一日一アメコミ~2~

Avengers Vol 3 #2

 1998年、世界の中心は英国ティンタジェルであった。剣と魔法が有りしこの世界にて、人々は森の恵とともに生き、女王による統治を受け入れていた。女王による専制は数多の英雄や英傑や神にも認められ、彼らは女王の守護騎士団クイーンズ・ベンジェンスを結成。領土の統治、そして反乱を起こしたピクト人との戦いなど、守護騎士の名に相応しい活躍を見せていた。おそらく、近い将来、女王の威光はこの世界をあまねく照らすこととなるだろう。
 偽りの世界。偽りの記憶。アベンジャーズの緋色の魔女スカーレット・ウィッチは、一夜にして様変わりしたこの世界の異変に気づいていた。アベンジャーズの仲間たちも、自分たちをクイーンズ・ベンジェンスだと思いこんでいる今、彼女が一人でこの世界を覆さなければならない。敵は、クイーンズ・ベンジェンスと反逆の騎士モードレッドを従えしティンタジェルの女王、モルガン・ル・フェ――!

 偽りの記憶と立場、舞台は異なりし世界のブリテン、女王として君臨せしモルガン。なんだろう、1998年の作品なのに、2021年最先端の流行りの香りがするよ!? 舞台設定を軽く描くと、数多のヒーローが命を落としたオンスロート、死んだヒーローが別世界にて復活したヒーローズリボーン、ヒーローたちが正史世界へと帰還するヒーローズリターン。この96年から98年におこなわれた大改編の中での一幕となっております。正史世界へ帰還するタイミング、ここをモルガンに狙われたのが、この話のきっかけ。この辺りの話はとにかく説明がややこしい上に、更に今年ヒーローズリボーンにヒーローズリターンと、同名のイベントをやってしまったので、更に面倒なことに。今後説明の時、ヒーローズリボーン(90年代)とか書かないと絶対ややこしいことになるよな。

 今回のキーキャラクターはモルガンでありモードレッドであり、クイーンズ・ベンジェンスと化したアベンジャーズ。全員知識や感覚がキャメロット基準になっており、装備の仕様も中世風に。名前もキャプテン・アメリカはヨーマン・アメリカ、アイアンマンはアイアンナイト、ブラックパンサーはヌビアンプリンス、ワスプはピクシーと、十数人以上のヒーローがソーやヘラクレスのような一部を除きキャメロット風に改名。流石にキャメロット以前から居る神の改名は難しかった模様。ヨーマン・アメリカを筆頭に、スカーレット・ウィッチの干渉でヒーローたちは本来の己を取り戻すものの、アイアンナイト氏だけは予想外なほどにこの世界に馴染んでおり、開放に手間と時間がかかった模様。トニー、アーサー王伝説大好きだしな……黒幕のモルガンは、思いっきりアーサー王伝説のヴィランだけど。

 異聞帯……もとい、既に剪定……もとい、無くなった世界ではあるものの一つの並行世界ではあるので、EARTH-398としてマーベルユニバースには登録済み。この話、実は一話完結なので、このEARTH-398も単発みたいなもんなのよね。そのわりには舞台設定にかなり力を入れていたので、率直言って勿体ないなあと。掘り下げたり、いっそ日本でリブートしたら、面白いんじゃないか?