパークし続けていた。
「最後ぐらい、私の見せ場があってもいいよね!」
 弾ける火花が、熱気となり目の前一帯の雪を溶かす。ジュビリーの能力である、爆発性の火花の放出。威力ならば目眩ましから爆発まで、範囲ならば一人から集団まで、ジュビリーの火花には華麗な見た目以上の器用さがあった。
 雪が溶けた先に、ぽっかり空いた黒い穴。二人は警戒しつつ、目の前の洞窟に足を踏み入れる。灯り代わりの火花を出そうとするジュビリーを、ローラが止める。無言の抗議をするジュビリーに対し、ローラもまた無言で洞窟の先にある灯りを指し示した。
 音を立てず、灯りに向かって歩く二人。やがて、灯りの正体も明らかになる。
 煌々と燃えさかる焚き火。切り分けられ、串刺しとなった鳥肉が焼かれ、良い匂いを醸し出している。ちょうど良く焼けた一本を、焚き火の前に陣取る小柄で毛むくじゃらな男が、むしゃむしゃと食べていた。
「お前ら、来たのか」
 二人に背を向けているのに、男は誰が来たのか察していた。彼の鼻は、ローラ以上だ。
「ようやく見つけたよ、ローガン」
 ジュビリーが男の名を呼ぶ。
 ローガン。コードネームをウルヴァリン。X-MENの重鎮でありながら、アベンジャーズにも所属している、不老のミュータント。アダマンチウム製の爪に獣性、不死身の再生能力ヒーリングファクター。その闘志で、強力な相手や苛烈な戦場に挑み続けてきた、歴戦の勇士だ。
 ジュビリーは長い間、ウルヴァリンと共にあり、ローラはウルヴァリンの遺伝子を継いだ者。この二人の少女は、ウルヴァリンと縁深い二人でもあった。
「X-MENのみんなが、アンタを探している」
 ローラはウルヴァリンが逃げぬよう牽制しつつ、ウルヴァリンが追われていることを告げる。
「そうだろうな」
 仲間である筈の、ヒーローたちに追われている。そんな裏切りとしか思えない状況でも、ウルヴァリンは平然としていた。平然と、過酷に見える現状を受け入れている。
「でも、わたしたちが一番最初に見つけて、良かったよ」
 優しい笑みを浮かべるジュビリー。ローラとジュビリーも、大多数のX-MENと同じ、ウルヴァリンの追跡者だった。
「ああ。お前たちでよかったよ」
 ウルヴァリンは苦笑し、抵抗すること無く、二人が求めるものを捧げた――

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日々雑談~1912~

 管理者が「ズバットはマジでヤバい、アイツの走力マッハ7だ」とか言い出してから、なんとなく日本の特撮ヒーローのスペック調べてたけど、仮面ライダースーパー1はホントえれえコトになってるよなあ。まずスーパー1と言えば、5つの愛の腕ことファイブハンド。掛け声のみで瞬時にチェンジできる、各腕のスペックは以下の通りになっております。(Wikipediaより引用、各種資料で確認)

スーパーハンド:300トンの力を秘めた、変身時に通常装備している銀の腕。格闘戦に最も適している。

パワーハンド:50トンの物体の落下を受け止め、さらに投げ返す事ができる怪力を発する。色は赤。威力は500トンになる。

エレキハンド:3億ボルトのエレキ光線を発射する青い腕。連続発射も可能。

冷熱ハンド:右腕からは超高温火炎、左腕からは冷凍ガスを発射する緑色の腕。

レーダーハンド:腕に装着されたレーダーアイを射出し、半径10km以内の様子を調べることが出来る金の腕。音声指示によって特定の対象物のみをサーチさせることも可能。レーダーアイは小型ロケット弾としても使用可能。

 相当無茶なスペックですが、数値上のスペックを見る限り、これ多分、能力トガり気味なX-MENから、各能力が得意な人間連れてきても、かなり厳しいのでは。例えばパワー担当のコロッサスはおそらく100トン前後が腕力の限界と言われてますし、電撃担当のストームやサージ(アシダ・ノリコ)は3億ボルトいけそうですが、落雷にしても3億ボルトはかなりの電圧。冷熱能力に至っては、一人で冷気と炎を同時に使えるミュータントがえらく珍しく。ミュータントでないヤツ入れても、複数人居るか居ないかの域。レーダーハンドの索敵能力は、まずケーブルに未来的な道具を持ってこさせるか、類まれなる発明能力を持つフォージに作らせるか。
 しかもここにさらなるスペック、重力制御装置を使用した上でのキック力:無限とジャンプ力:無限がかかってくるわけで。環境への適応能力も高いし、ハルクやスーパーマン持ってきても、無限な以上、渡り合えるよなあ。そして更に、本人がチート拳法な赤心少林拳を習得。主人公補正無かったらディケイドもミンチだったし、高スペックによるメンテナンスへの依存を描いた仮面ライダーSpiritsはこの上なく正しかったわ……。
 あと危険なのは、更なる出力を持つ上に、マグニートーじみたことも出来るストロンガーと、全てを凌駕するてつを仮面ライダーブラックRX辺りか。スペックだけで言うなら、昭和ライダーの無茶苦茶っぷりはパねエ。アイツら、加速装置がデフォみたいなもんだもんな。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~最終回(前)~

 ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ、見事完結!
 最終回より少し日が開いてしまいましたが、改めてもう一度、第一話というか放映前から最終話まで振り返ってみようかと! 最終回記念というのもありますが、次があること、続きへの期待も込めて!

キャラデザインの変更
声優の変更
よく分からないアイテムの追加
オリキャラ投入
主要スタッフに良く分からない謎の人

 改めてこう書いてみると、物凄い前提条件から始まってますよね、DW。原作付きアニメにおいて、三つ揃えば大三元、五つ揃ってゴレンジャーな危うい臭いがプンプンと。事前に不安視していた人の気持ちも、分からないでもなく。最も、自分の場合はここを気にせず、「おいおい、日本産のアメコミアニメが地上波なんて面白すぎるじゃねえか!」とドキワクしておりましたが。
 そして一話というワケですが……上記に上げたもの、全て杞憂でした。キャラのデザインは、従来の路線から逸脱すること無く世界観に適合した物に。声優の変更も実力派の方々が集まった結果、違和感なしかつ別の魅力ある物に。オリキャラであるアキラ達は、ヒーローとパートナーの物語を書く上で欠かせない物に。謎の覆面脚本家ことキング・リュウさんの実力は、謎がどうでも良くなるぐらいの高さ。更に他のスタッフの皆様も、実直に才能を発揮。
 感想コラムを毎週書いていける作品だ!との決断は、第一話より。かなり早い段階での決断でした。義務感より何より、まず自分の感性に合う、面白えなあコレ!という気持ちがないと、継続して感想を書くのは難しい物でして。根性や義務感でフォロー出来ないこともないけど、こういうのは楽しんでナンボですよ。

 ラフト刑務所脱獄事件からディスク封印、パートナーとヒーローによるアベンジャーズ再集結までが1~9話。序盤にやらなければいけない事、各キャラクターの紹介や世界観の確立回です。最終回への伏線となるシルバー・サムライやジェットローラーブレードの登場、エド&ハルクやジェシカ&ワスプと各キャラクターの掘り下げを行ったのが10話から15話も、この流れに加えてもいいかも。
 この時期、多かったのは、展開の遅さへの懐疑や批判ですかね。まあ、今更それぐらい分かっているよ!という感覚は分からんでもないのですが……それはおそらく、マニアの感覚かなと。分かっているから、分かっていることへの描写や説明をかったるく感じてしまったんじゃないかと。
 常人であるキャプテン・アメリカには、その不足を補うだけの正義の意志がある。それはキャプテン・アメリカの映画を始めとした作品を見た人間だから分かっていることであって、世間一般のイメージとしては、盾を武器にしているヒーローと言うふんわりしたものなんじゃないかと思います。そんなキャップの強さは、巨体という一見で分かるハルクとの対決。第七話のハルク対キャプテンにてじっくりと書かれました。
 マニア層が集まる深夜や有料放送ならともかく夕方の地上波ともなれば、知っている人間に甘えるのではなく、アベンジャーズを知らない視聴者へ、この作品を追っているだけでキャラクターを理解できる完結性と丁寧さが必要な物かなと。
 ただゆっくり説明するだけでなく、地上波映画レギュラー枠であり認知度人気共に高いスパイダーマンを誘い役として用意することで誰でも見れて誰でも分かる作品の土台作りを着々と進めていたのが、この1話から19話までの時期かと。更にアベンジャーズだけでなく、パートナーであるアキラ達がどういうキャラなのかも掘り下げられたわけで。ヒーローとパートナーの物語である以上、ここを疎かにしちゃアカンよね。居るだけにしてしまったら、放送前の不安通りないらないオリキャラになってしまうわけで。

 16話から22話がウルヴァリン登場から始まる通称X-MEN編。ここで一度ロキとの決着もついています。一人の少女アシダ・ノリコがミュータントに覚醒、彼女の話を主軸に、ディスクウォーズ世界におけるX-MENとミュータントの物語が描かれました。X-MENも映画や過去のアニメで認知度が高い、アイアンマンやスパイダーマンと並ぶ誘い役になってました。
 只の少女が能力に目覚め戸惑う。ミュータントになることをアリアリと描いた、X-MENの入門編としても優れていたシリーズでした。ディスクウォーズがそれぞれの映画や他作品への入り口となる。こういう見方や効果も、きっとあった筈。互いが支えあって大きくなっていくのが、メディアミックスの花よ!
 ただ悩み陰鬱な展開にするのではなく、マグニートーの参戦やサイクロップスの戦闘、アシダ・ノリコにミュータントXのような初顔に近いX-MENキャラの新鮮や、アメリカンバカルテットレッキングクルーによる笑いと、緩急がしっかりついていたのも印象的です。
 ロキとの決戦も、純粋に熱く愉快に。ここでの、アカツキ博士と再開していながらも救えなかった結末。未だアキラ達に力が足りないこと、まだ先がある事をひしひしと感じさせてくれました。

 23話でレッド・スカル登場、これより先はレッド・スカル編……と言いたいところですが、本人も言っていた通り、この時点ではまだ準備段階。まず焦点となるのは、24話と25話のガーディアンズ・オブ・ギャラクシー回! 映画ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと連動しての回。前述した、互いが支えあうことで大きくなっていくメディアミックスの花が、実に大きく花開いた回じゃないかと。映画ガーディアンズもまた、日本にとって未知すぎるヒーロー達ですからね。なお余談ですが、1000以上のキャラクターが載っているマーベル・キャラクター事典。ディスクウォーズに出演したキャラはほぼ全て載っているのですが、数少ない個別項目未記載のキャラがスターロード、グルート、ロケットラクーンだったりします。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーも載っているのは別編成のチーム。映画ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーの新進気鋭さと、認知度の低いメンツで映画を作る大博打さが見て取れます。
 話を戻すとして、ガーディアンズの個性とロナンの強さ、映画への期待高まる前後編でした。さっきも言った通り、資料描写の財産は少なめなチーム。映画との連動、ディスクウォーズスタッフの皆さんは、かなり大変だったのではないかと。アニメの放映と映画の公開がほぼ同時となると、どう考えても作業につぎ込める時間が少なめでしょうしね……。

 26話総集編の後は、禁断のヒーローことデッドプール回! 日本よ! これがデッドプールだ! キング・リュウさんも「こりゃダメだろうなあ」と思ってチェック出したら通ってしまった伝説回! 子安ボイスのデッドプールの面白さ、そして後にカッコ良さを我々は知ることになる!
 ネットのデッドプールフィーバーがどれだけ凄かったのかは、ニコニコ動画での再生回数(無料放送継続な第一話と並ぶ再生数10万突破)を見れば分かりますが……当サイト目線での話を一つ。ウチのサイトはまあ大体1日1000ヒット前後なんですが、デッドプール回である27話から一ヶ月くらいは二倍の1日2000ヒットになっていました。当日のヒット数も確かに高かったのですが、平均がしばらく上がるって中々無いですね。今現在製作中の映画デッドプールの話題が盛り上がっている状況、その予兆はこの時にあったと言っても過言ではなく。
 しかしデッドプールも、映画X-MENにちょびっと出ていたものの、露出自体は少なめの日本にとってほぼ未知なヒーロー。ディスクウォーズに出ることで、タレントもセレブも野球選手も首相も、そして子供達もデッドプールのファンになったのではないでしょうか。まあ、映画デッドプールは年齢制限かける予定らしいけどな! 子供見れないヨ!?

 全50話の内、半分ぐらいまで来たので、今日はここまで。レッド・スカル編やウルトロン編、ローニン登場に最終回と言った後半部に関しては後日書く後編で。いやしかし、この時点で結構な豪華絢爛よね。
 

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その23~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第23話。
 新展開開始! ハッピーエンドは覆すためにある!

 アキラもヒカルも、ディスクウォーズの子どもたちには、強さが有りますね。というか、ラフト刑務所での運命のあの日からここまでで、強さを手に入れたのでしょう。掴んでいた手から離れた父、過酷な運命を受け入れた少女。どちらも別れるには、悲痛な物しかなく。
いや。死別ではなく行方不明、ノリコと共に有るX-MENと、僅かな希望は残ってましたね。問題があるとしたら、そんな希望をも塗りつぶしかねない、絶望が現れた事で。

 「新たなる赤い恐怖」のタイトルとバチ魂参戦の情報から、なんとなくロキの次の大敵は予想されていましたが……。来ましたね、レッドスカル。神の次の敵は人、こう書いてみると、ひょっとしてスケールダウン?と感じますが、おそらく本日のディスクウォーズを見た方で、こう感じた方は0に等しいかと。
 ロキが虚言や幻覚を持って人を操るとすれば、レッドスカルは恐怖や秩序を持って人を従わせる。ナチズムの申し子、ヒトラーの理想を超えて育ち、数々の権謀術数を持って、世界とキャプテン・アメリカとアベンジャーズに挑みつづけて来た男。元々、ヒトラーが目をつけた理由も、レッドスカルの持つ人類への憎悪、そのシンパシーから。つまり、虚言を使う立場であるロキとは違い、レッドスカルは恐怖そのもの。神をも越えかねぬ、怪物です。ディスクウォーズにおいても、アベンジャーズの戦慄がレッドスカルの持つ悪意を証明しているかと。どう見ても「ロキよりやべえ」としか思えないリアクションな上に、実際にレッドスカルの完勝。バイオコードを奪われたロキの手下連も、おそらく刑務所の方がマシレベルの扱いを受けているだろうし、もうロキのドヤ顔も彼らの颯爽さも、OPでしか見れそうにないな……。

 レギュラーヴィラン勢、大幅パワーアップ! 名無しの悪党集団改め、マスターズ・オブ・イーヴル!
 そのうちちゃんと紹介する機会がありそうなので軽く触れるだけにしておきますが、原作ではアベンジャーズを倒すために生まれた、ヴィランチームです。様々なヴィランにより何度も創設されることになるチームですが、初めて作ったのはバロン・ジモ(初代)。複数回結成したのもバロン・ジモ(二代目)。ディスクウォーズで彼が高らかに「マスターズ・オブ・イーヴル」を名乗ったのも、その縁深さからでしょう。来歴を紐解くと、第五期はドクター・オクトパスが結成しガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーと対決、第六期は別路線のチームであるサンダーボルツに変貌と、わりと重要ポジションかつ、どうしてこうなった風味もあるチームであり。第五期は、ホント異種格闘技戦レベルの対決だよなあ……。

 今日の紹介は、日本のスーパーヒーロー、日輪戦士たるミュータントです。某ダイターンっぽい日輪の輝きについては、既にバチ魂のスキル名「日輪の輝き」として登場していたり。ミスティークかクロスボーンズにしようかとも悩みましたが、ミスティークは映画出演の影響もあり、世間に流れている情報も多めなので。クロスボーンズはレッドスカルと共にまた出そうですし、自分の今のクロスボーンズに関する最後の記憶って「目先の金に執着した結果、白ブリーフ一枚だけの格好で街中で暴れてボコられて、そのまま連行される」という、一回塗り替えないと大惨事な印象でして。ちくしょう、デッドプール誌メインで読んでる人間は、これだから駄目なんだよ!

サンファイアー

サンファイアー

※SunFireは作品資料により読み方にブレ(例:バチ魂ではサンファイア)があるのですが、今回はアニメ準拠のサンファイアーで統一します。

 本名は吉田四郎。日本産まれの、日本人ミュータント。四郎を妊娠していた母は、『第二次世界大戦末期、広島で被曝してしまい』放射線障害が元で亡くなる。最近は時系列的に無理があるのか、『』で語った部分はスルー気味ではあるが、放射線とミュータントの関連性を暗に示す存在である事はあまり変わらない。他のミュータントとしては、ビーストも父親が原子力発電所勤務で強い放射線を浴びたという経緯が描かれている。
 父親の三郎は親米気質の外交官であり日米をせわしなく駆け回っていたため、四郎の養育は叔父のトモに任されていたものの……彼は強烈な反米主義のテロリストであった。母親の死、叔父の思想、結果四郎は、トモと同じ反米主義者へとなってしまう。やがて叔父と共に、超人テロリスト、サンファイアーとしてアメリカの国際連合本部を襲撃。駆けつけたX-MENと戦っている最中、外交官から日本の国連大使となっていた三郎がサンファイアーを説得するが、業を煮やしたトモが三郎を殺害。激昂したサンファイアーにより叔父も殺され、四郎は全てを失うこととなった。

サンファイアーVSX-MEN

 日本に帰国させられたサンファイアーが、己の過ちや深海の王サブマリナー・ネイモアやアイアンマンとの出会いにより心揺さぶられる中、プロフェッサーXからの思いもよらぬ連絡が届く。生きてる島クラコアに囚われたX-MENを救うためのメンバーとして招集されたのだ。この時、X-MENに全世界より招集されたのは、ウルヴァリン、ストーム、ナイトクローラー、コロッサスと、後にX-MENの中核となるメンバーばかり。

ジャイアントサイズ X-MEN

 クラコア撃破後、救出メンバーはX-MENにそのまま残ることになるが、サンファイアーだけは日本のヒーローとなるために離脱してしまった。サンファイアーの熱くなりやすい直情的な性格は、チームとしての連携を主にするX-MENに向かなかったというのもある。
 元より、吉田家は日本に根を張る巨大組織矢志田一家の親族であり、シルバー・サムライの従兄弟でもある。矢志田の一員として、日本のヒーローとして、日本に結成されたヒーローチーム“ビッグヒーロー6”を導く者として、アメリカのヒーローとも共闘しつつ日本で活動を続けるが、両足切断の重傷や能力喪失と言った七難八苦に襲われてしまう。

サンファイアー&ビッグヒーロー6

 隠遁生活に入ったサンファイアーに声をかけたのは、X-MENの大敵であるアポカリプス。アポカリプスにより両足と能力を取り戻し、新コスチュームとなったサンファイアーだが、黙示録の四騎士“飢餓”に仕立てあげられてしまう。なおこの、ディスクウォーズの格好にも似たコスチュームの初出は、アポカリプスが支配した世界を書くエイジ・オブ・アポカリプス(AOA)。なので別名、AOA版とも呼ばれている。邦訳されたX-MEN:メサイア・コンプレックスには、このコスチュームで参加している。

サンファイアーAOA版

 やがて自分のアイデンティティが揺らいできたサンファイアーは失踪してしまうが、ウルヴァリンが発見、悩む彼をチームに誘うこととなる。誘ったのはX-MENではなく、なんとアベンジャーズ。ミュータントとの融和の為アベンジャーズに同じく誘われたローグやハボックと共に、旧コスチュームで参加(注:現在、戦いの影響により再びAOA版コスチュームに)。アベンジャーズとして活動しつつ、日本のヒーローとしての活動も再開している。

サンファイアー(アベンジャーズ)

 能力は、太陽エネルギーの吸収による、熱や炎の放射。放射できる熱は100万度と言われており、超高熱の気流を作ることによる飛行速度は時速250キロ少々、身体に展開されたフォースフィルドは銃弾も溶かすか弾くことが出来、ディスクウォーズでも見せたように熱をサーモグラフィーのように探知しての追跡も可能。出来る事、やれる事のイメージとしては、ファンタスティック・フォーのヒューマン・トーチがかなり近い。
 実際、この性能はミュータントとしてもかなりの物であり、アポカリプス選出の12人の強力なミュータント“トゥエルブ”の中に、なんと入っている。マグニートーやプロフェッサーXやジーン・グレイと共に入っていることから、評価の高さが伺える。
 強力な能力を持つ一方、サンファイアーには明確な弱点、前述した熱くなりやすい性格がある。熱い性格自体は能力と相性が良いのだが、熱くなりすぎてオーバーヒートした結果の自爆を何度かやってしまっている。能力がピーキー気味なミュータントの中でも、安全弁の不安定さではワーストに入りかねない。これだと強力な能力が、逆に足を引っ張ってしまっている。
 ディスクウォーズではあっさり敗れてしまい、ビッグヒーロー6が出る映画ベイマックスへの出演の可能性は低めと、若干逆風が吹いてはいるが、日本のヒーローとして是非とも応援していきたいキャラクターだ。

ディスクウォーズ:アベンジャーズなコラム~その22~

 ディスクウォーズ:アベンジャーズ第22話!
 陰謀の神ロキVSアベンジャーズ。決戦! 決着! そして……。

 シリーズの区切りとも言える、ロキとの最終決戦。作画、脚本、演技、全てに力の入った、決戦にふさわしい回でした。ロキVSアイアンマンの高機動戦闘、物語の発端であるラフト刑務所やハルク暴走も練り込んだストーリー、溜めに溜めての全ての誇りや勇気を叫びに乗せるような「アベンジャーズ・アッセンブル!」。いやあ、いいもん見たなと。トニーのスーパー悪口タイムに、子どもたちの覚醒に、エドとハルクの絆、この喜怒哀楽のてんこ盛りが一話にぎっしりと。ああ、いいもん見たなあと!
 もし数年前にデッドプールに出会わず自分の中のアメコミというものが薄かったとしても、きっと90年代の思い出から見始め、最終的にこの最終決戦で「やべえ! アメコミ面白え!」になっていたと思います。その場合はおそらく、今以上に第一話からの丁寧な土台作りに感謝していたかと。
堂々と、面白い!と言い切れる作品に出会えるのは、とても幸せなことです。

 あとアレヒドイですよね、ロキのハルクへの囁き。
「アイアンマンは、お前を騙して誰もいない死の惑星に追放しようとしているのだ」
 全くもって、ひどいデマです。アイアンマンがそんな事する筈ないだろうに! どこかの別世界のアイアンマンがやったのは「ハルクを騙して、自然あふれる平和な惑星に追放しようとした」のであって、死の惑星にハルクが流れ着いたのは事故ですよ! 事故! この事故の結果は、ワールド・ウォー・ハルクで。何度も紹介していると思っても、手は緩めず!
一応、もしもの話を書くWhat If?での「ハルクがもし当初の予定通り自然あふれる平和な惑星にたどり着いていたら?」では、最終的に生まれ始めた知的生物の守護者として幸せに生きましたという結末にはなっています。この場合、結果オーライにはなっていたでしょうが……やっぱ追放はダメだわ。
 マニア心をくすぐりつつ、元ネタがわからぬ人に不自然さを感じさせず、物語の展開に自然に組み込む。非常に、勉強になります。

 数で負けている+1人は新人ミュータント。この圧倒的不利な状況を覆し、DWレギュラーヴィラン勢を鎮圧したX-MEN。アボミネーションやグラビトンと、下馬評では有利が取れるであろうヴィランもいましたが……。X-MENって、基本、チームとしての連携や集団戦の訓練受けてますからね。ストームもアイスマンもコロッサスも、小隊長レベル以上の指揮力は持っており。個々ではともかくとして、X-MENと寄せ集めヴィランチームで下馬評作ったら、X-MEN圧倒的有利よね。

 そしてロキ退場により、次回から新展開。赤い恐怖が、新たなる大敵が、暗躍を始める! 予告の断片とバチ魂でのデザインを照らし合わせるに、おそらく赤き恐怖の正体はあの男だとは思いますが。だとしたら、笑いの神虚言の神との戦い以上の、熾烈な試練が待ち受けているはず。今後の展開からも目が離せません。
……確かに赤いけど、赤い恐怖=デッドプールでは無いと思うヨ!?

 前半もここで(多分)一区切り……ということで、放送開始の第1話から現在最新の22話まで、ディスクウォーズに出たマーベルキャラを一挙紹介! 以前解説記事を書いたキャラに関しては、キャラ名の所に、リンクを張っておきますので。しかし多い、バチ魂に出ているキャラ(例:パワーマン、サンファイア、ダイナ・ソアー)も含めると、更に多い。話数よりもキャラ数の方が多い上に、アニメではほぼ全てのキャラに見せ場が。まさに多彩の豪華絢爛よ!

注:ディスクウォーズ=DWと以下省略しております。

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