仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル 感想

 仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットルを観てきました。いつもだったら、冬コミ入稿→映画館という流れなのですが、都心の映画館も児童向け映画の大人用レイトショーをやってくれている映画館も、今回はアイカツ一色に。ライダー同士、昭和と平成で争ってる場合じゃねえぜ! 相手は、昭和的な特訓を乗り越えてくる平成アイドルだ!
 でも真面目な話、ここ数年定位置を保っていたライダーの枠を貰っている辺り、アイカツというか近年のアイドルアニメの勢いは凄いですね。

 物語の中間点&終わった物語の続きとなっているムービー大戦。ドライブはともかく、鎧武は「主人公、神になる」の流れで歴代ライダー屈指の終わり方をしており、続きを、葛葉紘汰の物語を作るのは無理なんじゃと思っていましたが、蓋を開けてみれば、全くの杞憂だったことが判明。万能たる神の鎧武ではなく、仮面ライダー鎧武が戦線に。鎧武編の大半はミッチ&貴虎の呉島兄弟に譲ることとなりましたが、ムービー大戦パートでは全力全開紘汰さん。今作は脚本家が複数いるとは思えないぐらい上手くつないでますけど、ムービー大戦での紘汰さんの知能指数、泊さん巻き込む勢いで落ちてますよね!? 思わぬ参戦、戒斗さんも別ベクトルで困った人だし、そりゃラスボスも「コイツら、理解できねえ!」って頭抱えるよ! 思うに、最初から神なるコウタ=サンでなくラスボスも困る素の紘汰さんで挑んでいたら、この映画、上映10分で終わってたんじゃ……。

 鎧武編は、呉島兄弟が仮面ライダー、街を守る者になろうとする物語。全宇宙の同一化を図る機械生命体メガ・ヘクスによる沢芽市侵略。神たる力を持つ紘汰をも倒したメガ・ヘクスに、過去の自分を悔いる、呉島兄弟が立ち向かう。先ほど終わった物語としての話をしましたが、そもそもよく続きが作れたな!?というのは鎧武最終回の邪武降臨のエピソードも同じ。そんなミッチの最期を描いた最終回を更に深めたのが、今作。そもそも、斬月&龍玄のわだかまりなき共同戦線や、旧友たる貴虎とプロフェッサーの新たな邂逅と決着のような、TV版で撮り切れなかったり観たかったりしたシーンを存分に入れてくれた時点でありがてえっすよ! メカ戦極凌馬、反則やネタに見せかけて、すっげえ重要ですよ。むしろ、この人がメカで復活して許されるキャラでよかった!

 ドライブ編は、普段の刑事物とは毛色の違う大事件、怪盗アルティメット・ルパンとの対決! アルセーヌではなくアルティメット、そして仮面ライダールパンに変身。こいつぁすげえルパンだぜ! 怪盗である以上、ルパンは盗む物。ルパンの狙いは何か? 謎の怪盗ルパンの正体は? 数々の疑問が重石となり、泊と真実の一端を知るベルトさんに。やがて訪れる悲劇、泊は刑事として、仮面ライダードライブとして、ルパンの謎を解き、重石を打ち払うことが出来るのか! ええ、敵はいつもと違う怪盗とはいえ、普通のドライブです。いつもどおりの、毎朝日曜朝のドライブまんまです。これ別に、ダメ出ししているわけではなく、普段の物を劇場版に合わせてパワーアップさせたということで。そしてパラレルのような、本編と隔離された特別編ではなく、本編の一部と成り得る物語。普段を貫きつつ、お祭り色の強いムービー大戦に適応しているって、何気に凄いですよコレ。

 鎧武とドライブの物語、二人のライダーの二つの物語が、二人のライダーによる一つの物語に! 最後に待ち構えるは、当然ムービー大戦編! 何言ってもネタバレになるので後に回しますが、果物武者と四輪ライダー、異色のライダーが共に戦い、見たことのない光景を観客にバーン!と。いやー、今回、互いを貫いた上でバランス良しと、歴代トップクラスに加えてもいいライダー映画です。今までやってきたこと、普段の延長線上として見るなら、トップクラスかもしれません。

というわけで、以下見に行った人向け、ネタバレなお話です。

 

 

 

 

 

 

 メガ・ヘクスの語る効率を否定する、効率的な道を良しとしてきたミッチと貴虎。効率による判断や切り捨てで道を踏み外したのを、効率なんてクソくらえ!な紘汰の影響を受けて変わった二人。ホントこの話は、変身の物語ですよね……。

 メガ・ヘクスの個にして全は、先週ディスクウォーズ:アベンジャーズに出たウルトロンに限りなく近く。始まりの男がこうも簡単にではなく、始まりの男の前に何度も敗れての地球到達だったのでしょう。確認できる範囲でも、数度決め技受けてますし。でも、種族として生き残る手段としては、メガ・ヘクスのやり方、決して悪くないよなあ。ただ、全てを見失って「生き残る」ことだけに先鋭化してしまっただけで。メガ・ヘクスには、きっとまっすぐな馬鹿野郎が居なかった。

 究極の宝である不老を手に入れた人間が欲するのは名誉。アルティメット・ルパン、ゾルーク・東郷の言葉は老いでは片付けられないものがあります。金が有り余った人間が名誉を欲し政治家になる。こんな流れも、実際にありうるものです。生々しい……。

 三条陸先生の脚本は、完成度の高さのような纏まりを評する事が多いですが、最近、三条先生の強さは初期段階で終着点が見えていること、ヒーローに確固たるイメージが有るためブレないことなんだと思い始めてきました。あとは、脚本に玩具を取り入れるのが上手いので、みんなハッピーになりやすいというか。

 さっきも触れたけど、紘汰さん、ムービー大戦編になって素に戻ったというか知能指数落ちてなかろうか。始まりのコウタ=サンなら、インベスが文明に目覚めた結果「なあミッチ、三権分立ってなんだ?」って聞きに来るぐらいのイメージなのに! ムービー大戦の紘汰さんは、政党の辺りでギブしそうだよ! あと紘汰さん、先輩でなまじバイク乗ってて交通ルール分かっている自信があってうるさいって、車の助手席に乗せたくない人ナンバー・ワンすぎる。

 祟りじゃ! 鎮守様の祟じゃ! こんな感じの、戒斗復活。祟を受けるのは、メガ・ヘクス色々考えているように見えるけど、根っこは紘汰さんと同じく、効率よりもそれ以外のものを重視する人、戒斗さん。メガ・ヘクスも、シド辺りを再生させときゃよかったのに。物事の都合よりも己の美学を優先し、思うがままに力をふるい、悔いなく人知れず力尽きる姿。ああ、バロンだ。戒斗だ……。

 まさかのロイミュード、ライダー側につく! 目的が反するのは分かっていたとはいえ、こうして悪の組織が立ちまわるのは珍しい。主義主張も絶対反するのに一緒くたになるのも不自然ですしね。大ショッカーの未確認とアンノウンとか。

 ドライブは、途中の話だけあって、入場特典のDVD含め、今後の伏線が大量に含まれてましたね。筆頭は、仮面ライダーマッハ。バイク乗りとしてのライダーを突き詰めたデザイン、ナイスですね! しかし風にたなびくマフラー、ドライブの刑事というイメージと合いまり、なんとなくWにおけるダブルライダーを思い出しますね。やりやすい作品同士だとは思うけど、クロスオーバーあるのかなあ。