GotG小話:がんばれ テイザーフェイスくん

 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックスにて登場した新たなヴィラン“テイザー・フェイス”。テイザー銃で焼けた顔をあえて恐怖の象徴としてアピールするためテイザーフェイスと名乗ると、微妙にズレたところが笑いを誘うラヴェジャーズの反逆者。映画観に行った人は鑑賞後テイザー・フェイスwwwと草を生やすのは必至という、ある意味MCUでトップクラスに可哀想なオッサンです。アレだ、どっかのスペースアライグマのせいだ。

 そんなテイザーフェイスですが、ちゃんとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのコミックスに登場しているキャラの一人です。コミックスでも彼はヴィランとして、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとヨンドゥの前に立ちふさがりました。でもその構図は、映画とは大きく違います。違うのは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのあり方とメンバー、ヨンドゥの立ち位置、そしてテイザーフェイスの出自と外見と能力。いったい、映画化に際して彼らはどう変わったのか。もっとマシな紐解き方もあるんじゃないかなと自分を疑いつつ、テイザーフェイスからその変化を紐解いてみましょう。

 ここから先は、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックスのネタバレ注意です。

 

 

 

 

 コミックスにおけるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは、1969年に刊行された『マーベル・スーパーヒーローズ』の#18にて結成。太陽系で暴れまわっていた凶悪な宇宙種族バドゥーンを倒すために集った彼らは、バドゥーンの撃退に成功しました。そして何より、映画のガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと違うのは……これは、アベンジャーズもX-MENもファンタスティック・フォーもいない、未来の話。彼らの初結成は、はるか未来の31世紀でのことでした。正確な扱いとしては、彼らの活動域は平行世界Earth-691となってます。コミックスの正史世界はEarth-616なので、時間だけでなく世界線も違うということですね。

 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは、時間と次元を超え現代にも来訪。現代のヒーローであるアベンジャーズと手を結び、強大な敵との戦いも経験しました。そんな彼らに意思を共とするヒーローと認められたのが、映画の編成にも近い、スターロード率いる現代の、Earth-616のガーディアンズ・オブ・ギャラクシーです。

 なので、スターロードやロケットのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと元祖ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは、キャラクターの系譜的にはほぼ別チームです。ここらへん、創設メンバーや初期重要メンバーであるアイアンマンやキャプテン・アメリカ当人の所属やその影響が強いアベンジャーズとは少し違います。

 なお、元祖ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーを上げていきますと、映画でシルベスター・スタローンが演じたスターホーク(スタカー)に全身クリスタルのマルティネックスに巨躯のチャーリー27……そしてヨンドゥ。要は、映画におけるラヴェジャーズ本隊の皆様こそ、実写化された元祖ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーです。ラヴェジャーズ本隊に属していたキャラクターのモチーフは、元祖ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーが大半です。なんというか、平成ライダーを先に映像化して、昭和ライダーを後から持ってくる。そんな超荒業です。いや、結果的に荒くないな。彼ら、後出しながらも歴戦の勇士オーラを纏って馴染んでたし。

 そしてテイザーフェイスですが、コミックスでの彼は元祖ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと戦った未来のヴィランです。元祖ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーにヨンドゥも居ることを踏まえれば、ヨンドゥとの対立はコミックス通りではあります。テイザーフェイスは資源を求め全宇宙で暴れまわるスペース蛮族の一員。一族全員が強力なアーマーで身を固めており、科学性と狂暴性を両立させた部族です。

 元々、彼らのアーマーは遠い彼方から漂着した謎のロケットから回収し量産化したものです。彼らはロケットの持ち主を、自らに文明と力を与えてくれた神と崇め、部族名や母星を神の名に改めることとしました。偶然にもテイザーフェイスのアーマーは、神が纏ってたオリジナルのアーマーに近いカラーリングをしています。宇宙を恐怖で震わせ、英雄たるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの存在も恐れぬ、最悪の蛮族。その名は、“スターク”……!

 またトニーのヤツ、やらかしやがったぜ!?となる案件に思えますが、そこはちょっと待って欲しい。Earth-691は、簡単に言うとSF色の強い世界で、1901年には、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』ほぼそのままな、宇宙人の侵略が発生。地球環境の破壊やディストピア的な社会構造が加速していき、あまりに激しい虐殺に耐えかねたミュータントが地球から脱出する事件も起こっております。

 正史世界より苛烈なこの世界において、アイアンマンとして活動していた※アンソニー・スタークは、侵略者との戦いで死亡。追い詰められた火星の人々をアーマーやそのテクノロジーで救うためというのが、ロケットを飛ばした理由でした。人を救う力が、人を傷つける相手に渡ってしまったのは、純然たる事故です。
※トニーの本名は元々、アンソニー・エドワード・スターク。Earth-691ではアンソニー名義で活動していた模様。

 さて、アイアンマンの力だけを受け継ぎ、その正義の意志は全く受け継がなかったテイザーフェイスは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに敗北。やがて自らの身体に強化改造を施し、新たに“オーバーキル”(Overkill)と名乗ることとなります。この展開を考慮するに、映画で散ったテイザーフェイスが、続編で復活する可能性は0とは言えないでしょう……

ゴミパンダ「オーバーキル!? 今度は毎朝鏡の前で、今日も1日殺し過ぎちゃうぞい!なんてやってんのお!?www だいたい、殺されすぎちゃったのは、お前じゃんwww いやスゴいよアンタ。俺、テイザーフェイスほど笑える名前は無いと思ってたもの。ハードルwww 易々と超えてくるとかwww アンタ、マジでwww 大天才wwwwwww」