天の道を往き、総てを司る男

その名は天道総司。

というわけで、仮面ライダーカブトが今日最終回を迎えました。いやー駆け足の最終回だった。クウガ以降、平成ライダーはなにか規約があるのでは?と疑いたくなるくらいに最終回が駆け足。久々に大団円だったのはめでたいが。

しかし地獄兄弟ってなんのために復活したんだろう。前回のアレで終わりだとしたら、光があたらなすぎる以前にどうでもよすぎる終わり方。影山さんが、己がワームになるという宿命を否定し矢車さんに介錯を頼んだ辺りにはグッとくるものおい、ゼクトルーパーが自力でワームから人間に戻ったぞ。なんだよこの前回の余韻を微塵に砕く展開は。影山さん死ぬのが早計過ぎたって事か? 実は死んだのではなく眠っただけという話もあるが、そうでなければ報われすぎない。矢車復活の時は祭りじゃーばかりに盛り上がったんだけどなあ。

最終決戦に来ないで、後日談にだけ来るライダーってなんなんだろう。
ドレイクは最初から最後までアレだった気がする。作品最下位の実力と設定されながら、自分の偽者を倒したりウカ姉さんを倒したりとそこそこ要所は押さえているのだが……押さえているのだけど、いなくてもどうにかなるよね、彼。オモチャ屋売れ残りの覇者ゼクトマイザーと並ぶ耐え切れない存在の薄さ。まあアレですよゼクトマイザー考えた奴は正座してそのまま放置。オマエのせいで日本全国のオモチャ屋が泣いているんだよ。

 せまり来るネイティブワームの群れ、雑多に動いているように見えるが、彼らの目的は唯一つ、彼らの目標は唯一つ。ネイティブの栄華を生み出す塔の頂で暴れる、仮面ライダーを抹殺する事。
 先陣が塔の入り口に着く、このままなだれ込み一気呵成に襲い掛かればライダーとて敵ではない。一気呵成に襲い掛かる事が、できれば。
 陣の先頭に立つワームの足が貫かれた。それを期に次々とワーム達の体が射抜かれていく。入り口を守護する魔弾の射手の存在に気づき、ワームの足が止まる。既に10匹以上のワームが入り口で果てていた。
 左右非対称のデザイン、全てを捕らえんとする大きな目、射撃というものに全てを賭けたライダー。戦いを拒む戦士、ドレイク。そんな彼が一人、最も戦いが激しくなるであろう塔の入り口に陣取っていた。
「ここを通りたければ、歌の一つでも歌ってみてください。最も、無理でしょうがね」
 彼女への哀悼からか、珍しく使命感でも抱いたのか。ドレイクは一人ワームの群れの中へその身を投じた。

 ワームだって馬鹿ではない。それなりに賢しい。
 正面が通れなければ裏口から乗り込む、現にワームの少なくない何匹かが裏口に到達していた。しかし、彼らは正門に正直に乗り込んだ連中以上の絶望と出会う。
 頚骨、胸骨、恥骨……全てを流れるような動作で砕かれた一匹のワームがその場に倒れ付す。
「おい、起きろよ。ここは地獄の入り口なんじゃあなかったのか……」
 自身もしゃがみ、倒れたワームの角を持ち上げ悠然と語りかける男。
 狂気の片割れ、地獄からの帰還者、全てに見捨てられた男。闇を追及する戦士、キックホッパー。
 彼の隙を突き、背後から二匹のワームが同時に襲い掛かる。キックホッパーの足がそんな彼らの邪心を一気にないだ。ハイキックで頭蓋を砕かれた二匹のワームは同時に爆発四散した。

 ドレイクは遠距離戦を得意とするライダーだ。よって接近戦は得意としない。だが、彼は今回ワームの群れの中心で戦う戦法をあえて取った。
 流れるような動作で放たれる銃弾。それは四方八方に広がり、彼を取り囲むワームを次々と殲滅していく。もはや照準などいちいちつけていない。ただ撃つ、援護が期待できない孤独な戦いでのみ通じる必死の戦法だった。
 そんなドレイクの瞳に映る、一人の男。彼は塔の頂上で一人空を眺めている。自分が司るものを、一人静かに眺めている。
「ふっ、優雅な人ですね」
 彼が出たのなら総ては終わるだろう。そして、彼はこのゼクターを必要としている。返せば、ドレイクとしての姿を失い、ドレイクはメイクアップアーティスト風間大介へと戻らざるを得ない。
 ならばここで退くべきだ。風間では、ワームの一匹も倒すことは出来まい。 しかし彼が選んだ道は――あえて戦うことだった。
 あと数分、いや、何秒彼が時間をくれるかは分からないが、それまでにワームを殲滅する。むしろ殲滅しなければならない。ドレイクゼクターが別れを惜しむように、一瞬震えた。

 キックホッパーと光速ですれ違う物体。キックホッパーの主、矢車想にはそれに見覚えがあった。
 ザビーゼクター。かつて自分が主を勤め、その後主人を転々とし、今では光の中で生きる男に従う道を選んだゼクター。もはや、ザビーゼクターに愛着など無い。しかし、ザビーゼクターがそこを通った時、キックホッパーの動きは確かに一瞬止まった。そこに彼と同じように主であった、弟の影を見たのか。
 一匹のワームの手がキックホッパーの心臓近くを貫く。次々と刺さるワームの手刀、キックホッパーの命はここで潰えた。
「ククク……ハッハッハ……」
 しかし彼は笑っていた。本来ならば、絶望で顔を歪ませて、惨めに死ぬべき状況なのに、彼は何処までも笑顔だった。
「ライダージャンプ」
 キックホッパーの足に力が入り、上空めがけ跳ぶ。急上昇の勢いに追いつけないワームの手刀が、順繰りに上空でキックホッパーの体から抜けていく。
「ライダーキック」
 落下しながら、上空に浮くワームを次々と蹴り飛ばしていくキックホッパー。飛ばされたワーム達はさながら隕石のように落下し、地上で群れるワームを巻き込み爆発四散する。キックホッパーが地面に着地したとき、そこに居たワームは総て全滅していた。
 キックホッパーは己のゼクターに手をかけ、投げ捨てる。矢車想に戻った彼は、見ていて痛々しいほどに血まみれだった。
「相棒、地獄へのキップ……これで掴めたのかな」
 独り、暗闇へと歩みを進める矢車。そんな彼の後を追うように跳ぶ、二匹のホッパーゼクターの姿があった。

あー疲れた。
尺が無いなら学園編削って最終回を二段構えにしてでもコレくらいやってほしいのですよ。ライダーならそれなりの見せ場を最終回に。それにしても疲れた。もうこれ感想というより普通にSSだよな。とりあえず最初からクライマックスな電王に期待して、これでカブト感想〆